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ロシアドーピング問題 国際陸連が隠蔽に協力
1月15日 3時47分

ロシアドーピング問題 国際陸連が隠蔽に協力
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ロシア陸上界のドーピング問題で、WADA=世界アンチドーピング機構の第三者委員会が14日、ドイツのミュンヘンで記者会見し、国際陸上競技連盟の前会長らがロシアの陸上選手のドーピングの隠蔽に協力し、ロシア側から事実上の賄賂を受け取っていたことを明らかにし、「腐敗を超えて犯罪だ」と非難しました。
ロシア陸上界のドーピングを巡っては、去年11月、WADAの第三者委員会が禁止薬物の使用の隠蔽や検査逃れのため組織ぐるみの不正が行われていたと認定し、ロシア陸上競技連盟は、国際陸連から国際大会に参加できない暫定的な資格停止処分を受けたため、ことしのリオデジャネイロオリンピックに出場できないおそれが出ています。この問題について引き続き調査を続けていたWADAの第三者委員会は14日、ドイツのミュンヘンで記者会見し、第2弾となる調査報告書を公表しました。
この中で、第三者委員会は、国際陸連で当時会長だったラミン・ディアク氏と息子や弁護士などが、ロシアの陸上選手のドーピングの隠蔽に協力し、その後、ロシア側から知り合いの会社に金銭が振り込まれていたことを指摘し、事実上の賄賂を受け取っていたことを明らかにしました。さらに、一部の理事は、ロシアの選手にドーピングの疑惑があることを認識しながら放置していたと指摘しました。そのうえで、「個人による不正ではなく、組織の構造的な問題であり、国際陸連のガバナンスは崩壊している。腐敗を超えて犯罪だ」と厳しく非難しました。
第三者委員会は今回の報告書の中で、国際陸上競技連盟には組織としてバランス機能とチェック機能が働いていなかったと指摘しました。そして、国際陸連のラミン・ディアク前会長がロシア陸上界のドーピング問題への対処を個人の法律顧問に委ねるなど不適切な統治を行い、統治能力がなかったと指摘しました。そのうえで、国際陸連の組織の中では不正の指摘などを吸い上げる仕組みが機能していなかったとしています。そのうえで、第三者委員会は、国際陸上競技連盟に対して不正防止のために、▽会長の任期を設けること、▽国際陸連内の反ドーピング部門をマーケティングの部門とは切り離すこと、▽反ドーピング部門に十分な予算措置をとることなどを勧告しています。
記者会見の中で、第三者委員会のメンバーのマクラーレン氏は今回の国際陸上競技連盟による不正行為について、「スポーツ界の不正の域を超えた犯罪だ」と指摘し厳しく非難しました。
今回、組織的なドーピングにロシア陸上界だけでなくすべての国や地域の連盟を統括する国際競技団体のトップの関与が指摘されたことで、陸上界への信頼がさらに失われる事態となりました。

IOC「第三者委員会を支持」

IOC=国際オリンピック委員会は、WADAの第三者委員会の第2弾となる調査報告書を受けて、「第三者委員会が、スポーツ組織に適切な統治を求めたことを支持する。報告書の詳細を検討したうえで、スポーツの信頼を守るために必要な施策を講じていく」と声明を出しました。

ロシアドーピング問題の経緯

この問題は、おととし12月にロシアの陸上選手などが国を挙げた組織的なドーピングを行っているとドイツのテレビ局が報じたことに端を発します。

ドイツの公共放送「ARD」は、おととし12月3日のドキュメンタリー番組の中で、2009年からシカゴマラソンを3連覇したリリヤ・ショブホワ選手が「薬物の陽性反応が出たのに、ロンドンオリンピックに出場するためロシア陸上競技連盟の幹部に多額の金銭を支払って事実をもみ消した」と告白する証言を放送しました。そのうえで、ロシアの複数の陸上選手やコーチなどの証言をもとに、ロシアのスポーツ選手たちが日常的な禁止薬物の使用や偽名を使った検査逃れなど国をあげた組織的なドーピング疑惑を行っていると報じました。
これを受けて、番組放送後に国際陸上競技連盟の倫理委員会とIOC=国際オリンピック委員会が調査に乗り出し、さらに、WADAが第三者委員会を設置して去年1月から本格的な調査を始めました。第三者委員会の責任者は、WADAの元会長、リチャード・パウンド氏が務め、スポーツの法律の専門家もメンバーに入って情報収集にあたり、去年11月、320ページを超える調査報告書を公表しました。
この中で、ロシアのアンチドーピング機構と検査機関、ロシア陸連が関与した組織的なドーピングを認定し、国際陸連に対し、ロシア陸連の国際大会への出場資格を停止するよう勧告しました。
これを受けて、国際陸連は、去年11月13日の緊急理事会でロシア陸連の資格停止処分を決め、ロシアの陸上選手が、ことし8月のリオデジャネイロオリンピックに出場できなくなるおそれが出ています。また、この問題を巡っては、国際陸連の倫理委員会が、今月7日、国際陸連のラミン・ディアク前会長の息子やロシア陸連の前会長ら4人をドーピング違反を隠蔽したとして永久追放などの処分にしました。

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