【網走】地ビール製造の網走ビール(網走、長岡拓児社長)は、工場(南2西4)内部に研究室を新設した。これまで外部の研究所や大学の協力を得ていた研究を工場内で行い、商品の価値を高めたい考えだ。

 研究室は約15平方メートルで、工場内の既存の部屋を改装して機器類を設置し、昨年末に完成した。酵母を培養する装置や、苦みや色度を数値化する分光光度計、微生物の管理を無菌状態で行うクリーンベンチなどの機器を導入した。総事業費は約300万円。こうした設備は、道内の地ビール会社では、小樽市で小樽ビールを製造するアレフ(札幌)が既に設置している。

 こうした機器を使うことで、自社でさまざまな酵母を作って試験醸造することも可能となった。また、同社の看板商品である色が付いたビール・発泡酒の色合いの均一化など、品質向上に生かす。さらに、苦みや酸味を数値で分析して客観的に味を評価できるため、商品開発にも生かせる。

 研究室では既に、條(じょう)将之工場長が中心となり、既存商品の管理に加えて、今春に発売予定の網走産小麦を使ったホワイトエールや、海外輸出用の新商品の仕上げを行っている。

 長岡社長は「今まで以上に品質向上に力を入れ、『網走ビール』のブランド力を向上させたい」と話していた。(米田真梨子)