紹介する頃には飽きられているというのもすごい話なのですが、先週欧米のソーシャルメディア、特にツイッターでは新しいアプリ、Peach がホットな話題でした。
Peach は数年まえに流行した Path と似たような作りをしています。ツイッターやFacebookのようにpublicという概念はなく、直接つながった友人としかやりとりはできません。
それどころか、やりとりを行うことさえできません。これは LINE や Facebook のようなインタラクティブな場ではなく、それぞれのユーザーが自分のステータスをアップデートするのを見て、てきとうに「いいね」か、表には表示されないコメントを付ける場所だからです。
Peachを一時的にとはいえ大人気に押し上げたのは、Magic Word という独特な機能でした。この部分だけは、将来 LINE や Facebookメッセンジャーにやってくる可能性が高いといえます。なぜこれが人気となったのでしょうか?
絵文字をこえた、簡単な自己表現
Peach に登録してアプリをひらくと、まず友人を追加することを促されます。友人の ID を知っているなら、あるいは住所録に電話番号があってPeachを使っているなら表示されますので、そこで追加することが可能です。
面白いのは、たいていの最近のソーシャルメディアは「グループ」を形成するのですが、Peach はそれぞれのユーザーのステータスがモノリスのように屹立していて、それを見に行くことしかできません。
Peach の自分のステータスには、文字、画像などとった普通のものはもちろん、Magic Word というコメントを入れられます。たとえば GIF アニメを挿入するのならば、次のように操作をします。
まず、投稿をおこなうかのように “gif”と入力すると、それがコマンドであることに反応して小窓が開きます。そこにたとえば “cat” といったキーワードを入れると、それにあわせた GIF アニメーションを検索してくれますので、それを投稿します。
Magic Word は他にも多数存在します。
- here: 現在地を投稿します
- shout:大文字で表示します
- draw:手がきのイラストを投稿できます
- good morning / good night:おはよう、おやすみを時刻と絵文字とともに投稿します
- battery:バッテリーの減り具合を投稿します
- dice:サイコロを振ります
- song:現在かかっている曲を判別します
- weather:天気を投稿します
- move:歩数に基づいた歩いた距離を表示
- cake:友人にケーキをおくります(あいさつ)
この Magic Word は絵文字のように簡単に使えるのに、GIF の検索機能や、天気を引き寄せるといったことを一瞬で実行できます。晴れや曇りの絵文字を探して投稿するのではなく、”weather” と入れると位置情報から推定した天気をアイコンで入力します。
この Magic Word が Peach の人気の秘密なのですが、一方で Peach はソーシャルなやりとりを生み出さないので、急速にユーザーが関心を失っているという報道もあります。
スマートに、一瞬で、自分を代弁するものを投稿する
LINE が広く利用されている日本なら、Peach の Magic Word はスタンプに似た側面があるというのに気づかれるかもしれません。スタンプも、複雑な言葉のかわりにボタンひと押しで自分の感情を表現することが可能で、絵文字をこえた自己表現です。
Peach の Magic Word はスマートに情報を吸い上げてくれる点が進化しています。Slack bot に近い側面もありますね。手間を書けずに、処理が必要な部分は裏でプログラムが片付けてくれるという仕組みです。
私の Peach アプリ内では誰ももう投稿をアップデートしている人はいなくてゴーストタウンもいいところなのですが、この Magic word 機能は独り歩きすることでしょう。簡単な自己表現をもとめるソーシャルメディアの最前線に向かって。