「学問の自由より人格権」 朴裕河教授に賠償命令=「帝国の慰安婦」裁判 

「慰安婦は売春婦」は名誉毀損と認定
刑事裁判に影響も

 日本軍による従軍慰安婦被害者を「自発的な売春婦」などと記述した『帝国の慰安婦』の著者、朴裕河(パク・ユハ)世宗大教授に名誉を傷つけられ、人格権を侵害されたとして、慰安婦被害者9人が損害賠償を求めた裁判で、ソウル東部地裁は13日、朴教授に原告1人当たり1000万ウォン、計9000万ウォン(約875万円)の賠償金を支払うよう命じる原告勝訴の判決を言い渡した。

 問題の著書は、2013年8月に初版が発行された当時から慰安婦問題について、これまで知られていた事実とは異なる記述が論議を呼んだ。慰安婦被害者9人は「朴教授が著書で我々を『売春婦』とか『日本軍の協力者』などと売り渡した」と主張し、14年6月に原告1人当たり3000万ウォン、計2億7000万ウォン(約2625万円)の損害賠償を求める訴えを起こした。

 ソウル東部地裁は「日本政府と日本軍が慰安婦を募集、運営する上でで直接的、間接的に介入した事実は国連のさまざまな報告書、河野談話、国内外の学術研究結果などで認められている。それに基づけば、朴氏が著書に記述した内容中32カ所が虚偽事実に該当するか、極めて一部にすぎない事実を一般化して断定しており、慰安婦被害者の名誉を毀損し、人格権を侵害した」と判断した。

 ソウル東部地裁は本の記述のうち、「慰安婦の大多数はからゆきさん(日本人慰安婦)の後裔」「アヘンを軍人と共に使用したのはむしろ楽しむためだった」などとした10カ所を虚偽事実の摘示による名誉毀損に当たるとした。判決は「こうした記述は朝鮮人慰安婦が本人の選択で慰安婦になり、経済的代価を受け取って性売買を行う売春用従事者であるかのように暗示するもので、慰安婦被害者の社会的評価を阻害している」と指摘した。

シン・スジ記者
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