(杉下右京)亀山君!
(亀山薫)はい。
あっ…!警察です。
ご安心なさい。
もう大丈夫大丈夫だから。
大丈夫だよ。
よいしょ…。
大丈夫ですからね今ほどきますからね。
大丈夫ですか?どっかケガしてないですか?
(悲鳴)亀山君!はい!よぉーし!鬼藤!え…?あっ!
(笑い声)お〜いしょうもねぇ事やってんじゃねぇよ!もう逃げられねぇぞ!
(笑い声)笑ってますよ。
(鬼藤清六)はーっ!
(一ツ橋明男)あそこだ!
(一ツ橋)うわっ…くそっ!ケガをしないうちに下りてきませんか?鬼藤さん。
早く下りてこいよ!もう逃げ場はねぇぞ!まだ大空がある!何?空だよ。
追ってこれるかな?空飛ぶみたいですね。
下りてこねぇならこっちから行くぞこの野郎!
(一ツ橋)ご苦労さまです。
おう。
四係です。
(轟木一郎太)亀山ー!あー轟木さん。
係長。
おい挨拶はまた今度な。
おい何やってんだ!?そんなとこで。
下りてこーい!ダメですよ。
何が?これから空飛ぶらしいすから。
一ツ橋上れお前。
ほらとっ捕まえてこい!はい!ほっときゃ下りてきますよもー。
早く!
(鬼藤)わかった。
下りる…下りるよー降参だ。
ここはお任せして彼女のほう行きましょう。
はい。
お願いします。
え?おう。
おら世話やかせやがって。
11時3分逮捕です!おう。
よし来い!
(一ツ橋)この野郎!何飲んでんだ!?
(鬼藤)いたっ…あーっ!ああ…!なんだこれ!?え?「KCN」青酸カリか…。
自殺しようとしてたのか…。
物騒なもん持ってんなお前。
連れてけ。
(山田亨)はい。
あーあ…。
あわれだよなおめぇみたいなじじいにおもちゃにされてあげくにこのザマだ。
おもちゃになどしとらん。
ちゃんと愛し合った。
その結果だな。
君…殺したいほど愛した事があるかね?なんだそれ…御託ならべてねぇで見ろよこら!こんな目に遭わしといて愛もへったくれもあるか!ほら見ろこらぁ!代わってくれないかお若いの。
あ…におうか?かなり…。
悪い。
ゆうべのニンニクだ。
ううっ…!
(轟木)丸ごと焼いて食ったんだ。
これがホクホクしてうまくて…。
うーっ…!やかましい!頼む…吐きそうだ!ちょっと空気入れ替えましょうか。
山田おいいい!口臭だよ!じゃ吐けよこら。
吐け!吐けこら!あ?洗いざらい吐けよこら!まだ余罪あんだろ!?何人やったんだ?おい。
どこ埋めたんだ!?こら!
(鬼藤)「口を…近づけるな…」なかなかユニークな方ですね。
ああ見えて結構優秀な人なんですけどね。
いかんせんフッ…品がない。
「おい今俺の悪口言ったろ?」
(山田)「いえとんでもない」
(一ツ橋)じゃああとはよろしく。
(泰良哲郎)はい。
じゃ…。
異動またダメでした。
ああそうか…残念だったなぁ。
まあ頑張ってりゃあそのうちな…。
頑張ります。
うん。
おい一服しよう。
はい。
じゃ自分たちはこれで…。
うっす。
お疲れさまです。
先輩。
ん?1本もらっていいですか?
(一ツ橋)なんだよないのかよ。
(山田)ちょっと切らしちゃってて…。
あれ?
(轟木)あーいけねぇ…。
(河野誠吾)係長禁煙ですよ。
知ってるよ。
係長。
堅い事言うなよお前…。
そうじゃなくて…。
ん?監察係がお呼びです。
…監察?韮崎さんって方が手が空いたら来てほしいって。
韮崎さん…なんだって?さあ行ってみればわかるんじゃないですか。
…はい?捕まるような事になったら死のうと思ってたんだがやはりダメだな。
人は殺せても自分は簡単には殺せんよ。
フフフッ…。
青酸カリが入ってる。
処分してくれたまえ。
さっ。
うん。
轟木は?
(河野)ちょっと監察のほうに…。
監察に…野郎なんかしたの?さあ。
しょうがねぇな…待つか。
今日はもう戻らないとおっしゃってました。
なんで?そのまま病院に行くからって。
どっか悪いの?糖尿みたいですよ。
糖尿?贅沢な病気にかかってやがんな。
じゃ出直すか…。
すいません。
本職の俺よりいいやつ持ってんだよなあいつ。
(轟木)トランペット…ですか。
苦情が出てます。
(轟木)うるさいってですか?一度や二度じゃありません。
(轟木)迷惑にならないように吹いてるつもりなんですけどね。
あ…においます?あっすいません。
ゆうべニンニク食っちゃって…。
今はトランペットの話です。
(轟木)あ…。
警部がどんなつもりで吹こうと実際に迷惑になってるんです。
だからうちに苦情が来てるんです。
はい…気をつけます。
よろしくどうぞ。
はい。
しかし監察も大変ですよね。
こんな苦情まで受け付けるんですか。
受け付けたくて受け付けてるわけじゃありません!無視出来ないほど苦情が来てるんですだからです。
ああ…ごもっともでございます。
そいじゃ私…そろそろよろしいでしょうか?結構です。
あ…すいません。
あー!しまった。
申し訳ないんですけどもこれ鑑識課に持っていってもらえませんか?はい?あ…いや今日とっ捕まえた殺人犯が自殺用に所持してたやつなんですけどもそれうっかりポケットいれたまんま…。
自殺って…。
青酸カリです。
あーこういううっかりはもう二度とやりませんから。
もう監察からもよく叱っといたって事で…。
ああすいません。
すいませんもう予約の時間がないんで…。
すいませんすいません。
(ひばり)ちょっと。
すいません。
警部!
(米沢守)確かに頂戴しました。
よろしくどうぞ。
しかし天下の監察官をパシリに使うとは轟木警部もいい根性してますなぁ。
いつかクビにしてやりますよ。
ハハハッ…監察官が言うと迫力がありますな。
(宮部たまき)そろそろですねえ。
ええ定刻に着いてればそろそろなんですけどね…。
何がですか?あっ…。
(たまき)おかえりなさい美和子さん。
(奥寺美和子)ただいま戻りました。
おかえりなさい。
ただいま〜。
おう。
おう。
あーくたびれた〜。
成田まで迎えに行けなくて悪かったな。
ああ…。
とりあえずビール?あ…お願いします。
元気そうだな。
薫ちゃんも。
お腹は?うーんあんまり…。
中途半端に機内食が出たもんで。
じゃあ何か軽いの作りますね。
すいません。
1週間しか滞在出来ないとお聞きしましたが…。
そうなんですよ。
ちょっとした里帰り気分ですね。
あっ!どうしました?どうしました?婚姻届。
ああ…。
フフッ…捨てちまったか?まさか…書いたよ。
書いた?ほんと?でも…。
早く早く…早く。
まだ半分だけなんだけどね。
半分?
(美和子)もう一歩踏ん切りがつかなくて…。
ごめんね。
まあ…名字だけでも書いたって事はまんざらその気がないわけじゃないって事だよな。
上出来上出来!半分。
はい。
半分。
細い字で…ハハハッ。
すいません。
「奥寺…」ほら懐かしいだ…。
あれ?あーつけっぱなし。
いやおかしいなえーっと…。
あ?あらーなあに?これ…。
えっ?あ…いや知らねぇよなんだこれ?いや…。
(磯村茜)おかえりー!姉ちゃん!?
(茜)そっお姉ちゃんだこってさ。
覚えててくって何よりだて〜。
久しぶりだね〜美和子ちゃん。
お久しぶりですお姉さん。
フフフッ。
…え?姉ちゃん来るなら来るで連絡ぐらいしてくれよ。
元気にしてた?見てのとおりだよ。
見てわかんないから訊いてんでしょ。
質問には的確に答えなさいよ。
おかげさまで元気です。
そうそれは何よりだわ。
あっ旅行?はいちょっとエジプトに…。
あらまバカ遠いとこへ…。
カイロ支局に転勤中なの。
ああ…お土産これ美味しいわよ。
ああどうも。
笹だんごねフフッ…。
で…どうやって入ったの?管理人さんに開けてもらったわよ「姉です」って言って。
信じたんだか?信じさせたんだて。
な…なんなんだ急にどうしたの?ん?え?離婚しようかと思って…。
(美和子・亀山)離婚!?うん…。
まあ流行に乗っかるつもりはないけど熟年離婚。
とりあえず飛び出してきたハハッ…。
それよりあんたたちどうなってんのよ?いい加減一緒になんないの?まあ…なりつつあるけどな?うんまあ。
ふーんそう。
長いもんね2人も。
でもね恋愛と結婚は別物だよ。
恋愛時代にどれだけ長い事うまい事いってたからって結婚してうまくいくとは限らない。
なんでそういう事言うのかな姉ちゃんは!そうなんだて。
なんだやもう…。
おっと…失礼。
(ひばり)あ…ごめんなさい。
あ…お久しぶりですね。
あ…お元気でした?ええ。
あ…係長ですか?あ…いらっしゃらないみたいですね。
ええ今日はなんだか病院に行くとかで早く帰りました。
病院?糖尿です。
えっ?糖尿ですよ。
ご存じでした?いいえ。
死んじまえバカ野郎…。
(轟木)おはよう。
(課員たち)おはようございます。
おうおはよう。
あ…おはようございます。
歳とると朝早くなっちゃっていけねぇよなハハッ…。
係長。
え?いいですか?これ。
何?これ…自分のですから。
あっ…悪い悪いこれお前のかハッごめんごめん。
そういう目で見るなよお前だってさタバコくれって言ったらどうぞって箱ごとよこすからさうっかりポケット入れちゃったんじゃないかよ。
大体お前さ日をまたいで言うなよこういう事を。
その場で返せって言ったら俺だって返してたんだよ。
あんまりにも自然な動作でポケットしまわれるんであっけにとられて言えなかったんですよ。
いや悪かった悪かった…ああ!これ食うか?食え食え。
(轟木)お詫びなっ。
甘いもん苦手なんで…。
そうかい?
(轟木)あれ?ん…?あれ…?
(トランペットの演奏)綿貫どういうつもりなんだよ?これよ…。
お前が持ってても宝の持ち腐れだろ。
交換しようぜ。
やなこった返せよ俺んだろ。
返してほしけりゃ返すもん返せ。
なんだよ…なんだよ…。
ほら…!はいはい…。
しっかりしてんなお前。
(山田)おはようございます。
(芹沢慶ニ)おはよう。
(伊丹憲一)おはよう。
どうだ?刑事は。
もう慣れたか?いえまだ全然です。
フフンそうかハハッ。
いたっ…。
偉そうに。
冗談ですよもう…。
何様?芹沢様。
くっ!
(トランペットの演奏)あっ…!ああ…!
(うめき声)
(一同)警部!うっ…!
(うめき声)おいどうした!?おお…おい!どうした!?大丈夫か!?しっかりしろ!おい!どうしたんだよ?おい。
おい山田!おい救急車呼べ!救急車!おいどうしたんだ!?…おい!わかりませんよ!右京さん。
おはようございます。
おはようございます。
救急車が停まってたけどなんかあったんですか?いや知らない。
6階と20階で2人倒れたらしいんですよ。
2人!?ええ急に倒れたらしいんですよ。
なんかあったんですかね?そのようですね。
聞いたか?救急隊が20階に上がって…。
誰か倒れたらしいな。
20階の音楽室らしいです。
急病人ですか?ええ音楽室で倒れて亡くなったらしいです。
(伊丹)アーモンド…でしょう?はいかすかですが…。
この肌の色も心臓麻痺とかじゃないですよね?苦しみ方も尋常じゃなかったですもんね。
青酸中毒でしょうかね?ええその疑いが…。
肌の色変だけならば一酸化炭素中毒も疑えますが同時にアーモンド臭があるとすれば青酸中毒を疑うべきでしょうね。
おはようございます。
おはようございます。
相変わらずの野次馬根性…もとい好奇心には感服しますねえ。
恐れ入ります。
失礼。
(携帯電話の振動音)はい。
「あっ俺です」わかってます。
「ちょっと様子が変ですよ」はい?救急隊員が到着した時にはもう心肺停止状態。
瞳孔も開いちゃってて蘇生の見込みなかったんですけどね。
単なる病死じゃないですねこれ。
皮膚は赤くなってるし救急隊員がアーモンド臭を確認してますから。
なるほど。
そちらもですか。
えっそちらもですか?のちほど。
「そちらもですか」って…?20階の音楽室でも同じ症状で死人が出たそうです。
えっ…?ちょっとどけ。
(轟木)あっちょっと失礼。
ちょっと失礼。
ごめんごめん…ちょっとごめんなさい。
あっ!?え…あいやどうかしました?いえ…なんでも…。
あ…。
何事ですか?えああいや…。
どうやら青酸中毒みたいなんですよ。
うちの山田と音楽隊の人間が…。
お願いします。
はい。
(安田徹)テロかもしれませんよ。
(ざわめき)
(安田)同時に2名も青酸中毒死。
無差別テロ十分に考えられます。
(内村警視長)まさか…。
そう言い切れますか?ん?大至急出入りを…規制しろ!
(部下たち)はい!いずれにせよ内部犯の可能性が濃厚ですな。
職員の中にテロリストがいるという事ですか?
(安田)警察官の中にも妙な考えを持った人間がいますからね。
全職員の思想信条を正確に把握しているわけではない。
カルトの信者が紛れ込んでいないとも限らない。
鑑識の結果はいつ出ますか?ああ…ただ今活動中で。
心配せずとも…終わりしだい出ますよ。
(栗原)なんか死人が出たってさ。
(泰良)えっ?青酸中毒らしい。
青酸?
(咳き込み)第1班トイレ!第2班…。
(ざわめき)失礼します!2班はBブロック!
(サイレン)
(ざわめき)
(小野田公顕)ほうすごいな。
しばらく出られません。
戻ってください。
いや戻れって言われてもね…用事済んじゃったし困りましたねえ。
どちらに用事でしたか?あのね…。
警視総監とねちょっと無駄話を。
失礼ですがどちら様ですか?
(小野田)はい。
大変ご無礼いたしました。
どうぞ。
ちょっと…。
それ…ダメなんじゃない?は?例外作ったら規制にならないでしょ。
頑張って足止めしてください。
はい。
(小野田)ちょっと向こうで待ってて…。
まだ詳細は不明ですが漏れ聞こえた情報によりますと警視庁舎内で職員2名が死亡したもようです。
両名とも青酸中毒の疑いがあり殺人事件ではないかと見られています。
(角田六郎)おい!大変な事になったな…。
ほんと…大変な事になっちゃったね。
あ…おお…お疲れさまです。
失礼しました。
あちょっと。
逃げなくったっていいじゃない。
暇だったら話し相手になってくれないかしら?いやあの…話し相手と言われましても…。
コーヒー飲む?いれようか?いやいやいや滅相もない!自分でいれます。
山田刑事のほうはタバコのフィルターから。
(米沢)そして綿貫警部のほうはトランペットのマウスピースから青酸反応が出ました。
ちょっと拝見。
拝見。
(内村)殺しの線が濃厚である以上うちが捜査するのが当然でしょう。
しかし万が一そちらにホシが潜んでいた場合適正な捜査は出来ないと思いますが。
それはお互い様でしょう。
まなんにせよ捜査はプロの捜査員がやらなければならないでしょうな。
こうなると鑑識も信用出来ないという事になりませんか?疑いだすときりがない。
いっその事所轄の捜査員を集めましょうか。
バカ者!いや…それは一案ではありませんか。
(ノック)失礼します!地検の捜査員が正面玄関でわめいてますが。
地検などに用はない。
追い返せ。
無理矢理侵入しようとしたら構わん逮捕しろ!
(押し問答する声)
(山田)係長これ自分のですから。
綿貫どういうつもりなんだよこれよぉ。
お前が持ってても宝の持ち腐れだろ?交換しようぜ。
(角田)これでどうだ?
(小野田)四三。
あれっ?ええっ!また負けた…。
手加減しないでね。
立場を越えた勝負なんだから。
もちろんです!私全力を尽くしております!あお邪魔してます。
ああ…。
珍しい方がいらっしゃいますね。
もう何やってたんだよ。
ええ?お前ら戻ってこないからさこっちは10連敗だよ。
どうなさったんですか?軟禁状態ですよ。
どう?解決しそう?早いとこケリつけてちょうだいね。
ケリつけろったって俺らにはなんの権限もありませんから。
ねっ。
ええ。
そんなもんなくったって勝手に動くんでしょ?もうあちこち嗅ぎ回ってきたんじゃないの?ヘヘッちょこっとだけ。
まこう見えても忙しいんですから早期解決を願ってます。
とてもお忙しいようには見えませんがねぇ。
いやー…官房長お強いぞ。
あなたが弱すぎるんですよ。
はあ…。
俺たち残らず被疑者ってか。
上等だよ。
(三浦信輔)やってられねぇなまったく。
異常事態ですから仕方ありませんよ。
ケッ。
わけ知り顔で落ち着き払ってんじゃねぇよ。
若者ならもっと怒れよ。
すみません監察係の韮崎です。
監察?これはこれはむさ苦しいとこにようこそ。
捜査は進んでますか?ハッ…ご覧のとおりですよ。
やけに暇そうですね。
(芹沢)待機中ですよ。
内部犯行の可能性が高いのでまだ捜査態勢が整わないんです。
何しろ前例がないもんでね。
上も頭抱えてるんじゃないですか。
しかしどうして監察が捜査に首突っ込むんでしょうかねぇ?今こちらがおっしゃったように犯人は警察官かもしれません。
そうなると釈明会見はうちがします。
だから正確な情報がほしいんです。
いいですか?あなたたちが拳銃をぶっぱなした時いつだって適正使用だった問題はなかったって世間に言ってあげてるの私たちですから。
おっしゃるとおり。
まお茶でもいれましょうかね。
結構です。
こら亀!何しに来た!お前に会いに来た。
えっ?あ〜いないみたいですね。
ええ。
てめぇふざけた事言いやがって。
監察係ならこいつを取り締まってくださいよ!うっせえバーカ!なんだこの野郎!監察係の方ですか?あ…韮崎です。
杉下です。
よく存じ上げてます。
こちらは亀山さんですよね?ああはい。
俺ら結構有名みたいですね。
せっかくお目にかかれたので監察係を代表して言います。
はいなんでしょう?勝手な行動は謹んでください。
警察は組織です。
身勝手な行動は規律を乱します。
出直しましょうかね。
そうしましょうかね。
出直せ出直せバカ。
もう来んな!触んなよ!あ〜轟木さん。
ああ亀山。
ちょうどよかった。
警部にちょっとお話が。
ああそう。
ああどうぞ。
あっ…韮崎さんもどうも…。
でなんでしょうか?今朝亡くなった音楽隊の綿貫警部といさかいがあったそうですね。
ああ聞いた?ちょっと小耳に挟みました。
直前にトランペットを交換したとか。
(轟木)いや交換っていうかさぁ奴がね昨日勝手に俺のペットと取り替えちゃったんだよ。
それを返してもらいに行っただけ。
うん。
でその直後に綿貫警部はトランペットを吹いてて亡くなった。
マウスピースから青酸反応が出たそうですよ。
そこなんだけどさ…。
ませっかくだからみんなにも聞いてもらおうかなぁ。
あ〜なんだ…無差別テロだのなんだの盛り上がってるとこ水差すようで悪いんだけどもどうも…俺が狙われたんじゃないかなって思うんだ。
轟木さんが?山田タバコを吸って死んだだろ?ええフィルターから青酸反応が出ましたよ。
あのタバコ山田のなんだけども実は昨日俺がちょっと預かってたんだよ。
いやまあ預かってたっていってもうっかりなポケットに入れてたんだ無意識に。
よくやっちゃうんだ俺。
ああ…。
それを返さないまま机の上に放り出しといて今朝返したところが…ああいうふうになっちゃったんだ。
うん。
狙われたの…俺じゃないかなぁ。
あるいは警部が山田刑事と綿貫警部を殺害しようとして青酸を仕込んだかですね。
真面目な顔してすごい事を言うなぁ。
ま普通はそんなわかりやすい真似はしないでしょうがね。
しないでしょう。
あ〜あやだやだ。
もう殺しだのなんだのってのはたくさんだ。
あとはラッパを吹いて定年を迎えたいな〜。
俺さ音楽隊にずーっと異動願出してんだけどさあそこ担当楽器の欠員がないと入れてくんないんだよ〜。
あれぇ?綿貫が死んだから異動出来るかぁ。
んっ?あいやいや…。
こういう事言ってるとまた俺が疑われるな。
そうそう…。
なあなあこれ食うか?ああいいっすよ。
いや糖尿がさ思ったより悪くてさぁ。
甘いもん控えろって医者に言われたんだよ。
(轟木)食べてくれるとありがたいんだけどなぁ。
(轟木)まだこんなにあるんだよ。
ほらほらあるぞ。
ヘヘッまだ…。
ふざけないでくださいよ!え…?菓子なんか食ってる場合ですか!もし係長の代わりに山田が死んだんだとしたらあいつは浮かばれないじゃないですか!どうしてそんなヘラヘラしてられるんですか!俺そんなにヘラヘラしてるか?〔直前にトランペットを交換したとか?〕部長!何ぃ!?どうした?はあ…。
(記者)つまり個人的な怨恨による殺人事件。
そういう事ですか?
(記者たちの声)まだ捜査中ですので詳細については控えますが恐れていた事態ではなかったとこういう事です。
ルール違反じゃないですか!しかし警視庁舎で殺人事件なんて前代未聞ですよねえ?それについては?非常に…遺憾です。
当然責任問題も出てくると思いますが。
まあそれは今後事件が解決してからの事です。
(記者たちのブーイング)
(轟木)心当たりだろ…?寝ないでくださいよ。
寝てないよ考えてんじゃねーかよ。
心当たり…ないなぁ。
そりゃあさ俺を快く思ってねえ奴はいるかもしれないよ。
でも殺されるほど恨まれる覚えはないねぇ…。
あのさ…あの彼女は…なんでいるの?情報収集だそうですよ。
ああ…。
上からの命令で動いてます。
気にしないで続けてください。
あはい…。
なぜって?ですからなぜ犯人はタバコとトランペットの両方に青酸を仕掛けたのでしょうね。
どちらか一方で用は足りると思いませんか?念のため…じゃないですか?1つより2つのほうが確実でしょ。
なるほど。
確実性を増すためですか。
(轟木)おう。
係長…。
ん?先程はすいませんでした。
エヘヘ…なんだフフッ。
頭冷やしてきたのか?部屋に戻って冷やしてきました。
おお寮は近くていいよな。
すいませんでした。
ハハッ…。
係長!会議始まります。
おう!行こ。
はい。
(内村)どうかたをつけたところで我が警視庁が世間に大恥を晒す事は目に見えている。
この期に及んでは一刻も早くホシを検挙しそのあとの適切な処置を講じたい。
心して捜査に当たるように。
いいな。
(捜査員たち)はい…。
(中園警視正)わかっていると思うが状況から見て内部犯行の疑いが濃い。
仲間を疑うような事はしたくないがいたしかたない。
あえて言えばこの中に犯人が潜んでいる可能性だってある。
(ざわめき)
(中園)極端な例を言ったまでだがそういう心構えが今回の捜査では必要だぞ。
人を見たら泥棒だと思え。
警察官の基本姿勢だ。
やっぱ勝手に調べんのはまずいんじゃないですかね?しかし会議中で許可が取れませんからね。
「取れぬなら取れるまで待とう普通はね」…。
君はのんびりしてますね。
お言葉ですけどもいつだったか「君はせっかちですねぇ」って言われましたけど。
そうでしたか。
それは記憶にありませんね。
あーそうですか。
コソ泥の真似ですか?おっ!あっどうも。
何してるんですか?タバコとトランペット。
どうして2か所に青酸が仕込まれていたのかちょっと気になりましてね。
亀山君曰く殺害の確実性を増すため。
ならば2か所とは限らない。
もっと仕込んでいる可能性が…。
もしも残ってるようなら危険でしょ?だからちょっと調べに…。
怪しいものはありました?タバコやトランペットのように口をつけて吸ったり吹いたりするようなものは特に見当たりませんね。
これなどは口をつけますが毎日洗ってしまいますから毒を塗っても無駄でしょうし…。
あっ!口に入れるものならば…。
これがありますが念のため調べてみましょうかね。
あっでもお菓子は袋とか箱に入ってるでしょ?封が開いてるとしても1つ1つ包装してあるし直接青酸塗ったりは出来ないんじゃないですかね?注射器で注入する事は可能です。
でもそれじゃ手口が違うでしょ?いちいち手口変えますかね?しかし2か所より3か所のほうがより確実性は増すと思いますよ。
そりゃまあそうですけど。
でもほら持ってって調べるんならちゃんと轟木さんの許可取らないとね…。
まあドクターストップがかかっていたようですから持っていってしまっても構わないんじゃありませんか?アハハッ冗談ですよ!我々ね人のもんを勝手に持ち出したりはしませんから。
冗談じゃありませんよ。
ん〜ん…。
正直なところどうですか?事件の見通しは。
はい?杉下さんの見解は?そうですね亀山君の言うとおり確実性を増すため複数か所に青酸を仕掛けたというのも1つの見解ですがその場合犯人は1人という仮定に立っています。
しかし犯人は1か所にしか青酸を仕掛けなかったという仮定に立てば…。
犯人は複数。
その可能性も十分あると思いますよ。
あの…。
はいはい!捜査一課の方ですよね?
(ひばり)いえ…。
ええ似たようなものですよ。
は?なんでしょう?あっ…青酸中毒の事件の事で。
事件について何か?お耳に入れたい事が。
あなたは?自分は留置管理課の栗原といいます。
栗原さん。
なんでしょう?実は同僚の泰良というのが…。
事件の事を聞いた途端仕事をほっぽって姿をくらませた。
おかしいですよね?ええ尋常じゃありませんね。
(チャイム)
(チャイム)
(チャイム)
(チャイム)
(チャイム)
(ノック)泰良さ〜ん!
(ノック)いねぇ〜のかな?あっ!いました。
泰良さん?留置管理課の泰良哲郎さんですよね?すいませんでした。
あ?自分が…やりました。
やったって?轟木警部を殺しました。
え?
(泰良)生きてるんですか?死んだと思ってたのか?だって青酸中毒で死人が出たって言ってたからてっきり…。
殺害が成功したと思い怖くなって逃げ帰ったんですか!生きてるのか…。
チクショー…。
チクショーじゃねーだろこの野郎お前!じゃあ誰が死んだんですか?捜査一課の山田刑事だよ。
山田さんが?ああ。
念願の刑事になったばかりですよね?あの方。
気の毒に…。
山田だけじゃねーんだよ。
音楽隊の綿貫警部もだ!2人も…?お前なあちこち毒仕掛けりゃあちこちで死人が出て当然だろうがお前!あっちこちなんかに仕掛けてませんよ。
何!?どこに仕掛けたんですか?お菓子です。
引き出しの中の。
お菓子?チョコレートパイです。
箱の開いたやつがあったからその中の1つに…。
注射器を使ったんですね?はい…。
ここ赤くなってるでしょ?青酸反応です。
(携帯電話)米沢さんです。
亀山です。
私です。
先程依頼されたお菓子の青酸反応の件ですが…。
ああ出たでしょう青酸反応。
ええ見事に出ました。
手遅れでした。
手遅れ?
(米山)「調べようと思ってお菓子を回収に向かった矢先の出来事でした」残念です…。
また殺しちゃったよ…。
(三浦)待ちかねたぜ。
すいませんねぇ車が混んじゃいましてね。
特命係の亀山。
勝手な真似さらすんじゃねーよてめぇは!会議中だったもんですからねお手を煩わせちゃ悪いかと思ったんですよ…。
バカ野郎!なんだこの野郎!お役御免だとっとと出てけ。
ご苦労さんでした警部殿。
いえ。
はいそこ座って。
あとちゃんとやっとけよバーカ!うるせーよバ〜カ!ドア気をつけてよ〜。
俺が君に何かしたか?なんであんたが死なないんだ!おいっ!何やってんだ!座れってんだろこの野郎!おい!落ち着けオラッ!で轟木警部にどういう恨みがあるの?言ってみ。
自分はずっと刑事を目指してます。
警察官になった以上は刑事として活躍したい。
そう思ってます。
なのにこの人が!俺が何?顔を合わせるたんびに何度も何度も…。
フッ…君は刑事っていう顔じゃないよね。
へヘヘッ。
無理!はいご苦労さん。
そんなの冗談じゃないかよ〜!第一顔で刑事になるわけじゃないんだぞ。
なあ。
でそれがどうした?だから自分はずっと刑事への異動願を出し続けてるんです。
わかったわかった。
それはもう聞いたよ。
なのにちっとも声がかからない。
あんたが邪魔してるからだ!え?自分が刑事になるのを阻止している。
違うか!おい…おれは人事異動を左右出来るほど偉かねーよ。
大体人の事とやかく言える顔か!鏡見て出直してこい!「はいはいはいはい顔はわかったから…。
な」恨みつらみっていうのは計り知れませんねぇ…。
ええ。
気をつけないと。
ええ。
右京さんの事ですよ。
ええ。
「おいいるんだろ?」「フッ見てんじゃねーよ」バカだなこいつは…。
泰良哲郎について興味深い情報があるのでお知らせに。
あなた恋人がカルトの信者ね。
公安がマークしている教団の一員。
あなたずっと刑事への異動希望しているみたいだけどそんな危険な恋人がいるようじゃ100年異動願を出し続けても無理よ。
美代ちゃんがカルトの?美代ちゃんっていうの?彼女。
はい。
美代ちゃんって…。
こんな事この際どうでもいいの。
すいません…。
ひょっとしてあなたも信者じゃないの?まさか!自分は曹洞宗ですから。
轟木警部を狙った個人的な犯行に見せかけてほんとは誰でもよかったんじゃないの?は?騒ぎを起こす事が目的だったんじゃないの?冗談じゃありませんよ!自分はこいつを殺そうとしただけです!他にもまだ誰かの持ち物に青酸を仕掛けてるんじゃないの?とんでもない。
まだ仕掛けてあるなら今すぐ言いなさい。
死人が出る前に。
仕掛けてませんよ。
そんな事してません。
本当です。
だったら仲間は?「危険な思想を持った同士よ。
警視庁内にいるんじゃないの?」「これから何かやらかそうとしてんじゃないの?」うーなかなかの迫力ですね彼女。
そうですね。
あっ彼女の名前韮崎ひばりっていうんですって。
ひばりだけにピーチクパーチクよく喋るって…。
すいませんでした…。
はぁ〜こんな中に。
供述どおりだとすれば泰良哲郎の手に入れた青酸の量はごくわずかですよ。
チョコレートパイに注入するので精一杯。
とてもタバコとトランペットまでは回りませんか?これですからねぇ。
ね。
鬼藤清六からたまたま手に入れた青酸が犯行のきっかけになったわけですね。
鬼藤はこれを自殺用に所持していたそうです。
なるほど。
これですっきりしました。
すっきりって何が?犯人が複数いるとして…。
しかし一体どうして各々の殺害計画がかち合ってしまったのか。
しかも揃って青酸を仕込むという同じ手段を選んだのか。
いささか偶然が過ぎるのが気になっていたのですがつまりこの押収した青酸が大元になっていた。
そう考えると同じ場所で複数犯の犯行が重なった事も腑に落ちませんか?なるほどねぇ。
それに無差別テロ説もきっぱり否定出来ます。
え?テロリストならわざわざたまたま押収された青酸を犯行に使うとは思えませんからね。
そんな不可抗力に頼らずとも毒物を入手しますよ。
なるほどねぇー。
いずれにしてもこのビンに触れるチャンスのあった者の中に犯人がいるって事ですね?ええ。
四係の連中なら誰にでもチャンスあったんじゃないですか?我々鑑識員もその気になればいくらでもこっから青酸をくすねるチャンスはありますよ。
そういった意味では私も被疑者の1人ですな。
そういえば捜査関係者以外で1人珍しい人物がこれに触れてます。
珍しい人物?監察係の韮崎さんとおっしゃる女性です。
韮崎ひばりさん?ええ。
なるほど。
おお鬼藤の奴が持ってた青酸カリを取り上げたのは俺だよ。
そのあとずっと轟木さんのポケットの中に入ってたんですよね?ああうっかりな。
よくやっちゃうんだよ…。
言ったじゃねーか!でそれを韮崎さんに預けたと。
やむなくな。
ほら病院の予約の時間があったからさ。
え?あの青酸が犯行に使われたのか?今成分を分析してもらっていますがおそらく間違いないでしょう。
あっそう…。
おう河野何やってんだよ?あっ一ツ橋さんの私物を…。
お前こういう事はテキパキやるなよ。
仕事はテキパキやれって言ったよ。
これ違うじゃないかよ。
情緒がないな〜お前。
すいません。
じゃあとで。
うん…。
あー…。
一ツ橋刑事はカメラがご趣味だったんですか?さあどうでしょう?今時はデジカメが主流ですよね。
なんか写ってますか?未使用です。
しかしこうして封が開いている以上使おうと思っていた事は間違いないようですね。
ええ。
何探してんですか?フィルムケースがないんですよ。
は?普通新品のフィルムは透明のプラスチックケースに入ってますよね?はい。
その上でこの紙箱に入っています。
ああそうっすよね。
あるいは使いたかったのはフィルムではなくプラスチックケースのほうだったのでしょうかね?え?何に?さあ…。
残念ながらご本人も亡くなってしまいましたからお尋ねのしようもありませんね。
(鬼藤)おいっ。
(格子を叩く音)おいっ。
君ここの者だろ?なんでこんなところにいる?あ?何をした?魔が差しただけだ。
そうか魔が差したか…。
だが恥じる事はないぞ。
人には誰でも魔が差す時がある。
うん。
フッ…。
ん?この中身が今回の中毒事件に使われたものと見て間違いないようですね。
タバコもトランペットもチョコレートパイも同じですか。
分析の結果はそう出てます。
で指紋のほうは?それが誰の指紋も出ませんでした。
誰の指紋も?ええ。
妙ですね…少なくとも轟木警部の指紋ぐらいは出てもよさそうなものですが。
韮崎さんのもね。
いやあの方の指紋は出なくてもいいんですよ。
どうして?これをハンカチに包んでお持ちになりましたから。
(米沢)確かに頂戴しました。
よろしくどうぞ。
押収品ですので余計な指紋がついてはいけないと配慮なさったようですね。
なるほど…。
配慮ですか。
(扉の開く音)あ…まだ来てたんだここに。
俺は5年ぶり。
何祈ってたの?また1人ホシがあがったよ。
誰だと思う?一ツ橋だったよ。
奴は今回の青酸中毒事件の被害者であり実は加害者でもあった。
それがほんとなら皮肉ね。
ここに決定的な告白がある。
読んでみようか。
「どうしてこんな事になったのか。
神様も悪戯が過ぎる」「罪もない山田を僕は死なせた」「この罪をどうしたら償えるだろう」確かに犯行の告白ね。
犯人として検挙しなきゃいけないんだけどもちょっと迷ってね。
それで久しぶりに教会へ。
踏ん切りがつかないんだよ。
確かに一ツ橋は卑劣な犯行を犯した。
でも結局その報いを受けた。
そして罰を受けた。
実はこのページには続きがあるんだ。
え?「それにしてもトランペットの毒物は誰の仕業だろう」「まさか犯行がかち合うなんて驚いた」「まったく神様は悪戯が過ぎる」「犯人に目星がないわけじゃない」「きっと韮崎さんだ」「あの時廊下ですれ違った韮崎さん」あ…お久しぶりですね。
あ…お元気でした?「調べてみようか。
けど下手に動くと墓穴を掘りそうで恐ろしい」「どうするべきだろうか」そんなの証拠にならないでしょ?思い込みで書いた文章じゃない。
そういう言い方は罪を認める事になるぞ。
一ツ橋は君の事が好きだったんだな。
ここに書いてあった。
君に告白してふられた事も。
そうよ。
だって好きな人がいるもの。
衝動買いは気持ちいいっきゃね!ましてや払いがこっそりくすねてきた亭主のカードときたら余計らって!
(2人の笑い声)ねぇ…ほんとのとこどうなの?ほんとのとこ?薫とよ。
結婚!婚姻届に名前書け!って脅迫されてるんだって?脅迫だなんて…言ってました?彼。
ううん何も言わないから無理矢理言わせたの。
私ねお姉さん。
ん?しばらく別の男んとこ行ってたんですよ。
あらまぁ…本当?言ってませんでした?薫ちゃん。
初耳。
そういう事はあえて言わないんじゃない?あれにもプライドあるでしょう。
あ…。
まだその男に気持ち残ってる?いいえ。
いい歳なんだからさいろいろあるわよ女だって。
気にしなくていいんじゃないの?まぁそういう事があった上でなお美和子ちゃんに婚姻届突きつけてるわけでしょう?懐広いですよね薫ちゃんって。
あぁ見えて意外と図太いんだであれは。
ええ。
1つ言っとくね。
ん?結婚に過度の期待は禁物らよ〜。
たかが紙切れ1枚の束縛が2人の景色を全く変えちゃう事だってあるっけねぇ〜。
まぁくれぐれもあと半分は慎重にね。
え?名字だけ書いてあと名前だけなんだろう?じっくり考えな!はい!あ…おはようございます。
おはようございます。
おはようございます。
お忙しいとは思いますが少しだけお時間を頂けませんか?なんでしょうか?ここではちょっと…。
は?あまり人に聞かせたくないお話ですので。
確かに私が鑑識課に届けましたよ。
実はそのビンの指紋を調べてみました。
そうですか。
あなたの指紋はありませんでした。
ハンカチに包んでいかれたそうですね。
ええ。
余計な指紋をつけてはいけないとお思いになった。
ええ。
非常にありがたい配慮です。
しかし何もビンの指紋をきれいに拭き取ってしまう事はなかったんじゃありませんか?は?指紋が全くなかったんですよ。
あなたの指紋はもちろん直前にあなたにビンを預けた轟木警部の指紋まで消えてました。
私が拭き取ったとおっしゃってるんですか?あなたが単にハンカチに包んで持って行っただけならば轟木警部の指紋が消えてしまうわけありませんね。
私が鑑識課に届けたあとで犯人が拭き取ったんじゃありませんか?つまりあなたが鑑識課に届けた時点ではちゃんと轟木警部の指紋が残っていた…そういう事ですか。
そういう事ですね。
そうは思えないんですがねぇ。
なぜかしら?鑑識課に保管されたビンから青酸を盗もうとすればまず間違いなく最初から手袋を使いますよ。
つまり指紋を拭き取るという行為は必要ない。
そう考えると轟木警部の指紋が消えてしまったのはビンが鑑識課に保管されたあとではありません。
あなたが轟木警部からビンを預かって鑑識課に届けるその途中の事つまりあなたが指紋を拭き取ったと考えざるをえないんですよ。
どうして私が指紋を拭き取らなきゃならないんですか。
ほんとに最初からハンカチに包んで持って行きました?途中で思いついて青酸をくすねたあとビンを拭き取り指紋を拭き取りハンカチに包んで鑑識に渡したんじゃありません?はぁ?違いますよ!そもそもビンにあなたの指紋がついていても全く問題はなかったのですがねぇ。
あなたは確かにビンを運んだのですから指紋は当然つきます。
しかしあなたは途中でよこしまな気を起こしたためにビンについた自分の指紋が気になってしまった。
だからきれいに拭き取った。
しかしそれは余計な配慮だったと思いますよ。
ちょっと気を回し過ぎた。
言いがかりにもほどがあります。
これ以上くだらない話にはお付き合いしてられませんのでごきげんよう。
おはようございます。
おはよう。
よっ!暇ですか?あ…ありがとう。
いやぁよかったな解決してな。
ん?解決って?ん?ん?いや何が解決したんですか?だから青酸中毒事件。
あ?なんと今回の事件は複数犯だった。
2人目も捕まって一件落着だそうだ。
間の抜けた話だぜ。
あぁまったくだ。
因果応報って事じゃないすか?結局狙われた本人は生き延びたか…。
あの人は長生きしそうだ。
「憎まれっ子世にはばかる」って事じゃないすか。
(ため息)
(伊丹)禁煙ですよ〜轟木警部〜。
(轟木)知ってるよ。
あ!あっ!
(伊丹)こらっ!特ガメ!ここはおめぇの来るとこじゃねぇつってんだろうがよ!?ホシがあがったみてぇだなぁ。
(伊丹)文句あるかこの野郎!?一ツ橋刑事が犯人だったとか。
おぉ〜ビックリ仰天!急転直下の解決ですよ。
(轟木)やぁやぁやぁやぁ君たちか。
(2人)おはようございます。
あぁおはよう。
あんたのおかげで事件解決。
はい?あんたさぁ一ツ橋のフィルムケースしきりに気にしてたろう?ええ。
いや俺もさあれを聞いて妙に気になっちゃってさあいつの部屋を探ってみたんだ。
ケースがあったんですか?なかった。
でもないっていう事は処分したっていう事だろう?なぜフィルムと紙箱を残してケースだけ処分しなければいけなかったか?それはやばい事に使ったからに他ならない。
あのフィルムケースってのは青酸を溶かして持ち運ぶのに都合がいいからな。
なるほどね。
でもそれだけで犯人ってわけにはいきませんよね?決定的な証拠が見つかったんですよ〜!決定的な証拠?日記帳。
そこに犯行が告白してあった。
ほんとですか?ほんとだよ〜。
その日記帳拝見出来ますか?…鑑識にあるよ。
うん…これ筆跡は?
(米沢)一ツ橋刑事のものに間違いありません。
確かに告白してますよね?ええ。
これによると一ツ橋は他の犯人の目星がついてたみたいですね。
(米沢)留置管理課の泰良哲郎の事でしょう。
しかし泰良哲郎を疑っていたとしたら彼がチョコレートパイに仕掛けた青酸の餌食になるでしょうかね。
あぁ確かにおかしいっすね!まぁ一ツ橋刑事が何を根拠に泰良哲郎に目星をつけていたのかこの文章からじゃわかりませんからね。
自分同様泰良哲郎も轟木警部に殺意を抱いている事を知っていたという程度だったのかもしれません。
具体的にチョコレートパイに毒を仕掛けた事までは知らなかったって事ですか?ええ。
これは書き損じでしょうか?
(米沢)そのようですね。
まぁとまどいの中で書いたものですから多少の書き損じは大目に見てあげましょう。
何が書いてあるか判読出来ませんか?気になりますか?いささか。
実は私もです。
読めないと余計に気になる…。
それでトライしてみたんですが…。
おぉっ!判読不能でした…。
納得いきませんか?君はいきますか?捜査一課は納得してたみたいですけどね。
君の意見を訊いています。
納得してませんよもちろん。
これで納得してしまうと犯人は2人という事ですねぇ。
ええ。
泰良哲郎と一ツ橋刑事。
ええ。
泰良哲郎はチョコレートパイに青酸を仕掛けただけですから残りのタバコとトランペットは一ツ橋刑事の仕業という事になりますね。
ええ。
しかしそうなるとこの文章がおかしい。
「罪もない山田を僕は死なせた」もしも一ツ橋刑事がタバコとトランペットの両方に青酸を仕掛けたならば音楽隊の綿貫警部を殺した事も悔いるはずです。
つまり「罪もない山田と綿貫を僕は殺した」そのように書くべきでしょうし書いたでしょう。
要するにトランペットは別の人物。
ええ。
犯人はもう1人。
間違いなくいます。
韮崎ひばり。
いずれにしてもこれで轟木警部が納得しているというのは信じがたい。
あるいはこの書き損じは轟木警部の仕業かもしれませんね。
轟木さんが?何しろ彼が日記帳の発見者ですから。
(賛美歌)あ…あったあったあった!亀山君これだけですね。
これで全部でしょう。
(ひばり)汝轟木一郎太は韮崎ひばりを生涯の伴侶とし死が2人を別つまで健やかなる時も病める時も変わらず愛する事を誓いますか。
(轟木)誓います。
(扉の開く音)まいったな…つけてたの?ええ。
気がつかなかった。
それはそうでしょう。
我々がつけてきたのは轟木警部のほうですから。
俺を?ええ。
なんで?もちろん青酸中毒事件の事ですよ。
事件はまだ終わっちゃいませんからね。
公式には終わったんだけどなぁ。
残念ながら犯人は2人ではなく3人ですよ。
あなたが発見されたこの一ツ橋刑事の告白文章なんですが書き損じのように消してある部分。
ここがとても気になってしまいましてね。
ご存じじゃありませんかね?なんて書いてあったか。
知るわけないでしょ。
書いたのは一ツ橋なんだし書き損じて消したのも一ツ橋なんだから。
そうでしょうかね?確かに一ツ橋の字だもの!確かに書いたのは一ツ橋刑事でしょうけど消したのは轟木さんあなたじゃないんですか?俺?実はペンがないんですよ。
ペン?一ツ橋刑事がこの文章を書く時に使った筆記具です。
探したんですよ徹底的に。
一ツ橋の部屋はもちろん私物の中遺留品の中すべて。
筆記具はこれだけありました。
でね書いてみたんですけど全部違うんですよ。
お持ちじゃありませんか?誰が?俺が?ペンを?持ってるわけないじゃん。
そうですか。
そうですよ。
念のためにポケットを確かめてもらえませんかね?ポケット?ないよ…。
ひょっとしたら使ったあとにうっかり入れてしまわれたのではないかと思いましてね。
なんでもポケットに入れてしまうあなたの悪い癖。
ちょっと拝借。
あ〜…。
これですね。
ええ。
間違いないでしょ?ね?一ツ橋刑事の書いた文章の一部をさも書き損じたように消すためには当然同じ筆記具を使う必要がありますからね。
彼の私物の中からお探しになったんですね?それともこれはあなたのペン。
そういうふうに主張しますか?やめとく…。
とんだとこ目撃されちゃったしな…。
あなたがなぜそんな事をなさったのか。
一体何をなさろうとしているのかそれを見極めたくて失礼ながら尾行させて頂きました。
すべて話して頂けますね?あんた尊敬するよ…。
あんたからは逃げられそうにないな…。
そうよ。
だって好きな人がいるもの。
好きな人の名前は轟木一郎太。
私は諦められない。
だから一ツ橋に言ったの。
あなたの思いには応えられないって。
おかげで俺は一ツ橋に恨まれてあげくに殺されかけたよ。
死んじゃえばよかったのに!だってあなたがいる限りずっと私は苦しいもの。
5年前偶然教会で会った時からあなたしか見えなかった。
5年前の話じゃないか。
しかも酔った勢いだ。
あのあとお互いに酔っ払って盛り上がってついはめを外した。
こんな冴えない中年男に若い美女が惚れてついて来るなんて誰が思う…。
そう。
そうやって勝手に決め込んであなたは一切なかった事にしようとしたわ。
私の気持ちなんか知ろうともしないで…。
庁内で顔を合わせてもあなたは敬語。
ほんとまるで何もなかったかのように他人行儀に振る舞ってる。
そうしないといけないと思ってた。
あなたにとっては不適切な一夜だったかもしれないけど私にとっては違ったのよ!意外だったよ…。
夢にも思わなかったよ。
もう覚悟は出来たわ。
あなたが逮捕して。
しかし逮捕はせず彼女をかばおうとなさったわけですか。
結局俺のせいで彼女は綿貫を殺しちゃったわけだから…どうしてもとっ捕まえる気になれなくてな…。
(ため息)どういうつもりなんすかこんな真似して。
手に手を取って…。
あ?ちょっとやってみたかったんだよ。
何言ってんだあんた。
殺したいと思うほど愛された事あるか?何?あるか?フッ…ゴチャゴチャうるせーんだよ!それがなんだよ!そんなふうに愛されりゃ全部チャラか!人殺しに目つぶって結婚式ごっこかよ!そんな事が許されると思ってんのかよ!亀山君!一ツ橋刑事に彼女の罪まで背負わせようとなさった事は卑劣極まりない。
到底許されるべきものではありません。
たとえ手違いとはいえあなたは立派に人一人を殺しています。
なんの罪もない人を。
それもまた到底許されるべきものではありませんよ。
あなた方は…。
警察官ではありませんか!あなた方がどのような恋愛をなさろうとそれはあなたがたの勝手でしょう。
しかしその事が引き起こしてしまった今回の事件が全警察官にどれほどの影響を与えるとお思いですか!恥を知りなさい!まさかかけ方まで忘れちまったわけじゃないですよね?てめぇで落とし前つけてくださいよ。
貴様…。
なくしたってお前!いやなくしたんじゃなくてなくなっちゃったのよ。
ちゃんとバッグに入れといたんだけどな…。
そう来たか…。
え?答えはノー。
そういう事だろう?いや…。
だけどさそういう断り方卑怯なんじゃねぇか?断るなら断るでいいからさそんな不可抗力を装って断るなよ…。
お断りの意思表示?捨てちゃったの?いや違いますよ!なくなっちゃったんですから。
ほんとだよ。
いつの間にかなくなってたの。
ほらでもまたもらいに行ったらいいじゃない。
婚姻届なんてねいくらでもくれるのよ。
しかもタダ。
はあ…。
じゃあ今度お前もらって来いよな。
私が?そりゃそうでしょ。
断るつもりで意図的になくしたんじゃないならもらってこれるだろ。
もらってきてまたお二人に名前書いてもらってお前は名字だけ書いて俺によこせ。
そしたら俺もまた名前書いてお前に渡すから。
了解しやした。
すいませんけどまた名前…。
僕でよければいつでも。
お願いしますね。
おやすい御用です。
ごめんなさい。
しかしバッグに入れておいたものがこつ然となくなるというのは妙ですね。
そうなんですよ!な〜にが!大方ねトイレでハンカチかなんか出した拍子にポロッて落っことしたんですよこいつ。
いやあ不思議だわ…。
ないないないないない。
めぇったよもう…。
なくすか婚姻届?信じられっか?バッグになんか入れとくとさなんかの拍子に落ちちゃうんだよね。
そうだろ。
だっけ私が拾っといたんだでば。
ん?ゆうべ美和子ちゃんと買い物行った帰りに一杯やったのよ。
でさその時女便所入ったら落ちてたんだて。
マジら?マジらて。
なんだや〜予想的中だよ。
あ〜あありがとね。
ううん礼には及ばない。
どこら?え?だから婚姻届。
頂戴。
今日へぇ役所に出した。
あっそう…。
へぇ出した!?うん。
今日昼間。
あんたたちへぇ夫婦よおめでとう!姉ちゃんちょっと待って…。
何すんだて!美和子の名前書き足して勝手に出したんだか?へぇ名前書いてあったもの。
え?
(茜)ちゃーんとフルネーム書いてあったわよ。
ハンコもね。
ゆうべさじっくり考えなって言ったのよ。
でももう気持ちは決まってたんだね。
あっあなたの住所は勝手に書いちゃったけど。
いつ気が変わるかわかんないでしょう。
出せる時に出せる人がとっとと出しゃいいのよあんなもんは。
(ため息)姉ちゃん…。
なんだや〜もう…。
そうなんだて。
あっもしもし俺。
(美和子)「どした?」婚姻届なんだけどさ…。
「もう〜明日もらってくるよ」いやいやそうじゃなくてさ。
「何?」聞いて驚くなよ。
うちの…。
薫!はい。
姉ちゃん明日帰るっけ。
ん?亭主が泣きついてきちゃってさ。
無視出来ねっけさ。
だそうです…。
その姉ちゃん…。
私も人がいいよね〜。
姉ちゃん…。
勝手に出されたもんだから家裁で手続きすればすぐ婚姻無効に出来るぞ。
いいよめんどくさい。
めんどくさがってるとほんとに俺と夫婦になっちゃうんだぞ。
いいのかよ。
よろしくね。
え?こんな私だけど…。
こちらこそよろしくお願いします。
ハハッ。
テレるだろおい!あっ!ん?式どうすんの?あの披露宴も。
まゆっくり考えようや。
(携帯電話)おっと…。
ゆっくりね。
はい奥寺です。
あっ…わっかりました。
はい。
ごめんね私会社に戻らなくっちゃ。
あっそっか。
じゃあとで。
オッス。
あ…。
ハハハハッ…。
ダハハハッ。
マグロ漁船の調理長として長きにわたり船に乗り続けた男
2016/01/11(月) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
相棒 season4 #21SP[再][字]
「桜田門内の変」
詳細情報
◇番組内容
“警視庁一の変人”だが天才的頭脳で鋭い推理をみせる杉下右京(水谷豊)と“おひとよしな熱血刑事”亀山薫(寺脇康文)の名コンビがあらゆる難事件に挑む!
◇出演者
水谷豊、寺脇康文、田中美里、戸田恵子、小倉久寛、高橋和也、鈴木砂羽、高樹沙耶(益戸育江)、岸部一徳、川原和久、大谷亮介、山中たかシ(崇史)、六角精児、山西惇 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:47128(0xB818)