「きょうの健康」今週は「不整脈最新情報」と題してお伝えしています。
今週は俳優の黒部進さんご一緒におつきあい頂いております。
よろしくお願い致します。
よろしくどうぞ。
黒部さんは不整脈がおありでそして心房細動と…。
そうなんですよ。
最初は不整脈って言われながらも後にその診断が「心房細動という病気だよ」と言われましてね一瞬びっくりしたんですけど。
本当いろいろなタイプがあるんですけれどもラインナップご紹介しましょう。
今日はですね「突然死につながる心室細動」についてお伝えします。
お話し頂くのは…循環器内科の医師で特に不整脈や心臓病の診断治療がご専門です。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
今日のその心室細動ですねこれはどういう不整脈と考えていいんでしょう。
心室細動は黒部さんの心房細動とは全く違う不整脈ですね。
不整脈の中でも最も危険で直ちに命に関わる不整脈です。
はい。
この心室細動を起こさないポイントそして対処法をしっかり覚えて頂きたいと思いますね。
では心室細動とはどういうものなのかから説明したいと思います。
これはこっちの上の方小さいですがこちらが心房。
そしてこちらは心室となります。
正常な拍動を示しますけれどもいかがでしょうか?規則正しく収縮しているのがお分かりになるんではないかなというように思います。
では次に心室細動の映像をご覧下さい。
これが心房こちらが心室ですね。
違いはお分かりになるでしょうか?こちらが心室細動。
心室がこのように震えたような状態になってますね。
心室ここで異常な電気が多く発生しますので心臓の筋肉がもうバラバラに収縮してしまうんですね。
そうするときちっと収縮ができない。
すなわち血液を送り出す事はできなくなるんですね。
そうすると例えば頭にも全身にも全て血液が送れなくなる。
そうすると意識がなくなって倒れてしまう。
つまり心室細動で意識がなくなるという時はもう心臓が停止してしまっているという事になる訳ですね。
救急処置が1分遅れると10%死亡率が高まるという事も報告されているんです。
では黒部さん目の前で倒れた人がいたらどうします?それは動かさないようにして心臓マッサージするしかないんでしょうね。
そのとおりですね。
命を救うにはすぐに心肺蘇生をするしかありません。
この心肺蘇生ですけれどもたとえその場で息を吹き返さなくてもこの胸骨圧迫をしている間は実は心臓が正常に動いている時の30%から40%の血液が送られているんですね。
また肺にも少しは酸素が送られているんです。
つまり例えば黒部さんが心肺蘇生をしたとして黒部さんの手がその倒れた人の心臓と肺の代わりをしているという事になるんですね。
現在は公共の場にAEDご存じですよね。
自動体外式除細動器といいます。
このAEDの設置が広がり公共の場で倒れた場合救命率が実は高くなっているんですね。
しかし問題は…ですから家庭でできる心肺蘇生の方法を是非皆さんに正しく身につけて頂きたいと思います。
心肺蘇生の方法は救急救命士の寺井麻美さんにご指導頂きます。
よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
まずこれ今家の中で家族が倒れてしまったという事でそういった想定でやっていきたいと思います。
そしたらまずもちろん倒れた人の近くにいきますよね。
そしたら呼びかけますね。
お父さん!お父さん!お父さん!全然反応がないですね。
そしたらお母さんお母さんちょっと来て!お父さんが倒れちゃったから119番通報して!まずお願いします。
今度は呼吸の方を確認していきます。
胸とおなか上下運動があるかどうかっていうのを10秒以内で確認していきます。
ふだんどおりの呼吸なし。
そうしたら次に行う事は心肺蘇生ですね。
胸骨圧迫それから人工呼吸。
この2つを組み合わせたものを行っていきます。
まず押す位置ですね…左ではなくて真ん中ですね。
じゃあそこに心臓があるのね。
そうですね。
そして押す手の位置なんですけどもこの手の付け根になります。
ここ少し分厚くなってますね。
こちらの方で両手をこう組んで頂いてまっすぐですね。
はい。
肘が曲がってしまうと力が伝わりませんのでまっすぐ両手が1本の棒のようになるようにして頂きます。
そしてそのままず〜っと垂直に下ろしていきます。
ここから30回押すスピードなんですけども1分間に少なくとも100回。
お〜速いね。
そして押す深さなんですけども少なくとも5センチ。
これで押していきます。
12345678910。
2627282930。
はい。
続いて行うのが人工呼吸です。
まず…そして自分の口も大きく開けて覆うようにして…吹き込む量なんですが今のように少し胸が上がる程度。
胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返し行っていきます。
ありがとうございました。
人工呼吸と圧迫と両方2つなかなか大変なような気もするんですけど。
一般市民の方が1人で行う場合は胸骨圧迫だけを続けられた方がいいと思います。
これはどうしてかといいますと胸骨圧迫している間ある程度の血圧が保たれるんですね。
これをやめて人工呼吸始めますと血圧が下がってしまう。
そしてこの人工呼吸のあとまた胸骨圧迫開始する。
それ血圧がある程度上がるまでまた時間がかかる。
結局その間に脳のダメージが進んでしまうんですね。
ですからお一人の場合人工呼吸はもうスキップしてそしてこの胸骨圧迫だけを続けて頂きたいと思います。
それでは黒部さんこの胸骨圧迫だけよろしいですか?はい。
「お父さんお父さん」。
これやらないね?大丈夫です。
実際にはね…。
もちろんそうですね。
はい。
45678…。
252627282930。
ありがとうございました〜。
相当力も…。
いりますね。
そうですよね。
医師の立場から何かアドバイスってありましたら教えて頂けますか?呼吸の確認方法ですね。
中には難しい場合もあるかと思います。
例えば心停止の状態でも実はあえぎ呼吸といって呼吸をしているように見える事があるんですね。
こういう…ヒッ…ヒッ…。
こういうような状態ですね。
呼吸をしているんではないんですね。
これを正常な呼吸と実は間違えて救命できなかったケースもあるんですね。
従って…あの常日頃から消防署の方で講習をやってますんでトレーニングをやって頂ければいいと思います。
はい。
ここまで寺井麻美さんに教えて頂きました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
その心室細動が起こった場合の対処法ですね伺った訳なんですけれども奥村さん心室細動が起こしやすい人といいましょうかそういうタイプってあるんでしょうか?確かにありますね。
まず挙げられるのは重い心臓の病気にかかっている方です。
例えば…それから心室頻拍。
これは速い不整脈の一種ですけれどもこれも実は重い心臓病に合併しやすいんです。
この心室頻拍が実は心室細動に移行しやすいという事がよく知られています。
そのほかご家族に不整脈で突然死された方がいる方は要注意だと思います。
もともと心室細動は心臓病がある方に多い訳ですがその心臓病をきちっと治療する事。
そしてこれらの日常生活で引き金となるものを少なくする事。
こういう事が大切ではないかなと思います。
それからスポーツを日常的に行われている方は心電図検査だけでなくて時々は心エコー検査も受けて頂きたいです。
これはそれによって心臓の肥大がないかどうかも分かるからですね。
こういう検査もちゃんと受けて頂けたらと思います。
起こりやすい時といいましょうか何かそういう事ってあるんでしょうか。
実は心室細動こういう突然死は午前中特に朝の9時前後が多いという事がいわれていますね。
これはどうしてかといいますと実は自律神経が関係してるんです。
自律神経の中でも副交感神経心臓を抑える神経ですが夜間睡眠中は実は副交感神経が優位です。
ところが朝起床しますと今度は活動しますから交感神経が優位になります。
その切り替えの時に血圧が上昇したり心拍が速くなったりして心臓に負担が加わりそしてこういう心室細動突然死が起こりやすくなるんですね。
それから心臓にもともと問題がある事が分かっている方あるいは中高年の方はできる事なら朝の運動は避けて頂きたいというように思いますね。
ちなみに僕は今弘前市に住んでいます。
雪国です。
この雪かき朝から運動になりますね。
これも要注意です。
できたら若い人に頼むかあるいは1人ではやらない。
こういう事に注意して頂きたいと思いますね。
雪かきは重労働ですよ。
気を付けた方がいいって事ですね。
雪かきにも十分注意されて下さい。
心室細動で救急搬送されまして一命を取り留めましたと。
ではそうした場合治療としてはどうなんですか?心室細動の治療としてはこの非薬物療法を優先的に行います。
また症状を抑えたい場合発作回数を少なくするリスクを下げるという場合は薬物療法を併用します。
この非薬物療法というのは植込み型除細動器あるいはカテーテル治療などが行われると思います。
こちらがそのICD植込み型除細動器というようになります。
これを心臓の近くに植えます。
そしてこのリード線を血管を通して心臓の中まで入れる訳ですね。
こちらの図で説明しますがこのICDの本体は左の鎖骨の下そしてリード線を一本を心房に一本を心室に固定する訳ですね。
そうすると例えば危険な不整脈心室細動心室頻拍が起こった場合この器械が自動的に感知してそしてこの本体とこのリードの間で電気ショックを流したりあるいはこのリードの先からこの頻回な電気刺激を与えてそして不整脈を治してしまう。
こういう装置なんですね。
何年に1回取り替えなきゃいけないとかっていうのはあるんですか?実はこれは電池で作動してるんですね。
発作が少ないあるいはなんとか発作が予防できていれば6年あるいはそれ以上大体もてますね。
電池が無くなればこれ本体を入れ替える。
そういう手術をするという事になります。
最近遠隔モニタリングというシステムも取り入れられてそして普及しています。
これはこのICDから送られてくる信号の受信機でもありまた送信機でもあります。
ここに2つのタイプのこの遠隔モニタリングのシステムを示しています。
例えばこちらの場合これは携帯型ですね。
これを持っておくとこの器械から常時情報がこのモニターを介して飛んでいくんですね。
そして異常があれば例えば電池が少なくなったあるいは不具合があったあるいは発作が起こってしまった。
そういう時に実は我々に知らせてくれるんです。
そうするとその情報を僕たちが患者さんに知らせてそして受診を促す事もできるんですね。
そして心不全の早期発見にも今は使われている。
そういうような非常に優れたシステムです。
優れた器械ですね。
そうですね。
実際の心肺蘇生はいかがでした?そういうチャンスがないにこした事はありませんけれども技術持ってる方は率先してやっぱりその蘇生の現場に立ち会って頂きたいですよね。
心室細動で倒れた人を救えるのはこの心肺蘇生だけですね。
手順をあまり難しく考えられなくてもいいと思います。
とにかく救急車が到着するまでこの強く速い胸骨圧迫を続けて頂きたいと思います。
どうもありがとうございました。
大変勉強になりました。
2016/01/12(火) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 不整脈 最新情報「突然死につながる心室細動」[解][字]
命に関わる心室細動。発症するとすぐに心停止し、速やかに心肺蘇生をしないと死に至る。最低限覚えておきたい心肺蘇生のポイントや心室細動の最新治療を紹介する。
詳細情報
番組内容
発症すると直ちに命に関わる危険な不整脈「心室細動」。発症から数秒で心停止し、すぐに応急措置をとらないと死に至る。心筋梗塞や心筋症などの心臓病がある人は心室細動を起こしやすいので特に注意が必要だが心臓病があることに気づかず生活している人も少なくない。スポーツやストレス、睡眠不足などがきっかけで発症することもある。心室細動の予防、家庭で一人で対応する場合の心肺蘇生のポイント、最新の治療を紹介する。
出演者
【ゲスト】黒部進,【講師】弘前大学大学院教授…奥村謙,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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