『大手葬祭業者2億所得隠し 子会社への資金援助めぐり』
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110618/crm11061802010001-n1.htm
MSN産経ニュース 2011.6.18 02:00
『セレモアつくばが所得隠し=7年間で4億円指摘-東京国税局』
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011061800147
時事ドットコム 2011/06/18-12:00
『セレモアつくば、7年間で4億円所得隠し 国税指摘』
http://www.asahi.com/national/update/0618/TKY201106180126.html
朝日新聞 2011年6月18日10時39分
子会社への業務委託費の支払について所得隠しがあったとされた事案。
・東京国税局の税務調査を受け、法人所得約4億円の所得隠しを指摘されたのは大手葬祭業者「セレモアつくば」(東京都立川市)。
・同社は子会社3社に葬儀受注のための営業を依頼し、年間数千万円の業務委託費を支払っていた。
・しかし、子会社側は同社のパンフレットを置くだけなど積極的な営業活動をしておらず、また、相談所経由で受注した葬儀代金の一部を子会社に還流させるなど契約外でも資金援助していたことが税務調査で判明。
・同社は経費計上していたが、同国税局は業務の実態が確認できないとして経費計上ができない「寄附金」と認定。
・結果、2010年3月期までの7年間で約4億円の所得隠しが指摘された。その他経理ミスを含めた申告漏れ総額は約5億円
→追徴課税は重加算税も含め約1億5千万円になった模様。→同社はすでに修正申告済み。
業務の実態がないとして、子会社に支払った経費を寄附金と認定されたという事案です。
ケースとしてはよくある事案ですが、この事案が後を絶たないのは、法人税の計算方法に理由があると考えられます。
つまり、中小企業(※1)に関しては年800万円以下の所得に対しては法人税率18%(※2)という優遇税率が適用されるため、一つの会社で利益を抱え込むよりも関連会社を複数設立して所得分散させた方が節税になるのです。
※1 資本金額1億円以下の普通法人等。資本金5億円以上の法人の完全子会社等を除く。
※2 原則22%。21.4.1~23.6.30までに終了する各事業年度18%。
もちろん節税になるのは子会社に業務を行っている実態がある場合だけで、単に業務委託契約書だけ締結して資金を流しているだけでは認められるはずはありません。
「3社は積極的な営業活動を行っておらず、顧客の無料相談を受けていただけで正式な業務委託の契約書などもなかったため、東京国税局は経費と認めず、寄付金と認定したという。」
今回の事例ではその契約書すら作成していなかったということですか・・。
もちろん税法は実質課税が原則で、契約書という形式がなくても業務の実態があれば経費として計上できる理屈です。
しかし、いくら実態があったといってもそれを証明する方法が限られる中、せめて契約書という形式だけでも整えておかないと交渉のテーブルにすら上がることが困難になります。
実際に税務調査では「実態がないから、形式(契約書)もないんでしょ?」と取られがちです。
同社は
「全く実態がなかったわけではなく、認識の違いや書類の不備を指摘された。当局の指導に従い修正申告した」
「故意に所得を隠したことはなく、異議申し立ても考えたが、修正申告した」
としているそうですが、異議申し立てをしても、第三者に依頼した場合と同様の業務実態を証明することができなければ認定を覆すことは難しかったでしょう。
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