チャイナリスク関連倒産が国内で急増、中国景気の減速警戒し日本株急落
Made in Chinaに依存する体質が、中国の人件費高騰や円安によるコスト増で収益悪化へ
1月14日、中国発の悪材料で経営破たんする「チャイナリスク関連倒産」が日本国内で急増している。2015年は件数で前年比1.6倍、負債総額は11.5倍に膨らんだ。東証で2015年8月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
中国発の悪材料で経営破たんする「チャイナリスク関連倒産」が日本国内で急増している。2015年は件数で前年比1.6倍、負債総額は11.5倍に膨らんだ。これまでは人件費高騰などコスト増による倒産が多かったが、今後は中国景気減速による悪影響が強まりそうだと懸念されている。
日本株は大幅安となり、バリュエーションは改善しているが、「割安」かどうか見極めは難しく、買い向かう力は鈍い。
中国の人件費増、日本企業にも影響
東京商工リサーチによると、2015年に中国に関連した悪材料で経営が破たんした「チャイナリスク関連倒産」は76件と、前年の46件から大幅に増加した。負債総額も前年の203億0200万円から2346億2800万円へと急拡大。4月に江守グループホールディングス、9月に第一中央汽船など大型倒産が相次ぎ、大きく膨らんだ。
倒産理由で最も多かったのは、76件中55件と7割を占めた「コスト増」。中国国内の人件費高騰に伴う製造単価の上昇や、円安による輸入費用増大が収益を圧迫した。
昨年12月に大阪地裁に破産申請したT&T(大阪府、負債総額7億円)は婦人服の卸売業者だったが、製品の大半を中国からの輸入に頼っていたため、中国での人件費高騰や円安で収益が悪化。規模拡大に伴って在庫負担が増加していたこともあり、資金繰りが行き詰った。
中国の最低賃金は、過去10年で2─3倍に急増。「世界の工場」と言われた中国の製造業が苦境に陥っているのは過剰設備だけでなく、人件費の高騰という面が大きい。さらに日本企業にとっては円安が重なり、輸入コストが急増し、収益を圧迫している。
産業分野に関しては、日本と中国はライバルというよりも共存関係にある。素材や部品を中国から輸入し、日本で加工、中間製品として再び中国に輸出。中国で完成品に仕立て世界に輸出するというのが製造業での典型的な経路だ。中国の人件費高騰は日本企業にとってもプラスではない。