NHK高校講座 科学と人間生活「生き物を育む太陽」 2016.01.14


あ〜あ。
日焼け止めもっとちゃんと塗っとけばよかったな。
もうこれ焼け過ぎだ。
ハハハ。
こんな差ついちゃって。
(理陽)お邪魔しま〜す!おおいらっしゃい!ちょっと僕蔵さん!はい。
顔真っ黒じゃない?フフフ。
(理陽)どうしてそうなったの?冬山登山してきたんだけどね〜。
うん。
登山?うん。
ほら山はさ空気が澄み切ってて夜になると真っ暗だから星空がさもう最高でね〜。
そうなんだ。
ウフフフ…。
いいな〜。
ものすごく寒かったけどね!夜の気温−10度ぐらいだったから。
(2人)−10度!?うん。
でもね明け方遠くの地平線から太陽がぐ〜っと昇ってくるでしょ?すると太陽の光がそれまで冷えきっていた僕の体をじんわりとあっためてくれてね。
太陽の恵みを体で感じる瞬間っていうの?ああいうの。
(実穂)うん!うん…。
太陽の恵みね〜。
うんそうそうそうそう。
あっじゃあ今日は太陽の話でもしてみる?太陽のすがたと太陽からの恵みを考える。
お二人さん。
(実穂)はい。
太陽の観察ってした事ある?ん〜小学生だった時に日食で専用のシートを使って見たかな。
あっそれなら僕もある。
ねっ。
じゃあ太陽望遠鏡で太陽を見た事はないんだ。
太陽望遠鏡って何?ああ。
太陽を見るために作られた太陽観測専用の望遠鏡があるんだよ。
へえ〜。
ふ〜ん。
太陽望遠鏡で太陽を観測せよ!ここは埼玉県にある…泉川実穂が訪ねた。
迎えてくれたのはこの科学館でプラネタリウムの解説をしている太陽観測のプロ…この施設の屋上には天文台がある。
うわ〜気持ちいいですね〜。
そうですね。
めっちゃめちゃ広くて開放的っていうか…。
(鈴木)はい高い建物ですのでね。
(実穂)はい!あれっあの丸いの何ですか?
(鈴木)こちらは科学館にある天文台になります。
(実穂)天文台?
(鈴木)はい。
望遠鏡が入っている建物ですね。
(実穂)え〜そうなんですか。
(鈴木)はい。
あの中にある太陽を見る望遠鏡にこれからご案内したいと思います。
おっ是非よろしくお願いします。
はい。
それでは行きましょう。
はい!いや〜わくわくするな〜。
こちらが太陽を見る望遠鏡になっています。
これが太陽を見る望遠鏡ですか?
(鈴木)はいそうですね。
太陽専用の望遠鏡です。
えっ私あのもう少し大きいのを想像してたんですけど…。
そうですね。
太陽自体は非常に明るいので小さな望遠鏡でも見る事ができます。
へえ〜。
太陽望遠鏡には普通の望遠鏡と違って特殊なフィルターが入っているため直接太陽を見る事ができるのだ。
太陽は一体どんなふうに見えるのだろう?
(鈴木)それではどうぞ見てみて下さい。
ありがとうございます。
(実穂)わあすごい!思ってたよりも結構くっきり見えてますね。
(鈴木)今日は晴れていますのでよく見えています。
(実穂)はい。
太陽の縁に赤い湯気みたいなのが見えるんですけどこれって何ですかね?
(鈴木)これはですね太陽の表面に浮かぶ雲みたいな現象プロミネンスと呼んでいます。
(実穂)「プロミネンス」?
(鈴木)はい。
表面にプカプカ浮いているように見えていると思います。
(実穂)はい。
言われてみるといろんなところにありますね。
(鈴木)はいそうですね。
あちこちに見えていると思います。
(実穂)プロミネンスきれ〜い。
プロミネンスを見たところで実穂ちゃん自分で持ってきたカメラを望遠鏡に付けてもらい…もうちょっとピントが合えば…。
(シャッター音)お〜いいね〜!
(鈴木)よく撮れていますね。
(実穂)お〜やった〜!太陽の写真撮影がうまくいったところで次は普通の望遠鏡を使った投影法で太陽を見てみる事に。
投影法とは太陽の像を投影板に映して観察する方法だ。
先ほどの太陽望遠鏡はですね太陽の中でも水素ガスが出す光を見ていました。
赤く見えていたと思うんですが。
それに対してこちらの望遠鏡は私たちの目で見ている光と変わらない光で見ています。
その変わらない光で見ると何が見えるんですか?そうですね太陽の表面の中でも特に黒点と呼ばれるですね黒い染みみたいに見える現象を見る事ができます。
ここを見てもらうと分かるんですが黒く映っている点こういったものが…
(実穂)え〜これが黒点ですか?
(鈴木)はい。
そうですね。
黒点は太陽の表面の中でも温度が少し低いところ。
温度が低いため黒く見えるのだ。
この黒点の観測で太陽の活動の様子が分かるという。
今からおよそ400年前黒点を詳しく観測したのが天文学の父といわれるあの…ガリレオの時代と変わらない黒点の記録のしかた。
それは黒点を筆記具でなぞるというもの。
黒点は小さくぼやけているので記録する紙の汚れと間違えないようにもう一枚の紙を差し入れながらなぞっていく。
(実穂)おっ1個描けましたね。
(鈴木)そうですね。
こちらの方もよさそうですね。
スケッチが終了。
黒点の数は日ごとに変わるという。
実穂ちゃんが数えてみると…。
(実穂)12345678。
実はこの黒点の数長年の観測の結果…これは黒点の数を表したグラフだ。
黒点は11年の周期で多い時期と少ない時期を繰り返すというのだ。
黒点が多い時期は太陽の活動が活発な時。
逆に黒点の数が少ない時期は太陽の活動が活発ではない時期なのだ。
黒点の数を数える事で太陽の活動が活発かどうかが分かる。
黒点の数が多い時つまり太陽の活動が活発な時に際立つ現象がある…太陽の活動とどんな関係があるのだろうか?太陽からは電気を帯びた粒子が放出されている。
この粒子の流れを太陽風という。
この太陽風太陽の活動が活発になるほどたくさん吹く。
太陽風はたくさん浴びると危険なものだが地球の磁気圏が進入を防いでくれている。
しかし太陽の活動が活発で太陽風が激しくなると地球の磁気圏を弱め太陽風が地球に進入しやすくなる。
地球へと向かってくる太陽風。
それを食い止める地球近くの磁場。
太陽風の影響で地球の磁場が弱められ徐々に地球の近くまで太陽風が到達するようになる。
地球磁気圏の深くまで進入した太陽風は磁場の形に沿って地球へと降る。
すると大気の…これがオーロラだ。
太陽風と地球の磁場が織り成す現象を美しいオーロラの光として見ているのだ。
あっそうそう!おお。
ジャ〜ン!おっ!これこの前僕蔵さんが教えてくれた太陽望遠鏡で私が撮影した太陽の写真。
お〜プロミネンスがばっちり撮れてるじゃない。
見事見事。
(実穂)でしょ?これ僕蔵さんにプレゼント。
よかったら飾って。
えっいいの?
(実穂)うん。
わ〜ありがとうありがとう!えっどこに飾ろうかな?でもオーロラが見られるのもさ太陽のおかげっていうのは知らなかったな。
ねっ。
あの壮大な自然現象も太陽があってこそ。
太陽の恵みなんだね!太陽の恵みか。
うん。
それならほかにもいっぱいあるよね。
太陽っていったら…あったかい光!そのおかげで地球は生き物が暮らせる温度になっている。
なるほど!温度…気温ね?気温ね!うんうん。
ん〜太陽の恵みといったら光合成だよ!植物が育つには光が必要だもんね。
(実穂)そうだね。
なるほど。
うん!理陽君は光合成か。
うん。
ああ。
…でほかには?
(2人)ほかに?太陽の光は地球上の生き物を育んでいる。
植物は太陽の光で育ち…。
草食動物は太陽の光で育った植物を食べる。
そして植物を食べて育った動物を肉食動物が食べる。
地球上の生き物たちの命の循環を支えているのは太陽なのだ。
では太陽の恵みにはほかにどんなものがあるのだろう?風の力で電気を作る…実はこの風を起こしているのも太陽なのだ。
太陽はどんなふうに風を起こすのだろうか。
これは地球に降り注ぐ太陽の光の量が赤道と北極でどれくらい違うのかを表している。
地球は丸い形をしているので高緯度の北極と比べて低緯度の赤道の方が同じ面積で受け取る太陽の光の量エネルギーが大きい。
低緯度のエネルギーが高緯度に移動する時に起きる大気の運動と地球の自転が風を起こしているのだ。
それだけではない。
風は海水をも動かし潮の流れ海流を作っている。
地球規模で動く風と海流は熱帯から寒帯まで多様な気候を作り出している。
地球がさまざまな生き物たちを育む掛けがえのない星であるのはそんな太陽の働き恵みのおかげなのだ。
僕蔵さん何してんの?太陽の話してるのに…。
体幹を鍛えてんだ。
ピョ〜ンピョ〜ンピョ〜ン!アハハ!ちょっと…ハハハ。
ではなくて…はいはいはいはい。
え〜このボール。
うん。
これが仮にね太陽の大きさだとします。
…となると地球の大きさはどのくらいになると思いますか?という問題。
(実穂)ああ。
(理陽)地球の大きさ。
う〜んと…これぐらい。
ああ。
お〜!実穂ちゃんは?ん〜これくらい!おお大きいね。
はい正解は…これくらい。
(実穂理陽)え!?ハハハハ。
(実穂)こんなに小さいの?うん。
太陽の直径は地球の直径のおよそ109倍もあるんです。
あ〜。
109倍。
ねっ。
ふだん見てる太陽ってそんなに大きく感じないのにね。
そうだね。
それはね太陽と地球が離れているからなんですな。
この大きさの関係でいうとおよそ60m離れております。
60m…。
うん。
でね実はねこの太陽と地球のそれぞれの大きさそしてねこの2つの星の距離が地球が生き物の暮らせる星かどうかに関わる非常に大事なポイントなんですな。
ハビタブルゾーンって言葉聞いた事ない?んっ?
(2人)「ハビタブルゾーン」?生命の誕生にはたくさんの水が重要で不可欠だ。
地球が誕生し海が出来たのは…大昔に出来た海が今もなお存在し続けているのには理由がある。
その一つが太陽からの距離だ。
地球よりも太陽に近い水星と金星を見てみよう。
水星は太陽に一番近い惑星でその表面は無数のクレーターで覆われている。
太陽に近いため表面の温度は…液体としての水を水星では観測できない。
お隣の金星はどうだろう。
直径は地球とほぼ同じ。
二酸化炭素を主な成分とする大気が地表を覆っている。
その温度はおよそ500度と高温で金星にも液体の水は観測できない。
では太陽から更に離れた星はどうだろう。
これは…大きさは水星とほぼ同じ。
この星には水が存在している。
しかし太陽からの距離が遠いため水は氷となりその表面を覆っている。
このように太陽に近過ぎれば水は蒸発し遠過ぎれば凍ってしまう。
太陽と地球の距離は水が液体として存在できる奇跡の距離なのだ。
それをハビタブルゾーンという。
そしてもう一つの理由は地球が程よい大きさだったという事もある。
例えば月のように小さいと太陽からの距離が地球と同じくらいでも質量が小さく重力が弱いため大気の分子を地表にとどめておく事ができないのだ。
逆に大きすぎてもいけない。
木星の直径は地球のおよそ11倍。
質量は300倍もある。
地球がもしずっと大きい星だったら軽い水素やヘリウムも引き付けて木星のようにガスで出来た星になってしまっていただろう。
ハビタブルゾーンの中でも豊かな生命を育む水の惑星はただ一つ私たちの星地球だけなのである。
ねえねえ僕蔵さん。
ん?ハビタブルゾーンって太陽系以外にもあるの?もちろん!あるんだ。
うん。
ハビタブルゾーンは中心の恒星の明るさで決まってくるんだ。
太陽系以外で恒星の周りを回る星つまり惑星は今大体2,000個くらい見つかってるんだよ〜。
(実穂)2,000個?うん。
その中にはねハビタブルゾーンの中にある惑星も見つかってるの。
地球に似たような星かもしれないね。
そこに生物っていんのかな?どうだろうね〜。
フフフ。
地球は海が出来てから3億年後に生物がいた事ははっきりと分かってるんだ。
この広い宇宙のどこかに微生物みたいなのはもちろん人間みたいな知的生命体もいるかも…しれないね〜。
でもどうやったらその生き物がいるか確かめられるんだろう?ん〜。
あっ望遠鏡じゃ見えないのかな?あっ大きいのだったら見えるかもね。
うんうん。
ホホホホ。
ねえねえ僕蔵さん。
はい。
作ってみない?えっえ…何を?望遠鏡を今から作るの。
えっ…今?今。
えっここで?ここで。
望遠鏡作るの?うん!しかも大きいやつ?これくらいの!どうかな?こんくらいで…長さは?これくらいで長さはこれくらいかな?短か。
で…ここからここまで。
黒点はその数が変化する。
大きな周期は11年で太陽の活動が活発な時には黒点の数が増え活発でない時には黒点の数が減る。
地球に降り注ぐ太陽の光が風を起こし海流を作る。
地球規模で動く風と海流は熱帯から寒帯まで多様な気候を作り出している。
宇宙で生命が誕生し生息できる領域の事をハビタブルゾーンという。
太陽系では地球軌道の内側から火星軌道にかかるくらいまでの領域に当たる。
太陽系以外でも地球に似た惑星がいくつか見つかっている。
その星にも生き物たちが暮らしているのだろうか?2016/01/14(木) 14:00〜14:20
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 科学と人間生活「生き物を育む太陽」[字]

科学技術の発展は、どのようなところに生かされているのだろう? 私たちの身の回りにある自然や道具を糸口に、科学の世界を楽しく解き明かしていく。

詳細情報
番組内容
太陽から放射されるエネルギーは地球をあたため、気象の変化をもたらしている。また、植物が光合成で有機物を合成する際に使うエネルギーも、太陽からの放射される光エネルギーである。今回は、太陽のすがたと、太陽からの恵みについて考えよう! 「生き物を育む太陽」(1)太陽のすがた (2)太陽の恵み (3)生命に適した星・地球
出演者
【出演】正名僕蔵,三井理陽,泉川実穂,【語り】渡辺真砂子

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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