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【レポート】
既報の通り、米LenovoはCES 2016にThinkPad X1の2016年バージョンを出展していた。今年のX1は従来型のクラムシェル「X1 Carbon」だけでなく、新たに着脱式2in1の「X1 Tablet」や、ヒンジ360度回転の変形2in1「X1 Yoga」が加わりラインナップを拡大。これら生まれ変わったX1シリーズを少し詳しく見ることができたので、レポートしておきたい。
14型クラムシェルの「X1 Carbon」については、まさに順当進化、多くの説明は不要だろう。薄型軽量で堅牢高性能のコンセプトを引き継ぎ、本体サイズでW331×D226.5×H17.7mmから、W333×D229×H16.45mmへとさらに薄型化、重量も約1.31kgから約1.209kgへと軽量化を遂げた。内部もCPUが第6世代Intel Coreへ、ストレージが最大1TBのNVMe対応SSDへと進化するなどし、想定できた通りの強化が施されている。今回はキーボード関連も従来から変更無しだ。
個人的な話だが、筆者はメインノートとしてX1 Carbonを使い続けているユーザーで、毎年CESではX1 Carbonの新モデルを楽しみにしているのだが、実は今回、新しく加わった「X1 Yoga」が最も気になった。「Yoga」製品は、ヒンジ360度回転の変形2in1ノートであることがアイデンティティである。これまでは注目しつつも、伝統的なクラムシェルノートが好みで、T/Xシリーズや、最近ではX1 Carbonを買い繋いでいたのだが、今回のX1 YogaはX1 Carbonユーザーも食指が動きやすいのではないだろうか。
まず外観から見て、新型のX1 CarbonとX1 Yogaには殆ど差異が感じられない。本体サイズのスペック値でもX1 YogaはW333×D229×H16.8mmとなっており、上記の新X1 Carbonのものと同等なので、区別がつかないのも無理はないだろう。重量も1.27kgで大差無い。ヒンジ回転機構のためにヒンジ部分の天板開口部に少し違いが有る程度だ。きょう体だけでなくCPUなど内部コンポーネントも同等。さらに言うと、X1 Yogaの方はオプションでWQHD解像度の有機ELディスプレイを選べる。
左がX1 Carbonで右がX1 Yoga。よく見ると天板付け根もCarbonは角ばっていて、Yogaは丸みをおびている |
下がX1 Carbonで上がX1 Yoga。スペックシートの記載どおりフットプリントも厚みもほとんど一緒だった |
クラムシェルのX1 Carbonと比べ、X1 Yogaは上位モデルに位置づけて良さそうな印象だが、粗を探せばデメリットになるかもしれないのはキーボードだろう。と言うのも、Yogaではタブレットモードへの変形に連動して、キーボードのキーを引っ込ませて収納する「Lift'n'Lock キーボード」機構があるから。タブレット時に底面側にくるキーボード部をフラットに収納するこの機構は、タブレットの使い勝手は増すだろうが、メカが複雑になるのでキータッチの感触に影響があるはずだ。
で、展示機でキーを打ち比べた感想であるが、キーのレイアウトやピッチは同じなので違和感はなく、ストロークも恐らく同じで、これも打ちやすい。あえて言えば、X1 Carbonでは軽快なキー押し込みの中間あたりに、X1 Yogaでは微妙に重さを感じ、底付きにやや剛性感の無さを感じるかもという程度。キーをずっと打っていると、とたんに区別がつかなくなる。製品版が展示機のままなら、さすが大和研究所。なお、今回のX1 Carbon、Yoga、Tabletは、すべて大和研究所が開発を担当している。
X1 YogaはCarbon比で150ドルの価格アップが目安となる。Carbonの使い勝手は内包し、純粋に回転ヒンジによるユーセージ追加ができるモデルと考えて、高いと感じなければX1 Yogaを選ぶべきだろう。もうひとつ気になる有機ELのオプションの存在だが、担当者は「結構高くなる」と話していたが、現時点で価格は未定。液晶比での色の良さは展示機でも確認できたが、コスト以外にも有機EL特有の消費電力と焼きつきの課題があり、大和研究所で対策に取り組んでいるそうだ。
キーボード着脱式2in1の「X1 Tablet」は、世間的にはいちばん注目の新モデルだろう。タブレット本体に自立用のキックスタンドを備える、マイクロソフトのSurfaceライクなモデルだ。大和研究所が開発を担当し、ThinkPad基準の堅牢性は当然として、特長は、"赤ポッチ"トラックポイント付きフルサイズ6列キーのキーボードカバーと、追加バッテリ一体型の拡張モジュール。
着脱式のWindowsタブレットは、本体形状の制約から機能拡張面で不利だが、X1 Tabletは拡張モジュールでこれの解決を試みている。モジュールはタブレットの一辺に専用コネクタで接続する円筒形状のもので、現時点で機能別に3種類を用意している。追加バッテリとしては、タブレット本体が単体で10時間駆動のところ、モジュール接続で最大+5時間、バッテリ駆動時間をのばすことができる。
拡張モジュール装着時、キーボードカバーに工夫があった。拡張モジュールで本体下部に高さが出るぶん、写真のように普通にカバーを装着するとキーボードの角度が急になってしまう |
写真のキーボードカバーの黒い帯部分にマグネットが入っており、よく見ると帯に2列の突起。カバーはマグネットで本体にくっつけて装着するのだが、前述の突起は、2列のマグネットなのだ |
3種類の内訳はHDMIやUSB 3.0などインタフェース増設の「Productivityモジュール」、プロジェクタ機能を備える「Projectorモジュール」、Intel RealSense対応3Dカメラを備える「3D Imagingモジュール」だ。価格はProductivity/3D Imagingモジュールが149ドル、Projectorモジュールが279ドルで、好みのものをオプションで購入して追加できる。
最後にX1 Carbon、Yoga、Tablet共通の特長を紹介しておく。まずWiGigに対応しており、あわせて純正のオプションとしてWiGig対応ワイヤレスドック「ThinkPad WiGig Dock」を用意する。ドックにはサイドにUSB 3.0×2、リアにUSB 3.0×1、USB 2.0×2、DisplayPort、HDMI、LAN、ステレオミニジャックを装備。北米市場では250ドルで1月中に発売。
ACアダプタを非常に小型化したのも特長。65Wタイプで容積が半減し、軽量でもあるので、従来より格段に持ち運びしやすくなった。超小型ACアダプタというと、米スタートアップのFINsix社がクラウドファンディングで出資を募った「Dart」が話題となっているが、担当者によれば、今回のThinkPadのACアダプタはこのFINsix社の技術をベースに共同開発したものだそうだ。脇役だが注目度は高いようで、ブースを見て「Kickstarterで出資予約したDartはまだ届かないのに、先にLenovoに供給なんてずるい」と話す来場者もいた。
ほか、ThinkPad X1シリーズ用にデザインしたというモバイルマウスも使い勝手が良さそうだった。小型かつ、2.4GHz無線/Bluetoothのワイヤレス接続。左右クリックはタッチセンサ内蔵で、背面にスクロール機能有りのタッチパッドを備える点がユニーク。通常の小型モバイルマウスとしてだけでなく、大画面でpptなどを操作するプレゼン用にも利用できる仕様となっている。これも北米では1月発売で、価格は70ドル。
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