【NQNニューヨーク=神能淳志】15日の米株式相場は急落して始まった。午前9時35分現在、ダウ工業株30種平均は前日比363ドル23セント安の1万6015ドル82セント、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は同132.162ポイント安の4482.841で推移している。中国市場や原油先物相場の不安定さが市場心理を冷やし、米株式には売りが膨らんだ。ダウ平均は節目の1万6000ドルを割り込み、前日からの下げ幅が400ドルを上回る場面もあった。
15日は中国・上海株が大きく下げ、2014年12月以来の安値を付けた。中国市場の不安定さが嫌気され、日本を含むアジアや欧州主要国の株価指数が軒並み下落した。ニューヨーク原油先物相場は一時1バレル29ドル台前半と約12年2カ月ぶりの安値圏まで下げたことで投資家心理が一段と悪化し、米株式には売りが広がった。
米商務省が取引開始前に発表した15年12月の米小売売上高は前月比0.1%減と市場予想に沿った結果だった。だが、米国内総生産(GDP)を推計する基礎となる指標が悪化したため「15年10~12月期の米GDPは押し下げられる可能性がある」(BNPパリバ)という。
ニューヨーク連銀が公表した1月の米製造業景況指数は市場の予測を上回って大幅なマイナスとなったほか、15年12月の米鉱工業生産も前月から悪化した。米景気の先行き不透明感が改めて意識されて米株式には売りが加速し、ダウ平均を構成する30銘柄は全て売りが優勢となっている。
米市場では投資家が積極的な運用リスクを回避する姿勢を強めている。安全資産とされる米国債には資金が集中し、米長期金利の指標となる米10年物国債の利回りは一時2%を下回り、昨年10月中旬以来およそ3カ月ぶりの水準に低下(価格は上昇)した。外国為替市場では低リスクとされる円に買いが増え、対ドルでは一時1ドル=116円半ばと約4カ月半ぶりの円高・ドル安水準を付けた。
個別では半導体大手のインテルが8%超下落した。前日夕に発表した2015年10~12月期の決算は増収減益だったが、コスト増で利益率が悪化したことなどが嫌気された。08年の金融危機時に問題となった住宅ローン担保証券(MBS)の不正販売を巡る和解金を支払うと発表した投資銀行最大手のゴールドマン・サックスも下落した。15日の取引開始前に四半期決算を発表したシティグループやウェルズ・ファーゴなどの金融株も売られた。