ゴーカートに…。
速い速い!アスレチック!今ここどこに来てるのかといいますと実はスーパーマーケットに併設されてる場所なんです。
愛知県常滑市にオープンした巨大商業施設。
20万m^2を超える敷地面積は…中心となるスーパーマーケットに加え…外車まで売っています。
でもなぜスーパーがレジャー施設や専門店と一体化しているのでしょうか?人気のある専門店そしてレジャー施設を併設しないとなかなか…スーパー各社は売り上げ不振で軒並み赤字。
大量の店舗の閉鎖を打ち出した大手チェーンもあります。
その背景にあるのは衣類や日用雑貨など専門店の台頭。
更にネットショッピングも急拡大しています。
食料品から家電まで何でも取りそろえ私たちの暮らしを支えてきたスーパーマーケット。
そこで何が起きているのか最前線からの報告です。
「ナビゲーション」です。
スーパーマーケットといえば私たちにとっては身近な存在ですよね。
そのスーパーマーケットが今苦境に立たされているんです。
こちらをご覧頂きましょう。
大手3社の今年2月期の決算です。
3社全てが赤字に陥ってるわけなんです。
一体なぜなんでしょうか?スーパーマーケットといえば高度経済成長期に業績を伸ばしてきました。
そのスーパーマーケット一つの店舗の中に食料品や日用品そして衣料品や家電もそろっているという総合スーパーといわれるものなんですね。
ですが最近になりまして…家電や衣料品などの専門店またインターネットを使ったネットショッピング。
こういったものが今急速に売上高を伸ばしているわけなんです。
その最新のデータです。
主な18社で…総合スーパーを脅かす存在になってきてるんです。
こうした苦境に立たされている中で総合スーパーは一体どんな問題を抱えそしてこの状況からどう切り抜けようとしているのか取材しました。
名古屋市のベッドタウン…ここに43年前にオープンした…食料品から衣類日用雑貨まで1か所で全てがそろう総合スーパーとして地域の消費者に親しまれてきました。
ところがこの10年…特に衣類や雑貨おもちゃなどの売り上げが落ち込んでいます。
このスーパーチェーンでは1970年代から東海地方を中心に総合スーパーを次々に出店。
事業を拡大してきました。
2000年代に入ると売り上げは縮小傾向に。
食品以外の部門の売り上げの落ち込みが大きく1か所で何でもそろうというビジネスモデルが通用しなくなっているのです。
(取材者)おはようございます。
おはようございます。
瀬戸市内に住む…長年瀬戸店に通い続けていますが最近は専ら食品売り場だけ。
衣類や雑貨はほとんど買わなくなったといいます。
代わりに頻繁に足を運ぶようになったのは近くに相次いでオープンした専門店です。
更に最近では…DVDとか…買ってしまいましたね。
家にいながら何でも買える便利さが魅力だといいます。
離れていった消費者をどうしたら呼び戻せるのか?このスーパーでは今年から抜本的な店舗改革を始めました。
打ち出したのは百貨店ならぬ50貨店というコンセプト。
あらゆる商品をそろえるのではなく思い切って売れ筋だけに絞り込み売れないものは店頭から一掃しました。
専門店に客を奪われた大型家電やスポーツ用品などは全てカット。
そのかわりに強化したのが消費者が頻繁に…特に店に多く訪れる年配の女性向けの靴下や肌着を幅広く取りそろえました。
扱う商品を見直した事で店全体のレイアウトも大きく変わりました。
2階の若者向けの衣類などを大幅に縮小。
そこに1階にあった生活用品を移しました。
空いたスペースにはライバルである家電量販店をテナントとして誘致しました。
その集客力を利用してスーパーの売り上げアップに結びつけようというねらいです。
一連の取り組みで客足が戻り店の収益は3割増えました。
このチェーンでは商品の売り方の改革にも乗り出しました。
(女性)それではどうぞ!おめでとうございます!先月静岡県磐田市にオープンした店舗です。
目指したのは……の売り場です。
目立つ場所に飾られているのはちょっと変わった自転車。
アメリカの若者の間で雪道でも走れると人気に火がつき日本でも話題になり始めた商品です。
その脇にはアウトドア用の洋服や雑貨を飾りました。
店から遠のいていた30〜40代の男性をターゲットに休日の過ごし方を提案しまとめ買いをしてもらおうという戦略です。
ゲストです。
小売りや流通の分析を専門に行っています電通の神野潤一さんです。
よろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
取材したこの総合スーパーは売れ筋を見極めるという事そして大胆なレイアウトの変更もありました。
ここまでの改革をしなければいけないんですね。
そうですねそもそも総合スーパーって何だろうかと。
これはやっぱり日本の成長を支えてきたビジネスモデルだと思うんです。
高度経済成長時代にいろんな商品あらゆる商品をそろえた利便性の高い売り場として発展してきました。
その時代はものづくりの時代でしたから大量生産をするメーカーさんがあってそれを大量販売する売り場として大量生産大量消費この背景で大きく成長してきました。
一括仕入れした商品をチェーン店で安く売ってくと。
いろんなものが安く売ってると。
これはその時代の…何ていうんでしょうか人が物をどんどん買えるようになってきた豊かな暮らしを象徴するような売り場として非常に受け入れられた。
一方で経営側スーパーの売り場の経営という事からすると効率化を重視して本部がですね問屋から大量に物を仕入れて売るそれによって安い商品供給ができるとこういった時代の中でこそ生きたモデルだったといえると思いますね。
その当時の消費者の動向というのはどうだったんでしょうね?当時の消費者っていうのは今申し上げましたように物がどんどんどんどん増えてきて買う事を喜んでいた時代だったと思います。
そういった中で今もうこれだけの改革が必要になってくるというのがどうしてなんでしょうね?世の中が変わったと消費者が変わったという事があると思います。
所得水準も高まってお金持ってくると要求もいろいろ出てきます。
ただ単に物を安く買えるという事だけじゃなくてもうちょっと自分に向いた例えば快適な店舗あるいはきめ細かいサービス専門的な情報いろんなニーズが出てきてそういったものにどうやって向き合うのかって事がより重要になってきた時代かなと。
言ってみれば物が不足していた売り手市場の時代から物があふれてきた買い手市場の時代になって旧来評価されていたビジネスモデルが評価されなくなってきたと。
変わらなきゃいけなくなってきたっていう事を痛切に感じて今いろんな改革を打たれてるんだと思います。
その中でもこの百貨店から50貨店…半分ですよね。
この取り組みというのはどうご覧になりましたか?これはなかなか思い切った事だと思います。
やっぱり物を売ってる側からするとですね昨日まで売ってたものをやめてしまうっていう。
その事自体お客様から怒られるというところがあると思います。
もともと何でもある所というところだったのが。
そこから大きな方向転換という事になりますけれどもより時代に合ったじゃあ物が減った代わりに何か他にはないサービスを提供するこれが求められる事だと思いますのでただ単にお店側が効率性を重視したという事だとお客様は離れてしまいますからこれはすごくいい一歩だと思うんですけれどもまたこの先いろいろな課題に取り組んでいかなきゃいけないんじゃないかなという気はします。
あともう一つ番組冒頭でもありましたが愛知県常滑市にオープンした大型の商業施設スーパーを中心にあれだけのレジャー施設ここまでやらなきゃいけないんですか?そうですね多分行かれてお分かりになったと思うんですけどもはやショッピングセンターなのか?という感じだと思うんですよね。
何でもありの時代になってきたと思います。
テーマパークみたいな形でしょうね。
レジャー施設の併設っていうのはいわゆる映画館とショッピングモールが隣接してたりっていう事でこれまでもいろいろありましたけれどもやはりその人がそこに行く理由ってものがいろいろあります。
遊びに行く物を食べに行くそして買い物に行く。
そういったそれぞれの専門領域で強みのあるところが集まってこそ集客もきっちりできると。
そこに行けば何でもできるというような状態になってきてより暮らしの中に入っていくっていうのは総合型のサービスってものが展開されてきてるんじゃないでしょうか。
総合スーパーが奮闘している中で今業績を大きく伸ばしているのが実は食品に特化したスーパーなんです。
去年岐阜県大垣市にあるスーパーが進出しました。
24時間営業のこの店には昼夜を問わず大勢の客が訪れています。
客の目当ては…コロッケが1個34円。
うどんは1玉17円。
更に手作り弁当は198円。
店舗は激安商品ばかり。
主婦や高齢者など節約志向の強い人たちから支持を集めています。
岡山県倉敷市に本拠を構えるこのスーパーチェーン。
・
(男性)大黒天コール構えて!最強の会社はどこだ〜!
(一同)大黒天物産だ!30年後世界一最大の会社はどこだ〜!
(一同)大黒天物産だ!
(一同)お疲れさまです。
(男性)一礼。
この会社を創業した社長の大賀昭司さんです。
スーパーの開業から15年。
社長のリーダーシップのもと店舗数は115に拡大。
売り上げは1千億円を超え急成長を遂げてきました。
大賀さんは景気は上向いてきているとはいえ消費者の節約志向はまだまだ根強いとみて強気な出店攻勢を仕掛けています。
東海地方はそのターゲットの一つです。
このチェーンでは徹底した激安販売を実現するためこれまでのスーパーの概念を一から見直しました。
まず行ったのは商品を売れ筋だけにする事です。
マヨネーズこちら…12345ですね。
他の店ではマヨネーズを10種類程度そろえているのに対しここで置くのは半分ほど。
売れる商品のみ大量に発注する事で仕入れコストを大幅に下げ安く提供しているのです。
更に店の運営面でも経費を大幅にカット。
陳列棚はなく段ボールのままで売られています。
売り場を倉庫代わりにする事で経費を圧縮し安売りにつなげようというのです。
一方消費者のニーズをきめ細かくつかむ事で売り上げ増加を図るスーパーもあります。
おはようございますいらっしゃいませ〜。
どうぞ〜いらっしゃいませ〜。
(男性)さあ大好評詰め放題やってますよ。
さあどうぞいらっしゃいませどうぞ〜。
経営を担うのは大阪を拠点に店舗を拡大し中部地方にも進出するスーパーチェーンです。
あ〜重いよ。
は〜いどうぞいらっしゃ〜い。
ありがとうね。
このスーパーが最も大事にしているのは客とのコミュニケーション。
さあシャケいかがですか今日シャケ。
1切れ100円厚切りですよ。
いかがですか。
客の潜在ニーズをそこからくみとり品ぞろえに生かそうというのです。
店長から総菜を作るパートまで全ての従業員が積極的に売り場に出て客と接する事を心がけています。
聞き取った客のニーズを売り場にどう生かすのか。
導入されているのがこのノート。
「報連相ノート」と呼ばれています。
従業員1人に1冊ずつ手渡され売り場で気付いた事や客から尋ねられた事などを思い思いにつづっています。
その内容を店長ら幹部が丹念に読み込み改善につなげるのです。
この日店長はあるお菓子を巡る客とのやり取りに目を留めました。
早速担当者に確認します。
人気商品であるにもかかわらず仕入れをやめていた事が分かり店長はすぐに取り引きを再開する事にしました。
急成長してる2つのスーパー。
激安で勝負っていう事とお客との徹底的なコミュニケーション。
どうご覧になりましたか?これは先ほども申し上げた何でもありの時代なんですけど普通じゃ駄目っていう事かなという気がします。
両社とも消費者のニーズに向き合った非常にいい取り組みなんじゃないかなと思います。
まず食品の激安に関しても食品っていうのは人間は物を食べないと生きていけませんから景気に左右されにくい常にニーズがあるところなんですが同じ物なら安く買いたいというこれも根源的な欲求としてあると思います。
こちらのすばらしいのはやはりそこに真正面から取り組んで安かろう悪かろうではなくいいものを安くっていう事を非常に工夫されて実現されている事かなと思います。
ですので評価されているのだろうと。
もう一つの事例はお客様の声を品ぞろえに生かしてるっていう事でお話しされてましたけどこれは今の時代背景として先ほど申し上げた画一的な品ぞろえからよりその身近な地場のお客様に向いた品ぞろえの方に戦略転換というものも行われておりましてこういった事にも合ってると思います。
一つには高齢化が進んで遠くまで物を買いに行けないという方に対してきちんと向き合ってるという事があると思います。
もう一つVTRの中で触れられてなかったんですがやっぱりお客様の声をきちんと拾ってそれに応えてるっていうのはこれ私のお店なのというようなそういう親近感というんでしょうかこれも一つファンが増えている理由なんじゃないかなと思います。
ヒューマンタッチな部分っていうのはいつの時代もあるんじゃないかなというふうに思います。
こうしたスーパーの進出もありますし最近東海北陸ではアメリカ発の会員制のスーパーの進出もあります。
そういった中で総合スーパーこれからどうなっていくんでしょうかね?総合スーパーだけという事ではなく先ほど遊園地と一緒っていうのありましたけどいろいろなものの組み合わせでお客様と向き合っていくというこれからは効率化でもない多様化でもないより一歩進んだ組み合わせの時代になっていくんじゃないかなというふうに考えています。
その組み合わせというのは例えばどういったものが?いろんな事が世の中起こってきてるんですけども例えばカフェの中で雑貨を売ると。
カフェに行ったらかわいいお皿があったと。
じゃあそれをその場でスマートフォンで買いますみたいな試みがあって。
これはじゃあもはや何屋さんなんだろうかという事になったりして。
まだいろんな組み合わせ考えられますね。
そうですね。
あるいはインターネットでたくさん売れているものを集めた物産展なんかも非常に人気になっています。
ただこれビジネス的に見ると広告を打って商品を広めるというだけじゃなくてインターネットでの売りの実績というものがお客様の商品に対する評価でそれがより多くの人の目に触れるような売り場での展開になっていくといったいろいろな形で情報がやり取りされる。
それをどういうふうに組み合わせて作っていくかという事になってくるかなと思います。
私たち消費者としてはやはりいつまでもいろいろ皆さんが激化する中でも楽しく買い物したいですよね。
そうですね。
楽しく買い物して暮らしがより豊かになる。
そういう形で技術の進化を享受していきたいなと思います。
そのためには総合スーパーがこれからどういう組み合わせをしていくのかここに注目って事ですね。
そうですね。
今日は神野潤一さんでした。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2016/01/13(水) 02:25〜02:50
NHK総合1・神戸
ナビゲーション「スーパー 激変 変わる消費の現場」[字][再]
変革の時期を迎えたスーパーマーケット。総合スーパーが店舗の縮小に踏み切る一方、食品スーパーが業績を伸ばしています。各社の戦略から暮らしがどう変わるのか探ります。
詳細情報
番組内容
今、スーパーマーケット業界に変革の波が押し寄せています。食料品や衣料品、家電など品ぞろえの良さを売りにしてきた総合スーパーが、店舗の削減や売り場の縮小などを余儀なくされています。対して勢いを増しているのが食料品に特化した食品スーパーです。各企業がどう戦略を練り、どう消費者の心をつかもうとしているのか。そして私たちの暮らしはどう変わっていくのか。スーパー変革の時代を見つめます。
出演者
【出演】電通プロモーションデザイン局…神野潤一,【キャスター】永井伸一
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ニュース/報道 – ローカル・地域
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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