【社説】国民の期待に到底及ばなかった朴大統領談話

 談話全体の中で核問題が占める割合は20%にも満たず、残りのほとんどは労働改革や経済問題に集中していた。核問題への新たな対応策を期待していた国民は大きく失望したことだろう。しかも経済が危機的状況になったのは最近の話ではない。今回のように核実験直後に談話を発表するのであれば、核問題の解決策の提示にもっと重点を置くべきではなかったか。これでは大統領は自らの政策課題における優先順位を間違って設定しているとの印象を持たざるを得ない。

 しかもその経済に関する談話の内容も期待外れだった。朴大統領は労働改革関連法案やサービス産業発展基本法、さらに企業活力向上特別法などの必要性やその経済効果について、法案の趣旨説明を行うかのように長々と語った。これらは国務会議(閣議)や大統領府での会議のたびに話された内容とほぼ同じだった。朴大統領は労使政による合意の破棄をにじませた労働団体を批判し、また国会に対しては「民意の殿堂ではなく、個人の政治(的な利益)ばかりを追求している」と指摘した。国会の機能を正すために、国民に対してもっと声を上げるよう求めたようなものだ。いわゆる「国会審判論」を再び取り上げる形となったのだ。

 労働団体や野党の反対により、労働改革関連法案や経済関連の法案が成立しないことへの無念さは当然理解している。しかし大統領が野党や労働団体の指導者たちと直接会い、法案の必要性を訴えたという話は1回も聞いたことがない。それにもかかわらず、野党や労働団体にばかり責任を転嫁する姿は見ていて心苦しい。しかも朴大統領は今の中国発の経済危機や国の成長の限界など、経済の根本問題については特に何も語らなかった。国会で幾つかの法案が成立したからといって韓国経済が劇的に成長し、雇用が増えるわけではない。誰が見ても朴大統領は法案の成立ばかりを気にし過ぎだ。

 国民は北朝鮮による核の脅威を解消するための、もっと積極的で具体的な解決策を大統領の口から聞きたかったのではないか。野党や労働団体の批判ばかりでなく、彼らを説得し合意を引き出す大統領の積極的な姿勢にも期待したはずだ。ところが今回の談話は、このような国民の期待には到底及ばなかったと言わざるを得ないものだった。

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