長野県軽井沢町でスキー客らを乗せたバスが崖下に転落し、運転手2人を含む14人が死亡した事故。県内でも犠牲者が15日、現場から無言の帰宅をした。
早稲田大国際教養学部4年の阿部真理絵さん(22)の遺体は15日午後8時すぎ、さいたま市大宮区の自宅マンションに搬送された。阿部さんは既に希望する会社に就職が決まっており、春からは新たな一歩を踏み出すはずだった。
阿部さんの父親は突然の訃報に気丈に振る舞いながらも「何も考えられない状況。気持ちの整理がついていない」とうつむいた。
事故を起こしたバス会社とツアー会社に対しては「安置所にも控室にも来ず、状況説明も謝罪の言葉もなかった」と憤りをあらわにした。
「こういう会社のツアーに参加させてしまったことが非常に無念だ」と帰らぬ娘を思い、言葉をしぼり出した。
東京都小金井市の小嶋亮太さん(19)は東京農工大1年で、加須市の県立不動岡高校の元ラグビー部員。同校ラグビー部顧問の藤間禎さんは、教え子の突然の死に「信じられない」と声を詰まらせた。
小嶋さんは高校1年の時からラグビー部に所属し、勉強と部活に励んでいた。背番号「1」を付け、チームでは縁の下の力持ちだったという。藤間さんは「痛くても痛いと言わず、練習を続ける真面目なやつだった。楽しそうにラグビーをしている小嶋の姿ばかりが思い出される」と語った。
藤間さんが小嶋さんと最後に会ったのは昨年の夏休み。現役の部員がけがで不足し、藤間さんが小嶋さんに助けを求めたところ、快く引き受けてくれたという。
「こんな形でいなくなるなんて…。社会の役に立つやつだと将来を楽しみにしていた」とうつむいた。
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