安倍政権打倒へ勢力結集を
首相の靖国参拝を弾劾する
秘密保護法反対!国会周辺には連日抗議の人びとが押し寄せた(写真は12月2日の国会前キャンドル行動) |
昨年末、安倍首相は靖国神社参拝を強行した。これに対して中国、韓国をはじめとしてアジア諸国から強い非難の声があがっている。国内でも特定秘密保護法を強行成立させたことに対して、多くの民衆が安倍政権に対する危機感を募らせている。2014年は辺野古新基地建設、特定秘密保護法廃止、国家安全保障基本法、TPP、原発再稼働、消費税引上げなど安倍政権との本格的な激突の年となる。大衆運動の発展のためには何が必要なのか。
次の衆参ダブル選挙までの3年間、安倍政権は日米同盟を柱にした戦争国家化を推し進めると同時に、新自由主義的グローバリズムに基づく構造改革によって、富の一極集中を促進し、失業・貧困・格差を限りなく拡大する政治を強行しようとしている。
戦争国家化
昨年の国家安全保障会議設置法と特定秘密保護法の強行成立に続き、今年は共謀罪の設置や国家安全保障基本法の成立をねらっている。自民党が一昨年の7月に発表した国家安全保障基本法案の概要では、地方公共団体に対して「国の安全保障施策を実施する責務」を、国民に対しては「国の安全保障施策に協力する責務」を明記している。
これは戦時を想定した「国家総動員法」にほかならない。さらに重大なことは、概要の第10条で「わが国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力攻撃が発生した」場合は「自衛権を行使する」としていることだ。これは集団的自衛権の行使にほかならない。「わが国と密接な関係にある他国」とは言うまでもなく米国のことだ。米軍が海外でおこなう戦争に自衛隊を参戦させようというのだ。この法律が成立すれば、憲法9条は有名無実化する。
安倍政権への怒り
また昨年のTPP交渉で安倍政権は、「毒素条項」と呼ばれるISD条項(=投資家保護条項)を丸呑みした。これは外国企業が国内の法律・条例に変更を求めることを可能にする。また「絶対に守る」と言っていた主要農産物5品目の見直しに踏み込み、減反政策を廃止する方針を決めた。日本農業が致命的なダメージを受けるのは不可避である。
先の国会ではTPP交渉とあわせて国家戦略特区法や産業競争力強化法が成立した。これらは「強い経済をとり戻す」を旗印に掲げ「解雇の自由化」と企業への優遇税制によって労働者民衆に犠牲を集中するものである。
今年4月から消費税が増税される。沖縄では名護市・辺野古に新基地を建設するための埋め立て工事がおこなわれようとしている。また原発再稼働に向けた動きも活発化している。
いまやアベノミクスの化けの皮は剥がれつつある。秘密保護法を強行した安倍政権に対して多くの民衆が怒りと危機感を高めている。これに対して、政府はますます中国や韓国、朝鮮民主主義人民共和国への敵意を煽り、民衆の怒りの矛先を排外主義へと向かわせようとするであろう。
多数派をめざして
われわれはいま、新自由主義的グローバリズムの破綻を容赦なく暴き出した08年リーマン・ショック以降の動と反動のせめぎ合いのまっただ中に立っている。安倍政権は3年間で「新自由主義政策の全面開花」と「大日本帝国の復活」へと突き進もうとしているが、それがうまくいく保証はどこにもない。
自民党に対して怒りを持ちながらも民主党による政権交代の顛末に失望を味わった数千万の民衆が、今後、政治不信から政治的無関心へと進むのか、それとも再び安倍政権に対する怒りを結集させて、新たな社会を創造する道へと立ち上がっていくのか。今、その重要な岐路に立っている。
09年の総選挙で、自民党に怒って民主党へと投票し、その民主党に失望した数千万人の民衆が立ち上がらない限り、日本の社会を変えることはできない。この事実をわれわれは真正面から見すえなければならない。反原発、反基地、反TPPなど具体的な課題をめぐってたたかわれている先進的な運動が、こうした数千万人規模の民衆の支持を獲得できるのかどうかということである。われわれは民衆の内部における多数派の形成をめざして活動するのである。
それでは日本の民衆はこの3年間をどのようにたたかうべきか。
第一に、改憲、原発、沖縄、労働問題、消費税、TPPなどをめぐる激しい攻防のなかで大衆運動の基盤を発展させることである。今後アベノミクスの破産が浮き彫りになれば民衆の怒りは高まり、情勢しだいでは安倍政権を退陣に追い込むことも不可能ではない。
第二に、大衆運動を個別の運動にとどまらずにより社会的なものへと発展させながら、自民党などの既成の政党に対抗できる政治勢力の結集を目指すことである。
すなわち@個別具体的な闘争を強化し大衆運動の基盤を拡大し、A個別の運動を連携する協議体を形成し、B広範な政治勢力の結集をはかっていくということである。
徹底した民主主義
日本における戦闘的な大衆運動の発展をめざすにあたって、チュニジアやエジプトでわき起った「アラブの春」とニューヨークのウォール街占拠闘争が切り開いたものが何であったのかを再確認しておきたい。それは「徹底した民主主義」の重要性ということである。数千人という規模であっても、民主的な議論を尊重し、運動方針を形成していくというスタイルである。日本の左翼運動の大半はこの点で圧倒的に遅れている。
大衆運動の発展のためには、政治党派による運動の引き回しや囲い込みを厳に戒めなくてはならない。多様な民衆の問題意識を共有し、運動内部における民主主義的な議論を定着させるために尽力しなければならない。
同時に、現代資本主義を分析し、新自由主義的グローバリズムとは一体何であるのかを、かつてレーニンが帝国主義論を打ち立てたとき以上の執念を持って解明しなければならない。そしてそのなかで、共産主義の思想的復権をなしとげよう。向こう3年間が山場であり、そこでの闘いが決定的に重要であることを確認して闘おう。
仲井真知事の裏切り許さず
辺野古新基地建設阻止を
自民党県連の裏切り糾弾!沖縄県庁前で抗議行動(12月12日 ) |
昨年12月27日、沖縄県の仲井真弘多知事は、名護市辺野古に米軍の新基地を建設するための公有水面埋立申請を承認した。「県外移設」の選挙公約を自ら破る重大な裏切り行為だ。これに先立つ25日、仲井真知事は安倍首相と会談。その場で安倍は普天間飛行場に配備されているMV22オスプレイの訓練について、半分をめどに県外の複数の演習場で実施するという方針や、米軍牧港補給地区の7年以内返還の前倒しの検討などを提示。しかし、最も核心的な問題である普天間基地の運用停止や日米地位協定の改定についての具体的な回答はゼロだ。
また政府は、2014年度の沖縄振興予算を本年度比15・3%増の3460億円を計上した。この露骨な買収策に対して県民の中から怒りの声がわき起っている。
名護市の稲嶺進市長はあらためて「新基地建設反対」の立場を貫くことを表明。今月19日投開票の名護市長選挙が新基地建設をめぐる重大な決戦の場となった。
県庁を包囲
昨年12月12日、午後6時、県庁前県民広場に400人の労働者、市民が集まり、「自民党国会議員、県連の裏切り糾弾! 知事に辺野古埋め立ての不承認を求める県民集会」が開かれた。山城博治・県平和運動センター議長の開会宣言に始まり、国会議員、市民団体代表など闘う仲間の力強い発言が発せられた。ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は、自民党の裏切りを厳しく断罪し、知事に対して「歴史に耐えうる決断をしてほしい」と訴えた。集会後、国際通りをデモ行進。デモに加わる人が続出し、解散時には長蛇の隊列になった。
12月16日から21日までの6日間、県庁前県民広場で座り込みがおこなわれた。16日、テントを張り、座り込みを開始。平和団体、市民ら100人が集まり「われわれの声を届け、知事に不承認の意思を固めてもらおう」などのシュプレヒコールをあげた。25日には1500人が沖縄県庁を包囲した。
2面
派遣労働を無期限に延長する
派遣法大改悪を許すな
激突する派遣法改正
政府は、通常国会に派遣法「改正案」を提出するため、労働政策審議会(労政審)に昨年中に審議を終了し答申案を出すよう求めていたが、労働側の激しい反対と抗議行動などにより、12月20日に予定していた審議は延期となった。さらに抗議の声をあげていこう。
従来、派遣労働は正社員の職域を侵さないように、臨時的・一時的なものとされてきた。しかし今回の改悪により、派遣労働は臨時・一時的なものではなくなり、「普通の働き方」(12月12日東京新聞)となってしまう。労働現場では、派遣労働の固定化や正社員から派遣労働者への置き換えが進み、労働条件のさらなる劣悪化が進むことは明らかである。
12月12日、労政審の最終案として公益委員案が出された。その内容は3年ごとに働き手を交代させれば、全ての業務で派遣労働を無期限に可能とするもので、従来の派遣法の考え方を根本的に変えてしまうものである。
@全業務で派遣可能
従来、秘書や通訳などの専門26業務だけが無期限に派遣労働を受け入れることが認められてきた。しかし今回、これを転換し、専門26業務だけでなく、すべての業務で派遣労働を無期限に受け入れられるようにするというのである。したがって、専門26業務という区分は廃止する。
A派遣労働者を規制
従来、派遣先は派遣労働者を3年以上同じ業務に就かせることはできず、もし就かせた場合は直接雇用の義務を課せられていた。しかし、今回の案では派遣先の義務を解除し、逆に、派遣労働者が同じ職場で働ける期間を最長3年に限定するというのである。別の言い方をすれば、派遣先は人を代えさえすれば、直接雇用の義務は解除され、4年目以降も当該業務に派遣労働者を使い続けることができるようになるのである。
Bなくなる雇用保障
今回の案では、3年経つと派遣労働者は別の職場に行かなければならなくなる。そのため、3年働いた派遣労働者の次の職場を保障する義務は派遣元とされている。
派遣元は派遣先に直接雇用を依頼したり、別の派遣先を紹介したり、派遣元が正社員として雇うことなどが挙げられているが、派遣先への直接雇用とは派遣先による選別雇用であり、次の派遣先もあるかどうか何の保証もない。また、派遣元が正社員として雇い入れるなどあり得ないことである。
労働組合の役割を否定
当初案では労使でつくる委員会が反対すれば、4年目以降の受け入れはできなかったが、今回の案ではそれも削除された。そのため、派遣先は労働組合の意見を聞けば労働組合が反対しても、そのまま当該業務で派遣労働者を使い続けることができることにされた。 派遣労働者は2011年6月時点で137万人であるが、うち無期雇用は2割程度なので改悪の影響を受けるのは100万人を超えるという(12月13日朝日新聞)。
規制緩和との闘いを
安倍政権による雇用破壊など各規制緩和に重要な役割を演じているのが昨年1月、内閣府に設置された規制改革会議(座長:鶴光太郎慶応大学教授)である。
同会議設置以来、許しがたい規制緩和が次々と打ち出されている。解雇特区の設置、限定正社員の導入、残業代ゼロ化等々。また、同会議は国民皆保険を解体するための混合診療の促進、農業改革と称する農業解体の促進等、日本の社会経済の全分野にわたって規制緩和を提言している。
そのいずれにも共通するのは、巨大企業が「活躍」しやすい社会をつくるということである。
今回の派遣法大改悪は、安倍政権による規制緩和の一部である。安倍政権による規制緩和は社会の全領域にわたる。これに対して、民衆の直接行動ないし直接民主主義とも呼ぶべき行動が起きている。国の形を変えてしまう秘密保護法に対する万余の永続的な反対運動や、生活保護基準引き下げに反対する1万人を超える審査請求などあらゆるところで多くの人たちが行動している。こういう人たちとともに、大きな反撃の陣形をつくっていこう。
47年間、成田空港反対闘争をけん引
萩原進さん(三里塚芝山連合空港反対同盟事務局次長)が急逝
三里塚反対同盟事務局次長の萩原進さんが、昨年12月21日夜、心筋梗塞のため急逝されました。享年70でした。故人への哀悼の意を込めて、12月10日の団結街道裁判報告会での発言を掲載します。〔文責 編集委員会〕
今年1年は空港会社を守りの姿勢にたたき込んだ年でした。市東さんの農地裁判では不当な判決が出ましたが、それを上回る闘いができたし、それをもっともっと大きくして、広範な人たちに訴えかけて、三里塚闘争の新たな闘いを作りあげていきたいと思います。
秘密保護法が国会を通りましたけれども、抗議に集まった人々がうなだれて帰ったかというとそうじゃないんです。安倍に対する怒りと、この行動を今後も続けていこう、新たな出発点としようという身構えがひしひしと感じられます。だから安倍の支持率も一気に落ちたんです。来年3月になったら、経済政策のほころびが出てくるし、さらなる悪法を通そうとしています。消費税も待ちかまえている。安倍政権は 非常な綱渡りをやっています。3月は山積みされた課題が彼らにもあるし、私たちもそういう中にあるんです。
だからあえて3月23日、東京で全国集会を開きます。芝公園を埋め尽くす結集を勝ち取りたい。そして控訴審にのぼりつめていく。三里塚の姿を満天下に示す、それが裁判そのものを勝利に導くカギだと思います。
控訴審第一歩の3月26日、裁判所の一帯を三里塚の旗で埋め尽くそうではありませんか。それができる状況をつくってきています。反原発のテント裁判で集まっている人々などさまざまな闘いで集まっている人々に呼びかけ、理解してもらい、大きく広げていきたい。それと同時に私たちは地元において、周辺の住民に対して空港を包囲する構図を作るための周辺ビラまき、署名カンパ運動を展開します。
三里塚闘争勝利のために邁進するという構図が今年1年の中でできました。来年は、これを発展させて爆発させる年にするために、今から闘いを始めましょう。
米軍Xバンドレーダー基地建設問題
基地反対で市役所を包囲
京丹後市
京都に米軍基地はいらない!京丹後市役所を1200人が包囲(12月15日) |
「京丹後市・経ヶ岬に米軍基地はいらない〜平和の叫び&人間のくさり」。12月15日、現地見学と京丹後市役所包囲行動に参加した。
関西にはじめて米軍基地、戦争の最前線になるXバンドレーダー(ミサイル発射を感知し反撃、先制攻撃する)が設置されようとしている。近くには舞鶴軍港がある。昨年2月に計画が浮上、急速に問答無用で強行されようとしている。京丹後を中心にした現地、京都、関西に反対運動が広がっている。
経ヶ岬現地には京都から大型バス2台、大阪からマイクロバス2台で到着。「米軍Xバンドレーダー基地反対・近畿連絡会」から総勢200人以上が参加したもよう。12月の丹後海岸は、寒風吹きすさぶ荒れ模様だったが、春になればゆたかな海や山の幸に恵まれる地域であろう。まっさきに感じたのは、「ここでもまたか。地域の人々の暮らしはお構いなし。またも強権と『利益』誘導か。沖縄や福島がこれだけ問題になっているのに」という思いだった。機動隊が経ヶ岬分屯基地、米軍基地予定地への小道、地域の穴文殊神社への参道を封鎖している。「きょうは参拝禁止」などと、威圧してきた。バスを降りて路上で抗議行動。
そのあと、経ヶ岬灯台のふもとにある「袖志園地」に移動し、近畿連絡会による抗議集会。大湾宗則さん(近畿連絡会代表世話人)、服部良一さん(同)、反戦老人クラブ・滋賀、関西合同労組などから「京丹後、地元住民は大きな不安を抱いている。戦争のための基地はまっさきに攻撃対象になる。Xバンドレーダーは米軍、グァム基地防衛のためだ」「丹後の自然や漁場が破壊される」「強烈な電磁波は、人体にも漁場にも影響がおよぶ」「安倍政権の集団的自衛権行使、沖縄新基地建設のねらいと一体だ」などの発言があった。
金の暴力に負けない
午後から京丹後市役所前「京丹後市・経ヶ岬に米軍基地はいらない〜平和の叫び&人間のくさり」に合流。参加者は1200人に広がった。ここも冷たい雨と風。風で声がよく聞こえなかったが京丹後青年の会、米軍基地建設を憂う宇川有志の会、地元地権者のメッセージ、地元の漁師さんなどから発言があった。
「防衛省、京都府、京丹後市はほとんど何の説明もおこなわず用地取得に奔走」「アセス実施さえ無回答という乱暴さ」「もうあんたとこだけだと、無理やり仮契約に同意させようとしている。しかも用地借り上げ評価額は、7千円〜1万円の相場(1反/年)のところに30万円を提示。これはお金の暴力だ」「私たちはあきらめないし負けない。沖縄のみなさんと連帯してたたかいぬく」とアピールがあった。
関西の力で米軍基地建設を阻止しよう。(俊二)
3面
2014年 新年のあいさつ
民衆の力で政治を変えよう
沖縄人の尊厳を守る
市東さんの農地を守る沖縄の会
安次富(あしとみ)浩さん
この新年号が皆さんに届くころ、仲井真沖縄県知事は辺野古新基地建設に関する埋め立て申請の結論を出しているかも知れません。仲井真知事が埋め立て承認したとしても辺野古新基地建設阻止闘争は継続されます。
1月19日は沖縄の将来を左右する重大な名護市長選挙の投票日です。うちなんちゅの尊厳を守るため、稲嶺ススム市長2期目に勝利することで日米両政府を驚愕させます。安倍サタン(悪魔)政権は5名の自民党国会議員や沖縄県連を「普天間の固定化」恫喝で潰した勢いをもって、膨大な官房機密費と汚い手を使い、稲嶺ススム追い落としに躍起となるでしょう。また、誘致派の候補者は前市長派と副市長派と分裂していますが、圧倒的な票差で勝利しなければなりません。
安倍政権は戦争体制の構築目的で「特定秘密保護法」を国民各層からの反対を押し切り、強行採決しました。彼らの目的は日米の軍事政策に秘密というベールを被せ、集団的自衛権の行使を国会で容認し、戦争への道を辿ることなのです。
私たちは安倍政権の「沖縄戦の再現」を阻止するために、米軍基地や自衛隊基地解放への第一歩として普天間基地の即時閉鎖、辺野古新基地建設阻止、オスプレイ撤去、高江ヘリパッド建設阻止の闘いに勝利しなければなりません。
軍事基地の重圧に呻吟する沖縄は日本政府の構造的沖縄差別が続く限り、平和的生存権を求めて非暴力の抵抗闘争は続きます。沖縄の闘いは従来型の「革新統一」でなく、「沖縄人の尊厳」を守る、すなわち「沖縄のアイデンティティ」を貫く広範な統一戦線となるでしょう。
日本政府から「化外の民」扱いされている沖縄と、政府や東電によって被曝させられた福島県民の反原発運動、反TPPを闘う三里塚農民との共同闘争で日本社会を変革しなければなりません。また、多民族国家日本の中で多数派のヤマトンチュが沖縄、アイヌ、在日、部落差別などあらゆる差別を醸し出す社会構造を協同・連帯の闘いで解体作業をすることによって、自己変革と日本の変革に繋がります。共に闘いぬきましょう。
「特定秘密保護法 反対」
いまからです、ひっくり返そう
参議院議員 山本太郎さん
山本太郎です。ごめんなさい。通されてしまった、特定秘密保護法。数で押し切った、しようもない芝居。しかし、だから何だ。終わったんじゃない。
その大嘘はみんな見抜いていますよね。大紛糾でした。なぜか。みなさんが大勢、国会前に、日比谷に、全国に集まっていたからですよ。民意は国会にはなかったです。傍聴席にいたお母さんが連れ出されていました。その人は、子どもを守るために一生懸命活動していた福島のお母さんでした。心からの叫び、それがかき消される。ほんとに悔しかった、ぼくは。
一部の権力者が自分たちの既得権益、特権を保つためにとんでもない悪法を通した。初心はないのか、せめて初登院したときの気持ちくらい思い出せよ。自分たちが社会を自由にコントロールできるように、この悪法を「安全保障だ」とかの名の下に強行した。
与党は「国会を1日延長すると何億円かかる」と。そんな脅し文句まで持ち出した。それがどうしたって。私たちの権利と生命を奪われようとしているとき、大切なことはどこまでも徹底的に審議しろって話ですよ。彼らは、反対する人たちが一人ひとりと、増えていくことにものすごく怯えていました。みんなが声をあげることに震えていた。ひょっとして自分たちの地盤が揺らいでしまうのではないか、という恐怖感ですよ。
本当にみんなのことを考えた法案なら、堂々と時間をかけて審議すればいいんだ。でも、時間をかけるほど、どんどん人の輪が広がっていった。彼らは、それが怖かったんです。
通ったけど、どうするか。施行されるまでに1年近くあります。この悪法の内容と推し進めた権力者たちの存在を何倍もの人たちに伝えましょう。来年の統一地方選そして次の衆院選、参院選で百倍返しにしてやろうじゃないですか。力をください。彼らこそ捨てられるんだ。かならずけじめをつけてやりましょう。特定秘密保護法反対! 終わりじゃない。ひっくり返してやりましょう。いまからです。
政治を諦めず 闘い続けよう
前衆議院議員 服部良一さん
皆さま、いよいよ2014年が明けました。明けましておめでとうございます。新年を緊張感をもって迎えています。
新年早々からデモです! 特定秘密保護法を廃止へ、ロックアクションです。とんでもない法律が国会を通過しました、しかも強行採決の連続で。毎月6日に街頭に出ましょう。民主主義の根幹にかかわる重大な問題であり、法律が成立して終わりというわけにはいきません。平成の治安維持法、クーデター法と言っても過言ではありません。三権分立の否定という意味では国会の自殺行為であり、いみじくも自民党石破幹事長が言ったように「デモをテロ」とする市民への弾圧法です。あくまでも施行ストップ! 廃止を求めて闘っていきます。
その先に見えてくるのは集団的自衛権の行使にむけた「国家安全保障基本法」の通常国会上程です。法律として集団的自衛権を認めてしまった時点で、憲法九条は終わりです。どう考えてもこんなことが認められるわけがありません。今年は平和憲法にとってこれ以上の正念場はありません!
1月19日には名護市長選です。辺野古の海、埋め立ての是非をめぐる県知事の判断もそれまでには出ているでしょう。新基地建設は絶対許すことはできません。今年末には県知事選もあり、まさに沖縄にとっては政治決戦の年と言えます。
TPPも年内合意にはなりませんでしたが、いずれ妥協・締結するでしょう。条約の国会批准もあります。政界はどうなるのか、一人ひとりの国会議員が厳しい判断を問われます。
原発再稼働の攻防も今年です。4月には消費税が上がります。中小零細企業は大変な事態を迎えるでしょう。生活保護をはじめ社会保障のきりさげや増税によって庶民の暮らしは深刻です。労働法制のさらなる緩和によって、労働者使い捨て時代の到来。広がる格差。とんでもない社会です。
いつまでも安倍のやりたい放題にさせるわけにはいきません。今年は必ず政治の潮目がかわると信じています。そのためにも大きな受け皿になる平和リベラルの政治勢力が必要です。政治に諦めることなく、闘い続けて行きましょう!
昨年を超える運動を!
広島電車内被爆者 米澤鐡志さん
昨年は大変な年だった。まず、3・11以後引き続いた脱原発運動は野田内閣の再稼働決定により、一昨年の「大飯のオキュパイ運動」を継承し再稼働撤回の運動が粘り強く行われた。
京都では、関電京都支店前の毎週金曜日午後5時から7時までのスタンディング抗議行動「キンカン」(平均二百人が参加)が続けられ持続的運動の一つになり、これに私はほぼ皆勤した。ここでの交流は「四条から目貫通りを歩こう」行動(これは6時ごろ「キンカン」に合流)、「汚染水を考える会」、「11・3平和の夕べ」に多くのブース出展、後に述べるが「待ちなはれ! 京都にも米軍基地はいりまへん」「子供デモ」「スワロウ会」ほか多数の運動を生み出した。
また夏の参議院選挙には、研究者から反原発をはじめとする運動に参加し「緑の党」から出馬した長谷川羽衣子の後援会長を引き受けるハメになり、運動員の圧倒的不足からポスター貼りから大量のビラポスティングに毎日出なければならず、選挙の開票日まで選挙事務所に詰め、ときどき個人演説会の出番もあり東奔西走だった。
そこへ持ってきて、かねてから断り続けていた「被爆体験記」の出版について多くの人や、著者の由井りょう子さん、小学館の強い勧めと、3・11が多くの人々の頭から薄れつつある現状から出版を承諾したが、これもゲラの打ち合わせ(ゲラは4回やり取りした)や、メールでのやりとりなど大変だった。出版された『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』は好評で8・6前に完売した。
そこへ「オスプレイ」沖縄、饗庭野現地闘争(私もいずれにも参加)。沖縄では80歳以上の私より年長のおじい、特におばあには感動、尊敬した。
そして出てきたのが、京都経ヶ岬に「Xバンドレーダー基地」の建設で、近畿に唯一の米軍基地ができることであり、現地との交流も含めて関西規模で地元の反対派と連帯し、土地を貸さず基地を作らせない運動を進めているが、情報が入るのが遅く、8月頃から、勉強、運動となり、立ち遅れたが12月15日には雨の中、過疎の丹後で千人の集会が持て、既に知事、市長がOKを出しその影響で8割ちかい地主が騙され同意しているが、正式契約ではなく、今後も漁業、自然、そして基地ができれば米軍による被害も確実であり、戦いは続くだろう。
「特定秘密保護法」も強行されたが民衆の怒りは強く、私は12月には10回以上の集会デモに参加した。今年は実施させない運動に大きな力を発揮したい。
「伊方」や敦賀の「もんじゅ」にも参加したが、80になる私ができることは運動の現場に参加するしかなく「枯れ木も山の賑わい」だが運動を続けたい。
4面
絶対に負けない、必ず勝つ
三里塚芝山連合空港反対同盟 市東孝雄さん
判決の内容は本当に認めることができない不当判決。この間6年の裁判で、あれだけの資料をそろえて向こう側の不正・違反を明らかにしたのに、あの判決が出た。空港会社が裁判所にすべて任して、自分たちは何もしない、裁判所オンリーというのを感じました。そういう意味でこの裁判は絶対負けられない。控訴審でも目いっぱいがんばっていきます。
50歳になったら天神峰に帰るつもりでしたが、私が48歳の時に親父が亡くなって農業に入りました。土地収用法が失効して畑はもう取られない、だからそこで農業ができるんだと思っていました。ですから今回のようにまさか農地法をねじ曲げてやってくるなんてことは、全然思ってもいませんでした。
私は天神峰で普通に農業を続けてきたし、これからも続けたいと思っています。安全でウソのない野菜を真剣に作って、それが出来たときの喜びを新鮮な野菜を通して消費者に伝える―それが農家としての誇りであり生きがいです。私には300戸1000人の消費者家族に野菜を届ける責任があります。
絶対に負けたくない裁判なので、必ず勝てるといつも思いながらやっていきたい。
裁判所にこの声を届けないとだめだと思うんです。裁判所の土俵で何かやっているのもしゃくです。この間、萩原さんが言ってるように、霞が関に攻め上って、東京高裁を二重に取り囲むぐらいの闘いをできればいいと思っています。
その裁判の前に全国集会をやります。一人でも多く来ていただいて、その渦を3・26に持っていきたい。ですから一人でも多くみなさん、参加してください。
関生型運動で労働運動の再生を
全日本建設運輸連帯労組 関西地区生コン支部
新年、あけましておめでとうございます。昨年は、関西地区生コン支部の運動に多大なご支援をいただきありがとうございました。本年もよろしくお願いします。
関生型運動の前進は経済の民主化、産業の民主化闘争のモデルです。競争型社会から共生・共同型社会、公平・平等を求める運動は中南米カリブ海と韓国などで急速に拡大しており、日本における関生型運動が労働運動の大流を創る運動として全国的に広がりつつあることを示しています。
今年は、1%の特権階級のため国民を犠牲にする戦争政策と対決して闘う年です。新年の中心課題はアメリカ型グローバリズム、弱肉強食社会から公平・平等型社会、共生・共同理念の運動を追求する運動を全国的に拡げることです。
安倍政権の進める消費税増税阻止、規制緩和、解雇自由化、借金増大の公共投資、原発再稼働と輸出を許さない原発ゼロ化、安保破棄、基地撤去、国家安全保障法、特定秘密保護法廃止、集団的自衛権発動、武器輸出3原則の緩和など軍事大国化・戦争体制を許さず、東日本復興より優先するオリンピック招致で国威発揚を狙っていることにストップをかけ、農民、漁民、医療、福祉、中小企業を犠牲にするTPP導入反対運動等を大きく展開する年です。
情勢は闘う我々に有利に働いています。アメリカ帝国主義の衰退はシリア、イラク、アフガニスタンなど中東諸国での失敗、経済危機は一層深刻化しています。ヨーロッパでもソブリン危機に直面しており、資本主義の終焉の始まりです。
日本の支配層は「日米運命共同体」として戦争の出来ない国から戦争をする国に舵を切っていますが、この政策は99%を犠牲にする政策であり、民衆との対立矛盾を激化するものです。情勢は敵の政策で仲間の団結条件が作られているのです。ここに我々にチャンスがあることを確信して闘うことが重要です。
関西の生コン業界再建は中小企業の復権と労働者の利益のため労働組合と協同組合による連携が必要条件です。
大企業の収奪と闘う中小企業の協同でなければ、中小企業の利益は守れないのです。中小企業による中小企業のための中小企業主導による大阪広域協組再建に我々は全力を尽くす、そういう年です。大幅賃上げに加え日々雇用の本勤化を促進すること、会館、技術センター建設、雇用、福祉基金の創立等の要求で団結し行動する。組織の質と量を一層強化する年です。
50周年記念行事の成功に向けての取り組みは今日までの賃金、優先雇用、休日制度などの労働条件の維持向上に加え、組織の新しい成長にとっての一大イベントです。全力を傾注して輝かしい飛躍の年にするように組合員と一丸となって頑張る決意を申し述べます。
闘う農民を全力で支援
三里塚決戦勝利関西実行委員会
代表世話人 永井満さん
去る10月20日、三里塚全国集会が現地、東峰部落の萩原さんの畑を会場に開催されました。折悪しく激しい風雨に見舞われましたが、それをものともせず、集会は進められました。
原発事故のため、田畑を失い、故郷を追われた福島の農民の方々が参加され、「農地を失ってはならない」と怒りをこめて訴えられたのが強く印象に残りました。
反対同盟の北原事務局長の主催者挨拶の後、動労千葉の田中委員長に続いて、関西住民団体を代表して私が「市東さんの農地を守る闘いに関西住民は全力で起つ」と発言し、成田空港会社の悪辣な土地取り上げ策動とそれを援ける国交省、裁判所一体の攻撃に屈せず敢然と闘い抜く市東さんの闘いを全力で支え、共に闘うことをあらためて決意表明しました。
いま、成田空港会社はアジアのハブ空港、中心としての地位を韓国のインチョン空港やシンガポールに奪われまいとして、また、有事の際の米軍の軍事空港としての必要から、空港の拡張―滑走路の増設、24時間化を推し進めています。これに対して周辺住民の人たちから、深夜・早朝の騒音に対して抗議運動が起こっています。祖父の代から100年近くも営々として農業を営んできた市東さんの農地に「不法耕作」など、あらぬ言いがかりをつけてこれを奪おうとするのもその一環です。
市東さんの農地法裁判の控訴審第1回裁判が、3月26日、東京高裁の大法廷で始まります。多くの皆さんが控訴審闘争、傍聴に参加されるよう訴えます。
空港会社の悪辣な攻撃を撥ね返し、断固として闘う農民・市東さんの闘いを全力で支援したいと思います。
社会運動と結びついた労働組合へ
関西合同労働組合執行委員長 石田勝啓さん
安倍政権は、大方の予想通り、夏の参院選終了後、その本性をむき出しにして、特定秘密保護法、日本版NSC設置法を強行採決しました。しかし、特定秘密保護法廃案の闘いには、これまでにない大勢の人々が直接行動・デモに立ち上がっています。
反原発に立ち上がった膨大な人々、沖縄県民の島ぐるみの闘い、秘密保護法反対に立ち上がった人々、これらの人々が、一つの勢力となって、選挙を待たずして安倍を打倒していくことが絶対に必要です。そのための大統一戦線を作り上げて行かなくてはなりません。
そういうなかで、労働組合や労働運動が果たす役割は、本当に大きいと思います。亡くなった関生の高さんが、〈街角に見える労働組合を〉と提唱されたように、地域の市民運動・社会運動と結びついて、労働組合が闘うことが重要です。
安倍は、「解雇特区」戦略、ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)、派遣法改悪等々、労働攻勢をかけてきています。 課題は大きいですが、新たな時代のはじまりのなかで、展望を切り拓いていきたい。
強いられてする闘いではなく
大阪府立学校「君が代」不起立被処分者
奥野泰孝さん
すべて私たちが悪かったんだ。と言えばちょっと言い過ぎかもしれません。私も含めて気がついていたのに止めることができなかったということに責任があると思うのです。しかし過去形にはなっていません。何のことか。「広い意味での天皇制」を無くせなかったことです。この空気をつくる道具としての天皇制を使えなくしないといけなかったのです。これをお手本に日本社会が動いています。原発のこと、疑問がいっぱいあったのに。政府が安全というから安全なんだろう、で思考停止してしまったのは、国民の主権放棄。人類に対する無責任であったと思います。中途半端に「反対!」ではだめだったのです。
「国旗・国歌」の強制については、国会で、強制はないと言いながら他のルール(条例など)で強制してきました。納得できないが従うという人が増えてきたら、従わない人に対して、「みんな納得してちゃんとしているじゃないか。反対しているのはあなただけですよ。社会の慣習に従わないのですか。従わないから処分します。」と脅してきた。最高裁判決で不起立処分が憲法違反だと言えない理由として「慣例上の儀礼的な所作」とか、「国歌に対する敬意の表明は国際常識、国際マナー」とか言った言葉が費やされること自体がおかしい。憲法によって処分が正しいかどうかを判断すべきであるのに、「慣例」「常識」と言う一種の空気が判断基準になっている。
秘密保護法は「自粛・萎縮」という空気づくりの道具になる。民主的手続きを踏まないで、「国」が一部の権力者によって動かされていくことになる。不安になりますが、途方には暮れません。このような闘いは、予想されていたこと。
旧約聖書に「城壁を築く者、もっこを担いで運ぶ者は、一方の手で作業をし、もう一方の手には投げ槍を取った。」と書かれています。城壁再建の妨害を受けていたのです。私たちの城は「憲法」「民主主義」「基本的人権」だと思います。憲法12条にあるように「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」、そのための闘いです。強いられてする闘いではなく、それぞれ自分が選んだ闘い方をすればいいと思います。共闘、よろしくお願いします!
5面
被爆70周年へ 女性たちの声を中心に
被爆二世産婦人科医 河野美代子さん
8・6ヒロシマ平和の夕べは、昨年まで毎年計6回開催して参りました。『未来』の読者の皆様にもたくさん参加していただき、ありがとうございます。
核兵器廃絶の悲願を訴え続けてきた被爆者の方々も力尽きたように、次々と亡くなってしまっています。福島原発の事故により被曝した子どもたちの甲状腺がんは増え続け、一向に下がらぬ放射線に汚染された地域の方たちは、故郷に帰ることも許されないまま仮設住宅での生活を余儀なくされています。
事故の収束のめどもまったく立たず、原発の核のごみの最終処理場のめども立たないまま、安倍内閣は原発の再稼働への準備を着々と進め、外国への原発の輸出の商談まで決めています。
また、数にもの言わせ、特定秘密保護法を強行採決しました。自衛隊への巨額の予算の増額で、あの危険極まりないオスプレイの購入まで決めています。近隣の国々からは、日本は戦争できる国へと着々と準備をしているとみられ、警戒されています。
いったい、この国はどんな方向に行こうとしているのでしょうか。
私たちは、8月6日に絶えることなくこのヒロシマから声を上げたいと思います。私たちの力はあまりにささやかかもしれません。だからこそ、声を上げ続けます。
来年は、被爆70周年です。そして第五福竜丸の被爆をきっかけに、杉並の女性たちの署名活動から60周年になります。全国から3千万人もの署名を集めたその活動が、第1回原水爆禁止世界大会の開催に繋がりました。
被爆70周年、杉並の女性たちの活動60周年、そのプレ企画として、今年は女性たちの声を中心にした「平和の夕べ」を考えています。
皆様に十分に納得していただけるだけの充実した会を準備することを誓います。期待して下さい。皆様、今年も集いましょう! そして語り合いましょう!
「統治形態」の転換を許さず安倍政権打倒へ!
KCM(関西共産主義運動)代表 八木沢二郎さん
統治形態の転換
2013年は「秘密保護法」に対する日本人民の怒りのデモで終わった。14年は沖縄の「全県民体制」にくさびを打ち込み、辺野古基地建設を進めようとする安倍政権に対抗する1・19名護市長選挙にはじまり、消費税アップを前提とする大企業優遇の予算、TPP、原発再稼働、労働者派遣法改悪、集団的自衛権などの悪法を強行しようとしている。 自民党憲法草案は、9条改憲のみならず「立憲主義」即ち人民が主人公であり国家権力の発動を規制するという立場から、国家権力が人民に義務を負わせ規制する「国権主義」へと180度の転換を目論むものである。安倍政権によって、「戦争のできる国家」と「立憲主義の否定」が一体となって急速に進められている。これは行政・執行権力独裁への統治形態の転換を意味する。
転換の動因
安倍をしてこのような方向に駆り立てているものは何か?
第一次安倍政権と現在の第二次安倍政権の間にあるものは、08年のリーマンショックという国際的な戦後資本主義の新たな局面である。アメリカ帝国主義は依然として第一人者ではあっても、もはやパックスアメリカーナとしての絶対的地位にはいず、いわれるところの“多極化”時代であり、先進資本主義は、リーマンショック以降の過程が示しているように実体経済と金融経済が極限まで分離し、金融緩和と財政出動によってかろうじて維持されており、さらにリーマンショック脱却を主導した中国をはじめとする途上国も、世界的金融緩和によってバブルに陥り成長の鈍化と社会的危機を生み出している。
こうして財政出動で財政危機を拡大し、金融緩和で株価と土地価格の上昇によるバブルを形成することでのみ生き延びるその寄生性は、際限なく進行する。また多国籍独占資本は、ただ労働者階級を非正規雇用の増大のように搾取を強化し、中小企業から収奪し、また公を私物化しそれを前提とする市場の争奪戦を繰り広げる。とりわけ、アメリカやEU、中国に比べて国内市場の狭隘な日本は海外市場に頼らざるを得ない。
アベノミクスの第三の矢=成長戦略が、あたかもかつての高度成長期のように労働者の賃上げを含む「内包的発展」のごとく描かれているが、そのような時代はとっくに終わっている。その内実は労働者・人民の搾取、収奪の強化による多国籍独占企業の国際市場競争力強化以外の何物でもない。TPP、派遣法改悪、国と一体となった原発を含むインフラ輸出など、そしてこれが集団的自衛権の経済的基礎であり、米帝と結んで中国に対抗しアジアでの経済的権益を拡大するために日本ブルジョアジーにとって不可欠のものなのだ。 そしてそのためのより一層の人民への搾取・収奪の強化、それへの反抗の抑圧こそ安倍をして統治形態の転換へと駆り立てている動因である。
安倍政権打倒へ
だがこのような政策は、秘密保護法での広範な人々の反対運動への参加が示すように、人民の反撃を招くであろう。原発再稼働やTPP、辺野古新基地建設、集団的自衛権といった政治的問題に加え、安倍の看板であるアベノミクスも早晩破綻する。そもそも、先進国のこの10年の経済成長はアメリカ2%、EU1・5%、日本にいたっては0・7%にすぎない。これは、もはや内包的発展が過去のものとなっていることを示している。かろうじて財政出動によって、そして金融政策でバブルを形成して生き延びている。しかもリーマンショック脱却を主導した中国をはじめとする途上国が、その脱却の過程の作用〜財政出動と先進国量的緩和による資金の流入によるバブルとその破綻〜によって成長を主導する力を失っているだけではなく、むしろ来るべき経済危機のトリガーを引く可能性が大である。こうしてアベノミクスは一、二の矢が三の矢に転化せず、その副作用(財政悪化、金融緩和によるバブルの破綻)によって破綻する。
だが安倍はそのことによって、より強権的、より排外主義的に事態を突破しようとするだろう。それに対する人民の反抗も大きくなる。対決の秋(とき)である。反原発や秘密保護法の戦いにみられるように自然発生的な、広範な人々が戦いに参加してきている。我々は、この自然発生的戦いに“出かけ”、先頭に立って戦い、さしあたって“リベラル”な戦線として形成されることを助け、その一翼を献身的に担うと同時にそれを発展させ“超える”左派の結集を図らねばならない。貴協議会が団結を保ち、その一翼を担われることを期待する。
「小さな棘」が「杭」へと成長した
経産省前テントひろば代表 淵上太郎さん
明けましておめでとうございます。
〈経産省前テントひろば〉は2014年1月1日に844日目を迎えました。そしてこのテントの立ち退きを要求する「国」を原告とする民事訴訟は2月10日に第5回の口頭弁論となります。
経産省前テントは東京の霞ヶ関という地の利もありますが、脱原発を掲げた物理的存在だから全国から良く見えるということです。
原発を推進する経済産業省の喉元に刺さった小さな棘は、日本の原発推進に重大な疑問を抱く人々によって、励まされ育てられた結果、容易なことでは取り除くことが出来ない「杭」くらいには成長してきたのです。
2014年は、伊方原発をはじめとする川内原発、泊原発、柏崎刈羽原発、大飯原発などの再稼働をめぐる攻防が大きな山場を迎える年でもあります。
安倍内閣は、東電の汚染水処理問題や放射能汚染土の中間貯蔵施設、高濃度放射性物質最終処分場等の問題で、「国が前面に立つ」決意表明をしながら、原発の再稼働を目論んでいます。
3・11以来、原発に反対する全国の声はねばり強く続けられ、決して沈静化することはありません。昨年12月1日には、関東、関西、九州、そして全国から、愛媛松山に8千名の人々が集まり、伊方原発再稼働反対の声を挙げました。伊方原発再稼働阻止の重要な階段の1つを上ったのです。昨年12月には「もんじゅ」に対する闘い、川内原発に対する闘いと続いています。
テントの存在を巡る攻防、再稼働を巡る攻防は、私たちにとっては一体となっています。昨年秋から、東電本店に対する抗議行動も再開されました。年始早々の8日にも「東電本店前抗議行動」を多くの仲間たちと共同しておこないます。再稼働を阻止する重要な年を迎えて、脱原発運動の1つの象徴としてのテントひろばは、依然として皆様と共にあります。
怒りに明け暮れた1年 阪神大震災20年へ一歩を踏み出します
被災地雇用と生活要求者組合代表 長谷川正夫さん
新年おめでとうございます。また、変わらぬご支援に心から御礼申し上げます。
昨年は、私自身、怒りに明け暮れた1年でした。メルトダウンした原発、流れ出る汚染水を放置したまま再稼働と原発推進を決定し、原発輸出まで乗り出しました。
農、食、食の安全はもとより雇用、医療、なけなしの年金など、私たちの暮らしを根こそぎアメリカと国際資本に差し出そうというTPP、そして国家安全保障会議、特定秘密保護法などを強行。集団的自衛権行使への憲法9条見直し、改憲への足音。見えてくるのは暮らしの破壊と戦争への道ばかり。東北、フクシマの「復興」が最優先といいながら、何がオリンピックか。資金も人も東京に集中。フクシマを置き去りにしてしまおうというのです。
私たちは、あの阪神大震災から仕事や家を失ったもの同士が団結し、神戸・長田で差別や排外主義とたたかいながら19年を生き抜いてきました。東日本大震災は、被災地神戸の私たちにとって遠くの出来事ではありません。私たちは倒壊、大火災で多くの命を失いましたが、さらに原発が、放射能がこんなにも大変なものであったとは。
1月13日、「阪神〜福島をつなぐ―生きる権利を求めて」阪神大震災19周年集会を、福島から原発被災者をむかえて開きます。阪神大震災でも経験したことがない困難に立ち向かう福島の人々を孤立させてはならない、繋がっていかなくてはならないとの思いがあります。震災20年に、一歩を踏み出します。力を合わせ、生きる権利をたたかいとりましょう。
6面
3年目に向かうフクシマ(中)
いま何が問われているのか
請戸 耕一
2.復興加速化 第3次提言
こうした中で、自民党と公明党が、11月8日、「原子力事故災害からの復興加速化に向けて」と題する提言(以下、「第3次提言」)を取りまとめた。政権に復帰後の自民党が、原子力災害の被災地に関して提出した初めての政策だ。
「第3次提言」の骨子は、@新しい生活の支援と健康不安対策、A原子力損害賠償、B除染・中間貯蔵施設の加速、C廃炉・汚染水対策の4つ。とくに「帰還よりも新しい生活を選ぶ人も支援する」という方針を打ち出した点が新しいとされている。
政策の修正迫られる
まず、「第3次提言」は、「除染して帰還」「除染して復興」という従来の政策が、上述のように低い帰還率や首長選での現職連敗という事態を前に、一定の修正を迫られたということ。
また、実際、除染一辺倒の政策では費用が膨大化し、しかも、大した効果も得られないから、その費用を除染以外の政策に振り向ける方がいいという現実的な判断もあるということだ。
帰還促進が軸
ただ、「帰還よりも新しい生活を選ぶ人も支援」という方針にも言及している点は確かに新しいが、それが従来の方針からの画期的な転換かと言えば、そうではない。
「帰還よりも新しい生活」という場合の対象は、あくまでも、強制避難区域から避難している人に限定したものだ。区域再編によって帰還困難区域とされた住民は何十年と帰れないし、その周辺も厳しい状況が続くことは明らか。このことをようやく公式に言及したということに過ぎない。
他方で、県の内外に自主避難という形で避難している人びとについては、従来通り支援の対象外だ。
たしかに、従来のように帰還一辺倒では行かないという現実を認め、方針の修正を図ったものだが、やはり、あくまでも帰還促進が軸だということに大きな変化はない。
実際、「第3次提言」は、早期帰還を実現するとして、「早期に帰還する住民の方々は、帰還先のインフラや生活環境が完全に整う前に、復興に向けて先陣を切っていただく」と特筆し、それを奨励・支援するとしている。
また、子ども・被災者支援法の基本方針に基づいて取り組むという文言からも、それは明らか。子ども・被災者支援法は、成立当初、被災地域に住み続ける・避難する・帰還するといういずれの選択も尊重し、支援するというものだった。しかし、13年10月に閣議決定された基本方針は、その法の基本精神を否定し、支援対象地域を福島県の中通り・浜通りの33市町村に限定、避難者の帰還を促進する施策に捻じ曲げられた。
20ミリ基準
しかも、「第3次提言」は、20ミリシーベルト基準を帰還の基準として適用しようとしている。
国は、追加被ばく線量年間1ミリシーベルトという法定の公衆被ばく限度の縛りを何とか取り払おうと画策してきた。この間、原子力規制委員会の下で進められてきた「帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム」で、20ミリシーベルト基準とする方向を打ち出している。
そして、「第3次提言」では、IAEAの除染に関する報告書の「年間1〜20ミリシーベルトの範囲であれば国際基準や勧告に整合。年間1ミリシーベルトの目標は短期間には達成しえない」という文言を引用しながら、その適用を打ち出している。
除染を公共事業で
除染が、その成果においても、費用においても、行きづまりを見せていることに対して、一定の修正を示している。
従来、環境省は、追加被ばく線量年間1ミリシーベルトを除染の目標と約束してきた。それは法定の公衆被ばく限度だから当然だ。ところが、その達成がおよそ不可能ということが明らかになった。そこでIAEAのお墨付きを得て、20ミリシーベルト以下ならば目標達成ということに変更をするということを打ち出した。
さらに、もうひとつの大きな問題は、除染の費用が膨大化していることだ。この間、国から東電に除染費用として404億円が請求されているが、東電が支払ったのは67億円だけで、それ以上の支払いを拒んでいる。許されないことだが、このまま行くと東電が破綻する状況にあるのは確か。そして東電が破綻することは、債権者である銀行や株主にとって危機だ。
そこで、今回の「第3次提言」では、上述のように、@目標とする線量基準を変更することで、費用負担の軽減を図るとともに、A従来の除染一辺倒を修正し、除染からインフラ整備を一体で「公共事業的観点」で取り組むという方向への転換を打ち出している。
つまり、除染という幻想が崩壊しつつある中で、新たにインフラ整備という幻想を掲げ、そこに税金を投入する道を開く。もって東電と銀行・株主を救済するとともに、ゼネコンに継続してビジネスチャンスを与えるということだ。
さらに、収束・廃炉作業についても一定の転換を打ち出している。
まず、汚染水問題という形で明らかになった収束作業の危機、それに対する東電のお手上げ状態、そして、内外からの批判や住民の声に押され、もはや「一義的には東電の責任」などと言って国が逃げ続けるわけにいかなくなった。
そこで、「オールジャパンで」「国が前面に立って」としつつ、「(廃炉・汚染水対策・除染・インフラ整備を)大きな公共事業的観点へと展開していくという新たな政策への転換」について「国民の理解」を取り付けたいとしている。
税金投入で東電を救済
その問題点は、東電をはじめとする責任者の処罰、東電の破綻処理、株主・銀行の応分の負担ということが問題にされなければならないはずなのに、それについては一切スルーして、一気に税金投入というところにいってしまっていることだ。
「第3次提言」では、「東電の廃炉事業部門の分社化や独立行政法人化」の検討も挙げているが、これも、税金投入と一体だろう。加害者である東電・株主・銀行を救済し、「廃炉は国の事業」と宣伝して、被害者である「国民」から税金を取り、それをゼネコンをはじめとする大企業に新たなビジネスとして与える。そういう仕組みを「国民」に飲ませるということが「第3次提言」の大きな狙いのひとつと見ていいだろう。(つづく)
冬期特別カンパへのご協力をお願いします
昨年末、沖縄県の仲井真知事が辺野古新基地建設のための埋立申請を承認したことで、2014年は年明け早々から沖縄をめぐる決戦に突入しました。新基地建設を阻止するために19日投票の名護市長選挙で現市長・稲嶺候補の再選を勝ちとらなければなりません。いま多くの人びとが特定秘密保護法を強行成立させた安倍政権に対する危機感を強めています。また、四国電力の伊方原発などの再稼働をねらう動きを絶対に阻止しなければなりません。
安倍政権の全面的な反動攻勢を押し返すためには強力な大衆運動が必要です。冬期特別カンパ闘争へのご協力をお願いします。
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