2016年1月15日23時29分
長野県軽井沢町軽井沢の国道18号の入山峠付近で15日未明、スキーツアーの大型バスが道路脇から転落し14人が死亡した事故で、運転手が会社に報告せずに、ルートを変更していたことが分かった。バス会社が明らかにした。道路運送法では、運転手が事前の行程表からルートを変える場合、会社への報告が義務づけられている。国土交通省が事実関係を調べている。
バスを運行した観光事業会社「イーエスピー」(東京都羽村市)によると、バスは14日午後11時に東京・原宿を出発。群馬から長野への県境を越える際、事前の行程表では上信越道を利用するルートだったが、死亡した同社の土屋広運転手(65)=東京都青梅市=は事故現場となった国道18号(碓氷〈うすい〉バイパス)を走行していた。
同社の担当者は「運転手から会社にルート変更の連絡がなかったことを確認した」としている。
長野県警はこの事故で、土屋運転手とともに乗務した勝原恵造運転手(57)=青梅市=と大学生12人の計14人が死亡、重体2人を含む計26人が重軽傷を負ったと発表した。主な死因は頸椎(けいつい)損傷や頭蓋(ずがい)内損傷、多発性外傷だった。15日、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の容疑で同社を家宅捜索した。
これまでの調べで、バスは下り坂の緩い左カーブを走行中、対向車線にはみ出し、道路脇に転落したとみられている。
現場から約100メートル手前の道路左側のガードレールからは、バスが接触したとみられる跡が見つかっており、運転手が急にハンドルを切って対向車線にはみ出した可能性があるとみている。また、現場の路上にはタイヤの跡が片側1本しか残っていないことから、事故直前、バスの片側が浮き、傾いた状態で走行した可能性もあるとみている。同社の説明では、バスにはドライブレコーダーは付いていなかった。
国交省は同日、運行管理やバスの整備状況を調べるため、同社に特別監査に入った。青梅、渋谷の労働基準監督署も同社と、ツアーを企画した「キースツアー」(東京都渋谷区)について、運転手の労働時間などに問題がなかったか調べる。
土屋運転手が昨年12月まで勤務していた職場の関係者によると、土屋運転手は小型バスで近距離を送迎する仕事が主だったという。
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朝日新聞社会部
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