冨名腰隆
2016年1月14日21時47分
自民党が14日に開いた外交・経済連携本部などの合同会議で、同党の桜田義孝・元文部科学副大臣(衆院千葉8区)が慰安婦について「職業としての娼婦(しょうふ)、ビジネスだった。これを何か犠牲者のような宣伝工作に惑わされ過ぎている」と発言した。慰安婦問題は昨年末の日韓外相会談で、日本政府が軍の関与を認めたうえで「責任を痛感する」との内容で合意している。
合同会議では、ユネスコ記憶遺産に南京事件が登録された問題などが議論された。桜田氏は、ユネスコへの拠出金について「(中国が)ユネスコを政治利用しているなら、大幅に減らすべきだ」などと訴えた後、慰安婦問題に触れて「職業としての売春婦ということを、もう私は遠慮することはないと思う。遠慮しているから、間違って日本でも韓国でも広まってしまうのではないか」などと話した。
菅義偉官房長官は同日午後の記者会見で「政治家一人ひとりの発言に政府としてコメントは控えたい」とした上で、「自らの発言については自らが説明責任を有するのは当然だ」と述べた。与党は「政務三役だったら大事になっていた」(公明党幹部)と受け止めている。桜田氏は衆院本会議に出席後、報道陣からの取材を拒否。その後、同日夕に「誤解を招く所があり、発言を撤回する」とのコメントを出した。
一方、野党は「首相の自民党総裁としてのガバナンスが問われる」(枝野幸男・民主党幹事長)、「解決を遠のかせる発言だ」(志位和夫・共産党委員長)などと批判しており、政府与党としての責任を追及する構えだ。(冨名腰隆)
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自民党議員が慰安婦を「職業としての娼婦(しょうふ)」と呼んだ問題で、韓国外交省報道官は14日、「歴史の前に恥も知らない一介の国会議員の無知な妄言に対し、いちいち答えることに一顧の価値も感じられない」と述べ、不快感を表明した。そのうえで、昨年末の日韓合意の着実な履行を改めて求めた。(ソウル=牧野愛博)
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