リプロダクティブ・ライツ、リプロダクティブ・ヘルス、という言葉がある。性と生殖に関する権利と健康という概念だ。どうも性と生殖に関する健康や権利はないがしろにされがちではあり、こと日本に置いてもだいたい笑いの種や抑圧の元となりがちである。
[すぐに必要な時がある。緊急避妊薬ノルレボを市販薬に!]http://ec-otc.blogspot.jp/2014/11/blog-post_16.html というページがある。避妊の失敗や望まぬ性交があっときに、72時間以内に服用すれば81%の確率で妊娠を回避できるというお薬だ。現状ではノルレボは本人が医者にいって処方してもらうほかなく、その費用も1万5000円程度から2万円前後と非常に高額である。
本来ノルレボの価格は1500円程度である。これくらいの価格ならば貧しい人たちでもなんとか手が届くであろうし、市販薬であれば身近な人が買ってきてあげることもできる。良くも悪くも女性というのは弱いもので、避妊の失敗や望まぬ性交のショックで正常な判断力を取り戻すまでに時間がかかることも少なくない。本人が病院にいかねば処方されないようでは問題がある。他国ではとっくに市販化されてるようだ。
ところがどうも日本のフェミニズム界隈はノルレボ市販化には反対なようである。
法律を作る人たちへの圧力として機能するはずの権利団体のスタンスがこれではずいぶんと絶望的だ。
上記のスイスでの事例など見ると、ノルレボの市販化がやはり奏功してるようで中絶件数が非常に低いという。10代の少女への手厚い対応も注目だ。の親に言えずに悶々としてるうちに妊娠が発覚し中絶するという事例がいかに多いかということでもあるだろう。
おもしろいのが、2002年のノルレボ市販化後、スイスの出生率が底をうち、回復し始めたことである。他にも多様な要因はあるのだろうが、リプロダクティブ・ヘルスの推進も少なからず貢献してるのではないのだろうか。
さてリプロダクティブ・ヘルスは「性と生殖に関する健康」という概念だということは冒頭にも書いた。現在のところ国際的にも問題視されてるのは女性のそれであるが、もちろん男性にもリプロダクティブ・ヘルスはある。
俺は若年性男性更年期障害、いわゆるLOH症候群になり、男性ホルモン投与治療を受けていた。生活習慣の改善とともに今では投与がなくても、起きてられないほどの肩の痛みや不安定で鬱々とした精神に悩まされることもだいぶなくなってきた。
その治療の過程でつくづく思い知らされたのは、男性の健康と性が非常に密接であるということである。男性ホルモンというのは精巣で作られる。精巣が活発に活動するというのは、ありていに言えばなんらかに欲情していなくてはならないのである。
中高年のおじさんたちが妙にエロい週刊誌やグラビアを見たり、女性が横に座る飲み屋に行ったりするのは、加齢で減ってきた男性ホルモンを分泌させるためなのであろう。
自分でできる対処法を探して「魅力的な異性を見る」とか「頻繁に性行為をする」などがあったので、ガラにもなくグラビア写真など「治療だ、治療だ」と言い聞かせつつ見てたりなどしてたのだがさしたる効果はなかった。比較的効果があったのはやはりアニメで、アニメを見る量を増やしてたら食事改善の効果もあってだいぶよくなってきた。結局個々人にとっての「魅力的な異性」でなければ意味がないということである*1
こうした経験から、「ポルノは男性のリプロダクティブ・ヘルス」であると考えるようになった。もちろんポルノアニメを見ていたわけではないのだが、多くの男性にとって効果があるであろうものはおそらくポルノであろう。ポルノに用事のないアルファ・オスならともかく、ポルノでもなければ「魅力的な異性」を見る機会すら無いという男性も少なくない。なによりそうした性嗜好は人それぞれなので偶然の出会いなどに頼っては健康を維持できないのである。
欧米や韓国などのフェミニストたちは「ポルノグラフィティ防衛論」で有名なナディーン・ストロッセンを始め、ポルノ周りにも理解のあるフェミニストが多いらしい。
ポルノグラフィ防衛論 アメリカのセクハラ攻撃・ポルノ規制の危険性
- 作者: ナディーン・ストロッセン,松沢呉一,岸田美貴
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だが日本ではそうしたフェミニストたちは影を潜めてるのかそもそもいないのか、あまり声が上がることはない。代わりにあがってくるのは性嫌悪や男性嫌悪としか思えない罵倒の言葉ばかりだ。海外ではネットを通してそうした罵倒活動をする「フェミニスト」をソーシャル・ジャスティス・ウォーリアーと呼ぶそうだが、日本のフェミニストはそのほとんどがソーシャル・ジャスティス・ウォーリアーのようである。
どうか日本でもリプロダクティブ・ヘルス・ライツが深く浸透し、誰もが性と生殖に関する健康と権利を享受できるようになってもらいたい。そしてガラパゴスではないフェミニズムが浸透してくれることを切に願うものである。
そのためにもまずはノルレボ市販化へ向けて、微力ながら声を上げていきたい。