人生デザイン U−29「自転車店経営」 2016.01.13


人口150万の大都市福岡。
その街なかを走るちょっと変わった車を発見。
う〜んなんとも味のあるヴィンテージカーです。
ご機嫌な音楽を鳴らしながら運転しているのが今日のU−29松山優輔さん29歳。
市内のとあるマンションにこの日のお客さんそして壊れた自転車が待っていました。
何でこんな絡まっとるかな。
松山さん実は出張修理を行う自転車屋さんなんです。
電話一本で自宅にも出先にも来てくれます。
さすが仕事が速いね〜。
はいっす!ありがとうございました。
できました!ありがとうございます。
今は何よりお客さんの笑顔。
そんな彼の人生デザインとは?福岡市の中心部那珂川沿いのマンションが立ち並ぶ中に松山さんの仕事場があります。
ヴィンテージカーに工具を載せて自転車の修理を始めたのは4年前。
蓄えた資金を元に去年念願の店舗もオープンしました。
午前中は出張修理。
お店はお昼にオープンします。
まるで洞窟のように狭い店内。
びっしりと並んでいるのはタイヤやペダルなど交換用のパーツです。
新車を売るというより修理が中心の自転車屋さんなんです。
この店に初めてやって来たお客さん。
お〜タイヤ極太ですね。
知り合いの紹介です。
(取材者)紹介で?紹介で。
太っ!…っていうか本当これ。
うんパンクです。
でもチューブが太いため扱いはなかなかやっかい。
おいっす。
何か青いキャップになってるんですね。
おしゃれ。
どんな注文にもできるだけ応えてあげたい。
それが松山さんのモットー。
ありがとう!いいえ。
じゃあ仕事行ってきま〜す。
ではでは。
また何かあったら…。
はい。
どうも〜。
お気を付けて。
行ってらっしゃい。
行ってきま〜す。
じゃあね。
あっいいね。
おおっ…。
こんにちは〜。
お疲れさまです。
お疲れ!髪めっちゃ切りましたね?あっマジ?分かる?めっちゃこれすみませんちょっとサドルもらったんですけど。
くれると?いやいや…あげないですあげないです。
今度はどうやら常連さんのようですね。
ビーチクルーザーのやつよこれ。
あっ本当ですか。
へえ〜。
紙袋に入れて持ってきたのは人からもらったという自転車のサドル。
パーツ交換の依頼でした。
こちらのお客さんいろんなパーツを寄せ集めてこだわりの自転車に仕上げています。
おいっす!ありがとうございます。
ありがとうございます。
じゃあちょっと…。
ああ。
とりあえず行ってみよう。
見せびらかしてきますね。
うん10秒ぐらい…。
座り心地から。
やっべえ!行ってらっしゃい。
行ってきま〜す。
ありがとうございます。
おいっすありがとう!ただ…持ってきてたし。
ただしただけなんで。
めっちゃヤバいすって!これ。
ヤバい!めっちゃヤバいっす!めっちゃ…半端ないんですけど。
お帰り!乗り心地がもう尋常じゃないです。
マジで?よかった。
ヤバッ!めっちゃヤバい。
いいね。
こんな変わるんですねサドルだけで。
びっくりした。
よその自転車屋さんだとこういう自転車見て何かちゃんとやってくれないっていうか…。
イエ〜イ。
イエ〜イ。
よろしいでしょうか?イエ〜イ。
店を始めてもうすぐ1年。
でもお客さんが一人も来ない日もあります。
自転車の仕事をするとは夢にも思わなかった松山さん。
彼をこの仕事に導いたのは音楽でした。
学生時代からクラブに通いDJとしての活動を始めます。
自分がかける音楽で楽しんでくれる仲間たち。
松山さんの世界が変わりました。
ずっと続けてる事っすね。
大学卒業後デザイン会社に就職しますが残業の連続。
DJ活動ができないと1年足らずで退職します。
いくつもの仕事を転々とした後クラブ仲間の紹介で働き始めたのが自転車屋さんです。
自転車がよみがえった時のお客さんの笑顔。
それは松山さんを幸せにしてくれました。
その時送る時とかも何か「ああ〜」ってなるっすよね。
この日ちょっとやっかいな自転車が持ち込まれてきました。
ペダルが動かなくなったという年代物の自転車です。
ここなんすけど…ここがもう回らない。
中の軸を回すための金具がさび付いていて何度やってみても外れません。
松山さんかつて働いていた自転車屋さんに助けてもらう事にしました。
すいません。
手に負えないです自分には。
松山さんが師匠と慕う原田一郎さんです。
きれいな顔しときゃよかった〜。
ハハハハハッ…。
原田さんいくつものやり方を試したあげく研磨機でネジを削り始めました。
お客さんを喜ばせるためにできる事は全てやってみる師匠。
うわっ固っ!お〜っ!よし来たな来たな!すげえ!うわ〜もうすごいわやっぱ!油にまみれて働く師匠のかっこよさ。
それが松山さんの自転車修理の原点です。
すげえ!取れた!すごい!かつて福岡市内で9軒の自転車店を経営していた原田さん。
しかし詐欺に遭って多額の借金を抱えました。
社員に給料も払えない日々。
松山さんは自らの意思で原田さんの店に残り1年間給料なしで働き続けました。
(取材者)給料なしで働いてたんですか?そうですね。
あんなにね…給料の代わりに松山さんが師匠から譲り受けたのがヴィンテージカーでした。
自転車の仕事に面白さを感じ始めていた松山さん。
もらった車を使って出張修理を始めました。
家まで来てくれる便利さは評判となり松山さんの自転車屋としての道が始まったのです。
はいポイチャリです。
松山さんは3年前からレンタルサイクルも手がけています。
お客さんの所まで自転車を届ける宅配型サービスが特徴です。
ここでもあのヴィンテージカーが大活躍。
この日向かったのは福岡市内のビジネスホテル。
お買い物自転車からマウンテンバイクまでニーズに合わせて15台を用意しています。
あっ小野です。
あっどうも。
すいません何か…。
お客さんは山口県から仕事で来たという男性です。
免許証など身元の分かるものを確認して貸し出します。
決められたエリア内の駐輪場なら乗り捨て自由。
どこでもポイっとチャリを返せます。
今日ちょっといろいろ…続いてこちらに3台配達。
注文したのは家族連れで福岡を旅行中の韓国人ファミリー。
うん福岡の街ゆっくり楽しんで下さいね。
行ってらっしゃい!レンタルサイクルの注文は現在1か月40件ほど。
収入の大きな柱になっています。
夜7時過ぎ。
そろそろ閉店の時間です。
自転車に乗って若い女性がやって来ました。
お客さんではありません。
お疲れ。
お疲れっち。
あっこれもやない?在庫のチェックを始めたのは交際中のガールフレンド。
板垣桃子さん。
10月の売り上げが…読んだらあれじゃないですか。
7万3,662円って書いて…。
で11月は目標10万。
お〜。
先月よりいいやん。
何で?どうしたと?俺。
だけどもそこに残ってるお金はほとんどなかった…。
(笑い声)4万…4万しか。
う〜ん桃子さんなかなか手厳しい…。
実際自転車屋さんの収入だけではかつかつ…。
それでも暮らしていけるのは松山さん桃子さんのマンションで同居中だからです。
そのかわり料理を作るのは松山さんの仕事です。
ミートソースは得意よね。
味付けは自己流ですがかなり本格的。
頂きます。
頂きま〜す。
エステティシャンとして働く桃子さんと自転車屋の松山さん。
2人の出会いもやはりクラブでした。
うまいっちゃない?おいしい。
一緒に暮らしてもうすぐ1年になります。
自転車の自転車屋さんのね自転車のよさを書いてる1ページ目に…。
桃子さんのノートです。
2人で話し合った事が書かれています。
「自転車で人と人との距離を近づけてこの街をもっと楽しくしたい」。
頑張れ〜。
絶対できると信じてるから。
ねっ?絶対うまくいくって信じてるから。
「頑張れ〜!」と応援してます。
松山さんの一週間スケジュールです。
午前中は出張修理と宅配レンタルサイクル。
店舗での営業はお昼から夜8時までです。
定休日は決まっていませんが月に4〜5日ほど休みます。
売上はひとつきおよそ15万円。
お店の家賃やガソリン代などの経費を除くと手元に残るのは4万円ほど。
そのお金もDJ活動のためのレコード代やクラブ仲間とのつきあいで消えていきます。
松山さん今でも月に1〜2度はクラブでDJをしています。
でもこの日はDJではなくフードの担当で入っていました。
一人黙々とハンバーガーを焼くのは少ない収入を補うためのアルバイトなんですがもう一つ大事な仕事があります。
自転車屋さんのPRです。
中途半端に緩くねえ?ホームグラウンドのクラブでのつながりを生かして少しでもお客さんの拡大につなげたいと考えています。
イエ〜イ。
若い子たちとつながれた。
22〜23でしょ?…1?2?22です。
22?毎週火曜日の夜は居酒屋でアルバイトもしています。
この店のご主人もクラブで知り合った仲間です。
楽しみはバイトが終わったあとの賄い。
やったね。
すごいおいしそうやった。
なんとちゃっかり桃子さんまでやって来ます。
(取材者)これ賄いですか?賄い。
刺身余してもしょうがない。
刺身余してもしょうがないんで。
頂きます。
やべえ刺身カジキ。
やった〜!うまそう。
おいしそう。
うんマジうめえこれ。
おいしい。
毎週僕がバイトの時は終わる時間を見計らって来ます。
終わる時間よりもちょっと早く。
ちょっと早めに最近…。
手伝いをしてごはんを食べる。
クラブでの出会いそして仲間たちとのつながりに支えられて自転車店を続けてきた松山さん。
今また新しい事業の展開を考えています。
ヒントとなったのは外国から来たお客さんの言葉でした。
韓国人の方とかが1回貸したらその人が自分のブログか何かで「よかった」と書いてくれたみたいでそれを見て来ましたとかいう人もいますし。
ああお疲れさまです。
この日相談に現れたのは松岡まさたかさん。
宅配型レンタルサイクルを一緒に運営してきた仲間です。
めちゃくちゃ増えてるからですね外国人旅行者も。
どちらかというとターゲットにするというよりはその人たちにサービス提供できてないのが悪いなみたいな気持ちもあってずっと。
どうすればもっと外国人にも使いやすくなるのか。
2人はレンタルシステムの見直しを始めました。
マジで普通に来て自転車借りれるみたいな感じで。
どこのチャリ屋でも返せますみたいな。
そうそう…。
その構想がベストなんやけどね。
どこでも自転車が使えるようになれば土地勘のない外国人も使いやすいはず。
そのためには参加する仲間をもっと増やさなければなりません。
お疲れさまで〜す。
レンタルサイクルどんな感じでいこうかなと思っててですね…。
この日は松山さんの自転車屋仲間にレンタルの仕組みを説明。
今後ホームページの外国語版を作る計画なども話して参加を呼びかけました。
何かしないといけないなと思ってたやさきにそんな話になったんで…。
どうやらいい方向に話がまとまったようです。
続いて訪ねたのは福岡市内の福祉作業所。
あ〜すごい。
こんちは!ここでは入所者が放置自転車を下取りして分解。
リサイクル自転車を作っています。
その熱心な表情と丁寧な仕事ぶりに松山さん驚かされました。
新品ですね本当。
めちゃきれい!自転車屋やってる僕より結構ちゃんとしてるというか。
あそこまでばらしてほぼ新品だったんで驚いたのと。
レンタル用の自転車を確保するルートが見つかりました。
座っときいよ。
クラブで知り合った新しいお客さんがやって来ました。
タイヤとチューブの交換です。
ネジが結構斜めに入っとるけん取るのが…。
ライトがグラグラしていました。
取り外したチューブを使って固定してあげます。
こんなもんでいいんじゃないですか…とりあえず。
ついでにベルの修理もサービス。
料金はタイヤとチューブ交換費用のみ。
全部でいくらですか?3,500円です。
えっ?はい。
マジ?いいんですか?ありがとうございます。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
3,500万円頂きました。
イエ〜イ!松山さんに最後に質問です。
きっと…そこを信じて。
こんばんは。
こんばんは。
直りました?はい。
気持ちが足りんって…。
ハハハハハッ!いやでも…じゃあ更に経験を積まれたという事で。
そうですね経験値上がりました。
勉強になりました。
大事に乗りますんで…。
すごい軽くなってる!あ〜やった!いいっすねいいっすね。
やった〜。
やったね!すごい軽くなってる!信じられないくらい違う。
ありがとうございます。
よかった!よかったです。
すごいすげえ軽い!ありがとうございます。
どうも!うれしいですよねあれが一番…本当に。
2016/01/13(水) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「自転車店経営」[字][再]

福岡市に新しい自転車店が誕生。店主の松山優輔さんは出張自転車修理サービスが評判になり、路面店も始めた。「自転車で街を面白くしたい」と夢を語るその人生デザインとは

詳細情報
番組内容
今、環境に優しい自転車が古くて新しい生活ツールになっている。去年、福岡市の繁華街近くの下町の古い空き家に新しい自転車店がオープン。店主の松山優輔さん(29)は4年前に始めたヴィンテージカーでの出張修理サービスが評判になって念願の路面店を始めた。午前中は連絡を貰ったお客を車で回り出張修理し、お昼に開店する。「人と人との距離を近づける自転車で街をもっと面白くしたい」と夢を語る彼の人生デザインとは?
出演者
【語り】松坂桃李

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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