リーダーとして厳しく接すると人間関係が悪くなるかもしれないし、優しくしすぎると成果を出していなくても許すような状況になってしまうかもしれません。
このようにリーダーとして行動する際に、成果を重視するべきなのか、人間関係を重視するべきなのか迷うことがあるでしょう。
言うまでもなく、成果と人間関係を両立できるリーダーが最もすぐれています。
しかし、そう簡単に両立することはできないというとき、まずどちらを優先するべきなのでしょうか。
日本の社会心理学者三隅二不二(みすみじゅうじ)氏らが開発した「PM理論」に基づいて説明していきます。
PM理論とはなにか
リーダーの能力「P」と「M」
PM理論ではリーダーの行動を大きく2タイプに分けて考えます。
- P(パフォーマンス):成果をあげたり、生産性を高める能力。
- M(メンテナンス):チームの人間関係を良好に保ち、チームワークをよくする能力
つまりPは成果、Mは人間関係を高めたり良くしたりする能力だということですね。
リーダーを4つのタイプに分ける
そしてP(パフォーマンス)能力に優れていることを大文字の「P」、優れていないことを小文字の「p」と表現します。
同じようにM(メンテナンス)能力に優れていることを大文字の「M」、優れていないことを小文字の「m」と。
これを組み合わせて「pm」「Pm」「pM」「PM」と能力をもとに4つのリーダータイプにわけることができます。
図で表すと以下のようになります。
どのタイプのリーダーが優れているのか
PM理論の概要について説明しました。
どのリーダータイプが優れているのかどうかは、研究によってすべて順番が付けられており、劣っているものから順に「pm→Pm→pM→PM」となっています。
このように「Pm」よりも「pM」のリーダーのほうが組織にとって望ましい結果をもたらすとされています。つまり、成果と人間関係のどちらかを重視するとしたら、人間関係の方が好ましいといえるでしょう。
もちろん「PM」、両方を重視するに超したことはありませんが。
人間関係を重視した行動を
上記の理論に基づけば、もし成果のために怒ったりして人間関係を悪くするくらいなら、怒らない方がいいということになります。
しかし、当然ながら人と人とが集まっている組織をそこまで単純化して結論づけることはできませんし、PM理論も「怒るのはなにがあってもよくない」ということをいいたいわけではありません。
ただ、「人間関係なんかよりも成果の方がはるかに大切だ!」と考えることは科学的に間違ったことであるということを知っておく必要があります。
そして怒ったり、厳しい指示をするときは、できる限り相手を傷つけないように配慮したり、敬意を持って接するべきでしょう。
これらは当たり前のことではありますが、科学的にも証明されているということを知っておくことが非常に重要であるといえます。
まとめ
- 日本の社会心理学者三隅二不二氏らの「PM理論」
- リーダーの能力を「成果」と「人間関係」に分け、リーダーを4つのタイプに分類する
- 成果重視と人間関係重視のリーダーなら後者が優れている
今回は便宜上「成果」「人間関係」という言葉を使いましたが、実際「PM理論」でそのように表記されているわけではありません。
単純にPはパフォーマンス、Mはメンテナンスと覚えるのが正しいものといえます。
また「PM理論」のPとMはリーダーの“能力”であり、この記事で述べているような“重視”とは若干意味合いが異なることも付け加えておきます。
いずれにせよ、リーダーとして行動する場合、結果だけをとにかく追い求めて人間関係が悪化させるよりも、人間関係を維持しながら成果を求めていく方が効率がよいといえるでしょう。