エレベーターが上の階へ移動します。
この時エレベーターの位置エネルギーが増えました。
電気自動車が加速しています。
電気自動車の運動エネルギーが増えました。
ホットプレートはスイッチを入れると熱が発生し続けます。
ではこれらにエネルギーを与えたのは一体何でしょうか。
いつもエネルギーを与えています。
理系女子の黒田有彩です。
いつもエネルギーをもらってる現役高校生熊谷知博です。
熊谷君それじゃ仕事してないって事になるのよ。
いやしてるしてる…。
まあその話じゃないけどエネルギーが増えたって事はつまり仕事をされたって事だったよね。
うんうん。
じゃあ仕事をしたのは何?う〜んと…みんな電気を使っていたから仕事をしたのは電気だね。
そう。
エネルギーを与えたのは電気。
私たちの生活には必要不可欠なエネルギーだよね。
うん。
電気が持つエネルギーが今日のテーマです。
ポイントはこの3つ。
電気が持つエネルギーこれをどのように測りどのように表すのか。
そして私たちの生活の中でそのエネルギーはどのように利用されているのでしょうか。
今回お話頂くのは増渕哲夫先生です。
(2人)よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今回はエネルギーに注目して電気の利用について考えていきます。
という事でこのようなものを用意しました。
はい。
では電気が仕事をする様子を一つ一つ見ていきましょう。
まずはこちら。
電池をセットして動かすと…。
お〜。
おもりが上に上げられてくね。
そうですね。
はい続いてはこれ。
この電車の中には電池が入っていま〜す。
それではスイッチオン。
これは電池によって動いてるから電気によって運動エネルギーが増えたって事だよね。
そのとおり。
それからこれはどうでしょう。
スチールウールに電池からの電流を流してみますよ。
どうなるか見ていて下さいね。
(黒田熊谷)はい。
おっおっ…お〜!電流が流れて燃えてますね。
このように電気というのはいろいろな仕事をする事ができました。
仕事をするっていう事ですから電気はエネルギーであるっていう事が確認できた訳ですね。
この電気エネルギーが私たちの生活を支えてくれてるんだね。
で使った電気エネルギーの総量に合わせて毎月電気料金が計算されるのよ。
う〜ん大変なんだね。
大変なの。
では毎月の電気料金の計算の基になっている…こちらを見て下さい。
電気エネルギーの量っていうのはその電気がどれぐらい仕事をする事ができるかっていう事なんですね。
電力量っていうふうにも言います。
それから電気が1秒間にどれくらいの仕事をしているのか。
それ仕事率っていいますけれどもその仕事率の事を電力というふうにもいいます。
電力っていうと力っていうイメージが強いですけれども電力っていうのは仕事率の事なんですね。
はい。
仕事と仕事率の単位熊谷君覚えてる?え〜っとJとWだよね。
という事は…そのとおり。
ではその電力量や電力はどういうふうにして測っていったらいいのか考えてみましょう。
まずこちらのニクロム線に電流を流してみます。
だんだん赤くなってきましたね。
(黒田熊谷)はい。
電気が熱のエネルギーを作り出してるんですね。
そうなんですね。
導線に流れた電流が発する熱の事を…ただこの場合はちょっと難しいんです。
というのは今発生したジュール熱が空気中に逃げていってしまうからなんですね。
ですからこのニクロム線を水の中に入れて水を温めてその水温を測る事によってジュール熱を求めてみる事にします。
これは…この金属突起の中にニクロム線が入っていて電流を流すとニクロム線からジュール熱が出て水を温めます。
ニクロム線は電気抵抗が5Ωのものと10Ωのものと選ぶ事ができます。
蓋には温度計が付いています。
まずはジュール熱と電流の関係を調べてみましょう。
電気抵抗が5Ωのニクロム線につなぎ電流を流します。
電流の大きさは1Aです。
温度が上がってきました。
20度になったところで測定を開始します。
かき混ぜながら温度の変化を調べます。
10分後水の温度は21.1度になりました。
次に電流を2Aにしてもう一度実験します。
10分後水の温度は23.8度になりました。
それでは今の実験結果をまとめてみましょう。
電流の値が2倍になると温度変化というのは大体4倍になりました。
水温の変化っていうのは発生したジュール熱の量に関係してますから…それでは次にジュール熱と抵抗の関係を求めてみましょう。
先ほど…では10Ωのニクロム線を使って同じく1Aの電流を流すと温度変化はどうなるでしょうか。
10分後水の温度は22.1度になりました。
それでは実験結果をまとめてみましょう。
5Ωの抵抗に1Aを流した時の温度変化。
それから10Ωの抵抗に1Aを流した時の温度変化。
約2倍になってます。
という事は…それから先ほどの実験でジュール熱というのは電流の2乗に比例してるという事が分かりましたしそれからこの実験の2倍の時間3倍の時間やると発熱する量っていうのは2倍3倍になりますからまとめてみると……というふうにまとめる事ができます。
それからここではジュール熱Qと書いてあるんですけれども電気というのはさまざまな仕事をする事ができましたよね。
さまざまな仕事という事で仕事Wという事で書き換えてみると「電力量は」というような式になります。
それからIの2乗の所ですけれどもRIっていう固まりが出てきましたよね。
これはオームの法則のところでVと書く事ができますから時間tの間に電気を使いましたっていった時のエネルギーの総量電力量っていうのはW=VItという式で表す事ができました。
この電力量が私たちの電気代につながってきてるんだよね。
それから次に電力について考えてみます。
電力っていうのは仕事率でしたよね。
仕事率ってのはやった仕事をかかった時間で割れば求める事ができます。
今この電気のところでは電力というふうにいってましたけれどもやった仕事というのがVItでした。
実際にWに代入をして計算してみるとこのような形になりますね。
tとtが約分できて電力Pというのは……という式の形で表す事ができるのです。
(ブツリン)ではここで問題。
ここに4本のニクロム線をつないだ回路がある。
AとCは太くて短いニクロム線でAとCは同じもの。
BとDは細くて長いニクロム線でBとDは同じものです。
Aのニクロム線Bのニクロム線そしてCとDのニクロム線は並列なので同じ電圧がかかっています。
では…どれだ?一番温度が高いって事は一番電力が大きいって事だよね。
うん。
それで電力を求める式がP=VIだったからそれから考えると今AとBとCDは並列につながってるからこの両端にかかる電圧Vはそれぞれ同じだよね。
という事は流れる電流が大きい方が電力は大きくなるからこの中で抵抗が一番小さいのは太くて短いニクロム線A。
という事は…さあどうでしょうね。
4つのニクロム線の温度をサーモグラフィーで見てみましょう。
白というのが一番温度が高い色なんですね。
おっお〜。
やった!そうだね。
熊谷君正解ですね。
Aの次はBなのか。
その次…うん?ちょっとこの辺微妙ですけれどもDは少し緑色がついてますね。
Dの方がCよりも少し温度が高いです。
何でそんなふうになるのかっていうのを説明します。
まず抵抗の大きさですけれども太くて短いこのニクロム線一番抵抗が小さかったです。
それから一番下はですね抵抗が2本直列につながってますから抵抗の大きさが大きかった。
あと電力ですからVとIの大きさで調べていきます。
電圧はどんなふうにかかっていたかっていうと電圧は並列ですからどれも皆同じです。
それから流れる電流は抵抗が小さい所に大きな電流が流れてますよね。
という事で…それからCとDはどうなるかと言うと流れてる電流は共通ですけれども抵抗がDの方が大きいのでオームの法則でかかってる電圧はDにかかる電圧の方が大きいのですね。
ですから電力でいうと…電力量の計算のしかたが分かりましたがこの電力量で算出されてるのが私たちの毎月の電気料金です。
これはある家庭の「電気ご使用量のお知らせ」です。
ふ〜んこんなふうに書いてあるんだ。
初めて見たよ。
まあ高校生だもんね。
この「ご使用量」っていうのが月に使った電力量って事なんですね。
そうですね。
では熊谷君が将来電気代を払うようになった時のために家庭での電気の消費のしかたについて詳しく調べていく事にします。
まずは家で電気を使う時の接続のしかたですけれども一般の家庭で電気製品を使ってる時にはこのように並列で接続をしています。
こんなふうに並列で接続するとそれぞれの電気製品…今電球が3つ描いてありますがいろんな電気製品をつないだ時に同じ電圧をかけて使う事ができる訳です。
はい。
もしも直列だったら電圧は分散してしまうから一つ一つの器具に十分な電圧をかける事ができないよね。
だから電球も暗くなってしまいます。
そして何よりも直列の場合1つの器具のスイッチを切ると回路が途切れて全て器具への電流がストップしてしまう。
これは不便だよね。
うん。
一方並列だと1つスイッチを切ってもほかの回路の電流には影響なし。
変わらず電流が流れ続けます。
だから電気器具は並列につないで使ってるんだね。
うんなるほど。
では使っている電力量というのはどんなふうに測るんでしょうか。
こんなものを見た事がないですか?これは先生見た事があります。
いわゆるこれ電気のメーターですね。
正確には…これのはたらきの様子について詳しく調べてみましょう。
電力量計のはたらきを見てみましょう。
3つの電気製品を用意しました。
消費電力7WのLED電球を使った照明器具。
15Wの小型扇風機。
220Wのミキサーです。
これらを電力量計につないで電流を流しそのはたらきを見てみます。
電力量計にはアルミニウムの円板が付いています。
この円板の動きに注目して下さい。
ではまずは照明器具をつなぎます。
円板が回りだしました。
次に小型扇風機をつなぎます。
円板の回転が速くなりました。
続いてミキサーをつなぎます。
円板の回転が更に速くなりました。
円板の回転数は電力の大きさに比例して大きくなります。
電力量計はこのような仕組みで電力量を測定しているのです。
電力量計で測った1か月分の電力量がこの電気料金のお知らせに書いてあるこの数値っていう訳。
ふ〜ん。
その「kWh」?これって何?これは電力量の単位なんですね。
先ほど電力量はJという単位で表すという事をやりました。
物理では電力量をJで表すんですが日常の電気を使う時にはkWhで表す事が多いです。
電力はWですけれどもこれをkW。
それから時間は秒ですけれどもこれは時間hourのhを使って表すんです。
Jで表すとですね電気製品を使った時の電力量これが非常に大きな数になってしまうからなんですね。
はい。
計算してみれば分かるよ。
うん。
う〜んまず10分だから600秒にするんだよね。
それで…う〜ん。
で1か月30日として計算したら…ドライヤーだけでこれだけだからほかの器具を用いたらもっとおっきな数字になっちゃうよね。
最近白熱電球に代わって使われる事が多くなってきた…省エネ省エネとは聞くけどどうして消費電力が少なくて済むのか知ってますか?これは…消費電力がこんなに違うのにほとんど同じ明るさですよね。
ではこの2つの電球をサーモグラフィーで見てみましょう。
色を見るとこんなに温度の差があるのが分かります。
白熱電球はフィラメントを高温にする事で光を発生させていますが電気エネルギーの多くが熱として周囲に逃げているのが分かります。
それに比べてLED電球はあまり熱が発生していません。
このように電気のエネルギーを効率的に光に変える事で消費電力を少なくしてるんですね。
うん。
確かに白熱電球の方があったかいね。
でしょ。
技術の進歩がエネルギーの節約に役立っている例ですね。
そうですね。
それでは皆さん…。
(3人)さようなら。
電気はさまざまな仕事をする事ができます。
このエネルギーを電気エネルギーといいます。
ある時間に利用した電気エネルギーの総量を電力量といいその仕事率を電力といいます。
電力量は電圧と電流と時間の積。
電力は電圧と電流の積で求める事ができます。
家庭で使う電気は電力量計で測り電気料金は電力量に応じて決まります。
2016/01/13(水) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 物理基礎「電気エネルギーの消費量〜電力と電力量〜」[字]
電気製品に電気を流すといろいろな仕事をする。この仕事の量が電力量であり、その仕事率が電力。ポイント1.電気エネルギー2.電力は電圧と電流で表す3.電力量の表し方
詳細情報
番組内容
電気は、さまざまな仕事をする。電気がする仕事の量を電力量、その仕事率(単位時間あたりの仕事量)を電力という。電流によって発生する熱をジュール熱Qといい、抵抗がRのニクロム線にIの電流をt秒間流すと、発生した熱量QはR×I×I×t という式で表される。家庭での電力量(kWh)は、電力をkW(キロワット)×使用時間h(時間)で表す。【講師】増渕哲夫(学習院女子中高等科教諭)【司会】黒田有彩、熊谷知博
出演者
【講師】学習院女子中高等科教頭…増渕哲夫,【司会】黒田有彩,熊谷知博
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格
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