みなさん不安になりたい時はありますか?
わざわざそんな風に思う人はあまりいないかもしれません。
でも怖いもの見たさというのも人間の性かと思います。
闇を覗いて暗い気分に浸りたいという方にオススメな映画がこれです。
「メランコリア」
姉夫婦の豪華な邸宅で盛大な結婚パーティを開くジャスティンは、皆から祝福され幸福感に満たされる一方、どこかでむなしさも感じていた。そんなとき、巨大な惑星「メランコリア」が地球に向けて近づいていることが判明。それは同時に地球滅亡の知らせでもあったが、それを聞いたジャスティンの心はなぜか軽やかになっていく。
メランコリアという惑星が地球にぶつかるまでの数日間をある家族の視点で捉えた映画です。
それぞれが破滅をどう受け止めるかという姿を描いています。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の監督といえば「うぎゃあああ!!!」となる方も多いでしょう。
オープニングにはストーリーを元にした現代芸術的な映像が流れます。
幻想的で美しいです。
ブリューゲル「冬の狩人」やミレー「オフィーリア」をモチーフとした映像となっており、優れた絵画作品がそうであるように非常に示唆に富んだ映画です。
このオープニング映像自体はビル・ヴィオラ「追憶の五重奏」を彷彿とさせます。
アートって難しいですね。(´-`)
本編でも「ゴリアテの首を持つダビデ」の絵が登場します。
主人公と上司との口論のシーンでしたが、その事を表していたのでしょうか。
それとも惑星が地球にぶつかることの暗示?*1
この映画を一言で表すと「不安」だと思います。
なんせ地球が無くなってしまうわけですからどこにも逃げ場はありません。
ただ一刻一刻と確実に死が目に見えて近づいてくる不安。
しかし僕が一番不安に感じたのは主人公ジャスティンの心理を理解してしまいそうな事でした。
あいつはなんだってそんなことをするんだ。
破天荒にもほどがあるだろう。
でも自分にはそんな部分が無いと言えるだろうか・・・。
うわーやばいかもしれない!
って感じです。
「全くそんなことなんか無い!あいつにはイライラするだけ!」という方もいるでしょう。(むしろ多そう)
しかしそんな彼女も最後にはまるで聖者のような風格すら漂わせていきます。
結婚式のシーンでも様々な人間の反応が描かれており、その誰かと同じ行動を取るかもしれないと自分を重ねながら観るのもよいかと思います。
どの行動を取ったとしても最後の瞬間は同時に訪れるのですが。