新・牡丹と薔薇 #27【指に食い込むあの指輪】 2016.01.11


(清塚)これを機によろしくお願いします。
フー子さん。
(富貴子)何よ?改まって。
(清塚)俺何となく地獄に仏感がある。
フー子さんと会って。
私もよ。
ほっとするわ。
あなたと一緒だと。
(美輪子)ふん!
(美輪子)何さ。
こんなもの!こんなものこんなもの!こんなもの!これが私の取って置きのプレゼントよ。
お姉ちゃま。
(綱輝)富貴子さん?富貴子っていうけど彼女実はぼたんなのよ。
(綱輝)ぼたん!?そうよ。
あなたが婚約していたぼたんなの。
死んではいなかったのよ。
生きていたの。
(綱輝)えっ?えっ?違うだろ?本当によみの国からぼたんが帰ってきて綱輝さんと一緒に座ってるとしか思えない。
ねえ?2人の再会を祝福して乾杯しましょうよ。
(崑一)ああ。
そうだそうだ。
はい。
はい。
乾杯。
乾杯。
(眞澄)乾杯。
あなたたちうまくいくわよ。
ぼたん。
でも亡くなった婚約者とダブルイメージで見られても困るわ私。
ダブルイメージなんかじゃないわよ。
お姉ちゃま自身がぼたんなのよ。
(メールの着信音)誰なの?ちょっと。
言っときますけどお姉ちゃまの恋人は綱輝さんだけよ。
他の人に目移りしちゃ絶対駄目よ。
私が許さないんだから。
(萌子)いいわねぇ。
牡丹の着物に薔薇の着物。
ああ。
こんなあでやかな大振り袖を着られるなんてあの子たちは何て幸せなのかしら。
(眞澄)以前にも同じ柄の着物があったのよ。
2人のために買い揃えたんだけど火事で焼けてしまって。
(萌子)そうね。
ぜいたくな着物も衣装もたくさんあったのに何もかも全て灰になっちゃって。
(眞澄)お正月用の着物がないんじゃかわいそうだから思い切って新調したの。
(萌子)ねえ。
高かったでしょう?染めが凝ってるもの。
これを着せたらあの子たち映えるわよ。
(眞澄)ええ。
元旦から着せてやりたかったんだけど私の方が忙しくって。
以前だったらぼたんが美輪子の着付けも全部してくれたんだけど。
(萌子)ああ。
そうね。
あっ。
(萌子)ねえ。
どうなの?富貴子は。
このうちにちゃんとなじんでるの?
(眞澄)ええ。
よく気が付いてのみ込みは早いし。
私が言う前にあれこれと手を貸してくれるしホントに助かるの。
(萌子)うん。
(眞澄)どういう親に育てられたのか分からないけど申し訳ないくらい。
でも着物の着付けができないっていうのはそういう環境だったのねぇ。
お花やお茶の習い事をしていれば自然と和服になじむようになるんだけど。
アメリカ帰りなんだもの。
しかたがないわよ。
わが子ながら自立心が旺盛で頼もしいわ。
あら?以前は実感がないとか言ってあんなにクールだったのに。
だって母親ですもの。
私は。
変わったもんだ。
ねえ。
行きましょうよ。
年増女たちが私たちに着物を着せたくてうずうずしてるんだから。
そうね。
あっ。
先行ってて。
私すぐ行くから。
じゃあ。
(操作音)あっ。
もしもし。
美輪子です。
これから私たち着物に着替えて出ますけど…。
綱輝さん。
あれを忘れずにね。
あれね。
持ってきてるよ。
美輪ちゃんが言うから。
じゃあ後でね。
今日のお姉ちゃまは一段と奇麗よ。
楽しみにしてて。

(世奈子)あら。
それ。
(綱輝)ええ。
(世奈子)ぼたんが最期の最期まで指にはめていた。
(綱輝)そうです。
僕が贈った婚約指輪ですよ。
(世奈子)どうしてそんなものを?
(綱輝)ずっとたんすの奥にしまいこんであったんですがね。
(世奈子)ああ…。
(世奈子)懐かしいわねぇ。
ああ。
火事でこんなにゆがんで。
金属もこんなに焼けただれて。
かわいそうに。
熱かったでしょうね。
ぼたん。
綱輝さん。
いいでしょう?これ私がもらっても。
いや。
申し訳ないですけど僕にとっちゃ唯一のぼたんとの思い出の品なんだから。
(世奈子)私は母親なのにぼたんの遺品は何一つないの。
(綱輝)でもぼたんに似た人が現れたじゃないですか。
あんな偽ぼたん。
冗談じゃないわ。
その偽ぼたんと今日僕は会うんですよ。
えっ?デートなの?
(綱輝)まあね。
やめなさいよ。
あなた。
ぼたんの思い出を汚すようなことはしないでよ。
ぼたんとは似ても似つかないあんな女と。
(萌子)ああ。
ホントにいい景色。
姉妹揃って絵の中から抜け出してきたようね。
2人とも着物姿がよく板について。
お母さんの着付けがいいから。
今日はローズカフェの店開きなのね?ええ。
けじめですから一応従業員さんたちへの挨拶もして。
それはお姉ちゃまにお任せね。
じゃあいってきます。
いってらっしゃい。
気を付けてね。
何だかため息が出るわねぇ。
あの子たち今が一番いいときねぇ。
もう少しそっちへ引っ込めましょうよ。
お客さまの通路に出過ぎてるわ。
(従業員たち)はい。
せーの。
(従業員)こうですか?そう。
そこでいいわ。
いらっしゃいませ。
(綱輝)いやぁ。
先日はどうも失礼しました。
どうも…。
美輪ちゃんさっきまでいたんですけどね。
どこへ行ったのかしら?
(綱輝)いや。
あなたが今日はこっちに来てるって聞いたものだから。
すごいですね。
牡丹の模様の和服。
目が覚めるようだ。
じゃあこちらへどうぞ。
何か召し上がります?
(綱輝)ああ。
そうだな…。
ローズワインなんかいかがかしら?ほのかに甘くって昼間召し上がるのにはちょうどよろしいわ。
じゃあそれを。
こちらにローズワインをお持ちして。
(従業員)はい。
富貴子さん。
あなたも座ってください。
勤務中だから駄目ですか?いいんですよ別に。
(綱輝)年末から年明けまでずっとあなたのこと以外は何も考えられなかった。
僕にしちゃ珍しく家に閉じこもったままで一人で心をときめかせていました。
あのう。
私そういうお話はあまり慣れてないんです。
申し訳ないんですけど。
いや。
別に亡くなったぼたんとあなたをダブらせて言ってるわけじゃないんですよ。
だったらいいんですけど。
私その人のことはあんまりよく知らないですし。
ぼたんとは結婚式の日取りまで決めていて。
そうなんですってね。
お亡くなりになってずいぶんショックだったでしょうけど私は私ですから。
分かってますよそんなこと。
だからドキッとするんじゃないですか。
「だから」?どうして?
(綱輝)容姿は似ていてもあなたは核心に触れることをずばっと言うからね。
ああ。
ぼたんとは違うんだ。
全然違うんだと思うとかえってスリリングで。
何でしょう?それっておかしいわ。
始末が悪いわね。
ぼたんはとても臆病だったんですよ。
でもあなたはいざとなれば度胸があるようだし。
そうやって何かにつけて比較してご覧になるんじゃ私何だか針のむしろだわ。
でも似てるところもないわけじゃない。
どんなところが?それだ。
そういうところ。
えっ?そうやって相手の顔をまともに見て話すところ。
そこがそっくり。
嫌だわ。
話すときにあまり相手を直視しちゃ女の子らしくないって言われていたんです。
猫だってまともに見詰めちゃ目を背けるって。
(綱輝)僕はあなたに見詰められたらうれしいけどな。
困るわ。
変なところが似てるんだわ。
いいじゃないですか。
ぼたんよりあなたの方がリアル感があっていい。

(足音)あら。
美輪ちゃん。
すてきよ。
あなたたち。
どこから見ても恋人同士って感じ。
何バカなこと言ってるの?こちらにお座りなさいよ。
美輪ちゃんも。
でもお邪魔虫になっちゃねぇ。
いいから座って。
ねえ。
綱輝さん。
今日は姉妹揃って着物姿。
目の保養になるでしょ?牡丹模様と薔薇模様。
何て奇麗なんだ。
美輪ちゃん。
私たちも何か頂きましょうよ。
そうね。
同じくローズワインにしない?ええ。
ちょっと。
しょうがないわね。
ねえ。
あれ持ってきたわね?
(綱輝)ああ。
まあ。
ずいぶん奇麗になってるわ。
宝石屋に持っていって磨いてもらったんだけどその焼けただれたところはもう直しようがないらしい。
綱輝さん。
これは私に任せて。
元通りお姉ちゃまの指にはめさしてみせるわ。
うまくいくかな。
ぼたんが身に着けていたものだと分かったら富貴子さん絶対嫌だって言うよ。
大丈夫。
何とかするわよ。

(足音)どうぞ。
お待たせ。
綱輝さんのお代わりの分も。
(綱輝)ああ。
じゃあ何となく乾杯しない?何となくね?
(綱輝)ぜいたくだな。
牡丹と薔薇の姉妹と一緒に味わうローズワインか。
ねえ。
お姉ちゃま。
私こんなものをもらっちゃったんだけど。
彫金をやってる友達が作ったんだけどこれ失敗作なんですって。
へえー。
失敗作?これが?ほら。
金属の形がいびつになってここんところが焼けただれてるでしょう?それにトルコ石は変にすすけてるし。
そう言われればそうね。
でもこれはこれで面白みがあるんじゃない?ちょっとゆがんだところに味があって。
そうかしら?失敗作で売り物にならないから私にくれたのよ。
いいじゃないの。
普段身に着ける分には悪くないわ。
美輪ちゃんに似合ってるんじゃないかしら?嫌だ。
こんな失敗作。
お姉ちゃまにあげる。
だってせっかくもらったんじゃないの。
第一サイズが合わないの。
サイズが?ねっ。
お姉ちゃま。
着けてみて。
あら。
ぴったり。
うわぁ。
ぴったりじゃないの。
そうね…。
すてきよ。
お姉ちゃま。
とっても似合ってる。
ねえ。
綱輝さん。
いいと思わない?すごいな。
まるで富貴子さんのために作られたみたいだ。
何の違和感もなくぴったり収まって。
そうよ。
お姉ちゃま。
ずっと前からその指輪を着けてたみたいよ。
とっても自然な感じよ。
そうかしら?でもこれはあなたのものだから。
あら?嫌だ。
抜けなくなっちゃった。
ほらね。
指輪がお姉ちゃまの指から離れたくないのよ。
どうしよう?ああ。
嫌だ。
駄目だわ。
えい。
ああ。
どうしたのかしら?抜けない。
外れない。
いいじゃないの。
お姉ちゃま。
そのまま着けてれば。
何も無理して外すことなんかないわ。
うっ…。
やっぱりね。
お姉ちゃまはぼたんなのよ。
ぼたん!ぼたん。
(綱輝)ぼたん。
ぼたん。
好きだよ。
愛してる。
うっ…。
(綱輝)怒ってますか?さっきのこと。
私は不意打ちを食らっただけですから。
あなたに対して特別な気持ちは何もないですから。
(綱輝)すいませんでした。
突然込み上げるものがあって。
怒ってないわよ。
ぼたんとキスするくらい普通じゃないの。
婚約者なんだもの。
ならいいけどな。
おいしいわね。
このカクテル。
気を付けてね。
せっかくの晴れ着にお酒が掛かっちゃ大変よ。
ありがとう。
ぼたん。
私たち前にもこうして3人でお酒を飲んだことがあったかしら?
(綱輝)なかったよ。
美輪ちゃんはどっちかっていうと僕に冷淡だったし。
それはねぼたんが綱輝さんを愛してるかどうかずっと曖昧だったからなのよ。
ねえ。
そうでしょう?ぼたん。
今だって猛烈に綱輝さんを愛してるかどうか自信はないでしょう?自信?どうして私にそんなことを聞くの?だってキスされても何だか冷めた顔して。
やっぱりそこがぼたんなのよね。
(綱輝)あのときは拒まれれば拒むほど僕の方では熱くなって。
言っときますけどね綱輝さん。
ぼたんはまだバージンのままよ。
セックスに対してはとても潔癖なんだから。
潔癖?誰のこと言ってるの?ぼたんよ。
あなたよ。
私は別に。
潔癖というほどでもないしバージンでもないわよ。
アメリカ人と結婚もしていたし。
アメリカ人と?そうよ。
背の高いこんなに大きなアメリカ人と。
何ですって?セックスライフもそれなりに楽しんでたわよ。
やめて!よして。
よして。
ひどい!どうしてそんな嘘を言うのよ!嘘?嘘。
嘘よ。
そんな口から出任せばかり。
あんまりだわ。
嘘を言うにも程があるわよ。
ぼたんがそんな見え透いたことを。
見え透いたこと?美輪ちゃんは繊細だからね。
ぼたんが死んだことは思い出したくないんだろう。
(泣き声)ねえ。
美輪ちゃん。
あなたの気持ちも分かるけどしっかりと現実を見なきゃ駄目よ。
私はぼたんじゃないのよ。
富貴子なのよ。
だから富貴子はぼたんじゃないの!その証拠に婚約指輪をしてるじゃないの。
これ?そうよ。
その指輪は綱輝さんからぼたんに贈られた婚約指輪なのよ。
さっきから何度引っ張っても抜けないその指輪。
もうぼたんの体の一部になってるのよ!これが?これが婚約指輪なの?だまして悪かったけど実はそうなんだ。
これが…。
これが?うっ…。
もう何を言っても駄目よ。
覚悟しなさいよ。
ぼたんはぼたんなんだから!昔から私たち幸せだったじゃない。
田園調布のときのように…。
あのときのように幸せになりましょうね?ぼたん。
あのとき?田園調布のとき?でもあの家はもうないのよ?ええ。
惜しいことにパパが売っ払っちゃったけど。
売っ払った?焼けたんでしょう?でも今の家だって楽しいことに変わりはないわ。
ぼたんだって綱輝さんという立派な婚約者がいるんだし結婚に向かって真っすぐに進んでいけばいいわ。
結婚?ああ。
幸せ。
ぼたん大好き。
お姉ちゃま大好き。
まあひどい。
何てことしたの?美輪子は。
だってぼたんが言ってはいけないことを言ったんだもの。
とにかく着物を脱ぎなさい。
すぐにクリーニングに出すわ。
大丈夫かしら?アルコール分が着物に掛かると染料がにじんでしまうことがあるの。
すみません。
あなたが謝ることはないわ。
美輪子が変なんだもの。
美輪ちゃん。
私とぼたんの区別がつかなくなってるの。
そうね。
あなたは居心地が悪いかもしれないけどお姉ちゃまなんだから我慢してやってくれないかしら?でも火事のこともなかったみたいなことを言うんだもの。
信じられないわ。
あの事件のことは全て忘れたいのよ。
ストーカーにぼたんが刺されたことも死体ともども火事で家が焼けたことも。
何もなかったことにして以前のような幸せに戻りたいのよ。
その気持ちは分かるけど…。
あなた。
美輪子の手首の傷痕を見たでしょう?大変だったのよ。
かみそりで手首を切って。
気付くのが少し遅かったら失血死してたわ。
もう二度とあんなまねはさせられない。
お願いだからあの子の言うままにさせてやって。
お母さん。
美輪子の中でぼたんは生きてるのよ。
それがあなたなの。
ねえ。
あの子のイメージのままにしてやってちょうだい。
2016/01/11(月) 13:25〜13:55
関西テレビ1
新・牡丹と薔薇 #27[字][デ]【指に食い込むあの指輪】

美輪子(逢沢りな)は、富貴子(黛英里佳)と綱輝(片岡信和)を付き合わせようと画策するが、渋る富貴子は、綱輝との約束をすっぽかしてしまう。それを知った美輪子は…

詳細情報
番組内容2
すると信じられないことが…。綱輝は感激のあまり我を忘れ富貴子を抱擁し、熱くキスまでしてくる。
 綱輝の予想もつかない行動に戸惑う富貴子だったが、その後の美輪子の発言によって、さらに困惑してしまう。
番組内容
 富貴子(黛英里佳)が美輪子(逢沢りな)たちと暮らして、初めての正月。崑一(岡田浩暉)は、富貴子には牡丹柄の、美輪子には薔薇柄の着物を新調する。美しく着飾った娘たちに眞澄(伊藤かずえ)も満足げだ。美輪子は誕生日のパーティーに続き、富貴子と綱輝(片岡信和)の会う場をセッティングする。
 美輪子と綱輝は協力して、かつてぼたん(黛英里佳・一人二役)に贈った婚約指輪を富貴子の指にはめさせることに成功。
出演者
吉田富貴子:黛英里佳 
小日向美輪子:逢沢りな 
牧原世奈子:田中美奈子 
小日向崑一:岡田浩暉 
浅黄萌子:山口いづみ 
瀬尾綱輝:片岡信和 
 ・ 
小日向眞澄:伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠(東海テレビ) 
【原作・脚本】
中島丈博 
【演出】
藤木靖之 
【音楽】
中川幸太郎 
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」(ユニバーサルミュージック) 
【プロデュース】
西本淳一(東海テレビ) 
大久保直実(ビデオフォーカス) 
坪ノ内俊也(ビデオフォーカス) 
【制作著作】
ビデオフォーカス 
【制作】
東海テレビ
ご案内
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hirudora 
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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