◇雇い入れ時 65歳以上の適性検査も実施せず
長野県軽井沢町の国道18号碓氷バイパスのスキーツアーバス事故で、バスを運行していた東京都羽村市の「イーエスピー」は15日夜、事故があったバスを運転していた土屋広運転手(65)を昨年12月に採用した際、労働安全衛生法で義務付けられた雇い入れ時の健康診断を実施していなかったと明らかにした。65歳以上のバス運転手に求められる適性検査も実施していなかった。同社は運転手への健康診断を怠っていたとして、今月13日付で国土交通省から道路運送法違反で行政処分(車両使用停止処分)を受けたばかりで、同省は特別監査を実施して詳しい経緯を調べている。
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国交省は昨年2月、道路運送法に基づき、イーエスピーに対し2014年度中の業務の定期監査を実施。13人の運転手のうち10人について、年1回(深夜業務従事者の場合は2回)実施すべき健康診断を受けさせていなかったことが判明した。初任運転手への適性検査も怠っていた。国交省は今月13日付でイーエスピーが所有するバス7台(大型5台、中型・小型各1台)のうち、中型バス1台の使用を20日間禁じる処分を出した。
また、イーエスピーによると、バスは予定していた高速道路を利用するルートを通らず、一般道を走行中に事故を起こしたが、バス側から会社側への変更の連絡は確認されていないという。運行管理者の許可なくルートを変更した場合は道路運送法に違反する可能性があり、国交省はこの点についても会社側の態勢に問題がなかったか調べている。【山田麻未、坂口雄亮】