新・牡丹と薔薇 #30【育まれる二人の愛】 2016.01.14


(綱輝)美輪子のため妹のためなんて死んだぼたんもそんなことばっかり言ってたけどあなたは僕と美輪ちゃんどっちが大切なんだ?
(富貴子)妹に決まってるじゃない。
(綱輝)それじゃあなたもぼたんと同じじゃないか。
また比較してる。
帰ります。
(綱輝)ちょっと。
今日はきちんと付き合ってもらう。
嫌なのよ私。
(綱輝)富貴子さん。
待って。
悪かった。
僕が謝る。
(男性)ようよう。
下品な屋台だって?気持ちの悪いものを食わされたって?あっ?
(男性)姉ちゃん。
よくも言ってくれんじゃねえかよ。
(男性)すっこんでろ。
この野郎!綱輝さん!何だよ?暴力振るっていいのかよ!?
(男性)何だ?ああっ。
(男性)うわーっ!
(男性)おい!
(悲鳴)
(男性)ああっ!綱輝さん!綱輝さん!あっ…。
綱輝さん!
(眞澄)えっ?まあ。
それで綱輝さん大丈夫なの?
(眞澄)命に別条はないの?とにかく今手術中なのよ。
私今夜は帰れない。
ずっとここにいますから。
そうね。
その方がいいわね。
じゃあ何かあったら知らせてちょうだい。
あなたもしっかりしてね。
(美輪子)どうしたの?お姉ちゃまから?綱輝さんが刺されたんですって。
(美輪子)刺された!?変な客に言い掛かりをつけられて絡まれて。
それで救急車で。
ひどいわね。
何てことかしら。
(美輪子)まさか…。
死んじゃうの?綱輝さん。
手術中ですって。
何てひどい。

(ノック)
(医師)どうですか?ずっと眠ったままです。
(医師)瀬尾さん。
気分はどうですか?
(綱輝)大丈夫です。
(医師)運がよかったんですよ。
急所はそれてましたからね。
(医師)1週間もすれば傷口もふさがりますからね。
ありがとうございます。
(医師)じゃあ午後にまた。
富貴子さん。

(戸の開閉音)よかったわね。
思ったよりも重傷じゃなくって。
ずっと付いていてくれたんだ?だって私があんな憎まれ口をたたかなければこんなことには。
そうじゃない。
僕があなたにいいところを見せようとして。
綱輝さんって腕力に自信があるのね。
びっくりしたわ。
がきだなまったく。
みっともないよ。
いいえ。
私の方こそ。
目が覚めてあなたがそこにいてくれたので救われた。
そうでなければ一人で自己嫌悪だよ。
記念すべき武勇伝ね。
か弱き美女を暴漢から守ろうとして命を賭して戦った。
(せき)駄目だ。
笑わせちゃ。
ごめんなさい。
静かにしていましょうね。
あまりおしゃべりして疲れちゃいけないわ。
ああ。
まだ眠いでしょ?お眠りなさいよ。
私はここにいますから。
ホント?眠ってる間にどっかに行っちゃうんじゃないの?この次あなたが目を覚ますまでここにいます。
男の人が無防備に眠っているのを見るのも悪くないわ。
そう。
お恥ずかしいかぎりだ。
こんな姿を見られて。
気にしないでいいのよ。
眠って…。
眠って。
ありがとう。
(崑一)じゃあ富貴子はまだ病院に?ええ。
朝ご飯は病院の食堂で食べるからいいって言うんです。
(崑一)うん。
若い娘が一晩中付きっきりで。
ずいぶん熱心に看病するもんだね。
(美輪子)お化粧もはげちょろけじゃないかしら。
そんなになりふり構わず男に尽くすなんてぼたんらしくないわ。
きっと責任を感じてるのよ。
だいたい私を外して2人だけで飲むのが間違いだわ。
しかも屋台だなんて最悪。
でも重傷じゃなくてよかったわ。
本当に不幸中の幸い。
(崑一)ああ。
ただいま。
あら。
お姉ちゃま。
ああー。
疲れた。
お母さん。
お姉ちゃまが帰ったわよ。
大丈夫?まあ大変だったわね富貴子。
寝てないんでしょ?すぐに寝なきゃ駄目よ。
その前にお風呂。
お風呂に入らせて。
肌が荒れちゃったんじゃないの?一晩眠らないとケアが大変よ。
そうね。
いったい朝まで何してたのよ?ずっとそばにいただけよ。
退屈しなかったの?ちっとも。
眠くもなかったわ。
だって綱輝さんは死んだようにただ眠ってるだけなんでしょ?でも何となく透明な時間が流れていつの間にか朝が来て。
ふーん。
透明な時間だなんて消毒された病院のにおいなんじゃないの?ああ。
駄目だ。
寝るわ私。
おやすみなさい。
おやすみなさい。
まあ。
お母さまでいらっしゃいますか。
(ハナエ)これは。
初めまして。
富貴子と申します。
(ハナエ)綱輝がお世話になりまして。
ああー。
痛てて…。
ああー。
大丈夫?
(綱輝)ありがとう。
どうも。
お母さま。
大変でしたね遠いところを。
(ハナエ)すぐに知らせてくれれば飛んできたのにこの子ったら昨日になって。
来なくていいって言ったじゃないか。
このとおり元気だしおふくろが来たって何もすることないんだから。
(ハナエ)まあ。
でも心配なさったでしょ?お母さん。
(ハナエ)それは。
はあ。
点滴も取れて昨日から病院食を上がってらっしゃるの綱輝さん。
(ハナエ)本当におかげさんで。
(ハナエ)前の人とどっか似てるんでねえの?シーッ。
いいからあした帰れよ。
(ハナエ)えっ!?いいから帰れよ。
これうちの薔薇園の温室で育った花なんですよ。
あまりたくさんだとうっとうしいと思ってほんの2〜3輪。
(綱輝)奇麗だ。
(ハナエ)ほんに。
はあ。
奇麗だこと。
綱輝さん。
スッポンのスープ召し上がる?ああ。
ありがたいね。
病院の食事って味気なくて。
でしょう?サトイモの煮物も持ってきました。
(綱輝)うん。
うん。
(綱輝)おふくろ。
(ハナエ)うん?
(綱輝)下の売店へ行ってタオル買ってきてくれないか?あら。
買い物なら私が。
(綱輝)いいの。
いいの。
おふくろ。
早く行って。
(ハナエ)ああ。
ついでに下着も買ってくっぺか?
(綱輝)余計なことしなくていいの。
患者用の下着があるんだから。
(ハナエ)はいはい。
ハハハ…。
頼みますね。
息子を。
はあ。
どうしようもないよまったく。
来なくていいって言ってるのにのこのこやって来て。
綱輝さんってお母さんにはずいぶん邪険なのね。
かえって甘えてるのかしら?よせよ。
かわいがられて育ったんだわ。
そういう人って生きることに自信があるのね。
うーん。
自信はどうだか。
まあ自分は否定しないからな。
嫌な人間なんじゃないのか?そんなことないわ。
幸せそうな人って私好きよ。
入院してからずっと考えてた。
そろそろ再出発だって。
再出発?会社もさ経営を人に任せちゃったんだけど取り戻してきちんと立て直そうと思ってる。
そう。
やればできると思ってる。
そうね。
よかったわ綱輝さん。
(世奈子)ひどい話ね。
開いた口がふさがらない。
あんな女と付き合うからこんなことになるのよ。
あの偽ぼたん。
綱輝にとっちゃ危険な疫病神だわ。
(崑一)しかし今度のことは愛の試練ってことかもしれないね。
(世奈子)愛の試練ですって?よしてよ。
あんなアメリカ帰りの女と。
このままじゃろくなことにならないわ。
別れさせなければ。
(崑一)うん?それは無理だろうね。
私の見たところじゃ富貴子の方がどうも熱くなってる。
(崑一)病院にしょっちゅう差し入れに行ってるらしいよ。
母性愛を刺激されたのかねぇ。
(世奈子)母性愛ですって?いやらしい。
(崑一)若い男女というものはこういうひょんなことでかえって親密になるんだよ。
とんでもないわよ。
誰のために重傷負わされたと思ってるのよ?
(崑一)まあまあいいじゃないか。
2人の垣根が取れて親しくなりゃそりゃそれで。
うん?何よ。
好々爺ぶって。
ホントにいいと思ってるの?崑ちゃん。
あなた嫉妬のかけらもないの?
(崑一)どうして私が嫉妬しなきゃいけないんだ?もう変なストーリーをでっち上げないでくれよ。
富貴子は私の娘だ。
そんな奇麗事ばかり言って。
(崑一)綱輝君だっていい青年だし。
ぼたんとの婚約のときだって私は大賛成したんだからね。
だから…。
だから我慢がならないんじゃないの。
ぼたんとは似ても似つかないあの偽ぼたんが奇麗にスライドして綱輝の恋人に収まる?ああ。
嫌だ。
煮えくり返りそう。
それこそ悪夢だわ。
そんなこと言ったって恋は思案の外っていうしね。
ぼたんがかわいそうだと思わないの?あなた正真正銘の自分の娘じゃないの。
私たちの血を分けたあの汚れのないかれんな娘があんな不幸な残酷な殺され方を。
それもこれも不良娘の美輪子の犠牲になったからじゃないの。
だのに…。
だのに。
(崑一)世奈子。
あなた。
よくも平気でいられるわね?眞澄の連れ子の偽ぼたんをぼたんの代わりに幸せにしてやろうっていうの?あなたは父親だのに薄情過ぎるわよ。
かわいそうなぼたん。
どうして…。
どうしてこの気持ちが分からないのよ?私だってぼたんのことは癒やしようもない深い心の傷だ。
(崑一)しかしいつまでもとらわれてちゃ前に進めないじゃないか。
(世奈子)それで綱輝の恋人に偽ぼたんがすり替わってもいいっていうの?とんでもない罰当たりだわ。
そんなことあってはならない。
絶対あってはならないわ。
申し訳ないんですけどこれから別の予定がありまして今日は締め切らせていただきたいんですの。
(女性)あら。
そうなの?奥さま。
ホントにすみません。
またお待ち申しておりますので。
(女性)じゃあ仕方ないわね。
どうして断っちゃうの?お得意さまでしょ?私これから行かなきゃ。
また病院へ?そんなに毎日行って。
ぼたん。
あなた大丈夫なの?綱輝さんがうちのローズヒップティーを飲みたいって言ってるから。
さっき頼んであったローズヒップティーの用意は?
(従業員)ええ。
ここに揃えてありますよ。
熱湯を注げばいいようにしてありますから。
ありがとう。
(従業員)はい。
ぼたん。
あなたちょっと変じゃない?何が?綱輝さんとお付き合いするのはいいけどぼたんはいつも適当に距離を置いていたわ。
あまり熱くなるのは下品よ。
下品?私ってもともとお嬢さま育ちじゃないからしかたがないわ。
どうかしてるんじゃない?ぼたん。
美輪ちゃん。
そんなことよりも清塚さんときちんと向き合ってあげてね。
いってきます。

(ドアの開閉音)
(綱輝)いい香りだなぁ。
ああ。
しびれる。
さあ召し上がれ。
ああー。
こたえられない。
ほんのりとしたこの甘さ。
こんなところでローズヒップティーを飲めるなんてこれ以上の幸せはないよ。
私も頂くわ。
何だかお店で飲む味とは全然違うわね。
ローズヒップティーってこんな優しくて優雅な味わいのあるお茶だったかしら?うん。
そうだな。
この数日間は富貴子さんには嘘も隠しもなく自分の裸の正体を見せてしまったな。
安心したの私。
いやぁ。
最初は恥ずかしかったのにだんだんそれが快感になってる。
私だって小日向家のお嬢さんってわけじゃないんだしスッポンのスープやサトイモの煮っ転がしの差し入れなんて下世話な女ですものね?うーん。
そうとも思わないけど。
あら。
まだどこか謎めいてるかしら?そうだな。
なぜかこの指輪が似合ってる。
私もなぜかこの指輪が好きになってしまって。
ぼたん。

(ドアの開く音)・
(世奈子)こんにちは…。
あら。
何してるの?あなたたち。
やあ。
ママ。
案の定ね。
毎日来てるの?この女。
こんな偽ぼたんが毎日見舞いに来てるんじゃ治る傷も治らないんじゃないかしら。
綱輝さん。
ほら。
本物の牡丹を取り寄せて持ってきたわ。
そりゃどうも。
(世奈子)あら。
やだ。
こんな縁起の悪い花を。
(綱輝)あっ…。
どう?美しいでしょう?こんな偽者のぼたんなんかにだまされちゃ駄目よ。
失礼じゃないですか。
ひどいですよママ。
いくら何でも。
(世奈子)私心配でしかたがなかったのよ。
あなたがこういう素性の知れない女にたぶらかされちゃ大変だと思って。
何を勘違いしてるんですか?ママ。
そういうこと言ってもらっちゃ困りますよ。
分からないの?私はねあなたのこと息子だと思ってるのよ。
悪いこと言わないわ。
こういう育ちのよくない女とはすぐ手を切りなさい。
冗談じゃないわよ。
どこでどういう育ち方をしたかも分からない女と。
ママ。
言葉が過ぎますよ!少し冷静になったらどうですか?あなたこそ冷静に考えなさいよ。
こんな女と一緒になったとしても小日向家とは無関係なのよ?何の出世の足しにもならないのよ。
そんなこと思ってもいませんよ。
人間として彼女を尊敬しているだけで。
こんな疫病神人間じゃないわ。
ぼたんの化け物よ。
黙れ!出ていけ。
まあ。
田舎のお坊ちゃまはどうしようもないわねぇ。
すっかり魂まで抜き取られたのかしら?私失礼します。
(世奈子)ちょっと待ちなさいよ。
その指輪を外していきなさい。
えっ?私の娘が死ぬまで身に着けていた婚約指輪。
黒焦げの死体にその指輪だけが焼けずに残っていたのよ。
ぼたんが命と引き換えに残した大事な指輪をあなたみたいな偽ぼたんがよくもぬけぬけと。
外しなさいよ。
外すのよ!痛っ。
やめてください。
ほら。
外して!やめて。
やめてください!やめろ!やめるんだ。
あっ…。
綱輝さん?この指輪は僕からあらためて富貴子に贈ったものです。
何ですって!?
(綱輝)帰ってくださいよ。
僕はあなたの息子でも何でもありません。
迷惑なんですよ。
よく言うわね。
恩も忘れて!帰ってください!後悔するわよあなた。
大丈夫?綱輝さん。
大丈夫なの?好きだ。
違う。
違う。
違う。
違う。
違う。
美輪子。
違う。
パパも富貴子も遅いようだし2人で食べない?違う。
違う!どうしたのよ?あれじゃぼたんじゃないわ。
全然違う。
2016/01/14(木) 13:25〜13:55
関西テレビ1
新・牡丹と薔薇 #30[字][デ]【育まれる二人の愛】

美輪子(逢沢りな)は、富貴子(黛英里佳)と綱輝(片岡信和)を付き合わせようと画策するが、渋る富貴子は、綱輝との約束をすっぽかしてしまう。それを知った美輪子は…

詳細情報
番組内容
 暴漢に襲われ、綱輝(片岡信和)が大けがを負ってしまう。もとはと言えば、自分のせいだと思う富貴子(黛英里佳)は、連日、綱輝の病院を訪ねて健気に看病する。
 富貴子と綱輝の仲が急接近する一方、この恋を不愉快に思う人物が二人いた。一人目は美輪子(逢沢りな)。いつものように「ぼたん(黛英里佳・一人二役)ならこんな時、違った態度を取るはず」との思いを日ごとに強めていく。
番組内容2
 もう一人は世奈子(田中美奈子)。富貴子が、周りからぼたんのように扱われているだけでも我慢ならないのに、綱輝を命の危険にさらさせた上、恋人気分でいると知り逆上。富貴子と綱輝が仲睦まじくしているところに現れて…。
出演者
吉田富貴子:黛英里佳 
小日向美輪子:逢沢りな 
牧原世奈子:田中美奈子 
小日向崑一:岡田浩暉 
浅黄萌子:山口いづみ 
瀬尾綱輝:片岡信和 
 ・ 
小日向眞澄:伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠(東海テレビ) 
【原作・脚本】
中島丈博 
【演出】
藤木靖之 
【音楽】
中川幸太郎 
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」(ユニバーサルミュージック) 
【プロデュース】
西本淳一(東海テレビ) 
大久保直実(ビデオフォーカス) 
坪ノ内俊也(ビデオフォーカス) 
【制作著作】
ビデオフォーカス 
【制作】
東海テレビ
ご案内
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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