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<最終処分場>断念に一時保管地の住民困惑

 東京電力福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の処分場をめぐり、政府が分散保管の方式を継続し、建設断念も視野に入れたことに対し、県内の建設候補地や汚染稲わらを保管する自治体の住民は15日、反発、戸惑い、安堵(あんど)など複雑な思いを交錯させた。
 「この3、4年は何だったのか」。登米市石越町にある一時保管施設近くに住む工藤初夫行政区長(68)は、保管が長引く状況にいら立ちを隠さない。「国、県、市を信頼して(汚染稲わらを)置くことに了承した。最初と言っていることが違うのではないか」と困惑した表情を浮かべた。
 栗原市の市民グループ「放射能から子どもたちを守る栗原ネットワーク」の鈴木健三代表(72)は「分散保管を続ける方式が(自治体や住民に)了解される可能性があるのか」と批判。「処分場が(栗原に)来ないからいいという問題ではない。一時保管する周辺住民が負担をかぶるのは歓迎できない」と指摘した。
 昨年、計22日間に及んだ国の現地調査入りを阻止した加美町の「放射性廃棄物最終処分場施設建設に断固反対する会」の高橋福継会長(73)は「ことしも雪解けとともに現地入りするのではと思っていたが、取りあえず、肩の荷が下りた気分だ」と語った。
 大和町内外の24団体でつくる「大和町指定廃棄物最終処分場に断固反対する会」の佐々木久夫会長は「地元住民の声をまとめ、一丸となって反対運動をしてきた。白紙になるとすれば良かった」と安堵感をにじませた。


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2016年01月16日土曜日

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