アフリカ南部のボツワナ。
ここに暮らすゾウの群れは毎年450キロにも及ぶ旅をするという。
それは生まれたばかりの赤ちゃんとて例外ではない。
新鮮な草や水を求め生死を懸けた過酷な旅に出る。
今回月や星の明かりだけで撮影できる高感度カメラでゾウの旅を追跡した。
まるで昼間のように明るい世界。
だがこれらは全て夜に撮影されたものだ。
最先端のカメラが生き物たちの知られざる営みを鮮やかに映し出した。
乾季が近づく頃ゾウたちは気の遠くなるような長い旅に出かける。
旅は常に死と隣り合わせ。
母親は子どもたちを守りながらひたすら目的地を目指す。
(鳴き声)アフリカの大地でゾウたちが繰り広げる命のドラマ。
それは一体どんなものなのか。
僕はその様子を自分の目で見てみたいと思っていた。
そこで目撃したのは想像を超えたゾウたちの姿。
見れるとは思わなかったな〜。
古より受け継がれた記憶を頼りに未来へと懸命に命をつなぐゾウたち。
半年にも及ぶ家族の壮大な旅に密着した。
僕が訪れたのは3月。
ボツワナは雨季の終わりを迎えていた。
出会いは突然だった。
うわっいた!いた!家族が。
ちょっと待って下さい。
至る所に…。
あっ水浴びしてる!すごい!めちゃくちゃ数います。
うわ〜。
(鳴き声)
(鳴き声)続いて群れの中に生まれてまだ間もない赤ちゃんを発見。
何か歩き方も結構ヨチヨチしてて。
赤ちゃんはいつも群れの真ん中。
大人みんなで守っている。
そんな生まれたばかりの赤ちゃんとその家族が今回の物語の中心だ。
旅の始まりは1か月ほど前に遡る。
ここはボツワナの中央部に広がる湿地帯です。
季節は雨季。
平原は水であふれサバンナにはふんだんに草が生い茂っています。
ゾウの家族に新しい命が誕生しました。
母親は群れのリーダー。
ゾウの社会ではリーダーは最年長のメス。
豊富な経験と知識を持った頼もしいお母さんです。
群れは母系家族でリーダーを筆頭に血縁関係にあるメスとその子どもたちから成ります。
赤ちゃんの面倒は家族みんなで見ます。
赤ちゃんには数頭のお姉さんがいます。
お姉さんたちは既に乳離れしていますが母親のお乳を譲るにはまだ抵抗があるようです。
ひときわ大きな体。
体重6トンはあろうかという巨大なオスです。
オスは10歳前後になると群れから離れオスだけで数頭のグループを作ります。
オスたちの群れにもルールがあり年長者の命令は絶対です。
そしてメスや子どもの群れから一定の距離を保って過ごしています。
若いオス同士が争いを始めました。
でも相手を傷つけようとしている訳ではありません。
群れの中での地位を巡って競い合っているのです。
こうした争いは赤ちゃんにとってはとても危険。
そのため母親や子どもたちはオスの群れから離れて暮らしているのです。
飛び立つ渡り鳥たち。
雨季が終わり湿原に乾燥の季節が到来した事を告げています。
最後に雨が降ってから既に数週間が経ちました。
川の水位は下がり緑豊かな楽園は消え去ろうとしています。
ゾウたちがここを去る時がやって来ました。
旅をするゾウ。
その数は数万頭にも上るといいます。
3〜4日に一度は水を飲まなければならないゾウたち。
リーダーの記憶を頼りに水場から水場へと歩き続けます。
目指すは雨の降る豊かな草原です。
ゾウたちは暑い日中よりも涼しい夜を好んで移動します。
リーダーのメスを先頭に長い旅が始まりました。
昼間のように見えますがこれは4Kの高感度カメラで撮影した夜の映像。
これまでよく分からなかった動物たちの知られざる生態が明らかになってきました。
お乳を飲む赤ちゃん。
長旅に備えふだんよりもたくさん栄養が必要です。
大人たちも常に草や葉を食べながら歩き続けます。
地面にくっきりと影が出来るほどの月明かりの下赤ちゃんは小さな水たまりに近づいていきます。
その様子を野生のネコがじっと見ています。
赤ちゃんはあふれる好奇心を抑える事ができません。
(鳴き声)あわてて母親のもとへ戻ります。
夜の茂みには多くの危険が潜んでいます。
突然母親が不安そうな様子を見せました。
動きを止めると家族も直ちにそれに従います。
そしてあらゆる感覚を研ぎ澄ませて気配を探ります。
実はゾウは足の裏でかすかな地面の振動や超低周波の音を感じ取る事ができます。
母親は近くにライオンがいる事を察知したようです。
(鳴き声)今夜ライオンたちにはゾウを攻撃しようという気はないようです。
(鳴き声)これなら赤ちゃんは辺りを自由に跳ね回っても大丈夫そうです。
安全を確かめて母親は水を飲みに戻りました。
明日赤ちゃんはたっぷりお乳を飲む事ができるでしょう。
さあ再び出発です。
別の家族も加わり歩き始めました。
子どもたちに合わせて歩みを緩め安全な道を選んで進みます。
地下の巣穴へと逃げ込んだのはミーアキャットです。
灼熱の太陽を避けるには穴の奥へと逃げ込むのが一番。
この辺りも間もなく乾燥の大地へと姿を変えるはずです。
ゾウたちにとっての最初の難関は干上がった塩の湖。
迷いやすく天敵に目立ちやすい危険な場所です。
やって来たのはオスの群れです。
圧倒的な体力に物を言わせ塩に覆われた大地を何食わぬ顔で進んでいきます。
年老いたオスもやって来ました。
塩の湖を横断するルートが目的地への近道である事を知っているのです。
小さな生き物にとってゾウたちの訪問は食べ物を得る絶好のチャンス。
フンコロガシはこの時ゾウのフンに卵を産み付けます。
孵化した幼虫はフンを食べて成長します。
夕暮れが迫る頃オスたちは湖を無事通過していきました。
こちらは赤ちゃんとその家族。
どうやら塩の湖を迂回するルートを選んだようです。
移動距離は長くなりますが赤ちゃんの安全を優先したのです。
この道はリーダーが自分の母親から教わったもの。
代々受け継がれてきたルートです。
ゾウたちはリーダーの記憶と経験を頼りに水場を求め昼夜を問わず歩き続けます。
その行く先にはまたさまざまな危険が潜んでいます。
中でもライオンは大きな脅威です。
体の小さなメスや子ども更に弱ったものがしばしば襲われ命を落とします。
近づいてきたのはハイエナです。
子どもを狙っています。
(鳴き声)家族は体を張ってハイエナを追い払います。
赤ちゃんにとって群れから離れる事は死を意味します。
母親と家族は赤ちゃんを隠すようにしてゆっくりと歩みを進めます。
荒涼とした大地を歩き続けるゾウの群れ。
この日出発して初めて大きな水場に到着しました。
太陽は既に空高く昇っています。
肌を焼くような熱い空気。
気温は45度にも達します。
たくさんの家族が到着する中赤ちゃんのいる家族も水場へとやって来ました。
赤ちゃんも恐る恐る近づきます。
おっと危ない!大丈夫でしょうか?お姉さんの方は大はしゃぎです。
赤ちゃんはまだ少し躊躇しています。
でもみんなにこれだけ楽しそうな姿を見せつけられると…。
意を決したようです。
母親は赤ちゃんがぬかるみに沈み込まないよう細心の注意を払います。
泥浴びはゾウにとってとても大切。
紫外線を防ぎ体温を下げ更に肌についた寄生虫を取り除く効果があります。
お姉さんたちに見守られ赤ちゃんは生まれて初めて泥浴びを体験しました。
この日アフリカの大地で生きていく術を一つ学んだのです。
赤ちゃんも夢中になってやっていた泥浴び。
僕はゾウたちがよく利用するという場所に案内してもらった。
そこは少し低いくぼ地になっていて周囲から流れ込んだ水がたまりやすくなっていた。
黒々とした泥が紫外線や寄生虫を防ぎ更には体温を下げる効果もあるという。
ヌルヌルするんですよね。
いやこれは感触は味わった事ないですね。
あっ!血の味がしますよ。
鉄分というか。
…とその時!Yo!Yo!一応車の中に入っておきますかじゃあ。
車を少し走らせるとその正体が分かった。
あっこれライオンですか?ライオンの足跡。
まだ新しい足跡だ。
車を気にする事もなくこちらに向かってくる。
大きな家族のようだ。
もっと近づいてみる事にした。
うわ…近い。
近い。
僕たちが近づいても全く動じる様子のないその姿。
さすが百獣の王といった貫禄だ。
ゾウの最大の天敵でもあるライオン。
ライオンが身を隠しやすい林はとても危険な場所です。
しかし目的地を目指すゾウたちはここを通り抜けなければなりません。
赤ちゃんを連れた家族も用心しながら進みます。
いました。
ライオンです。
悠然と草むらを歩いています。
自分たちの縄張りに獲物が入ってくるのを待っているようです。
ゾウのリーダーはその中を進む事に決めました。
ライオンはじっと座って群れが通り過ぎるのを眺めています。
団結したゾウの家族が相手では勝ち目がほとんどない事を知っているのです。
相手が隙を見せるのを待つしかありません。
こちらはクーズー。
体長2メートルもある大型の牛の仲間です。
ゾウたちがライオンに気付いたようです。
茂みに緊張が走ります。
ライオンが襲ったのはクーズーでした。
一頭が犠牲になる事でほかの動物たちは生き延びる事ができます。
これも厳しい野生の掟です。
危険な森を通り抜けゾウたちは再び目的地に向かって歩きだしました。
記憶を頼りに水と草を求め旅を続けるゾウ。
その中間地点ともいえる場所が僕がいるチョベ国立公園だ。
木立を通り過ぎた先に川が見える。
チョベ川だ。
乾季の真っただ中でも水をたたえるこの辺りでは数少ない川だ。
ゾウたちが次々にやって来た。
最初にたどりついたのはやはりオスたち。
時間を気にする事なく思う存分水浴びを楽しむ。
長い旅路で積もり積もった汚れを洗い流す。
水の中では体の重さから解放され気持ちよさそうだ。
鼻だけ出してまるでシュノーケリング。
ゾウは一日160リットルもの水を飲む。
しかしこれだけあれば足りない事はないだろう。
そしてついに赤ちゃんと家族が到着した。
乾燥の季節にあっても豊かな水をたたえる。
親子にとっては夢のような場所だ。
赤ちゃんも自分の鼻を使って水を飲もうとしている。
川の恵みは水だけにとどまらない。
川は増水すると周りの草原にまであふれだす。
水が引いたあとにはビタミンたっぷりの草が芽吹く。
母親のお乳しか飲めなかった赤ちゃんでも簡単にかめる軟らかい草だ。
家族はしばらくの間川べりにとどまり至福のひとときを堪能する。
しかしそれは旅を続けるゾウたちにとってはつかの間の喜びでしかない。
このあと最大の難所が彼らを待ち受けているのだ。
僕はこの日チョベ川をボートで探索してみる事にした。
川幅は200メートル近くある。
上流へ向かったその時想像を超える光景が飛び込んできた。
川の深さは5メートルを超える。
ゾウといえども足は届かない。
見れるとは思わなかったな〜。
すごい。
群れの中には子どももいた。
やっぱ生き物の…。
450キロを旅するというゾウ。
頭では理解していたつもりだったが僕はその過酷さを改めて思い知らされた。
目的地にたどりつくには広大な川を渡らなければならないのだ。
いや〜…。
ゾウは生きるために毎日膨大な量の草を食べなければならない。
たくさんの群れが1か所に長く滞在するとあっという間に草を食べ尽くしてしまう。
この地にとどまり続ける事は許されないのだ。
赤ちゃんゾウは家族に助けられながらなんとか川を渡りきった。
全員無事に対岸へ渡る事ができた。
しかしゾウたちを待ち受ける障壁は川だけではない。
僕が車で移動していた時の事だ。
なんと舗装道路を横断するゾウと遭遇。
激しく行き交う車。
その隣でゾウが草をはんでいる。
人が後から造った道路がゾウの旅の行く手を遮っていた。
ゾウたちの歴史をうかがい知る場所がある。
スコットさんこれって…親から子へゾウは何世代にもわたって同じ道を使う。
記憶に刻み込まれた道なのだ。
夜。
若いオスが線路の脇を歩いている。
ゾウが世代を超えて使ってきた道。
そこはいつしか鉄道が敷かれ人の集落となっていた。
・
(汽笛)ゾウを追い払おうと人が声を上げる。
怖い思いをしているのは人だろうかそれともゾウだろうか。
オスが突然走りだした。
(鳴き声)仲間の声が聞こえたようだ。
こちらは群れの中の大きなオスだ。
悠然と道路を歩いている。
お目当てがあるようだ。
何か食べ始めた。
ゾウの目的は公園に植えられたマンゴーだった。
代々受け継がれてきたゾウの道。
しかしその道は時代とともに変わりつつある。
こちらは赤ちゃんとその母親。
危険な町なかを避け長い距離を歩き続けてきました。
疲れきった赤ちゃんの前に不思議な姿の動物が現れました。
ウロコで覆われた動物センザンコウです。
こちらはネコ科のカラカル。
カラカルは鎧をまとったこの動物に襲いかかっても無駄だと知っているようです。
センザンコウはウロコを持った珍しい哺乳類です。
突然ボールのような姿になりました。
センザンコウは危険を感じると独特の姿勢で身を守ります。
翌日疲れ果てた赤ちゃんが眠りについていました。
母親もつかの間の居眠り。
大人たちは眠る時もあまり横になる事はありません。
赤ちゃんはよほど疲れているのでしょう。
灼熱の中家族は僅かな木陰を見つけて体を休めます。
しかしここにずっととどまる訳にはいきません。
お姉さんが足や鼻で赤ちゃんを揺すって起こそうとしています。
赤ちゃんはまだまだ眠そう。
きっとおなかもペコペコのはずです。
歩きだす前に母親は赤ちゃんにお乳を与えます。
厳しい乾燥が続く中母乳の出も悪くなっているに違いありません。
今この家族が頼りにしているのは秘密の水場。
リーダーの記憶に刻み込まれた特別な場所です。
地平線に木々が見えてきました。
とっておきの川が流れる希望に満ちた林です。
ところが家族たちを待ち受けていたのは非情な現実でした。
(鳥の鳴き声)林の中へたどりついても聞こえてくるのは鳥のさえずりだけ。
何かが違います。
そう川の流れる音がしないのです。
川は完全に干上がっていました。
目につくのは乾いた砂や岩ばかり。
リーダーの足が止まりました。
地下を流れる水の音やにおいがしないか感覚を研ぎ澄ませます。
赤ちゃんはというと久しぶりの食事に夢中。
自分たちの置かれた状況が分かっていません。
事態は深刻です。
このままでは家族の命が危険です。
更に歩みを進めていくとかすかな手がかりを見つけました。
小さな穴です。
ほかのゾウが掘ったのかもしれません。
水です!穴の底に水が残っているようです。
リーダーが急いで穴を掘り始めます。
予想は的中。
僅かながら泥水が染み出してきました。
今度はリーダーに代わって娘が地面を更に深く掘っていきます。
きれいな水が出てきたようです。
娘が早速一飲み。
ようやく喉の渇きを潤す事ができると思ったその時。
(鳴き声)リーダーの叱責が飛んできました。
(鳴き声)どうやらきれいな水を飲むのは幼い子どもが最初というルールだったようです。
リーダーへの服従は絶対です。
そこに家族全員の命が懸かっているのです。
なけなしの水を飲む事ができた家族。
でも赤ちゃんの様子が少し変です。
母親のおなかの下を行ったり来たり。
どうやらお乳をねだっても出ないようなのです。
とうとう諦めて赤ちゃんは横になってしまいました。
そばでは母親がすっかり疲れ果て娘に寄りかかっています。
体力の消耗が進むゾウたち。
旅を続けるため涼しい夜の訪れをじっと待ちます。
それから2か月が過ぎました。
乾き切った空気の中でハゲワシたちが円を描いて飛んでいます。
鳥たちが見つけたのはゾウの死骸。
群れからはぐれ力尽きたのでしょう。
乾季の真っただ中ライオンなど肉食動物たちも渇きと飢えに苦しんでいます。
赤ちゃんゾウです。
体は少し痩せ細ったようですが足取りは確かです。
ようやく待望の水場にたどりつきました。
皆駆け足で近寄ります。
今回の水場は草原に湧き出した小さな泉です。
赤ちゃんも母親に続いて駆け寄ります。
これでたっぷりと水を飲む事ができる。
そう思ったやさき…。
(鳴き声)ライオンがリーダーの娘の1頭に襲いかかりました。
(ライオンの鳴き声)
(ゾウの鳴き声)若いメスがおびえています。
攻撃すべきか逃げるべきか?リーダーは娘を助ける術などないという事実を受け入れるしかありませんでした。
ここに長くとどまる訳にはいきません。
家族にとってこの水場は永遠に忘れる事ができない悲しみの地となってしまいました。
家族の犠牲という重い現実を受け止めながら干ばつによって枯れた森を進みます。
子どもたちも姉の死におびえている様子です。
それでもまだ続く旅路を耐え抜かなくてはなりません。
ゾウたちの450キロにも及ぶ長い旅。
途中で力尽きてしまうものも少なくない。
肉食獣たちがその機会をうかがう。
ゾウの亡骸に近寄ってきたのはハイエナだ。
ゾウの一家は遠巻きにして様子を見る。
子どもを連れた家族はハイエナが陣取る水場には簡単には近づけない。
ハイエナも邪魔者が近づかないよう周囲を見張っている。
ハイエナにとっても貴重な獲物なのだ。
そこに大きなオスがやって来た。
オスも異様な状況に気付いている様子だ。
近づきながら鼻と足で辺りの様子を詳しく探っていく。
(ゾウの鳴き声)ハイエナもオスを警戒し始めた。
オスがその気になればハイエナなど蹴散らす事は簡単だ。
それでも暗闇のせいか今日は慎重だ。
ハイエナの注意がそれた隙をついてメスの家族が水場へやって来た。
しかし…。
(鳴き声)リーダーが大きな声を出した。
(ゾウの鳴き声)仲間の亡骸を前に水を飲む事なくその場を去っていった。
常に死と隣り合わせのゾウの旅。
僕は忘れられない光景に出会った。
無数の鳥が群がっている。
ハゲワシだ。
鳥たちがつついているのはゾウの亡骸。
生き物が生き物を食べる。
そこに僕はある種の残酷さを感じていた。
でもこの光景に単純な感情を超えた何か特別なものを見た気がした。
命の意味とでも言ったらいいだろうか…。
こうしてまた一日が終わりを告げる。
旅を始めて4か月。
家族はいよいよ南東部にある最終の目的地を目指します。
そこは厳しい渇きから解放される雨の降る大地です。
ハイエナに邪魔されほとんど水を飲めなかった家族。
木陰で休息します。
赤ちゃんはまだ甘えたい盛り。
でもあまりの暑さと疲労で母親もお姉さんも相手をしてくれません。
みんな衰弱しきっています。
夜涼しくなって旅を再開できるようになるまで体を休ませます。
元気そうな赤ちゃんを疲れ切ったお姉さんたちが見つめています。
母親のお乳を僅かにもらっていた赤ちゃんだけは遊ぶ力が残っているようです。
そんなゾウの家族の前に変化は突然訪れました。
ゾウたちのもとにかすかなにおいが漂ってきました。
(雷鳴)赤ちゃんはまだ気付いていないかもしれません。
でもリーダーには分かっていました。
雨の大地にたどりついたのです。
全ての家族が到着しました。
赤ちゃんもおなかいっぱい水を飲みます。
ゾウたちは喜びを静かにかみしめているようです。
450キロにも及ぶゾウの大移動。
その過酷な旅がついに終わりを告げました。
(雷鳴)
(雨の音)リーダーの記憶と決断が勝利を収めたのです。
赤ちゃんは大喜びで何時間も泥の中で転げ回ります。
赤ちゃんだけではありません。
大人たちもこの喜びに身を委ねています。
末っ子で甘えん坊だった赤ちゃんも今はたくましく見えます。
母親は赤ちゃんを懸命に守り目的の地へと無事に導く事ができたのです。
ゾウたちは毎年死と隣り合わせの運命にさらされます。
その運命に立ち向かい一族を導いてきたのはリーダーの脳に刻まれた確かな記憶でした。
ボツワナの大地で繰り広げられる命のドラマ。
母親が必死で守ろうと闘ってきたもの。
それはゾウたちの未来なのかもしれません。
僕が出会ったゾウたちも無事にたどりつく事ができただろうか?記憶を頼りに繰り返されていくゾウの旅。
その記憶は子どもに受け継がれ未来に向けた旅はこれからも続いていく。
2016/01/11(月) 10:55〜11:54
NHK総合1・神戸
ゾウ家族 命をつなぐ旅[字][再]
鈴木亮平がアフリカの野生の王国ボツワナを訪ね、ゾウ家族の旅の様子をリポート。途中、親子をライオンやハイエナが襲う。赤ちゃんは無事に生き延びることができるのか?
詳細情報
番組内容
俳優の鈴木亮平がアフリカの野生の王国ボツワナを訪ね、ゾウ家族の様子をリポートする。ゾウたちは、毎年乾季になると新鮮な草や水を求め長い旅に出る。生まれたばかりの赤ちゃんとて例外ではない。旅の途中、親子をライオンやハイエナが襲う。常に死と隣り合わせの過酷な旅、果たして赤ちゃんは天敵や干ばつの脅威を生き延びることができるのか?そこには堅い絆で結ばれた家族愛、赤ちゃんを必死に守ろうとする母の愛があった。
出演者
【出演】鈴木亮平
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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