(景山)
私はパティシエ。
ケーキ職人をしています
(茂木)もう勘弁してほしいっすよ!分かってる。
翌日の仕込みをしている時の事でした
でも回ってないじゃないですか。
(景山)あっ…!
(御子柴)大丈夫ですか!?
1週間前から何だか転びやすくなって…。
それも一度や二度じゃないんです
体が思うように動いてくれないんです。
私…何か難しい病気にかかってしまったんでしょうか
患者を救え。
ドクタージェネラル。
体がねうまく動かないんですよ彼女が。
足がもつれるみたいなね。
転びやすいって事ですからね。
足がもつれるなんて事は?…あっそういえば結構もつれてましたね。
もつれてないです。
人生も人間関係ももつれてないです。
私も40過ぎてから意外と普通に何もないとこでコテッてつまづく事が…。
僕も。
増えてきてるのがちょっと怖いんですけど。
ただあの子は若いですからね。
若いか。
え?その印象はないんですけど。
最終的な診断が「めまい」っていう事はあまりないと思います。
それでは今回の症例を解決したドクターGの登場です。
(玉ちゃん)今回のドクターGは…。
(拍手)徳田先生はおなじみですけれども。
この患者さんは転びやすいっていう。
結構若い方ですよね。
そういう事あるんですか?結構ありますね〜。
(玉ちゃん)えっ!足の問題なのか例えば内臓例えば…。
貧血とかめまいとか。
これが重要ですね。
虫がはうようにやる。
次世代の…総合診療の実践的なノウハウを直接研修医や医学生に伝えるのだ。
患者の症状を正確に知るには身体診察の技術が欠かせない。
手首はスナップをきかせて下さい。
指をここ置いといて…患者の症状を把握しそれを体のメカニズムと照らし合わせる事で正しい診断にたどりつけるのだ。
病気を探り当てるために全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
(玉ちゃん)須澤先生どうですか転びやすい女性診て。
まあ若い女性という事でめまいとか筋力が落ちてくるとか頭の中の問題だとかいろいろ考えられると思うんですがご年配の方によくあるような疾患じゃない病気が隠れてる可能性もある。
(玉ちゃん)同じ女性として診てどうですか西脇先生。
そうですね。
若い方でまだ働き盛りの女性の方なのでああいう転びやすいという症状が頻繁に現れていそうだったので…。
皆さんが言ってる「若い女性」というのは何歳の事を…。
(笑い声)
(山田)そこに引っ掛かるか。
40はもう若くないって事…?気持ちの…。
(笑い声)見た目若いですよ大丈夫ですよ。
さあ鈴木先生どうですか?転びやすいという事でいろいろ仕事にも支障を来していて本人にとってとてもつらい症状だと思います。
いかに的確な診断下せるか治療につなげられるかという事を考えていきたいと思います。
さあそれでは再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医が挑みます。
正しい病名にたどりつき患者を救う事ができるのか。
ドクタージェネラル!では景山さんをお呼びして。
はい。
景山さ〜ん景山ひなさ〜ん。
景山さんですね?はい。
お座り下さい。
どうされましたか?最近何だか転びやすいんです。
1週間くらい前からです。
つまずいたのも含めると何度もあります。
最初は疲れのせいで足が上がらないのかと思ったんですが…。
何でもないところでつまずいたりバランスを崩したり仕事にまで影響が出てきたんです。
特に昨日がひどくて…。
店長焼き具合見てもらっていいですか?もう勘弁してほしいっすよ!
(景山)OK。
神原さん引き抜かれて3人だけで回すのはもう限界っす!ちゃんと人手増やすようオーナーにも頼んでるから。
でも回ってないじゃないですか。
(景山)あっ…!だ…大丈夫ですか!?大丈夫。
何ともない。
(景山)人手が足りなくて焦ってた事もあるんですが大事なケーキを何個もパーにしちゃって。
どんな転び方だったか覚えていますか?軽くぶつかっただけなんですけどバタンと後ろに倒れてしまって。
そうですか。
はい。
実は…。
1か月くらい前から手が震える事があって。
いえ。
道具を使っている時は問題ないんですけどふと気付くと…。
(御子柴)店長。
ちょっといいですか?ん?・
(小曽根)何でないのよ!昨日の事を言ってるんじゃないの今欲しいの!まったく話が通じないわね!小曽根様いつもありがとうございます。
あら店長。
この間出してた新商品今日はどうしてないのかしら?あ…あれは限定商品でして。
まあまあまあまあ!私開店以来ずっと通ってるのよ?ちょっと用意してくれてもいいんじゃないの?神原さんならうまくやってくれたのに。
分かりました。
あら?私何か無理な事言ったのかしら?いえそんな…。
いいえ。
特にありません。
大きなケガや手術の経験はありませんか?はい。
両親ともに健康です。
あ…はい。
睡眠導入剤と胃薬をのんでます。
2か月ほど前にちょっと体調を崩しちゃったんです。
その前から眠れない日が続いていたもので…。
(御子柴)大変です!駅前に出来た例のお店ちょっと見てきたんですけど大行列できてました!どんな客層?ここら辺の奥様方全部!ノーマークだったよ〜目と鼻の先にそんなライバル店だなんて。
私ちょっと聞いてたな〜。
何かフランス帰りのパティシエがコンビニ価格で本格ケーキ出すとかって言ってましたけど。
何でそんなに安くできるんでしょう?他の店舗と協力して安く仕入れるルート確保したみたいな事言ってましたけど。
え〜なんとかしなきゃ…。
はい。
店長としての責任もあったのですごく焦ってしまって。
店長になったのは3年前です。
オーナーがフランスで修業を終えたばかりの私に声をかけてくれて後輩の神原と一緒にこの店をやってきたんです
ようやく軌道に乗り始めたと思ったやさきにライバル店ができてしまって…。
どこで何を仕入れたらあんなに安くできるのかを知りたくてライバル店のゴミをあさりました
これで買ってきてくれる?おつりいいから。
了解しました。
う〜ん…。
イチゴの数を減らしても見栄えがするには…。
(結城)もう〜!今日はそのぐらいにしたら?どうせ明日も早いんだろ?せっかく来たのになぁ〜。
うん…。
でも何か新作作って対抗しないと…。
そんなに構ってくれないと俺浮気しちゃうよ?もう〜!出来た…!これを300円台に抑えたってのはすごいと思います!うんギリギリまで原材料を抑えてみたの。
まさに店長の血と汗の結晶ですね!
(神原)店長おはようございま〜す。
ああ神原。
やっと出来たわ。
あっ!ついに完成したんですね新商品!うん。
神原にも仕入れ値いろいろ調べたりしてもらって悪かったね。
いいえおかげさまで私の方も完成間近なんで…。
発表しま〜す!実は私に新作ケーキ発注してきたのケーキ工房アランでした〜!わぁ〜!えっ!?いやだから私引き抜かれちゃいました。
そんなこれからって時に…!お世話になりました。
ちょっと神原!ちょっと待って!ほんとに辞めちゃうの?そんな事より彼氏ほっといちゃ駄目ですよ?先輩がしょっちゅうお店に泊まり込みでさみしそうだったから私が代わりにお相手しときました。
それじゃ。
いろいろな事が重なったんですね。
お仕事も大変ですから眠れないとつらいですよね?はい。
頑張らなきゃって思うのに気付いたら笑い方も分からなくなって…。
それに胃まで悪くなってどうしようもなくて近所のクリニックに駆け込みました。
やはり精神的な事が大きいようですね〜。
私眠れないと困るんです!あ…気持ちが楽になってよく眠れるようになるお薬を処方しましょう。
ところで…えっと〜…2か月前です。
生理が遅れる事はよくあるんですか?いいえ。
…まあストレスがあると多少遅れたり早まったりする事はあるんですけど。
ありません。
気になったので3日前に妊娠検査薬で確かめたんですが結果はマイナスでした
(玉ちゃん)いや〜大変ですよ彼女。
ちょっと大久保さん好みのストーリーも入ってきましたよ。
大好きこういう…。
あのエピソード必要だったのか?神原のエピソード。
男が悪いですわあれ。
むかついた。
さあこちらですね。
景山ひなさん28歳のバイタルデータです。
(玉ちゃん)先生このデータを見てどうでしょうか?問題ありません。
全て正常範囲。
普通ですよね。
(玉ちゃん)どうでしょうか。
それでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
(玉ちゃん)引っかかるねそこは。
2か月前から。
生理不順ありましたから。
(玉ちゃん)生理不順ですよね。
一体どんな病名が挙がるんでしょうか。
フリップオープン!
(山田)みんな同じだ。
(大久保)そろった。
(玉ちゃん)じゃあ須澤先生からいきましょう。
(玉ちゃん)西脇先生。
(玉ちゃん)鈴木先生。
さあここからはドクターGと研修医との真剣勝負。
カンファレンススタート!それではまず鈴木先生病気の説明お願いします。
パーキンソン病といわれているご病気で手足の震えとかが生じてしまうまた姿勢が保持しにくくなったりとかするというのがありましてそれが……という事で「薬剤性パーキンソン症候群」といわれています。
パーキンソン病は脳の中にある黒質という部分の組織が壊れる病気です。
50歳以上に多く発症します。
…といった症状があります。
これらの症状は…それではこの病気に合うような特徴的なシーンがあればそれを説明お願いします。
診察室に入ってくる時に歩きだしにくいようなそぶりがあったり小刻みな歩行少しずつ少しずつチョビチョビと歩くような歩行が特徴的なんですけれども。
振戦運動。
震える動きの事を…。
(山田)手が震えて…。
振戦って言うんですか。
(鈴木)そうですね。
ただし…若い頃にパーキンソンになる方もいますよね。
いたなぁ。
そうですね実はマイケル・J・フォックスさんは何歳にパーキンソン病を発症したか分かります?
(玉ちゃん)あれはねぇ…。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のあとぐらいだよね?30歳。
若い!これ完全に否定できますでしょうか?若年性パーキンソン病。
この時点でできませんね?パーキンソン病とパーキンソン症候群の違いもあります。
分けて考えてますね。
3人の研修医はともに薬の副作用を考えた。
しかし…まずはこの患者さんの主訴から考えてみましょう。
転びやすいという事でしたね。
どのような転び方だったんでしょうか。
西脇先生お願いします。
一番ひどい転び方をしたっていう時なんですけれども少しぶつかってしまっただけで後ろに…。
まあそういう特徴があったようですね。
じゃあ他にどういうのがあります?症状として他に何かなかったですか?姿勢の障害。
(玉ちゃん)反射障害。
きちっと保持できないからこう…。
(山田)姿勢を保てない。
特に問診のシーンで。
(玉ちゃん)問診のシーンでしょ?
(玉ちゃん)あったあった!傾いてますね。
(大久保)左傾いてる。
医学的に何て言います?建物でですね…。
あ〜ピサの斜塔…。
すばらしい!実はこれはですね医学的に…
(玉ちゃん)え〜!?言ってみるもんだね俺も!はい他には?仕事をしてる時は震えはないんだけれども座っていたりすると指が動いてしまう。
特徴を言って下さい。
親指がこうクルクル動くような回すような振戦。
それを何と言います?
(玉ちゃん)何それ!丸薬まるめ運動を説明して下さい。
ものを丸めるようにクルクルクルクル指で…見える所見が…。
これだけカジュアルな名前付いてるね。
何でこれだけそんなカジュアルな…。
ちょっとアップで見せて下さい。
(大久保)えっこんなになるんですか?実は…。
景山ひなさんの手の震えはパーキンソン病に見られる特徴的な症状だった。
その他の症状も全てパーキンソン病の症状に合致する。
だとすると景山ひなさんは若年性のパーキンソン病なのかそれとも薬の副作用によるものなのか。
そうしますとこの患者さんの…まあそういう印象がありますね。
そういった原因というのは…その物質についてちょっとどなたか…。
(大久保)ドーパミンって何ですか?よく聞くけど。
ドーパミンというのは神経の細胞を刺激する物質。
神経伝達…。
どういう役割をするんですか?え〜とですね…。
そもそも何の物質か聞いておきたい。
じゃあそれ須澤先生そもそもどういう物質のカテゴリーでしょうか?形とかね。
ドーパミンですか?ドーパミンは神経伝達物質…ではなく?まあこれはですね医学部の初期に習う。
かなり基本的な事で基礎医学といいます。
臨床医学で直ちにそれを思い出さなくてもよいというぐらいの基本的な学問ですから。
ドーパミンは脳から出た指令などを伝える神経伝達物質の一つ。
主に脳にある黒質と呼ばれる部分で作られています。
ドーパミンが作用すると意欲が向上するだけでなく体がスムーズに動かせるようになります。
その黒質自体が変性してやられてしまうのがパーキンソン病。
パーキンソン病ですね。
(玉ちゃん)それが「病」。
これが「病」。
パーキンソン症候群というのはドーパミンという物質が作用するところを何かしらの原因によって邪魔されてドーパミンという物質がきかなくなってしまう。
そういう場合でも同じような体がうまく動かないというような症状は出る。
健康な状態では黒質で作られた十分な量のドーパミンが神経細胞に伝わり体をスムーズに動かす事ができます。
パーキンソン病の場合黒質が壊れる事でドーパミン自体が作れなくなります。
一方薬剤性パーキンソン症候群の場合は薬が神経細胞への伝達を阻害します。
そのためドーパミンの量が十分にあっても作用できなくなりパーキンソン病と同様の症状が現れるのです。
ペンをドーパミンとしましょう。
でこれがドーパミンの受容体とします。
ドーパミンが働くには神経から次の神経へドーパミンが分泌されてそこにこうはまると。
結合すると言いますが。
これによってドーパミンの働きが行われるわけですね。
そこで邪魔するものがあるとそいつがこのドーパミンの受容体に結合してくっついてしまうとドーパミンがおいおいおいおい…。
(大久保)入れない。
くっつけなくなるわけですね。
邪魔しちゃうわけですね。
それではパーキンソン症候群という病名が挙がりました。
その原因にはどういうものがあるかいくつか挙げて下さい。
はい「薬剤」書いて下さい。
ドクターGは薬剤性以外にもパーキンソン症候群の原因があると言う。
じゃあちょっと考えてる間に西脇先生。
え〜…。
例えばモハメド・アリさんはあの方は?
(玉ちゃん)パンチドランカーとは違うんだ?そういうのを何て言います?外傷性ですね!すばらしい!
(大久保)すげぇ。
(山田)難しい言葉使うねぇ。
出しましたね〜。
そして脳血管障害で起こさないですか?脳梗塞とか脳出血とか。
脳の血管の病気です。
あと…一酸化炭素中毒。
そういったものでも起こすんですね。
他にないんでしょうか?パーキンソン病でもないパーキンソン症候群この中に挙がったもの以外で。
若い方で遺伝的な病気というものでないでしょうか?
(3人)あ〜…。
思い出しましたね?パーキンソンじゃないやつが出てきたよ。
ハハハッ。
ウイルソンさんですか?ウイルソンさんですね。
(山田)「ソン」ばっかだよ。
はい。
そのウイルソン病の特徴を。
蓄積された銅によって脳や肝臓腎臓目などに障害が起きる他…そうですね。
もしかしたらこういう感じじゃないですか?
(玉ちゃん)うわっ!
(山田)写真あったんだ。
この患者さんの目を見ました?え〜そこまで分かんないよ。
VTRですか?見なかったですか?
(大久保)見なかったです。
見ても気付かない。
(山田)でも見るべきなんだよね。
この可能性ないですか?否定はできないですね。
はい。
いろんな病気あるんだ。
さまざまな病気が…どれも完全に否定できませんね?研修医が挙げた薬剤性パーキンソン症候群の他にもさまざまな病気の可能性が出てきた。
まずはこの方が実際にパーキンソン症状があるのかどうかですね。
マイヤーソン徴候。
(山田)また「ソン」だよ!何ですかマイヤーソン…。
3人目の「ソン」が出てきましたね。
患者さんの眉間のところをトントントントンってすると…。
パーキンソン病とかパーキンソン症候群の方は?ずっとパチパチパチパチ…他にないでしょうか須澤先生。
パーキンソンかどうかはやっぱり…パーキンソン病の症状を診る診察の中に筋肉のトーヌスを診るものがありましたね。
実際にこの診察のしかたを実演してみたいと思います。
まず筋肉のトーヌスを診てみましょう。
大久保さんすいません腕を。
あ…。
(笑い声)力を入れないようにして下さい。
正常です。
それではですねパーキンソン病パーキンソン症候群の時の所見を出してみて下さい。
(玉ちゃん)ガッガッガッガ…。
こんなになるんですか?マイヤーソン徴候。
3人目の「ソン」です。
指が患者さんの視野の外に置かれるようにうまくたたいて下さい。
(玉ちゃん)おっ我慢してる。
正常ですね。
(玉ちゃん)正常だよかったね。
パーキンソンだとまばたきしちゃうんですか?10回以上やりますね。
これはそのドーパミン不足と関係があるんですか?ドーパミン不足でなりますね。
ドーパミンが不足していると刺激に慣れる事ができずまばたきが続いてしまいます。
パーキンソン病の症状は2つの身体診察で確認できる。
その症状の原因を絞り込むにはどうすればいいのか。
問診で拾い上げたい情報ありましたらお願いします。
それではですね…お薬の内容はやっぱり知りたい。
お薬の内容を知りたい。
もちろんお薬の内容も調べますけれども。
他には?じゃあ次に鈴木先生どうぞ。
えっと…。
薬の…。
ドクターGは……と言う。
一体…それでは診断を絞り込むために再現ドラマの続きをご覧下さい。
ドクタージェネラル!では身体診察をしていきます。
はい。
両手の指をそろえて手のひらを天井に向けて下さい。
この位置で目を閉じてじっとしていて下さい。
はい正常ですね。
人さし指を出して下さい。
この指を私の指につけてそのあと自分の鼻の頭につけましょう。
これを正確に繰り返して下さい。
どうぞ。
それでは目を見ます。
はい。
しっかり開けて下さい。
大丈夫ですね。
筋肉の状態を見てみましょう。
左手の力を抜いて下さい。
それではまばたきをしないように我慢して下さい。
指で額をたたきます。
ところで…はい。
よく効いたみたいで眠れるようになりました。
(茂木)お待たせいたしました。
新作ケーキの焼き上がりのお時間です。
仕事もうまく回り始めて…
あっ店長!どうも小曽根様!
精神的にしんどかった事も忙しさに紛れて仕事に打ち込めるようになりました
そのあと胃の調子はよくなりましたか?はい問題ないです。
むかつきもなくなって食欲も出ました。
景山さん乳房が張ったりしませんか?実は最近ちょっと張った感じが…ブラがきついというか。
乳汁が出てはいませんか?おっぱいって事ですか?そういえばブラにシミのようなものがついていた事があります。
え…。
2日前です。
そうですか。
ところで1か月前ぐらい前から手が震えるという事ですが最初はどちらの手が震えていたか覚えていますか?えっと…確か両方の手が震えていたと思います。
(玉ちゃん)おっと〜!新たな重要な事項が出てきちゃいましたよ。
(大久保)おっぱいが張って出ちゃうってなると私なんか婦人科系というかそっちも考えちゃいますけどね。
(玉ちゃん)だって妊娠してるわけじゃないんですよね?先ほどのウイルソン病はどうでした?あっ違った。
目は正常でしたね?
(玉ちゃん)うん。
そうだそうだ。
じゃあウイルソン病を赤で除外してみましょう。
じゃあそれ以外のものも含めて考えて下さい。
さあそれではフリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン。
(玉ちゃん)はい!さあじゃあ須澤先生からお願いします!
(玉ちゃん)はい西脇先生。
(玉ちゃん)鈴木先生。
お〜。
変わらずという事ですね。
さあそれでは再びドクターGと研修医との真剣勝負です。
最終カンファレンススタート!はいそれではですね妊娠出産でないにもかかわらず…これをどう説明するか。
乳汁分泌に関しては…プロラクチンという物質によって制御されているんですがドーパミンの影響も受けるというふうに言われて…。
薬剤性としても説明はつくかなと。
その理由として須澤先生。
脳の真ん中のところにちょうどぶら下がってる下垂体というものがあるんですけどそこからプロラクチンというホルモンが出てるんですけども…いっぱい作れいっぱい作ろうとなって…プロラクチンがたくさん出る事で乳汁分泌を引き起こします。
「出せ」という指令を出す仕事ですか?それとも「出るな」という指令を出すとこですか?どっちですか?どっちだっけな…。
ストッパーですか?プロラクチンストッパーですか?それともプロラクチンをどんどん出させるものなのでしょうか?そこが大事ですね。
はい西脇先生。
(西脇)え〜っと…。
(玉ちゃん)どっちだ?2つに1つですから。
ストッパーですね実は!
(山田)あっそうなの!?妊娠出産をしていない状態ではドーパミンの働きによってプロラクチンが出過ぎないようにコントロールされています。
薬の副作用でドーパミンが遮断されるとプロラクチンが大量に出てしまうため乳汁分泌が起きるのです。
実は「あんまり出るな」というやつだった。
妊娠出産していないのにもかかわらずプロラクチンがバンバン出るっていう事は…ストッパーが本来やるべき仕事ができなくなっちゃった。
そうするとそこにプロラクチンが勝手に出ちゃう。
もう一つプロラクチンがたくさん出るとどうなります?
(玉ちゃん)止まっちゃうの!?
(山田)だから2か月きてない。
合点がいってきたぞ。
どうも薬剤性のパーキンソン症候群。
(玉ちゃん)あ〜両手でね。
実はね非常に重要なポイントなんですよね。
最初はどちらの手が震えていたか覚えていますか?確か両方の手が震えていたと思います。
なぜ両手なんですか?非常に重要な問診の情報でしたね。
実はこういうふうに黒質とか脳というのは左右1個ずつあるわけですね。
パーキンソン病でそこが同時にやられるというよりは少し左右差というのがあるわけですね。
実はそういう時間的な差というのは出る事が自然ですね。
一方で…最初から両方の手が震えていた事などからパーキンソン病をはじめ薬剤性以外のパーキンソン症候群の可能性が下がった。
ならば景山ひなさんを苦しめた薬は一体何なのか。
睡眠導入剤と胃薬をのんでます。
ドーパミンの作用をブロックする事によって胃や消化器の症状を抑えるようなお薬も中にはあるので。
確かにこの方の胃の症状良くなったんですけれども気分はどうなりました?気分も良くなりました。
非常に多くの方がのんでます。
胃薬?スルピリドですね!すばらしい!スルピリドの説明お願いします。
スルピリドは…抗うつ薬としても知られますが胃腸の働きを改善する効能があります。
何らかの原因でドーパミンの作用が強くなり過ぎ胃腸の働きが悪くなる事があります。
スルピリドがドーパミンの作用を遮断する事で消化器の運動が活発になり食欲が増進します。
しかし副作用としてパーキンソン病と同じ症状が現れる場合があります。
実はですねこのスルピリド以外にもドーパミンを遮断する薬があります。
(一同)え〜!こんなかよ!
(玉ちゃん)アハハッ!すげぇありますねこれ。
実はドーパミンの働きをブロックするお薬にはこんなにあってこんなにたくさんの種類の薬が実はドーパミンを遮断するという。
実はこのスルピリド使い方によっては非常に良い薬でまず効果が早く現れる。
現実にこの人も効果出てますもんね。
はい。
食欲も改善しましたし体重も戻った。
ところが使い方によっては副作用も出ると。
たまたまひなちゃんがこの薬合う合わないっていう…。
合う人と合わない人っていうのがいるって事ですね?そうですね。
個人差もありますし用量もありますし期間もあるわけです。
この患者さんの症状はパーキンソン症状がありました。
その症状の始まり方が両側から始まりました。
そして同時に月経が止まって乳汁が出るという症状がありました。
これを説明できるのは?正解です!
(拍手)うわ〜たどりついた。
たどりついたというより最初からね。
(玉ちゃん)ああそうですね。
みんなズラッと。
フリップオープン!研修医たちは薬剤性パーキンソン症候群を疑う事はできた。
しかしドクターGは他にもさまざまな原因があると考え薬の副作用でしか現れない症状を確認したうえで最終診断に至ったのだ。
薬をやめてからおよそ2週間で症状が消えた景山ひなさん。
原因を知った事で気分も改善。
今は元気に仕事を続けている。
ドクターGからのメッセージお願いします。
お願いします。
「薬もリスク」という言葉があります。
薬には良い作用もありますが多くの薬には副作用もあります。
薬剤性の原因であるというふうに最初から指摘下さりましたが重要な事はその薬剤性を疑っての問診を進める事。
そのために体の中で起こっているメカニズムを理解してそれを積極的に聞くという事がこれがやっぱり非常に重要だと思いますね。
今日はすばらしい診断ありがとうございました。
病気の成り立ちに戻ってミクロな世界から病気を理解する事で鑑別が更に深まってより診断の精度が上がるんだなという事がよく分かりました。
こんな事言ったら研修医の先生たちに失礼かもしれないですが今日のこういうパーキンソンの診断とか意外とそういう基本的なところが大事なんだなって…。
別に俺医学やってるわけじゃないですけど基本って大事だなってすごく思いましたね。
もちろんパーキンソンってよく聞くなと思いながらこんないろいろな症状があっていろんな病気が分かれてるというのもすごいよかったんですけどこのドクターGですか?プレッシャーのもと研修医の皆さんがなんとか絞り出そうとする姿がもうキュンときて何か支援がしたいです。
徳田先生今日はどうもありがとうございました!研修医の皆さんもお疲れさまでした!さて次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるんでしょうか!さようなら!どうも!お疲れさまでした!
(拍手)2016/01/14(木) 14:12〜15:00
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターG「転びやすい」[字][デ][再]
病名推理エンターテインメント番組「総合診療医ドクターG」。ドクターGが経験した難解な症例に研修医が挑み病名を突き止める。今回の患者は「転びやすい」という若い女性
詳細情報
番組内容
患者は、街で人気のケーキ店の店長を任されている28歳の若きパティシエの女性。最近体が思うように動かず、転びやすくなったという。ストレスのせいか良く眠れず、妊娠している訳でもないのに、生理も遅れている。ふと気付くと、手が震えていることもある。もしかしたら、何か悪い病気なのかも…。
出演者
【出演】地域医療機能推進機構本部医師…徳田安春,【ゲスト】山田五郎,大久保佳代子,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
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