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八事興正寺特集ページ



続・明るく住みよい地域を求めて 八事山興正寺問題の現在

 弁護士 安井一大


新住職を代表役員とする登記の完了

 本通信でも継続して報告しておりましたが、興正寺U元住職は、重大な宗規違反を理由として、本山である高野山から住職罷免処分を受け、代表役員としての地位を失いました。高野山からは新住職が派遣されていましたが、U元住職は新住職と代表役員の地位を争っていたため、興正寺の代表役員に関する登記は閉鎖されていました。しかし、今年1月28日に、新住職を代表役員とする登記が完了しました。
 これに伴い、情勢は大きく動き始めました。

新住職の興正寺への入山拒否

 まず、登記の完了を受け、新住職は2月2日に記者会見を開き、住職就任のあいさつを行いました。更に会見後、住職就任を本尊に伝えるため、新住職は直ちに興正寺へ向かいました。しかし、門は閉ざされ、正当な住職にもかかわらず、新住職は入山を拒否されてしまいました。U元住職は今や興正寺を占有する正当な権限が無いはずであり、不当な入山拒否です。
 この光景は、2月26日に名古屋テレビでも報道されました。

名古屋市による墓地経営変更許可の取り消し

 また、U元住職は、罷免されて代表役員としての権限を失った後に、興正寺内の墓地の区域の範囲を変更するという、墓地経営変更許可申請を、名古屋市に対して出していました。これは、興正寺内に新たな墓地の区域を作り、そこで墓地経営をすることを目的としています。名古屋弁護団は、地域住民の方々と連携し、名古屋市に不当な許可の取消しを求めてきましたが、3月30日、名古屋市は、上記許可が代表権限のないU元住職による申請に対するものであったことを認め、許可の取消し処分をしました。
これにより、現在、新たに作られた墓地では墓地経営をすることができない状態になっています。しかし、名古屋市による許可処分の取消しより前に、実際に墓地を購入してしまった方々がいます。消費者被害や社会的混乱につながりうる事態ですが、被害の第一次的な責任は、無権限で違法無効な振舞をしたU元住職にあります。新住職としては出来るだけ混乱を避けるよう対応していきます。

(写真は週刊仏教タイムス 2015.4.2掲載記事。クリックで拡大します)

今後

 昨年末に名古屋弁護団が正式な委任を受け、地域の方々と協力しながら活動を開始し、様々な場所へ足を運び、様々な方々から事情を伺ったり交渉をするなど、精力的に活動させて頂いております。八事の町が好きだから八事に住み続けたいという声を聞きます。そして、八事の町にある興正寺とは、地域の誇りです。一刻も早く正常な興正寺を取り戻せるよう、今後も弁護団と地域の方々とが連携していくことが重要です。

つるま法律倶楽部たより2015年4月号より)

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明るく住みよい地域を求めて
八事興正寺の現在

小島高志

身分をはく奪されたU元住職

 新聞報道等でご存じのように、興正寺Uもと住職は、借地人いじめを続け、寺の健全化を求めた僧侶を解雇し、僧侶見習いに葬儀を担当させたり、平成大改修と称して由緒ある社や境内を打ち壊す等々してきました。元住職の数々の横暴に反対する人たちの「誠実な住職を求める要請」は署名5000筆を超えます。元住職は、興正寺所有地40筆以上約2万坪を本山に無断で売り渡すという重大な宗規違反行為を問われ、ついに14年1月、住職の身分剥奪処分を受けました。元住職は一旦は自らの違反行為を認め許しを請いもしました。
 しかし、元住職とその取り巻きの責任役員たちは、高野山真言宗本山(和歌山県)からの特認住職の派遣に抵抗を続け、いまだに興正寺に居座っています。

暴走を続ける元住職たち

 既に身分をはく奪された元住職は、着工さえしていない(いわば架空の)納骨堂永代供養を墓地問題を所轄する名古屋市の許可なく募集して市民から資金集めを始めたため、名古屋市から、募集活動を止めて受け取ったお金を返せ等と行政指導を受けました。それでも「納骨堂経営許可申請中」と嘘の表示を続ける等市の指導に従わない状態を続けています。さらに「興正寺代表役員U」と権限があるかのように振る舞って新たな墓の工事に着手し、その募集によって事情を知らない市民から資金を集めようとしています。もしこれらの違法無効な行為を許しておけば、お墓を巡って消費者被害や社会的混乱が生じると危惧されます。
 墓地問題を担当する名古屋市健康福祉局や緑地・風致保全を担当する緑政土木局が元住職たちの暴走を止めるべきなのですが、何よりも問題なのは元住職やその取り巻きであることは明らかでしょう。

住民と高野山との協力

 地域の人たちは元住職の横暴を止めさせる運動を続けてきました(本通信で既報)。
 そのことを理解した高野山本山も問題解決のためには地域の檀信徒、借地人その他地域の方々の活動が重要であると考えるようになり、互いの協力関係が作られつつあります。東京、大阪、名古屋の弁護士、高野山トップの宗務総長はじめ主要幹部役員、統治法の役員たちが名古屋市内で一堂に会し、情報の共有化や対策の検討を始めました。現地連絡所の設置も検討されています。地域状況を知る立場から原山剛三弁護士、水谷実弁護士、当事務所はこれに参加することになりました。

市民に愛される八事興正寺と地域を取り戻したい

 八事興正寺は尾張徳川ゆかりの真言宗巨刹、当地方有数の寺院の一つとして、伝統的権威を保持し敬愛を受けてきました。自然を残す深い静寂な社、折々の風情、行事は宗旨宗派を超えて広く市民に親しまれ愛されてきました。
 日本宗教界でも興正寺問題が関心を集めています。元住職と取り巻きたちに対する、高野山と住民たちの協力体制の樹立によって、いま事態は前向きな新局面を迎えています。

 様々な情報や困りごと相談ごとが「八事興正寺を守る檀信徒の会」「借地借家問題を考える会」「八事を明るく住みよくする会」「八事興正寺の浄化を求める会」や、弁護団に、寄せられます。それらの積み重ねが興正寺正常化の鍵を握ることになるでしょう。

つるま法律倶楽部たより2015年1月号より)

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 地域の借地借家問題続報

 本倶楽部たより2011年8月号でご報告した八事興正寺の借地関係と「借地借家を考える会」について,長期の取材を基に本年4月3日朝日新聞朝刊で報道されました。裁判結果が出れば続報があるでしょう。

つるま法律倶楽部たより2012年5月号より)

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 明るい地域に

 高野山別格八事興正寺は1686年を発祥とし、尾張徳川家の祈願時となり、遠くからの参拝者も集めてきた伝統ある真言宗の寺で、周辺一帯の広大な土地を貸地しています。
お寺の借地人の方を中心に、昨年から借地の法律問題の勉強会を続けてきました。
かつての興正寺は、借地人の事情に理解を示し、借地人から敬われる穏やかな借地関係を続けていました。しかし近年は変化が起きていました。借地人の人たちの中から、お寺は大幅な地代値上げを考えている、借地人を追い出そうとしている、女子の借地権相続を認めない、名義書換や更新の際に高額のお金を要求される、金儲け主義になったのではないかという声が上がり始めたのです。借地人有志が「借地借家問題を考える会」を作り、勉強会を開き、やがて要望書を作り、ニュースを配布する等の運動を始めました。
 地代値上げは現経済状況では一般的に非常識と見られています。「考える会」でしっかりと地代値上げについて勉強した結果、お寺も昨年は地代値上げをあきらめたように見えました。しかし今年6月になると、1月に遡っての値上げ通知が一斉配布され、「考える会」はすぐさま借地人交流会を開きました。お寺さんに逆らうのは嫌だからといわれるままに支払いをした方もおられ、値上げは承知できないとして旧地代しか支払わなかった方もいました。すると、お寺から借地人に「今回の請求は失当」「不手際につき…お詫び申し上げます」との文書が届いたのです。
 値上げの一部撤回という成果は得ましたが、まだいくつも難題はあります。当事務所としては、筋の通らない借地人いじめを止めさせ、適正な借地関係が形成され、借地人の方々が安心して地域で暮らせるよう、今後も引き続き力を尽くして行くつもりです。
 借地借家運動経験があり八事地域に詳しい原山剛三弁護士と弁護団を組んでいます。

つるま法律倶楽部たより2011年8月号より)

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