新・牡丹と薔薇 #28【迫り来る鬼の形相】 2016.01.12


(富貴子)美輪ちゃん。
私とぼたんの区別がつかなくなってるの。
(眞澄)そうね。
あなたは居心地が悪いかもしれないけどお姉ちゃまなんだから我慢してやってくれないかしら?
(富貴子)でも火事のこともなかったみたいなことを言うんだもの。
信じられないわ。
(眞澄)あの事件のことは全て忘れたいのよ。
何もなかったことにして以前のような幸せに戻りたいのよ。
(富貴子)その気持ちは分かるけど…。
(眞澄)あなた。
美輪子の手首の傷痕を見たでしょう?大変だったのよ。
かみそりで手首を切って。
気付くのが少し遅かったら失血死してたわ。
もう二度とあんなまねはさせられない。
お願い。
美輪子の言うままにさせてやって。
(富貴子)お母さん。
(眞澄)美輪子の中でぼたんは生きてるのよ。
それがあなたなの。
ねえ。
あの子のイメージのままにしてやってちょうだい。
美輪子があなたとぼたんを混同するのは無意識なのかわざとやってるのかそれは分からないけど。
ぼたんを死なせたのは自分だという罪の意識から逃れたいんだわ。
あなたをぼたんって呼ぶことは美輪子にとっては救いなのよ。
私たちだってあなたがぼたんの生まれ変わりのような気がするときがあるんだもの。
それは許してやってほしいの。
現実を突き付けられてまた精神のバランスを崩して自殺騒ぎを起こしたらと思うと本当にぞっとするわ。
ねえ。
富貴子。
そこのところは頼むわね。
あの子を優しくかばって見守ってやってね。
お願いだから。
あなたはお姉ちゃまなんだから。
(富貴子)よく分かりました。
お母さん。
ありがとう。
富貴子。
ありがとう。
(富貴子)あっ。
ああ…。
(美輪子)気になるの?指輪が。
私が抜いてあげよっか?
(富貴子)ホント?美輪ちゃんはこの指輪が一生私の指から離れない方がいいと思ってるんじゃないの?
(美輪子)そんなことまで思ってません。
ぼたんが綱輝さんをそこまで愛してるわけがないもの。
貸して。
(富貴子)いっ…痛っ。
(美輪子)痛い?痛かった?
(富貴子)ちょっとね。
ごめんなさいね。
嫌ね。
こんなものを着けたままじゃ寝られないし。
じゃあこれをつけてみたら?こうしてね…。
それからおまじないを言うの。
どんなおまじない?エヘンプイプイ。
神様の言うとおり。
一抜けた。
あら。
ほら。
大成功じゃない。
抜けた抜けた。
美輪ちゃん。
すごい。
何時に帰ってくるの?品川のホテルと武蔵小杉だから遅くなるかもしれないわ。
断っちゃえばいいのに。
出張ネイルなんか。
そうはいかないのよ。
お得意さまだもの。
じゃあ私先に九品仏に帰ってる。
そうね。
私も真っすぐ帰るわ。
いってきます。
美輪ちゃん。
お留守番よろしくね。
はーい。
(杉彦)あっ。
姉ちゃん。
姉ちゃん!ただいま。
(杉彦)帰ってきた。
姉ちゃんが帰ってきた。
(伊佐子)えっ?
(伊佐子)あら。
まあ富貴子。
(峰靖)おお。
富貴子か。
お客さんいないのね。
(伊佐子)ああ。
この時間は暇なの。
ご飯時には少しは入るだろうけどさ。
母さん。
頼まれてたもの持ってきたわよ。
(伊佐子)ああ。
悪いわね。
これで足りるかしら?
(伊佐子)ああ。
ありがとね。
ああ。
大丈夫。
ああ。
すまないねぇ。
これだけあれば何とか滞っている支払いと仕入れもできるよ。
何しろ年末からぷつんと客足が途絶えちゃって。
おまけに材料費がどれもこれも値上がりしたもんでもうどうにも首が回らなくて。
(峰靖)富貴子に迷惑は掛けられないんだが母さんがうるさく言うもんだからメールをしてしまったよ。
いいわよこれくらい。
(杉彦)姉ちゃん。
泊まってく?ゆっくりはできないのよ。
すぐまた行かなきゃいけないの。
どこへ行くんだ?ずっとこっちにいりゃいいのに。
そうはいかないの。
まあせっかく帰ってきたんだからうちの天ぷらでも食べて帰りなさい。
杉彦。
姉ちゃんに天ぷら山盛りにして持っといで。
(杉彦)うん。
(伊佐子)うん。
(峰靖)富貴子は幸せなのかい?私?幸せなはずがないよ。
多摩留が殺して火を付けて全焼させた家なんだよ?そんなところにいて気が休まることなんかありゃしないよ。
(峰靖)向こうのお母さんはどうなんだい?
(峰靖)よくしてくれるのかい?ええ。
とても。
パパも優しくしてくれるし。
(伊佐子)パパだって。
うわぁ。
やだねぇ。
(峰靖)あの美輪子って妹は?そうね。
仲良くやってるわよ。
ふん。
全てはあの美輪子が張本人なのに。
(杉彦)食べて。
姉ちゃん。
食べて。
まあ。
こんなにたくさん。
おいしい。
この味大好き。
姉ちゃん。
ここにいろ。
ずっといろ。
おいしいわよ。
杉ちゃん。
あっ。
あーっ!見たことある。
見たことある!多摩留兄ちゃんと一緒に来た人だ。
帰りなさい。
帰りなさい!うちで天ぷら食べた。
食べた。
多摩留兄ちゃん殺した!よしてよ。
何を言うのよ?あっちへ行きなさい。
あっちへ。
帰りなさい。
帰るのよ!あら。
おかえりなさい。
美輪ちゃん。
どうかしたの?変なもの見ちゃった。
変なもの?どうしてあんなやつが?大丈夫なの?美輪ちゃん。
誰かに会ったの?幽霊かしら…。
幻かしら?はい。
もしもし。
あのう。
今夜は家で食事をするつもりなんですけど。
(綱輝)1時間でもいい。
出てきてくれませんか?申し訳ないんですけどこの次にしてくださらない?綱輝さんから?綱輝さんからでしょ?急に言われてもちょっと…。
ぼたん。
デートのお誘いなら断っちゃ駄目よ。
行ってらっしゃいよ。
ちょっと待ってくださいね。
気が進まないのは分かるわ。
でもそういうときでも結局押し切られてデートに付き合うのがぼたんなの。
私はね美輪ちゃんが心配なのよ。
大丈夫。
私はもう大丈夫。
ぼたん。
恋人のところに駆け付けていくのよ。
じゃあ参ります。
どちらへ伺えばよろしいのかしら?はい。
分かりました。
じゃあ後ほど。
ぼたん。
お出掛けの準備をしましょ。
このままでいいわ。
駄目駄目。
ちゃんとおしゃれして行きなさいよ。
何を着ていく?さあ…。
誕生日にパパからプレゼントしてもらったドレスがあるじゃない。
あっ。
これだ。
これがいいわ。
ちょっと気取り過ぎない?すてきじゃない。
こんな高級なドレスを着てデートに行くなんて綱輝さんすごく喜ぶわよ。
ぼたん。
この指輪も着けて行きなさいね。
せっかく贈ってくださった婚約指輪なんだからデートするときは身に着けていくのが礼儀よ。
あっ。
また抜けなくなったら困るじゃないの。
大丈夫。
そのときは私が抜いてあげるから。
じゃあいってきます。
あら。
その指輪。
美輪ちゃんがどうしても着けていけって言うから。
そうなのね。
幸せそうよお姉ちゃま。
婚約者との待ち合わせにそそとして駆け付けるぼたん。
ゆっくり楽しんでね。
いってらっしゃい。
いってらっしゃい。

(ドアの閉まる音)ごめんなさいね。
急に呼び出したりして。
(清塚)いいのいいの。
フー子さんからのお名指しとあればいつ何時でも喜んでお座敷にはせ参じるでありましょう。
何それ?
(清塚)ハハハ。
ああ。
よかった。
清塚さんが付き合ってくれなかったら今夜は嫌な夜になってたわ。
助かっちゃった。
(清塚)俺も早く会いたかったんだけど締め切りが迫ってるってのに原作者からいちゃもんがついて何度も何度も書き直しさせられちゃって。
メールを送ってくれてたから事情はよく分かってたわ。
笑っちゃった。
それ何?
(清塚)ブルドッグだよ。
ウオツカの。
私もそれ。
(従業員)かしこまりました。
(清塚)結構強いぜ。
いいの。
今夜は酔いたいの。
(清塚)フー子さん。
上等のドレスなんか着ちゃって。
(清塚)あっ。
指輪なんてしちゃって。
女ぶりが上がってんじゃないの?テンションも上がってるわよ。
ああ。
清塚さんと一緒だと自由だわ。

(ドアの開く音)
(世奈子)あら。
いらっしゃい。
(崑一)暇そうだね。
おお。
綱輝君じゃないか。
(世奈子)さっきからずっと一人で。
待ち合わせの女が来ないのよ。
(崑一)ああ。
(崑一)綱輝君。
待ちぼうけかね?
(綱輝)ああ。
これはどうも。
(崑一)構わないかね?相手の女性が来るまで私と一緒でも?
(綱輝)どうぞどうぞ。
ありがたいです。
(崑一)あっ。
私もシェリーだ。
(世奈子)シェリーをね。
(従業員)はい。
(綱輝)どうも今夜は振られたのかもしれません。
(崑一)うん?綱輝君でもそんなことがあるのかね?お父さんには申し訳ないですけど今夜の相手は富貴子さんなんです。
えっ?富貴子?えっ?富貴子と待ち合わせだったのか?
(世奈子)そうなのよ。
いつかクリスマスの夜に会って以来寝ても覚めてもぼたんぼたんって夢かうつつか幻かって状態なの。
ぼたんなんて思ってませんよ。
富貴子さんは富貴子さんなんだから。
(世奈子)あんなに取っ換え引っ換え女と遊んでたのに今は偽ぼたんにいかれっ放しで。
偽ぼたんだって?似ても似つかない女じゃないの。
あんなまがい物にぼたんと取って代わられちゃたまらないわ。
もう。
いや。
しかし綱輝君が富貴子に引かれる気持ちも分からんでもないがね。
いいでしょうか?お父さん。
真剣な気持ちで彼女と付き合いたいんです。
いいも悪いも好きなものはしかたがないだろう。
富貴子は富貴子で魅力的な娘だからね。
(世奈子)そんなお気楽なこと言って。
この人ね義理の娘がかわいくてかわいくてしかたがないのよ。
疑似恋愛みたいなのよ。
(綱輝)疑似恋愛ですか?
(崑一)おい。
よせよ。
バカなこと言っちゃ駄目だ。
つ…綱輝君が誤解するぞ?いいえ。
私には分かるの。
どこかにおうの。
綱輝さん。
あなたが富貴子と接近すればするほどこの人は不機嫌になるわよ。
やめといた方がいいのよ。
絶対あんな女とは付き合わない方が。
綱輝さん。
悪いことは言わないから厄介なことになる前にあなた手を引きなさいよ。
参るなぁ。
そんなこと言われたって…。
そうか。
好きなんだなぁ。
やっぱり富貴子が。
(清塚)ほとんど女王さまみたいなんだよ。
僕らはお目通りを許されて原作漫画のストーリーもせりふも一行も変えませんってお誓い申し上げるんだよ。
「分かったわね?じゃあそれでやってちょうだい」ってそれがいつもの儀式で。
それからライターは書き始めるんだけど何もかも原作漫画のとおりじゃ面白くならないからちょっと工夫をするとするだろ?するともう大変な騒ぎで呼びつけられて「ひどいひどい。
キャラが違う」「私の読者がこんな逸脱したせりふを受け入れられるわけがないじゃない!」ってヒステリーを起こして泣きだすし。
「あなたみたいなライターはこのシリーズから出てってちょうだい!」って逆鱗に触れたら最後こっちは仕事も奪われちゃうんだから。
そういう世界なのね。
大変なのねぇ。
(清塚)少しは俺に同情してくれるか?フー子さん。
でも私も一度くらいやってみたい。
ひどいひどい。
どうして私の言うとおりやってくれないのよ?あんたなんか首だって。
(清塚)それはフー子さんにはできない。
あら。
どうしてかしら?フー子さんはどっちかっていうと大人の女として成熟してるもんな。
女王さまタイプの女ってのはねどっかさ幼児性があるんだよ。
幼児的な感性で漫画描いてるからものすごく固執しちゃってるの。
そこが侵害されるとパニックになっちゃって大騒ぎなんだよ。
ふーん。
そうなの。
私のそばにも約一人そういう人がいるのよ。
女王さまが?そう。
手の付けられないわがままな女王さま。
でもそこがカワイイんだからしかたがないわね。
そうなんだよ。
カワイイんだよな。
こんチクショーと思ってもつい言うことを聞いちゃう。
純粋な部分があるから手を貸してやりたくなる。
私たち同類なのかしら?だから気が合うんだな。
キスしたくなっちゃったな。
フー子さん。
いいわよ。
好きだよ。
私も。
じゃあぼたんは?ぼたんは?ついに現れなかったよ。
パパも一緒に待ってたんだけどねぇ。
約束をすっぽかしたってこと?そういうことになるね。
途中で何か急用でもできたのかもしれないわ。
だってパパがプレゼントした絹のドレスを着て婚約指輪までして出掛けたのよ?ああ。
どこへ行ったんだろうね。
富貴子は。
綱輝君はしきりに携帯で連絡を取ろうとしてたけどつながらなかったよ。
女心と秋の空だよ。
見事に振られたんだあいつは。
ひどい。
美輪子。
あんまり気にしちゃ駄目よ。
うん?おや?美輪子は綱輝君と富貴子が仲良くなればいいと思ってんのか?だってぼたんは婚約までしてたのよ?綱輝さんを受け入れていたのよ?だのにうれしそうにデートに行くふりして。

(ドアの閉まる音)帰ってきたわ。
美輪子。
ケンカなんかしちゃ駄目よ。
いい?仲良く話すのよ?
(においを嗅ぐ音)ぼたんの体からとてもいい興奮が伝わってくるわ。
(においを嗅ぐ音)あら。
お酒を飲んだのね?ええ。
ちょっと。
さぞかし楽しいデートだったんでしょうねぇ。
もちろん。
綱輝さんっていい人だから。
ニコタマのママの店で?ええ。
でもあちらのママは私のことを嫌ってるみたいね。
だから途中で場所を変えたの。
あら。
それからどこへ行ったの?近くのホテルのバーよ。
ふーん。
そうなの。
お酒は何を飲んだの?ウオツカブルドッグだったかな。
まあ。
そんな強いお酒を?綱輝さんも飲んだの?ええ。
1杯だけじゃなくお代わりもしたわ。
だから結構酔っぱらっちゃって。
お料理は何を食べたの?何だったかしら?えーと。
スパニッシュオムレツとか色々よ。
はっきり覚えてないの?覚えてるのはお酒も料理もおいしかったってことだけよ。
ぼたん。
綱輝さんとキスくらいしたの?キスですって?したの?しなかったの?したわよ。
ちょっと唇に触れただけのキッスだけど。
この裏切り者!よくもぬけぬけと嘘ばかり。
口から出任せのでたらめばかり。
美輪ちゃん。
ちょっとやめて。
やめて。
ひどい。
ひどい。
許せない!こんな裏切り絶対許せない!
(泣き声)美輪ちゃん。
あなた…。
覚えてらっしゃい。
ぼたん。
ただじゃ済まないからね。
美輪ちゃん。
2016/01/12(火) 13:25〜13:55
関西テレビ1
新・牡丹と薔薇 #28[字][デ]【迫り来る鬼の形相】

美輪子(逢沢りな)は、富貴子(黛英里佳)と綱輝(片岡信和)を付き合わせようと画策するが、渋る富貴子は、綱輝との約束をすっぽかしてしまう。それを知った美輪子は…

詳細情報
番組内容
 富貴子(黛英里佳)が養父母の元を訪ねると、いつものように弟の杉彦(石田愛希)が「もうどこにも行くな!」と引き留める。富貴子は、峰靖(安藤一夫)たち家族を大切に思う一方で、いまだに、ぼたん(黛英里佳・一人二役)にとらわれている美輪子(逢沢りな)が心配でならない思いを吐露するのだった。
 九品仏の家に帰る富貴子を杉彦が尾行。姉があまりに豪華な屋敷に入っていくのを見て杉彦が驚いていると、
番組内容2
ちょうど外出先から美輪子も帰ってくる。杉彦に気が付いた美輪子は絶句。必死の形相で追い返す。
 富貴子が着替えていると、綱輝(片岡信和)からデートの誘いの電話が入る。美輪子は渋る富貴子に、「こんなとき、ぼたんなら会いにいくはず」と承諾するよう迫る。美輪子から着飾ることまで強要された富貴子は、苦笑いを浮かべつつ出掛けるが…。
出演者
吉田富貴子:黛英里佳 
小日向美輪子:逢沢りな 
牧原世奈子:田中美奈子 
小日向崑一:岡田浩暉 
浅黄萌子:山口いづみ 
瀬尾綱輝:片岡信和 
 ・ 
小日向眞澄:伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠(東海テレビ) 
【原作・脚本】
中島丈博 
【演出】
藤木靖之 
【音楽】
中川幸太郎 
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」(ユニバーサルミュージック) 
【プロデュース】
西本淳一(東海テレビ) 
大久保直実(ビデオフォーカス) 
坪ノ内俊也(ビデオフォーカス) 
【制作著作】
ビデオフォーカス 
【制作】
東海テレビ
ご案内
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【公式サイトURL】
http://tokai−tv.com/botabara/ 
【公式ツイッター】
@hirudoraTokaitv 
【公式LINE@】
hirudora 
【YouTube】
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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