15日午前1時55分ごろ、長野県軽井沢町の国道18号線碓氷バイパスの入山峠付近で、スキー客39人を乗せた大型バスがガードレールを突き破って道路脇の斜面に転落。横転して大破した。運転手2人を含む男性9人、女性5人の計14人が死亡。大学生ら26人が負傷した。バスの単体事故により10人以上の死者が出たのは、1985年1月以来の惨事。バスは本来、高速道路を走行するはずが、一般道を使って碓氷峠越えを目指して事故を起こした。バスはなぜ予定を変更したのか? 謎に迫った。
現場は長野と群馬の県境付近。峠を越えて43か所目、勾配度6・5%の下りの左カーブで事故は起きた。バスは片輪走行したまま対向車線へはみ出し、ガードレールを突破。道路右側に転落。数メートル下の斜面で横倒しになり屋根が大木に激突した。車体はくの字に曲がり、フロントガラスが割れるなど車体前面が破損した。降雪や積雪はなく、路面は凍結もしていなかった。現場には目立ったブレーキ痕がなく、警察では事故原因を調べている。運転していたのはバスの運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)の契約社員・土屋広さん(65)=写真右=。交代要員として社員・勝原恵造さん(57)=同左=が同乗していた。ともに運転歴10年以上。車体や運転手の健康状態に問題は報告されていないが、不自然なのは、「なぜ、バスがその道を走っていたか?」だ。
ツアーの行程表は、14日午後11時に東京・原宿を出発し、東松山インターチェンジ(IC)で関越自動車道を降りた後、松井田妙義ICで上信越自動車道へ。佐久ICで降り、2か所のスキー場を経由し、15日午前7時半ごろ長野県飯山市の斑尾高原のホテルに到着するルート。事故現場の碓氷バイパスは走行しない。
イーエスピーの山本崇人営業部長は「時間調整のためかもしれない」と早く到着しすぎるのを避けるための措置だと主張したが、それはありえない話だ。同様の場合、高速道のサービスエリアで停車し調整するのが常識。関東地区のあるバス会社は「早く着き過ぎるのを避けるために一般道へコースを変更することはない」という。今回のスキーツアーを企画した旅行会社「キースツアー」(東京都渋谷区)も「一般道を走っても、運転手が得することは何ひとつない」とした。
なぜ、事故のリスクが高くなる暗い山道での峠越えを選択したのか? 同部長がひとつの仮説を口にした。「『(上信越道の)藤岡ICまで行ったので、その後、高速を使わなかったのでは?』という話もある」。それを裏付けるように乗客は東松山ICより先の上里SAで休憩をとったと証言している。同営業部長は「旅行会社から受け取る高速料金は決まっている」。東松山ICから藤岡ICまでの高速料金は特大車で3160円。予算オーバーをカバーしようとして、藤岡で降りた可能性がある、というのだ。
そもそも、運転手の独断での経路変更は許されていない。「運行指示書」の順守が義務付けられており、コース変更は、会社の運行管理者に連絡して許可を得ることが道路運送法で定められている。今回、運転手からルート変更についての連絡はなかったが、国交省の特別監査によると、運行指示書にはルート記載がなかった。運転手2人は正規の行程を知らされていなかった可能性がある。
さらに目的地に到着し、業務終了を示す運転手の押印が書類にあったことも判明。明らかな法令違反で、同社のずさんなバス運行が問題視されそうだ。
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