(鶴丸あや)りん!どこ行くの!?
(鶴丸りん)塾だよ。
え?休みなさいよ今日は。
あんたのためにお母さん早く帰ってきたんだから!あたしのため?んもう!今日はあんたの誕生日でしょ!忘れたの〜?さぁ消して。
その前に…あたし嘘つけない方だから。
ん?あたしの誕生日30日だよ?…つまり昨日。
嘘!?ちょっ…えぇ!?ホントだ!今日31日だ!アハハ!嫌だな〜もう!あら〜忙しいから日付までわかんなくなっちゃった!昨日何もなかったからガッカリしたけど…まぁ1日遅れでも覚えててくれただけマシか。
ちょっとりん何してるの?早く塾行きなさいよ!今日は普通の日なんだから!あ〜お腹空いた…。
いただきまーす。
しっかり勉強してね。
来年は間違えないでバッチリお祝いしてあげるから。
期待しないで待っとくわ。
早く行きなさい!遅れてんだからね。
遅れてんだから。
(警官)どうしました!?どうしました?大丈夫ですか!?しっかりしてください!しっかり…!「離婚した夫に追いかけ回され暴行を受け警邏中の警察官に保護された」…。
あ〜もう2年前にDVが原因で離婚してるっていうのに…。
気が滅入る事件ね…どう思う?太田さん。
太田さん!ニヤつきながら聞くような話じゃないでしょう!
(太田勇一)今度来る事務官見習い美人だと噂なものでつい…。
太田事務官!また上司の特権を利用してお付き合いを強要するつもり?検事!何と言われようと私は早く彼女いない歴38年から解放されたいと思って…!38年!?幼稚園の時付き合ってますから38年です!あぁ…。
(ノック)
(2人)来た!
(柿口可久子)失礼します!初めまして!今度太田事務官の下で働かせていただく事になりました柿口可久子でございます!カキグチ…カクコ?検事様…事務官様うちのお国の名物お土産にお持ちしました。
まぁ〜お国って青森?弘前です。
あぁ…。
検事…ちょっと気分が優れませんので外の空気吸ってきます。
あ…ちょっと…!まずはリンゴをガブッとどうぞ。
あ検事さんもどんぞどんぞ!ん?うん?フフフ…よがっだ〜!
(高原純之介)今回君の下で3か月の研修を行う事になった白井清志検事だ。
鶴丸です。
よろしく。
鶴丸君君も知ってるだろう?鉄鋼大手の白井スチール。
彼はそこの御曹司だ。
大学を卒業後一旦会社に入ったが退職。
猛然と司法試験に取り組んで2年目に合格!この度修習を終え着任した。
(白井清志)フフ…副部長。
猛然と勉強なんてしてませんよ。
その言葉白井清志って男には似合わない。
副部長…この方私が面倒見なければいけませんか?
(笑い)ご指名なんだよ。
白井君の。
理由は?あなたが私の下で働きたいという理由を教えて。
名前が気に入っただけですよ。
昔「あや」って美形の彼女がいてでも名前が同じだからっていい女だとは限らない。
白井清志ミステイク!ハハハ…!あんたがミステイク!
(笑い)フン!
(笑い)
(笑い)白井君…仲良くやってくれたまえよ。
い…痛い痛い…。
あなたには黙秘権があります。
自分の意思に反して供述する必要はありません。
では始めます。
小暮宏高さん。
あなたは9月2日21時30分頃2年前に離婚した妻福永伸子を蓬莱橋に呼び出し…。
(小暮宏高)お前みたいな母親になぁ子供が育てられるわけねぇだろ!?
(福永伸子)やめて…!二人の子供の親権を巡って口論になりカッとなったあなたは福永伸子を暴行。
2週間の重症を負わせた。
(警官)どうしました!?しっかりしなさい!違うね!俺があんな女のところに行くわけないだろ?大体俺がガキのためにあいつと喧嘩すると思うか?でもあなたは福永伸子さんの供述を認め警察で署名捺印している。
(小暮)刑事がうるさく言うからサインしてやったんだよ。
(ため息)
(小暮)近頃仕事も不調でね。
しばらく中で飯食った方がいいかな〜って思ったし…。
そんな理屈は通りません!鶴丸検事。
クールダウン。
(咳ばらい)福永伸子さんはあなたに殴られたと言っている。
実際に怪我もしている。
なぜですか?
(小暮)知らねぇよ…本人に訊けよ!鶴丸検事被疑者に事件当夜のアリバイを訊くのが問題解決への近道かと。
今訊く!!小暮さん。
福永伸子さんがあなたに殴られたと供述している9月2日の夜あなたはどこにいましたか?そしてそれを証明する人は誰かいますか?証明する人間は…いない。
しかしあの夜俺は電話で呼び出されて…。
(小暮の声)儲け話があるって知らない男から電話があったんだ。
(小暮の声)でもすっぽかされた。
知らない男…?そんな話を信用しろと?
(小暮の声)ホントなんだって!単純な傷害事件だと思ってたのに…!警察の詰めの甘い捜査のしわ寄せが全部こっちに来る。
検事!昼休みにしてもよろしいでしょうか?どうぞ。
可久ちゃん!パスタ好きかい?素晴らしい店にご案内したいんだけども。
デザートは充実してますか?京都じゃねスイーツっていうんだよ。
ちょっと待ってて…検事!私ね決心しましたよ。
今全く垢抜けない山出し娘ですけどもこれから様々な課題を彼女に与えて一端のレディーに仕立て上げようかと!レディーって…。
『マイ・フェア・レディ』ですよ検事!「スペインでは雨は主に広野に降る」!「ザレインインスペインステイズメインリーインザプレイン」!「インスペイン〜」バカ!白井検事!中京署に行って小暮宏高を担当した池内刑…!もうっ!いい!自分で行く!
(オペラ音楽)鶴丸検事!白井は今日5時に帰りますんで。
なんで!?僕の大好きなテノールが来日してるんですよ。
テノール…?検事…オペラ!わかります?どいつもこいつも!小暮宏高よ!覚えてないの!?
(池内弘二)えーっと…。
もう!池内さん!あなたが取り調べしたんでしょ!もう早く思い出しなさいよ!そんなねぇつんけん言われたら思い出すもんも思い出さない…。
もう脳ミソ溶けてんじゃないの!?どうぞ。
ありがとう。
バ…ババローア…う〜ん…フフラミンゴ!あとあとあとは…ヨセ!カレーライス!カレーライス?何すか?それは。
3大テノールよ!チッ!うちの新人オペラで早退ですって!あ〜ムカつく!
(北村鉄男)「羽のように〜」陽気がいいとこういう奴が現れるんですよ。
「いつも変わる〜」「女心は〜」池内!はい。
お前オペラってどんだけ高ぇか知らねぇだろ?D席E席でも1〜2万するんだ。
これが女とさS席でも行った日にゃもう…!こちら府警本部の高給取りの警部さんとは違いますから。
(堀川正太)半年間オペラ好きの女に振り回されたんですよ。
そしてティッシュみたいに丸めてポイと!捨てられた!ちょっと今大事な話してんだからあっち行って!邪魔しないで!行って行って行って!ねぇ思い出したの!?小暮宏高!あぁ…!小暮?なんだあいつまた女でもぶん殴ったか?知ってんの!?あぁ今あいつと一緒に住んでるホステスの友達の友達の友達ってのが今の俺のガールフレンドだ。
1度だけ相談に乗った事があるわけよ。
北さんって夜の帝王ですから。
そうそうそうそう。
ねぇ小暮ってさ…ヒモ?筋金入りのな。
女は殴りゃなびくと思ってるおバカっちょだ。
あぁ!思い出した思い出した!何だ!?気持ち悪ぃな。
雨の日に別れた女房をボコボコにした奴だ!被疑事実全面否認したわよ!えぇ!?うちじゃ「すいませんすいません」って謝ってばっかりいたのに…。
たまにはしっかりとした取り調べをして検事を楽させてよ!あ聞き捨てならねぇな。
たまにはさっさと起訴してよ。
したくてもそっちがボコボコボコボコ穴の開いた調書しか出さないからそういう事に…!ヘボ検事がデカい口叩くんじゃねぇ!大口叩くな!クソババァは引っ込んでろ!何がクソババァよ!ババーロアフラミーンゴヨセ・カレーライス…あたしオレンジね!カレーラスだ!太るぞ!アイス2本。
堀川ちょっと小銭出しといて。
え…?ああいうふうになったらね放っといた方がいいんだよ。
汚ねぇなあんた…。
(伸子)本当です…。
あたし小暮に殴られました。
全治2週間の診断書もちゃんと出して…。
えぇ…確かに診断書の写しもここに。
小暮は女を殴るしか能のない男です。
別れた後も何度も訪ねてきてあたしに暴力を振るい…。
小暮と離婚後も何度も接触があったんですね?その度に殴られた?でも表沙汰になったのは今回が初めてですよね?それは…?今までは…!大した怪我ではなかったので。
福永伸子さん1つお訊きしますがあなたは小暮と子供の親権をめぐって口論になったと供述していますが小暮があなたから2人のお子さんを引き取って面倒を見るとでも言ったんですか?そうです。
そのとおりです。
(椅子をゆらす音)
(ため息)
(椅子をゆらす音)小暮は現在飲食店で働く女性と同居してるようです。
あなたと離婚した後も水商売の女性の間を転々と。
彼は自分の事で精一杯のように思える。
とてもあなたから子供を引き取って面倒を見ようと考えるとは…。
(伸子)言ったんです!小暮がそう言ったんです!だからあたしは子供たちを連れて行かれるよりは殴られた方がいい…暴力に耐えて済ませた方がいいと…。
女に手を上げる男って最低!考えただけでムカつく!お母さんはお父さんに殴られた事ないの?あるわけないでしょ!…反対はありそうね。
ちょっと…!でも「ある種の女にとって暴力が不可欠不可避な場合がある」って何かで読んだ。
暴力を振るう男から逃れたと思ったらまた暴力を振るう男と一緒に暮らしてるってあるらしい。
ほ〜…。
ねぇあんたはそれについてどう思うの?面白いな〜人間って。
腹立たない!?殴る男にも!殴られてる女にも!お母さんみたいにいつもカッカしてると物事の本質見誤るよ。
はい洗っといたからあと拭いといてね。
うん…。
なんかあの子…知らない間に遠くへ行ってしまったような…。
(蝉の声)
(ノック)
(ノック)
(ため息)ボヤを出したのよ。
ボヤ…!?いつの事ですか?今年の頭。
幸い発見が早ぅて大事には至らへんかったけどねぇ…。
はぁ…で出火の原因は?子供が料理してて油に火が移ったらしい。
まぁ!自分らで唐揚げ揚げようとしててん。
あの…福永伸子さんはお勤めですよね?マッサージ店で働いてる…。
その留守の間に?あの母親いつも家になんかいますかいな!ボヤは夜中!あの子らいつも母親にひもじい思いさせられてるから。
自分らで何か作って食べようと思ったんよ!でその時お母さんは…。
さぁそれやがな!ふざけた話なんよ!オ〜バハン。
カモン。
スノーボード!?福永伸子が!?あぁ…あのボヤのあった日にな子供たち2人を放っぽらかしてスノーボードに行っててそれを新聞のコラムに書かれたったんだってよ。
それ以来この辺りじゃ鬼ママって事で有名らしいぜ。
鬼ママには見えなかったわよ!彼女はこうなんて言うの?自分の事を表現するのが下手で不器用にしか生きられないってそういう感じよ。
鬼ママぶりを証明する決定的な供述もあんだよ。
おっちゃん!悪いけどささっきの話もういっぺんこのオバハンにしてやってくんねぇ?あんたがオバサンって言わないで!お盆の頃やったと思うけどわしそこの墓で鬼ママが子供2人をバチバチ殴ってるのを見たんですわ。
(蝉の声)
(可久子)これですかね?「許せない事件である」「1月12日京都市のアパートで起きたボヤ騒ぎ」「ボヤを出した小学生の姉弟は2人で留守番をしていた」「その時母親は驚くなかれ温泉のあるスキー場へ泊まりがけでスノーボードに行っていたというのだ」「日本の母はいつからこんなに堕落したのか…」
(白井)それホントに失火ですか?えっ!?白井検事こっちの話聞いてたんですか!?僕を侮ってもらっちゃ困るな。
この白井清志一度に8つの事が出来る男ですよ!聖徳太子を超えた…!そのボヤ放火でしょう。
鬼ママが子供を焼き殺そうとしたんですよ。
えぇ!?まさか〜!何が聖徳太子よ。
福永伸子は泊まりがけでスノボーに出かけてたのよ?放火なんか出来るわけないじゃない。
男にやらせたんですよ。
(太田・可久子)なるほど!男って誰よ!?白井検事。
今の発言は何か根拠があっての事ですか?根拠…?特に。
でも一瞬のひらめきが緻密な論理に勝利する事だってありますから。
鶴丸検事のいつもの「主婦の勘」!ってやつもそれですよね。
お黙り!!であなたは常習的な上司のいじめに耐えられ…。
白井検事続きをお願いします。
福永伸子の子供に会ってきます!ちょっと…鶴丸検事!?鶴丸検事太田君が「君の職務放棄断じて許せない」って駆け込んできたぞ?「すいません副部長」あたし不器用なんです。
1つの事が気にな…乗ります!乗ります乗ります!ああのまた後でご報告します!
(不通音)
(ため息)いっつもこのド迫力に負けてしまう…。
またあやちゃんの…尻拭いか…。
「私バカよね〜おバカさんよね〜」福永さんいらっしゃいます?
(斎藤守)いえ…。
あぁ…。
電器屋さんですよね?福永さんのところにはよく…?
(福永麻紀)大介!宿題やんなきゃダメでしょ!なんだいるじゃない…。
福永さん?あ…こんにちは。
…こんにちは。
鶴丸っていいます。
お母さんは?
(麻紀)まだ帰ってません。
あそう…。
偉いわねぇ。
2人でお留守番?何か母に伝えますか?ああ…そう…。
ちょっと待たせてもらってもいいかな?どうぞ。
ありがとう。
遠慮なくいただきます。
あ〜美味しい!いつもお母さん何時ごろ帰ってくるの?遅いです。
そう…。
あっ…!天井真っ黒だ!お母さん料理の時に焦がしちゃったの?いえ…私が…。
そう…。
でも気にしない気にしない。
これぐらいで済んで良かった。
ね?
(貯金箱を振る音)うん?どうした?あ貯金箱だ!お金持ちだねぇ!まぁ!キレイに片付いて…。
オバサンのうちもねぇ娘がいるのよ。
もう高校生なんだけどね。
ちっとも部屋キレイに出来なくてもう部屋ん中散らかり放題よ。
ママキレイ好きだから。
ふ〜んママがキレイにしてくれるんだ?
(桜井麗子)緩衝材?あったあった。
机の角とかに貼り付けるやつ。
(吉川香織)うちんとこも子供がちっこい時そこらへんに貼ってたで?子供を思えばこその親心よ!鬼ママなんかなるもんですか!
(漆原さやか)うちこの前またその緩衝材を買うてきて。
なんで?夫婦喧嘩に決まってるやろ!?ここ派手やもん!ふ〜ん取っ組み合い!?うん。
お互い怪我せんように緩衝材を貼ったんや。
夫婦喧嘩で怪我したなんてバレたら恥ずかしいし…。
もうバレバレやん!
(3人の笑い)ご馳走様でしたー!どうも!そいでねそこの家ったらさお家ん中もキレイに掃除してあってもうホコリ1つないのよ!そらお母さんがええの…。
また子供の行儀がいいの!え?ホンマ?そうよ!母親の鑑じゃない?うちのりんなんかもうあたしに似て行儀が良くて…!
(4人の笑い)
(香織)ほらちょっと!ここも食べれんで!どうぞ試食してください。
(4人)やったー!
(さやか)ソースがあったらもっとええのになぁ!あ…!
(3人)うん?
(柿野たまこ)またお願いします!いらっしゃいませー!新鮮…!たまこさん!あたしたちの顔見てなんでやめちゃうのよ!?そうよ!今日は精力増強スタミナ満点ジュースなんですよ。
いいじゃない。
だから皆様方には必要ないかな〜と。
あらちょっと!じゃあオバサンはスタミナ切れでさっさと野垂れ死ねとでも言うわけ?試しに飲ませてみなさいよ!そうよ!そのマズイジュース飲んだるから!あたしたちこれからが人生の本番よ!
(4人)ファイティーング!はい…。
(4人)あ〜!もう1杯!痛くないですか?
(客)大丈夫です。
はい。
こんばんは。
こんばんは。
伸子ちゃんあちらにいますよ。
あぁどうも。
じゃお先です。
あこれ吸ったら行きます。
(女)こんばんは。
こんばんは。
福永さん!あ…斎藤さん!終わりましたか?どっかでお茶でも…。
あ食事の方がいいか!お腹空いたでしょ?斎藤さんあたしまだこれから…。
あぁ…そうか。
さっきお宅に寄って洗濯機の修理を…。
あすいません。
助かります。
変な女が訪ねてきて近所であなたの事を嗅ぎ回ってるみたいです。
気をつけた方がいい。
…じゃあ。
断じて鬼ママじゃない!生活は安定している。
家の中はきちんと整理整頓され子供のしつけも行き届いていた。
福永伸子は母親としての役割をちゃんと果たしている。
鶴丸検事いつも思うんですけども検事の考え物の見方は女性特有の強い思い込みに支配されすぎてますよね?極めて非論理的かつ感覚的だと…。
お黙り!この告げ口小僧!物証があります!テーブルの角にやわらかいスポンジの緩衝材が貼りつけてあった…。
子供を思う母親の気持ちがそこに如実に表れていた。
(笑い)揉めるぞ!白井検事。
今の笑いの意味はなんですか?説明してください。
弱ったなぁ…。
この育ちのいい白井清志は本来争い事を好まないんですよ。
思っている事があったらはっきり言いなさい。
人を小バカにして笑って何も言わないのは卑怯!じゃあ言いますけど。
食卓の緩衝材への解釈です。
鶴丸検事は母親の子供の安全へのケアだとお考えのようですが私は反対です。
日常的に子供に暴力を繰り返す母親はその暴力の露見を恐れます。
子供を殴るが大怪我はさせたくない。
それが緩衝材の存在理由だと私は考えますが。
(2人)な〜るほど…。
あなたは頭から福永伸子を鬼ママと決めてかかっているからそんな強引な結論を出すの。
鶴丸検事はこの前の酒屋の目撃証言をどうお考えですか?白昼お墓で福永伸子は子供2人に強烈なビンタを何発も浴びせた。
「強烈な」と「何発も」は削除。
あなたの捏造よ。
ご自分の考えた理屈に合わないからってあの目撃証言を黙殺されるわけでは?それは…!
(笑い)
(高原)どうだね?あやちゃん。
白井検事の働きぶりは。
大変よくやってくれています。
もう私の手足となって…。
あんな優秀な人は滅多にいませんわね。
はい。
(笑い)ここにいたってね噂ぐらい私の耳に届くよ。
ちょっ…あの…どうしたんですか?これ。
いや大した事じゃありません。
え?そんな!いや隠すとどんどん悪いふうにこう…。
いや大した事じゃありません。
だってこんなになってるんですよ?いやちょっとね女房とね…。
あらまぁ!奥さんに手を上げたんですか!?まさか!突き飛ばされてテーブルの角にぶつけちゃったんだよ私!あ…奥様が。
あぁ…。
あでもいいじゃありませんか!ねぇ?そのお歳になって怪我するまで夫婦喧嘩なんてもう滅多に出来ませんよ!愛し合ってる証拠ですわ。
手加減ってものを知らないんだあいつは。
発覚を恐れるための緩衝材…。
うん?…あいえいえ。
白井は洞察力に関しては若干評価出来ます。
お先にお昼行ってきまーす。
あ…どうも。
リラックススペースの方ですよね?はい。
あの…福永伸子さんの事でちょっとお話を。
週刊誌か何かですか?いや…まぁそんなようなとこですけど。
例のスノボーの話でしょ?えぇ。
伸子さんそんなに悪い人じゃないですよ?腕もいいしうちらとも仲良くやってるし。
スノボーの日は店休んだんでしょ?せっかく半年振りに休み取ったのに…。
伸子さんツイてないわ。
ちょうど火事になってしまうんやもん。
伸子さんが殴られた話は…?あたしそんなに親しいわけじゃないから。
…斎藤さんに訊いてみたら?斎藤ならもう上がって来ると思います。
あぁ来た来た。
あいつです。
あすいません。
斎藤さん!
(ため息)あたしにはどうしても福永伸子さんが子供を虐待するような鬼ママだとは思えないんですよ。
斎藤さんは福永さんと大変お親しいそうですね。
マッサージによく行くから店の常連っていうだけで…。
洗濯機も直す常連さんですか?検事さん!俺なんかに構ってないでさっさと小暮を刑務所に放り込んだらどうです!?それで全て丸く収まる。
福永さんから小暮の事を相談されたんですか!?
(小暮)儲け話があるって知らない男から電話があったんだ。
福永さんのところにはよく…?ただいまー!お帰り。
あ〜やっぱりまたまた来てるなお邪魔虫。
お邪魔にしてっと損すっぞ。
え?知りてぇだろ?福永伸子ん家のボヤの真相。
ちょっとりん!ほら北村さんにお肉をたくさん入れて差し上げて。
入れなくてもバクバク食べてるよ。
消防の連中に当たったらなどうもあのボヤ放火の可能性があったらしいんだ。
…放火!?出火直後に近所の住人があのアパートから走り去る人影見てる。
お母さんは…?お父さんは?携帯わかるかな?でも留守番の子供たちが「料理で使った火が油に燃え移った」って言ったんで消防の連中も逃げた奴をそれ以上は追わなかったそうだ。
あの子たち逃げた人物を庇ってる可能性あるかな…?わからん。
ただし出火の原因は台所の油で間違いないそうだ。
(ため息)まぁ誰かが巧妙なトリックでも仕掛けねぇ限り単なる子供の…。
誰かって誰よ?スノボー母ちゃん。
あるいは母ちゃんに頼まれた男。
(ため息)北村もそう見るか…。
遊びに行ってて火事になったとなりゃいくら新聞のコラムなんかに書かれなくたってママへの風当たりはきっついぜ?ホントにスノボーに行ってたの?うん確認済み。
1人で予約して泊まった。
別の部屋に1泊した生き別れの兄ってのはいなかったか?ちょっと未成年がいるのよ?変な事言わないでよ!あたしは平気だよ。
あそれからもう1つ。
交番から仕入れたネタがあんだよ。
この間の酒屋のおっちゃんの話なあれ信用出来るわ。
どうした?こんな所で何してんだ?お盆の頃だったそうだ。
2人とも巡査が何訊いても何も答えない。
母親に殴られてきっと行く所がなくなったんだろうよ。
(新聞記者)そうです私です。
このコラムを書いたのは。
いや〜許せなかったなぁ!子供2人残してスノボーに行くなんて。
子供が焼け死んだらどう言い訳するんですかね?あの母親は。
あのボヤの取材に行ってでそこでスノボーの話を?いえ現場には行っていません。
ボヤにいちいち付き合ってたら体がいくつあっても…。
ではスノボーの件はどこから?ネタ元は言えません。
あぁ…。
それは匿名の電話とか…投書とか?まぁそんなところです。
あぁ…。
お疲れ様です!お先です。
(目覚まし時計の音)ママ!あ…おはよう。
おはよう。
大介!大介起きて!大介…。
大介!早く!遅れちゃうでしょ。
手洗った?
(福永大介)うん!あ〜急げ急げ〜遅刻しちゃうよ。
早く首かけて大介…。
(麻紀)行ってきま〜す!行ってらっしゃい。
気をつけてね。
(ため息)
(ため息)おはよう。
(麻紀・大介)おはよう!
(ノック)
(伸子)はい。
おはようございます。
勝手ですが今日は休むとお店に言っときました。
朝の4時まで働いて…体が持つわけない。
毎日毎日働きづめに働いてたった1日休みを取ってスノボーに行っただけなのにあんなコラムを書かれて…あなたは心底腹を立てていた。
あなたのスノボー行きを知っていてそれを新聞社に売った人間を憎んだ。
小暮宏高を憎んだ。
違いますか?少し…違います。
え?確かに小暮にスノボーに行くって話した事は後になって後悔しました。
だってあたしの留守を狙ってお金を盗みに来たんですから。
(小銭を出す音)…誰!?
(小暮)お父さんだよ。
麻紀大きくなったな。
母ちゃん金どこにしまってる?知ってんだろ?教えろよ。
(舌打ち)
(麻紀)大介!大介!早く起きて!
(伸子)大介が唐揚げが好きで…。
お姉ちゃん大介にねだられて仕方なく作ってやったんでしょう。
油は使っちゃダメっていつも言ってたのに…。
火を出したにも関わらず子供たち2人を放って逃げた小暮が許せなかったんですね?あんな奴一生刑務所に入ってればいいんです!一生出てこなければ…。
それで狂言を?斎藤さんに小暮へ嘘の呼び出し電話をかけてもらい…。
はい?そして殴られ…。
殴らせた?浅はかでした…。
つまらぬ小暮への恨みのために他人を巻き込んでつらい目にあわせて…。
でも彼は今でもあなたの事を心から心配してるわ。
狂言に手を貸した事を後悔してるけどでもあなたを思う気持ちは今でも変わらない。
私を殴りながら何度も「すいませんすいません」って…。
(殴る音)すいません!すいません!すいません…!その斎藤さんの声が今も耳に残って…!伸子さんあと1つだけ訊かせて。
多分間違いだと思うんだけどお盆の頃…麻紀ちゃんと大介君を殴った?そこのお墓で。
あの日子供たちに斎藤さんを会わせようと…。
そしたら2人共いなくなって…。
あ…すいません。
いえ大丈夫です。
(伸子の声)斎藤さんが帰った後2人を見つけたらついカーッとなって…!
(麻紀)ママ嫌いだ!どうしてママの言う事わかってくれないの!?検事さん信じてください!子供たちに手を上げたのは後にも先にもあれ一度きりで…!信じるわ。
あたしずっと子供が重荷だった。
いい母親になろうとすればするほど…。
スノボーを我慢して外食も我慢して欲しい服もバッグも我慢して…我慢我慢我慢毎日我慢!だから心の底では小暮に子供たちを連れてって欲しかったのかもしれない…。
だから小暮に殴られた原因を訊かれた時とっさに親権を巡って揉めたって嘘をついた…!もうそれ以上自分を責めないで。
ね?子供たちに全部話して謝ろうと思います。
きっと許してくれるわ。
ね?子供たちは何となく照れくさかったんだと思います。
新しいお父さんに会うのが。
伸子さんもとても緊張していた。
新しいパパを子供たちにどう紹介していいのか。
恐らくその反動でカーッとして…。
わかるよ。
子供たちの気持ちも母親の気持ちも。
何度も試練を経てきた親子だ。
新しい変化に慎重になる。
臆病にもなる。
はい…。
副部長以上の結果を踏まえて小暮宏高は不起訴が妥当と思料しますがいかがでしょう?わかった。
君の判断を支持する。
はい。
福永伸子には刑法一七二条虚偽告訴等罪。
斎藤守は共犯が成立しますが捜査段階で虚偽を自白しましたから減免規定を適用すると…。
起訴猶予になる。
はい。
…あと1つ。
小暮のボヤの夜の行動について住居侵入罪等が問えるかどうか所轄署に捜査を依頼しました。
(高原の声)殴られた女と女に頼まれ殴った男の心の痛みが小暮に届けばいいが…。
同感です。
今回よくわかったわ。
男にはいろんなタイプがいる。
愛するが故に女を殴る男の気持ち…北村さんには一生わかんないでしょうねぇ。
わかりませんねぇ。
どんな理由があるにせよ女を殴る男は許せねぇよ。
フェミニストの北村としては。
フェミニスト!?いつから?この世に生れ落ちたその日から。
俺はねぇ女性の下僕になるように運命づけられてたのよ。
下僕〜!?りんあんた知ってた?薄々は。
だって北村ってお母さんの奴隷じゃない。
奴隷ってあんた…!あんたフェミニストと奴隷は違うわよ!女王様…この哀れな奴隷にどうぞお恵みを…。
何でも言う事聞きます!そんな汚い奴隷いらないわよ!いい歳して…付き合ってらんない!奴隷にするんなら若くてキレイなイケメンにするに決まってる…。
あぁ章ちゃん…!やめてよ気持ち悪いってば!
(口々に)えぇっ!えぇっ!
おしゃべりあるき目です
2016/01/13(水) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
[新]京都地検の女4[再][字]
名取裕子主演人気シリーズ第4弾!事件解決のカギは“主婦の勘”。京都地検・鶴丸あや検事が、事件の盲点を主婦ならではの視点で鮮やかに解き明かす!
詳細情報
◇番組内容
第1話「鬼ママの烙印」▼離婚した元妻に暴力をふるった男・小暮が送致されてくるが、刑事が自白を強要したためにウソをついたと犯行を否認する。元妻の福永伸子(山田まりや)は近所で“鬼ママ”と評判の女性だった。伸子の狂言説が疑われるのだが、あやは意外な事実に辿りつく…。
◇出演者
京都地検検事・鶴丸あや ・・ 名取裕子
京都府警刑事・北村鉄男 ・・ 船越英一郎
中京署刑事 ・池内弘二 ・・ 益岡徹
京都地検事務官・太田勇一・・ 渡辺いっけい
京都地検副部長・高原純之介・・蟹江敬三
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
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