アメリカの国防予算削減で常に退役の危機にさらされる空軍のA-10ウォートホグですが、空軍は2017年度予算でも部隊の維持を要求する模様です。Defense Oneが報じています。
A-10は2年前から「本当」に退役させることが検討されてきました。しかし、イラクとシリアでISILが勢力を拡大したことにより、これを叩くにはA-10しかないという情勢が皮肉にも味方した模様です。
A-10は東西が緊張状態にあった1970年代に、西ヨーロッパに押し寄せるワルシャワ条約機構軍の戦車部隊を叩くために開発されました。戦場を低速で長時間滞空して強力な30ミリ砲やミサイルで攻撃するため、スピードが遅いが多少の被弾にも耐える頑丈さが特徴です。
想定された戦場ではありませんが、1991年の湾岸戦争は「A-10の戦争」と呼ばれるほど大活躍しました。しかし、スマートな空軍にあってドロ臭いA-10は不人気で、これまでなんども退役の動きがありましたが、陸軍は最も頼りになる空軍機として議会を動かし存命が図られてきました。
アフガニスタンやイラクからの撤兵が進み、いよいよA-10も退役かと思われましたが、ISILの勢力拡大によりトルコに部隊を派遣するなどまだまだA-10が必要なことが実証されました。A-10は世界に平和が訪れない限り退役できない運命のようです。
ちなみに「ウォートホグ」はイボイノシシの意味で、外見から名付けられた非公式のニックネームです。公式には「サンダーボルトII」というカッコいいニックネームがあります。
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