昭和元禄落語心中第2話は、助六(初太郎)と八雲(菊比古)の過去の話。
先代の八雲のもとに二人がそれぞれの事情を抱えて入門してくる。
愛嬌振る舞えない菊比古と奔放な性格の初太郎。
「おまえらはなんでも正反対。1人が晴れりゃ1人が曇り。お天気みたいだよ」
と師匠に言われたように、2人の初高座は明暗を分ける。
菊比古は「子褒め」
前座の演じるネタの定番ですが、緊張の隠しきれない様子で、話は棒読み、間が取れず、客席は完全に白けてしまう。聞いていていたたまれなくなるような、苦い高座デビューとなった。
(そういや僕が先日観に行った落語会の前座も「子褒め」でしたね)
立川志の輔独演会@京都芸術劇場 春秋座に行ってきました。幸せでした。レポ書きました - 燃えないごみが燃える日
そして助六(初太郎)の「時そば」
今回の見どころであり、声優に詳しくない僕でも余裕で知っている、山寺宏一の腹から出したような声。第一声は洋画のCMでおなじみの!って感じだった。こちらは菊比古と対照的な、終始堂々とした喋りで客を笑わせる。
時そばは寒くなってきた頃に寄席で聞かれるようになる定番の話で、「いま何時でい?」は有名なフレーズ。口の上手い男が巧みな話術でそばの料金を一文誤魔化し、それを脇で見ていた中途半端な男が見様真似で実践して失敗する。
この前フリと失敗するオチがセットになっているフォーマットは上の「子褒め」にも共通するもので、だいたい話の展開は分かりそうなものだが、それを黙ーって聞いているのが落語というものなんだね。
まずは正統派の小三治師匠。聞いていてなんだか気持ちが落ち着いてしまう。
一方で、個人的には枕が愉快すぎて本編に若干の物足りなさを感じさせられてしまうのが、みんな大好ききょんきょんこと柳家喬太郎師匠。「副題:コロッケそば」と記されるように、枕で描写される立ち食いそば屋のコロッケそばがなんとも旨そう。
ニコニコ動画では最も多く再生されている落語動画でもあり、きょんきょんがいかに一般受け(ガキンチョ受け)する噺家であるかを思い知らされますね。古典落語らしからぬブチ壊していくスタイルが僕はあまり好きではないのですが・・・
僕のイチオシはなんといっても桂枝雀。上方落語(大阪)では「うどん」バージョンになります。
違いの一つが、屋台に尋ねてくる客が二人であること。客のあいだでギャーギャー騒がしい掛け合いがあって楽しい。話の大筋は時そばと一緒です。基本的に笑い話なので、桂枝雀師匠なんかはもってこいの噺家さんでしょう。(動画は3分割されてます)
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