(木村威)…おい!おい…目を開けろ。
どうしました!?どうしました!?
(堀川正太)似てないですねこの2人。
(北村鉄男)こいつらにそっくりな奴4人当たって4人とも空振りだったんだぞ。
似顔絵描きのおっちゃん腕落ちたのかな?今度は当たりだ。
賭けるか?日の出食堂の親子丼。
え〜?だってあそこの飯マズイじゃないですか。
バカ一月前に可愛い子が入ったんだよ。
これがさお水のお姉ちゃんとはまた違った良さがあってお前たまらんの…ハハハ!行け!はいっ!
(ノック)おっさん。
ちょっちょっちょっ…。
(木村)あ?何だよ?京都府警の北村っつうんだけどな4日前夜7時頃清家公園であんたによ〜く似た人見かけたっちゅう情報があんのよ。
おたくじゃない?ファイト!
(堀川)おっし!親子丼ゲット!
(堀川)待てコラ…ふざけんなこの野郎!殺す気なんかなかった…。
さ〜すが肉体派。
(太田勇一)自己中心的…気配りゼロ!目配りもゼロ!行きたい方角に周りの迷惑も考えず突進していく重戦車だよ!
(柿口可久子)怖がる事はないです。
キャタピラーに電柱引っこ抜いて噛ませれば止まりますから!別に怖がってるわけじゃないよ。
ただ仕事がやりにくいなっていうだけで…。
それにしても電柱引っこ抜くっていうのは…可久ちゃんスペクタクルだねぇ!
(2人の笑い)
(鶴丸あや)おはよう!
(太田と可久子の笑い)賑やかね。
誰の噂話?戦車みたいな人の話です。
無論検事の事ではありません。
面白そう。
ねぇこれみんなに作ってきたんだけどおむすび。
お昼によかったら食べて。
ありがとうございます。
ハハ〜ン読めましたよ。
長年検事と苦楽を共にした私が推察するに昨夜は愛しの旦那様とラブラブなメールの交換をされて今朝はすこぶる機嫌がいいと!ハハ彼女いない歴38年の太田さんの推理はせいぜいそこ止まりね。
あ…ごめん。
幼稚園の時から。
ウフフ。
実はこの鶴丸昨日四条大橋の上でスカウトされました!主婦モデルにならないかって。
4日前の殺人事件!?あぁ被害者は洛星建設の専務取締役でしたよね?
(高原純之介)君も承知のとおり洛星建設は今まさに談合疑惑でマスコミの集中砲火を浴びているところだ。
この一件の成り行きにも世間の耳目が集まっている。
あの事件を私に?猪突猛進!何者にも媚びずへつらわずが捜査方針の君にしかこの事件は任せられないと思ってねぇ。
あ…まぁ。
過分な評価ありがとう存じます。
しかしあやちゃん。
丁寧なのはいいが時間を食い過ぎるのは困る。
迅速に!スピーディーに!いいね?木村さん調書によるとあなたは10日午後7時頃清家公園を通りかかったところ千葉昇さんと肩がぶつかったのが原因で言い合いになり腕を掴まれたので振り払ったところ千葉さんはベンチで後頭部を打ち意識がなくなった。
そこへ帰宅途中のサラリーマンがやって来たが思わず逃げ出してしまった。
この内容に間違いありませんか?逃げたのは悪かったと思ってます。
でも俺には前科があるしこれでまた刑務所だと思ったらたまらなくて逃げてしまったんです!
(可久子)被疑者の言う前科って何ですか?4年前恐喝で1年くらってる。
(白井清志)「刑法二百五条第一項身体を傷害しよって人を死亡させた者は三年以上の有期懲役に処する」。
ちょっと突き飛ばしただけで3年なんて気の毒。
とにかく単純な案件ですよ。
サッと片付けて次に移ろう!ちょっと待ちなさい!あなた達この現場写真見てないの!?みんなおかしいと思わないの!?…どこがですか?よく見なさい!大体被疑者の言葉を鵜呑みにするのは検察として怠慢!とにかく現場行って再捜査!主婦モデル…気合入ってますねぇ。
現場100回主義か…古いなぁ…ハハ…。
オバサン!調べ直すってどういう事だ?遅い!俺を蕎麦屋の出前か何かと勘違いしてないか?電話1本ですぐ現れると思ってもらっちゃ困るね。
じゃあこの現場写真は何!?は?石のベンチがあって遺体がある。
これのどこが不自然なんだよ?わかってないわねぇ…!ハァ?被害者千葉昇の事件当日の足取り覚えてる?今流行りの脳トレか?10日午前10時洛星建設のお抱え運転手の車で出社。
その後2つの会議をこなし午後1時蕎麦屋の出前で昼食!で食後寄贈本を読むから喫茶店に行くと言って社を出た。
どうだ?参ったか。
…うおぉ!問題はその後の予定。
確かその日はですねぇ午後7時から土木会社の社長らと円山の料亭「左阿彌」で会食する事になっていました。
だとしたらこれは何!?千葉氏は靴下ではなく足袋ックスを履いてた!確かに足袋ックス履いてたよ。
しかも踵に穴の開いてるやつな。
だから何なんだよ!?千葉氏は大手ゼネコンの専務取締役よ!?それが一流料亭で懐石なんでしょ!?相手は取引先の社長よ?もしあたしが奥さんだったら靴脱ぐってわかってる日にこんな破れた足袋ックスなんか絶対履かせない!だって上高級スーツ着て足元がこれは不自然!社会的地位のある男にだってなぁファッションセンスに疎い奴はいるしズボラな女房だっています。
そんなつまらねぇこじつけで俺をわずらわせんじゃねぇよ!おかしな点はまだあります。
え?千葉氏のズボンの裾から微量ながら壁土が検出されました。
でもご覧のとおりこの辺りに建築中の現場はない。
という事はここに来るまでのどこかで付着した事になります。
北村刑事。
その場所がどこだか特定出来ますか?
(舌打ち)出来ません。
つまり被害者の行動には不可解な部分があるわけです。
以上の2点から私は今回の事件が被疑者の言うような単純な傷害致死事件ではないと考えます。
これ主婦の勘!午後3時頃喫茶店を出られてから事件にあうまで千葉専務一体どこに行ってらしたんでしょうね?
(黒田)どこかの神社か寺じゃないですか?時々散歩に出かけてましたよ。
散歩…あぁもう1つもう1つ!あの千葉専務いつも足袋ックス履いてらっしゃいました?は?
(女将)いいえ。
専務はんうちに来てくれはる時はいつもブランド物のきちんとした靴下履いてはりましたえ?靴下?えぇなんせ奥様がきちんとしたお人やさかい…。
へぇ奥様が?
(千葉奈緒子)授業の再開は来週からですから。
私どものスクールでは身だしなみを整えてない方は教室に入れないというルールがあります。
奥様!お客様でございます。
マナー教室を経営されてらっしゃるそうですね?あの…犯人は捕まったと聞きましたが。
えぇ。
いくつか不明な点がありまして今調べてるところなんです。
まず事件当日のご主人の足取りなんですが喫茶店を出てから4時間ほど空白になってるんです。
どちらにいらしたか思い当たる場所ありませんか?清水焼の窯元にでも行ってたんじゃないでしょうか?窯元…?はい。
趣味で陶芸でもやってみようかって申してましたから…。
そうですか。
あいただきます。
あの…それからこれは大変ぶしつけなお願いなんですがご主人の衣類をですね拝見させていただけますか?え…!?寝室別でらしたんですね。
あの…靴下はどちらに?こちらです。
あじゃちょっと…。
まぁ!キレイに色分けして…。
あ…ないな…。
何をお探しなんですか?いえ…あの足袋ックスをね…。
え…?足袋ックス…いえご主人亡くなられた時に足袋ックス履いてらしたんですよ。
それが妙に気になって…。
見たところ足袋ックスはありませんよねぇ…?あ…でも庭に下駄で出る時には足袋ックスでした。
あぁ…。
あの日はついそれを履いて会社に行ったのかもしれません。
あそう…ちょっと見せていただけます?あ…あのそれは処分してしまいました。
(池内弘二)何か?…遅い!何時間待たせる気だコラ!何時間?あんたが来てからまだ28分しか経って…!減らず口叩いてねぇで俺の質問に答えろ。
洛星建設専務千葉昇の家から彼が死ぬ1週間前に110番通報があったそうだな?お前さんが出てったらしいじゃないか。
あぁあの件か。
3日の日千葉の屋敷の隣人とマスコミの奴らがトラブったんだよ。
ゼネコン疑惑の取材で行き過ぎがあった。
まぁ住民と記者の間に入って双方をなだめて俺は帰った。
そうか…じゃ直接千葉殺しとは関係なしか…。
ただ騒ぎが収まったあとで妙な光景見たな…。
え?千葉のカミさんと木村が立ち話してた!?後はそっちで調べてくれ。
おいちょっと待て!何すか…?てめぇそんな大事な話俺が訊かなきゃ黙ってるつもりだったのか?おい!?俺も忙しいんだよ!わめくんだったら他所でわめいてくれよ!まったく…。
まさか!?被害者の妻と被疑者が繋がってたなんて!それにあの奥さんそんな素振り微塵も見せなかったわ…。
おたくの言うとおりだ!やっぱりこのヤマ何か裏があるわ。
単なる傷害致死事件じゃなさそうだ。
あの2人どういう関係だったんだろう?大手ゼネコンの専務夫人と片方はパチプロよ!?どう考えても接点が思いつかない…。
(白井)鶴丸検事!洛星建設の談合疑惑どうやらクロのようです。
昨日社長ジュニアとラウンドして聞き出しました。
何だ?お前。
洛星建設の社長ジュニアと知り合いなのか?社長は晩節を汚したと嘆いていたとか。
ヘッ何が晩節だよ。
若い時からダーティーな事ばっかやってたから社長になれたんだろっつうんだよ。
あ…!という事はだぞこのヤマ談合に絡んだ口封じって線も出てきたよな?まどっちにしろ僕には興味のない事件だ。
では。
おいコラ!ちょっと待て!給料分ぐらい働け!バカ!そういう裃つけた事件じゃないような気がするのよ…。
よく出来ました。
お上手になりましたね。
ありがとございます。
ブラーボ。
(桜井麗子)ふ〜んマナー教室?
(吉川香織)何言うてんの。
うちらのマナーは超一流やで。
(漆原さやか)ナイフは右手フォークは左手。
(柿野たまこ)口についた汚れはそっとナプキンで拭う。
なんかさこの店暑くない!?ちょっとあんた何やってんの!?汗はハンカチで拭きなさい!ハンカチで!だってさぁ…あたしがマナー守ったって向こうがルール違反してんだもん話になんないじゃないの…。
ちょっと!あたしお肉追加!ねぇ麗子さんちょっと荒れてない?つい最近ご主人の携帯チェックしちゃったそうです。
そしたらズラーっと女からのメールが!浮気の証拠!?そうやがな…!それで最近情緒不安定になってはんねん。
超ムカツク!あ〜たまちゃんこれ全部あたしにちょうだい!ね?あたしのあたしの。
これ全部あたしのね!見てくれる亭主が亭主じゃ…マナーもへったくれもおまへんわ!確かに…相手あってのマナーおっしゃるとおり!あー!それあたしが食べる…!
(言い争う声)ご夫婦仲は上手くいってたように見えましたよ。
じゃあ家庭内の揉め事はなかった…?えぇとても仲のいいご夫婦でした。
あただ…亡くなるちょっと前に珍しく1回だけ。
出勤前に口論されてましたよ。
あなた!じゃあこれは何なんですか!?
(千葉昇)やめないか!会社が大変な時なんだぞ!落ち着いたらきちんと話す。
(黒田の声)後にも先にもあの時1回だけでした…。
あのその…奥さんが「これは何なんですか!?」って言ったものって…?よくは見えなかったんですけどあの…女性の髪留めみたいな物でしたよ。
髪留め…。
いたな…女が。
やっぱりそう思うでしょ?金も地位も名誉も手に入れた男が次に欲しがるのは女って相場が決まってるからな。
いやだとすると辻褄も合うのよ!被害者は半年ほど前から週に1度決まった喫茶店に通っていた。
というのは見せかけで周囲に内緒で実は女の部屋に通っていた…。
女の部屋じゃくつろぎてぇもんな。
美人の奥様お薦めのブランド物の靴下を脱ぎ捨てて足袋ックスに履き替え若い姉ちゃんとチョメチョメか!?ハハ!やるもんだね専務殿も!んもう不謹慎!浮気の話になるとどうしてそうやって喜ぶの!?いい女を求めて三千里。
これ男の本能!あ〜もう!あ!池内さんここここ!お〜い旦那!実は今日ヤク絡みで引っ張った野郎が副業でヤミ金やってましてね。
その返済記録に例の木村の名前がありました。
…木村威!?4日の日付で600万の借金をキレイに返済してました。
(北村・鶴丸)4日!千葉奈緒子が木村威と会った翌日じゃない!おぅ!…あ。
てめぇまたまた俺たちが誘い出さなかったらそんな大事な事黙ってるつもりだったなコラ!?府警にも地検にも貸しはあっても借りはありませんから。
その所轄のひがみ根性何とかしろお前。
いちいちカッカしなさんな。
酒がマズくなる。
何だと…!?ちょっちょっ…ねぇねぇねぇ。
その600万どこから流れたか考えてみて。
…あ!もしかすると木村の奴千葉のカミさんから引っ張り出したか!?考えられるでしょ!?そうかそうか見えてきた見えてきた。
話はこうだよ。
その専務夫人は亭主が浮気してるのを知って嫉妬に狂って亭主の殺害を木村に依頼した。
取り立て屋に締め付けられてた木村はその依頼に600万でホイホイ乗ったと。
どうだ?完璧だコラ!それじゃ安っぽいサスペンスじゃ〜ん。
あら〜?大手ゼネコンの専務を殺すのに600万なんてはした金で引き受けるわけないじゃないですか!あら?何よ何よ?2人共いきなり声揃えちゃってさぁ。
じゃあ一体あの600万は何なのよ!?だからさ…考えてみて。
熟年女性がこっそり男にお金を渡す時…どんな時よ?たとえばさ章ちゃんが浮気したとするじゃん。
そしたら何になら金払う?章ちゃんは浮気しない!だから例えばって言ってんじゃんよ…。
万が一にも浮気はしない!あの…。
あ…!おぉびっくりした…。
あ〜嫌だあたし…!今日ラブメールまだしてないじゃない…。
20年も寄り添えば大なり小なり仮面夫婦ですよ。
(アナウンサー)「気象台発表の午後9時現在の気象情報をお知らせします」「現在京都府南部に気象に関する注意報警報は出ていません」「午後5時発表の予報です。
京都府南部の今夜の天気は…」
(嗚咽)帰る時知らせて下さい。
OK。
(赤ちゃんの泣き声)
(赤ちゃんの泣き声)馬券投票券…。
嫌だな…庶民の暮らしが丸見えだ。
ハァ…何か手掛かりが見つかると思ったんだけどな…。
あら…?あれ何だろう?壁土…?確か千葉氏のズボンの裾にも壁土が…!
(白井)ちょっと鶴丸検事!ごめんください!あの…どなたかいらっしゃいます?そこの娘壁塗りやってはるわ。
あ女性なんですか?えぇ。
お父ちゃんが腕のいい壁塗り職人やったんどす。
あぁ…。
3年前に死んでしもうたけどその後継ぐって若いのによう頑張ってはりまっせ。
あのこの男性ここに訪ねてきた事ありませんでした?あぁこのおっちゃん。
よう来てたわ。
作務衣着て美鈴ちゃんと手組んで八百屋でキャベツ値切ってはりました。
キャベツ…?ありがとう。
いいじゃないか。
(竹井美鈴)…どうも。
竹井さん…?竹井さんですね?京都地検の鶴丸です。
(読経)殺された千葉昇さんご存知ですよね?千葉さんはこの半年ほどあなたの家に通ってきていましたね?千葉さんはいつもあなたの家で作務衣に着替え足袋ックスに履き替えていた。
事件にあった日はたまたま足袋ックスを靴下に履き直すのを忘れてあなたの家を出た。
違いますか?立ち入った事をお訊きしますがあなたと千葉さんの関係は…?いい歳したおじさんが女に入れあげるとは…。
始末に負えないな。
ちょっと白井検事!そんなんじゃない!汚く考えないでください!だって事実でしょ?痛っ…!あ…!失礼しました!やはりこういうデリケートな話は女性同士でするべきでしたわ。
あの…今夜時間取れますか?話す事はありません!白井清志…初めて女に殴られた…。
奥さん今日は大変立ち入ったお話をさせていただきますがここ半年ほどご主人がある女性の住まいに通われていた事はご存知でしたか?ご主人を殺した木村威のアパートの向かい側に建っている家です。
場所は知りませんけど女性の事は…。
木村威からお聞きになったんですね?その時の事を正直に話してもらえませんか?木村と会った日実は脅迫されました。
お宅のご主人は浮気をしている。
マスコミに知られたくなかったら金を出せって。
その事をご主人に?話しました。
主人は女性などいないと否定しました。
お金を渡す必要もないと。
でも奥さんは木村に600万もの大金を渡した。
なぜですか?主人の立場を守るためです。
(奈緒子)会社が今談合疑惑でマスコミに叩かれてるのはご存知ですよね?そんな最中に主人のプライベートな事が取り沙汰されたりしたら会社に迷惑をかける事になる。
それは主人のためにもならないそう判断しまして。
じゃなぜご主人が殺された時その事を警察におっしゃらなかったんですか?恐喝されていたとしたら木村はまず最初に犯行を疑うべき人間ですよ。
取り乱していて気がつきませんでした。
木村が逮捕された後も恐喝の事実を伏せていらした。
主人の名誉のためです。
会社に迷惑をかけないためです。
さすがマナー教室の先生ですね。
もうホントにそつがない。
でも奥さんにはいつもはぐらかされてるような気がする。
奥さんは本音を言ってない。
まだ何か隠してる事があるんじゃないですか?立場のある人は全てをさらけ出すわけにはいかない。
確かにそうね。
でも立場や会社がそんなに大事なんでしょうか?あたしは奥さんみたいにいつも隙なく礼儀正しい人よりたまにはお茶をこぼすぐらいの女性の方が安心するような気がします。
ご主人もそうだったんじゃないですか?鶴丸検事やや言葉が過ぎてます。
そろそろ失礼します。
もし胸のうちをさらけ出す相手が必要な時はいつでもお力になります。
夫を殺された上に若い女性と不倫の関係を結んでいるとわかった。
そのダメージのせいで心に蓋をしている。
的確に見てるわね。
そこは評価するわ。
傷心の美女も悪くない。
この白井清志でも迷うな…。
木村さん我々の捜査で意外な事実関係が明らかになってきました。
そろそろあの事件当日に起こった事を正確に供述しませんか?俺はねぇ嘘なんかついてませんよ。
(ため息)ではこの…2人の女性について質問します。
…ご存知ですよね?こちらはあなたの部屋からよく見える向かいの家の住人竹井美鈴さんです。
あなたが誤って突き飛ばした千葉昇氏が彼女の部屋に度々訪れていたという事が判明しました。
おかしいですよね?あなたはたまたまぶつかったのが千葉氏だったと言った。
でもあなたは知っていた。
千葉さんの顔も千葉さんと竹井さんが交際していた事も!あなたはその事実を元にこの千葉奈緒子さんを恐喝した。
そして…600万円を手に入れた。
そうですね?事件当日に起こった出来事を…きちんと正確に説明しなさい!まだ借金があったんだ…!だからもっと引き出せるかもしれないって…。
殺すつもりはなかったんだ!
(赤ちゃんの泣き声)
(美鈴)違う違う!こうやって下から上に下から上に…。
あそっか。
(笑い)
(木村)洛星建設の専務さんちょっと話聞いてくれるかな?先週奥さん俺の話ちゃんと聞いてくれたよ。
君か…うちのを脅したという男は。
あと100万でいいんだよ。
なぁ頼むよ困ってんだよ〜。
よしたまえ!しつこくすると警察呼ぶぞ!待てよ…!バラすぞこの野郎!この野郎…談合しやがってえ?娘みてぇな女といちゃいちゃしやがって…!おい…目を開けろ!おい…!どうしました!?どうしました!?それが事件の真相ですね?
(ため息)あやちゃん見事だ!通りすがりの犯行と思われた事件の裏側をよく暴いてくれた。
君のような部下を持って私は誇らしいよ。
ありがとうございます。
ただ…。
ただ…?また事件の関係者に過剰な思い入れをしてるのかね?いや…他人事とは思えないんです千葉奈緒子さんを見てると。
というと?私たち熟年世代は人生を四季に例えると夏が終わり秋を迎えようっていうところです。
まだまだ頑張れる。
いやもう諦めた方がいいかな?そんな思いで否応なしに揺れる季節なんです。
秋を思う季節…思秋期。
そんな時支えてくれるのは妻であり…夫。
今までの生涯を共に暮らしてきた相手です。
それなのに彼女はご主人に裏切られ今一人ぼっちなんです。
だからこそ一言も本音を口に出来ない。
確かに傷ついている人間はガードが固くなるものだ。
その傷を癒すにはまずあのマナーで取り繕った仮面をはがさないと。
つまり君は彼女を救いたいと?あぁ…まぁ…。
(ノック)鶴丸検事お客様です。
何なんでしょう…?何が言いたくて検事さんに会いに来たのか自分でもよく…。
私は…つまり…そんなにつまらない女に見えますか?いいえ。
とても魅力のある方だと思います。
ただ…ご主人様にはそれが全てではなかった。
私は努力してきました。
結婚して20年出世していく主人に相応しい女性になろうと教養を身につけセンスを磨き会社の人事にも目配りをし…。
なのに…。
屈辱でした。
あの男にお金を渡したのは主人を寝取られた女だと生徒さんや世間に知られるのが我慢ならなかったからです。
プライドを守るための…お金でした。
奥さん!ちょっと付き合ってもらえますか?…え?…奥さん!今日はマナーを忘れてもいいんじゃないですか?失礼します。
だ〜い好きだった!千葉さんお好み焼きが大好きだった。
嘘よ…ロールキャベツでしょ。
ううんお好み焼き。
ロールキャベツ。
お好み焼き。
お好み焼き好きだったわ…昔。
千葉さんが最後にここに来た日言ってた。
「多分もうじき逮捕されるだろう。
そうしたら刑務所に行く事になるかもしれない」。
あたし聞いた。
(美鈴)「刑務所出たらここに帰ってくる?」って。
千葉さん答えなかった。
もうここへは来ないつもりだったんだと思う。
奥さんとやり直すつもりだったんじゃないかな?
(笑い)確かにここならお茶をこぼそうが何をしようが平気ね。
お掃除あまりお好きじゃないでしょう。
千葉さんはここを「天国だよ」って言ってくれてたけど。
それで半年もここへ…。
わからないわ…。
私の何がいけなかったんでしょう?私が歳を取ったからかしら?男の人は結局若い女性ならいいのかしら?それじゃあまりに情けない…!正解!ねぇ?男って勝手!いくつになっても若い女性がだ〜い好きで。
男の甲斐性だ!なんてねぇ平気で浮気して…。
で次の恋を探すと…。
妻は精一杯尽くしてるのにねぇ!…違う!奥さん達は旦那に楽しそうな顔を見せてあげてない!小言言ったり愚痴言ったりばっかりで!2人で面白い事探して一緒に大笑い出来るような奥さんなら旦那だって逃げ場所探したりしない!
(ため息)それも正解だ!ほっ!一緒に買い物した。
お好み焼き食べた。
(美鈴の声)一緒にギャグ考えた。
(美鈴)週に3時間しか会えなかったけど2人で目一杯楽しんだ!ここで…2人で!あ…あら?ちょっとこれ…あちっ!これ火強すぎない?あらら…。
(美鈴)奥さん贅沢よ…。
あたしといる以外ずっと一緒だったんじゃない。
(美鈴)そんなに望まなくても…!痛っ…!何…!?私は妻だったのよ!あたしの方が愛してた!愛なんて言葉を使わなくなるのが夫婦なの!
(奈緒子)それが生活なの!20年って時間なのよ!
(美鈴)離してよ!いくら戻ってきたって思い出があるじゃない!あなたとの思い出!ここの思い出!それを大事にするつもりだったんだわ!
(揉み合う声)かなわないわ…結局は負けだわ。
勝ちも負けもないわ。
ただもう…男がしょうがない。
ただそれだけです。
(ため息)食べましょう…ね。
焼けてるかしら?…まだだと思う。
え〜?早かったかな?はい。
どれ…?熱…。
最後に…ここに来たあの人…。
どうでした?苦しんでた?逮捕を恐れてた?「早く捕まった方が楽になる」って。
「もう覚悟は出来てる」って。
サバサバしてた。
じゃあ…苦しみながら死んだんじゃないのね。
それならいいの…。
楽な気持ちで死ねたのなら…。
奥さん…。
あの人の妻でよかった…。
あの人が…お世話になりました。
焼き直します。
食べましょう。
それが供養です。
カミさんと女を鉢合わせさせるなんてよくそんな空恐ろしい事が出来たもんだぜ。
奈緒子さんには明日があるの!今はつらくても頑張って乗り越えて実りの秋を迎えて欲しいじゃない。
(鶴丸りん)ショック。
男って同時に2人の女性を愛せるんだ。
あ〜りんはまだまだこういう話に首突っ込むのは早いから。
ね?まだまだ。
カミさん一筋の章ちゃんつうのは言ってみりゃ世界遺産だな。
大事にしろよ。
うんもちろん!あいや…案外東京で上手くやってるだけだったりしてな。
そんなわけないでしょ!?章ちゃんはね何があってもあたし一筋なの!もうホントに汚らわしい!モデルみたいなあたし一筋に決まってるじゃない!オホホ…!幸せっちゅうかバカっちゅうか。
ハハハ…。
ねぇねぇモデルにスカウトされた事ってある〜?ないわよね〜?オホホ…。
どうしよう?またスカウトされちゃ…もう今度は断われないわよね〜オホホ…!2016/01/14(木) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
京都地検の女4[再][字]
名取裕子主演人気シリーズ第4弾!事件解決のカギは“主婦の勘”。京都地検・鶴丸あや検事が、事件の盲点を主婦ならではの視点で鮮やかに解き明かす!
詳細情報
◇番組内容
第2話「マナーの達人」▼スーツ姿に似あわない“足袋風靴下”をはいて、男性が殺された!そして、被害者の妻は何かを隠していた!事件の裏にある“秘密”とは…!?
◇出演者
京都地検検事・鶴丸あや ・・ 名取裕子
京都府警刑事・北村鉄男 ・・ 船越英一郎
中京署刑事 ・池内弘二 ・・ 益岡徹
京都地検事務官・太田勇一・・ 渡辺いっけい
京都地検副部長・高原純之介・・蟹江敬三
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
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