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「113番目の元素」で息を吹き返す理研に「オボカタ」の初夢

デイリー新潮 1月14日(木)7時10分配信

 オボカタ問題で味噌がついた理化学研究所には、文字通り盆と正月が一緒に来たような朗報だった。なにしろ大晦日に、理研の研究チームが合成した新元素が、原子番号113番の元素と認定されたのだ。はて、例の女史の心中や、いかに。

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 それが大晦日だったにもかかわらず、研究チームを率いた九州大教授の森田浩介氏(58)らは、即座に会見を開いた。くだんの元素について、理研の発見と認めて命名権を与えるという通知を、国際学会から受けてのことだが、森田氏の満面の笑みが、どれほどの吉報であるかを物語っていた。

「私のところにも通知が届き、朝5時に森田先生に電話しました。先生は非常に興奮しておられました」

 と語るのは、当の国際学会である国際純正・応用化学連合(IUPAC)の認定委員を務める東大名誉教授の山崎敏光氏である。

「2012年春から3年ほどかけて審査し、私を含む5人の認定委員が討議してきた結果、113番目の元素は、全会一致で理研の研究チームに命名権が与えられることになりました」

 ここで、元素なるものについて、サイエンスライターの丸山篤史氏の講義を受けておきたい。

「元素はこの世の物質を構成するモトで、喩えて言えば、レゴブロックのピース。元素の中心には、その周りを電子が回っている原子核があり、原子核は陽子と中性子で構成されている。原子番号は陽子の数です。森田先生が命名権を獲得した元素は、113個の陽子を持つわけです」

 では、具体的にはどうやって合成されたのか。

「加速器を使い、原子番号30の亜鉛を83のビスマスにぶつけて合成し、113の陽子を持つ元素を作り出した。地球上に存在する元素は92番目のウランまでで、以降はとても不安定ですぐ壊れてしまいます」(同)

 113番目の元素は、米露の研究チームも発見したと主張していた。争いに日本が勝ったのは、その不安定さを逆手に取ったからだという。山崎氏が説く。

「不安定な元素では、アルファ線を放出するアルファ崩壊が起き、アルファ線は陽子2個、中性子2個でできているため、崩壊が起きると原子番号が2つ小さくなる。アルファ崩壊を繰り返して原子番号が小さくなった元素が、既知の原子核になっていれば、崩壊前の元素の原子番号が特定できます。理研のものは、この過程を辿ることができ、米露のものはできなかった」

 こうして、アジアで初めて周期表の一角を占有するにいたったのである。

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最終更新:1月14日(木)14時55分

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