(最終回)おみやさん6 2016.01.12


(殴る音)
(新藤和夫)うっ!
(鳥居勘三郎)
9年前京都市内に住む無職の男が殺された
男の部屋からは覚せい剤が多量に見つかり彼が売人だったことが判明
その後の調べで男から覚せい剤を買っていた人物が次々と明らかになった
その多くは10代20代の若者だった
背後には覚せい剤売買を巡るトラブルが存在すると思われたが有力な手掛かりがつかめないまま事件は迷宮入りした
そして…

(七尾洋子)うう…苦しい…。
バイキングに行くといつもこれだもん。
だって全種類食べなきゃ損じゃないですか。
ちゃんともと取らなきゃ。
もとの3倍は食ってるよ。
ええ?…あれっ?何があったの?
(高岡俊介)爆破予告です。
(吉川新平)府立二条高校に爆弾を仕掛けたとネット掲示板に書き込みがあったんです。
(兵藤兵吾)おい急げ!
(吉川)あっはい!
(茅野太一)ちょっとすいません。
(星野康夫)あっごめん。
(茅野)失礼します。
あっ課長!課長。
爆破予告の書き込み接続記録が判明しました。
(星野)午前10時33分に六角通のネットカフェカプチーノから送信されてます。
ただそこは会員登録がいりません。
(村井信治)ホシの特定が厄介かもしれんぞ。
(星野)今防犯カメラの映像を解析させてます。
(村井)急がせろ。
(星野・茅野)はい!
(パトカーのサイレン)向こうだ!急げ!急いで!
(兵藤)じゃあ生徒の避難は終わってるんですね?ええすべて。
あとは向こうです。
じゃあ行きましょう。
おみやさん。
はい。
掲示板の文面コピーしてきました。
「爆破予告」「府立二条高校に爆弾しかけてきた」「クソガキどもみんな吹っ飛ばしてやる」でこっちがネットカフェの防犯カメラ映像の写真。
書き込みの時間から見てこの中の誰かがホシに間違いないそうです。
手掛かりは今のところこれだけ。
うん?うん?この男…。
どうしたの?あった。
「北白川妙泉寺男性撲殺事件」9年前新藤和夫っていう覚せい剤の売人が殺害されるヤマがあった。
売人ってことは取引でもめて殺された?まあ当初そういう見方が強かったが確たる証拠は挙がらなかった。
一方彼の携帯電話の着信記録から彼から覚せい剤を買っていたと思われる若者が次々と洗い出された。
その中の1人に江坂亮一って高校生がいた。
江坂亮一君だね?補導歴の多かった少年でしかも事件当日新藤の携帯に2度にわたり電話をかけていることが判明。
警察は彼に疑いを向けた。
ふ〜ん…かなり怪しいですね。
だがしかし彼はガイシャから覚せい剤を買ったことは認めたものの殺害は否定した。
確たる証拠も挙がらず他の被疑者もアリバイが成立したため事件は迷宮入りとなった。
あっもしかしてここに映ってる人がこの江坂っていう少年?う〜ん…よく似てる。
もちろんその件で退学になったんだけど当時彼が通ってたのが二条高校。
今回爆破予告があった高校。
あっそうか。
退学になって恨んでたとすれば脅しの標的にしてもおかしくない…。
これ作業着?えっ?あっホントだ。
工場勤めか何かですかね?これ「Y」?えっ?ちょっと…。
ああ〜会社のロゴか何かですかね。
どうですか?
(会沢桂子)不審物発見しました!
(感知音)
(桂子)反応しました。
府警本部に爆発物処理班を要請しろ。
(茅野・高岡)はい!ここに間違いありませんね。
確かにこれ江坂ですね。
でも今日はもう帰りましたよ。
えっ帰ったって体調不良とか?ああいや仕分けのミスを注意されてブチキレたんですよ。
あいつすぐキレるからな。
(岡村勝治)冗談じゃないですよ。
正社員ならともかく派遣スタッフが逮捕されてうちが責任を取る筋合いはない。
いえまだ逮捕されると決まったわけじゃ…。
江坂亮一の連絡先教えてもらえますか?派遣会社に訊いてもらえますか。
とにかく迷惑です。
我関せずって感じですね。
江坂君。
江坂亮一君だよね?
(江坂亮一)誰?あんたら。
覚えてないかな。
9年前新藤和夫さんが殺害された件で…。
(亮一)あああの時のマジバカデカの1人か。
えっ?何ですって!?
(亮一)だって犯人まだ捕まってないんだろ?マジでバカじゃん。
まあ言われてもしょうがないか…。
仕事戻らなくていいの?誰が戻るかっつうんだよ。
…ったく派遣をバカにしやがってよ。
で話って何?今日君の母校で爆弾騒ぎがあった。
ネットの掲示板に爆破予告が書き込まれた。
うん知ってるよ。
テレビでやってた。
それ書き込んだのは六角通のカプチーノっていうネットカフェ。
あなたそのネットカフェに行きましたよね?午前10時に職場を出て10時31分ネットカフェに入店店を出たのは正午前。
行ってねえよネットカフェなんか。
これ…防犯カメラの映像。
これ君だよね?俺がやったっつうんだったらさ証拠持って来いよ証拠。
なっ。
怪しい。
あの態度…。
冗談じゃないっすよ!まったくいたずらにしてもほどがあるよ!えっどういうこと?
(兵藤)いやねいかにもって感じで箱が置いてあってね…。
(吉川)金属探知機も反応したんだけど中身は結局…。
腹立つなぁ。
一体どいつがホシよ?あっこの女性は除外だなぁ。
どうして?入店してから2分40秒後に店を出てるんだよ。
店員の話だとねトイレを借りに来ただけなんじゃないかって。
ふ〜ん。
そのネットカフェってさ六角通にあるんだよね?ええそうですが。
六角通にコンビニってないの?
(高岡)すぐ向かいにありますけどそれが何か?いやいやコンビニとネットカフェだったらさ普通コンビニでトイレを借りない?さすが目の付けどころが違うわ…。
そうですね。
確かにちょっと妙ですよね。
(村井)妙なのはお前達だよ!いつから資料課で捜査会議やるようになったんだ。
(吉川)会議じゃないですよ。
お茶してるだけですよ。
資料課のホコリっぽいお茶なんか飲むな。
体に悪い!失礼な。
高級ダージリンだっつうに!洋子久しぶりに外でお茶するか。
いいですね。
気晴らしにオシャレなカフェでも…。
カフェはカフェでもネットカフェ。
ああ〜。
(店員)ええ。
この人ならトイレを使ってすぐ帰りましたよ。
何か話しました?別に…。
顔は知ってる人でした。
えっお知り合いなんですか?…っていうか近くのスーパーのレジ係の人です。
(平田貴美子)280円とレシートのお返しになります。
ありがとうございました。
(小林福子)平田さん。
(貴美子)はい。
あんたにお客さん。
鴨川東署の鳥居っていいます。
部下の七尾です。
警察の方が一体何のご用ですか?今日二条高校で爆破騒ぎがあったのはご存じですか?休憩時間にニュースで見ましたけど。
爆破予告が書き込まれたのは六角通にあるカプチーノっていうネットカフェなんです。
あなたそこに10時32分行きましたよね?これ防犯ビデオの映像。
あなた。
お手洗いをお借りしただけです。
通りの向かいにコンビニありますよね?コンビニのほうがトイレを借りやすくないですか?ネットカフェのほうがきれいだから。
平田さん5番レジ頼むよ。
すいません!それでは。
いまいちわかんないなぁ。
どうして彼女にこだわるんです?いや彼女ネットカフェに行ったのはホントにトイレを借りるためだったんだろうか?何か他の目的があるような気がしてしょうがない。
でもほんの2〜3分で店を出たんでしょ。
その間に書き込みができたとは思えないけど。
私はやっぱりあの江坂って男が怪しい気がしますね。
すぐキレるし人を見下してるし…正直いかにもっていう雰囲気。
彼は高校時代もあんなふうだったんですか?そうだね。
突っ張ってたし他人を突き放してた。
じゃあ大人になってから今度は自分が世間に突き放されたんですかね。
何だか不満の塊って感じでしたけど。
(おたま)お待たせいたしました。
お夕飯にいたしましょう。
うわ〜いいにおい〜!今夜のメーンディッシュはねおたま特製の京野菜たっぷりなビーフシチュー。
あっそれとねデザートはお坊ちゃまの大好物のアップルパイ。
ふふふ…。
おみやさんは幸せね。
おたまさんの愛情に包まれて毎晩おいしいお料理が食べられて。
人生何の不満もないでしょ。
おたまには不満がございます。
あら意外と未熟ねぇおたまさん。
おたまの不満は坊ちゃまの周りを騒々しくうろちょろしているアバズレ女がいること!うん?お陰でね坊ちゃまにふさわしい上品な女性達が一向に近づいてまいりません。
いいじゃない!おみやさんに変な虫が付くより。
最高の防虫剤。
防虫剤って!ちょっと何それ。
すっごい不満なんだけど!まあ防虫剤!なるほど。
本人に虫が付かないわけでございますよね。
ほほほほ…!ムカーッ!頭きた!
(桂子)爆発物と見せかけた箱から指紋は採取できませんでした。
マエのある者の犯行かもしれませんね。
(吉川)来ました!ホシが自首してきました!
(高岡)江坂亮一24歳自称派遣社員です。
だからさ言ってんだろ。
騒がせるつもりなんかなかったんだって。
単なる冗談だよ。
冗談!?そうそうノリで書いただけ。
…っていうかさ便所行ってもいい?お前な…!その冗談がどれだけ世間に迷惑かけてるか…。
だから!迷惑なんてかけるつもりはなかったって言ってんだろうがこの野郎!何だと!
(高岡)ああ茅野さん茅野さん!それはまずいですまずいです!ええっ?お前座ってろ!やっぱりあの男がホシか。
そうだと思ったんだよね。
でも何で自首する気になったんだろうか?う〜ん…私達が会いに行ったからもう逃げられないと思ったんじゃない?履歴書…。
えっ?江坂亮一帰ってくる時コンビニの袋を持ってた。
その袋の中に履歴書が入ってた。
彼がネットカフェに入ったのは爆破予告を書き込むためじゃなくてあそこのパソコンで求人情報を検索するためだった。
えっじゃあつまり…トラブルで職場を飛び出した彼はネットカフェで新しい仕事を探し応募するために履歴書を買った。
そして憂さ晴らしにいたずらの爆破予告を書き込んだ。
いやだったらトラブルのあった会社をターゲットにするでしょ。
学校はおかしいでしょ。
確かに不自然ですよね。
でも本人は自白してるんですよね。
桂子さん頼みがあるんだけど。
はい何でしょう?あっ…嫁に来いって?その前に防犯ビデオ見せて。
ウーッ!
(桂子)これが江坂亮一です。
で次が…。
ストップ!リバース。
何見てるんだろう?
(貴美子)そうですか。
犯人が自首を…。
ほんの少し前に。
疑うようなことを言ってすみませんでした。
別に気にしていません。
刑事さんだって疑うのがお仕事なんでしょ?いや我々刑事じゃないんです。
資料課です。
資料課?仕事は資料の管理。
特に昔の未解決の事件。
爆破予告を書き込んだのは江坂亮一。
この男なんです。
この男昔ある事件にかかわっていまして…。
どうしてそんなお話を私に?ちょっと気になることがあるんです。
防犯カメラの映像を確認したんですがこの男が入ってからあなたわずか45秒後にネットカフェに入ってるんです。
それが何か?いやまるでこの男を追っかけてあなたが入っていったように見えるんです。
面識あるんじゃないですか?そんな…思い違いです。
(福子)平田さーん!ちょっと…。
(貴美子)はい。
いつまで油売ってるの。
(貴美子)すいません。
(福子)遅刻した分ちゃんと働いてや。
(貴美子)はい。
なあおたくら警察やろ?あの人何かやらかしたん?あっいえ聞き込みにご協力いただいてたんです。
さっき遅刻うんぬんとおっしゃってましたけどよく遅刻するんですか?ううん初めて。
せやけど理由を言わへんの。
何か感じ悪いわ〜。
(福島雅人)寒ブリの刺し身です。
う〜んおいしそう!
(小池仁美)寒さで脂がのって身が締まっておまけに出世魚やさかい縁起もよろしおすえ。
(福島重夫)ブリメジロ元はツバスの出世魚いうてね。
はあ〜。
厳しい環境が立派な出世魚を作るわけね。
見習わなきゃ。
ねえおみやさん。
ああ…また考え込んじゃって。
いやつながらないんだよ。
うん?江坂亮一と平田貴美子さん。
勘違いかもしれませんよ2人が知り合いだったなんて。
たまたまお店に入るタイミングが重なっただけかも。
洋子貴美子さんの靴見た?靴?うん…白っぽい汚れが付いてたでしょ?あれ?そういえば昨日私の靴も…。
そう。
ヨツバ物流に行った時…。
あの門の横のところが修理中でセメントの袋が置いてあったでしょ。
つまり貴美子さんは今朝ヨツバ物流を訪れて遅刻したってこと?うん…。
彼女昨日あのネットカフェで爆破予告が書き込まれたっていうことを知って彼のこと気になって行ったんじゃないのかな?
(スタッフ)ええ来てましたよこの人。
門のあたりをウロウロしてはって何の用か訊いたら…。
江坂亮一っていう人こちらで働いてますよね?彼ちゃんと働いてるんでしょうか?ご迷惑おかけしたりしていませんか?どんな様子です?
(スタッフ)何やえろう心配してはって。
江坂亮一と平田貴美子さんがつながった。
はい。
江坂が昨日ここへ来たのは何時頃ですか?
(スタッフ)社長に呼び出された言うてたけど朝9時頃でした。
自首する直前です。
ホシじゃないかもってそれどういうことですか?あの江坂っていう男どうも供述が曖昧なんですよ。
箱の置いてあった場所もメモの文面も覚えてなくて…。
洋子覚えてる?正社員ならともかく派遣スタッフの逮捕で責任を取る筋合いはない。
ええ覚えてます。
ヨツバ物流の社長の言葉ですよね。
これ逆に言ったらさ正社員の逮捕なら責任を取らざるをえないってこと?もしかして…。
昨日江坂はヨツバ物流の社長に呼び出されてその直後に自首してる。
ということは誰かをかばって…。
(兵藤)ここに映ってるのはあなたの息子さんですね?岡村マコトさん志命館大学経済学部3年。
ネットの掲示板に爆破予告の書き込みをしたのは彼じゃありませんか?何をバカなことを…。
後で嘘がバレると罪はさらに重くなりますよ。
(岡村)何が不満だったのかさっぱりわからない。
教育にも金をかけ大事に育ててきた。
悪い仲間と付き合わせたこともない。
なのになぜ…。
あなた江坂亮一に頼んだんですよね?息子さんの身代わりになってくれるように。
(岡村)300万ある。
あの予告は君が書いた。
そういうことにしてくれ。
いや…。
逮捕されても必ず執行猶予がつく。
この金で身の潔白を私に売ってくれ。
頼む!そして江坂は息子さんの身代わりになって自首してきた。
息子の経歴に傷を残したくなかったんです。
あきれたもんだ。
あんたら余計なことしてくれたな。
えっ?せっかく300万手に入るとこだったのに。
ちょっと…。
300万…300万で自分の人生売るマネしたの?はっ?背負わなくていい人の罪背負い込むなんてバカげてるよ。
300万以下なんだよ俺の人生なんて。
えっ?…っていうかもうもともと終わってるし。
終わってる?覚せい剤に手出して高校退学になって少年院ぶち込まれて…。
もう逆転の見込みなんかないんだよ。
いや…。
君の考え方間違ってる。
はいはい。
ちょっと…。
説教はよそでしてくださいね。
結局平田貴美子さんはあの爆破予告とは何の関係もなかったんですね。
1つだけ謎がある。
どうして平田貴美子さんあんなに江坂のことを気にしたり心配したりするんだろう?彼ちゃんと働いてるんでしょうか?ご迷惑おかけしたりしていませんか?まだ言ってるんですか?もうヤマは解決したのに。
爆破予告の件はね。
だけど9年前の売人殺しは未解決のまんま。
でもそれは彼女とはまったく関係ないんじゃ…。
接点。
接点って何だろう?平田貴美子さんと江坂亮一の接点。
あっそれに僕らが資料課だって言った途端彼女の顔色が変わった。
資料課?つまり9年前のヤマについて彼女は何かを隠してる。
そう思うんですか?洗ってみよう。
平田貴美子さんの過去。
はい。
308円とレシートのお返しになります。
ありがとうございました。
ちょっとどないしたん?早よやって。
あっすみません。
いらっしゃいませ。
あっおみやさん?平田貴美子さんなんですが高校に入ったばかりの頃両親を事故で亡くしています。
それから奨学金を受けて京都中央大学教育学部に入ったんですが…。
「4年の時に中退してますね」教育学部を4年で中退?珍しいね。
寒い…。
見てこれ手…ホント冷たいし。
あっねえ数学のテストどうだった?全然ダメだったんだけど。
…っていうかテストあるって知らなかったし。
ずっと寝てばかりいるからじゃないの。
あっイタッ…!何でこうなるんだよ!おみやさんすごいことがわかりましたよ!平田貴美子さんの大学時代の知り合いに聞いたんですけど彼女には弟がいて彼女が大学3年生の時に事故で重傷を負ったそうなんです。
でその事故の原因が覚せい剤!覚せい剤!?弟さんは15歳で家出をし悪い仲間と付き合うようになり覚せい剤に手を出した。
で仲間の部屋で覚せい剤を使用中幻覚症状によりマンションの4階から飛び降り意識不明の重体となった。
紀彦…。
後に意識を取り戻しリハビリも始めたけど症状が悪化。
3年後に死亡しています。
ただこの弟に覚せい剤を売っていた売人はもう逮捕されているんですよね?つまり9年前殺された新藤っていう売人とは別人?いや…。
別人じゃなかったのかもしれない。
えっ?彼女にとっては…。
何となく見えてきた。
彼女の心を覆ってる深い闇の奥が…。
弟さんの存在と江坂亮一。
嘘だろ…。
9年前覚せい剤の売人から君を守ろうとした人がいたんだよ。
自分の人生なげうってまで…。
だから二度と言っちゃいけない。
自分の人生は終わったなんて。
何なんですか?こんな場所に呼び出して。
あなたにとって思い出深い場所ですよね?大学4年の時教育実習でこの高校へ来てますよね。
あなたは数学を教えてたそうですね。
当時あなたの指導に当たった石川先生に話を伺いました。
あなたはご両親が教師でご自分も教師目指して熱く頑張ってた。
昔の話です。
今はもう関係ありません。
入ってみませんか?中へちょっと。
あなたは9年前教育実習が終わった直後大学中退し教師になる夢を捨てた。
まるで自分が教壇に立つのを禁じるように。
何が言いたいんですか?いたんですね生徒に。
江坂亮一。
あなた気がついたんじゃないんですか?江坂亮一が覚せい剤に手を出してる事実に。
そしてあなたは彼の姿にご自分の弟さんを重ねたんじゃありませんか?覚せい剤で人生を誤り命を落としかけた弟さんと。
調べたんですか?弟のこと。
9年前新藤和夫っていう覚せい剤の売人が殺害されました。
あなたが教育実習を終える前日です。
その日新藤の携帯に江坂から2度にわたって着信があったんです。
ところがその通話時刻江坂は携帯を教室に置いて体育の授業を受けてたんです。
これは9年前石川先生にいただいた1年1組の時間割です。
これが体育の時間。
つまりあの日この学校にいた誰かが江坂の携帯で新藤っていう覚せい剤の売人に電話を入れたんです。
あなた江坂を守るためにその売人に会いに行ったんじゃないんですか?そして…。
もちろんただの推測です。
ですがこの推測が合ってたとしたらもう楽になってください。
これ以上苦しみを抱えて生きていくのを亡くなった弟さんは望むでしょうか。
あの頃ボロボロだった。
重傷の弟を抱え心がボロボロだった。
でも教壇に立ったら…。
(チャイム)今日からみんなと一緒に勉強をする平田貴美子です。
よろしく。
(生徒達)よろしくお願いします。
mイコール5の時の答えはxイコールマイナス2分の3となります。

(口笛)江坂君授業中に口笛吹かないの。

(口笛)
(貴美子)こら。
(生徒達の笑い)
(机を蹴る音)
(貴美子の声)実習の間は悲しんでる暇なんかなかった。
生徒達と一緒に笑ったり悩んだり走ったり…。
毎日少しずつ夢に近づいているのがホントにうれしくて…。
でもあの日…。
江坂君!授業さぼっちゃダメ。
(舌打ち)うるせえな…。
無視しないでよ。
それから授業中に口笛吹かないで。
実習生のくせにさ教師ヅラすんなよ。
一応今月いっぱいは教師だから。
うざいから。
ねえ…。
君顔色悪くない?どこか具合でも悪いの?うるせえよ。
(貴美子の声)その時嫌な予感がしました。
彼の顔を見て思い出したんです。
家出をしていた弟が1度お金が欲しいと言って戻ってきたことがありました。
青白い顔をして思い詰めた雰囲気で…。
事故の半月前のことでした。
江坂の態度に疑いを持ったんじゃないんですか?彼が覚せい剤に手を出しているんじゃないかと。
確かめなきゃと思いました。
だけど本当のことを答えてくれるわけがない。
だから…。
(貴美子の声)いけないとは思いながら彼の携帯を確認したんです。
(貴美子の声)江坂君は「シンドウ」という人物に度々電話をかけていました。
クラスにも部活にもそういう名字の生徒はいません。
私胸騒ぎを感じて…。
(電話の呼び出し音)
(新藤)「亮一か」「お前な覚せい剤が欲しいなら払うもんちゃんと払えや」「この間の分まだ足りてへんで」「おい聞いとんのか!?」
(貴美子の声)学校に言うべきでした。
でも…。
自分で売人と話をつける決心をした。
ええ。
どうしてですか?他に方法があったんじゃ…。
重ねてしまったんじゃないのかな。
弟さんと江坂亮一を重ねたようにその新藤という売人と弟さんを追い込んだ売人を重ねてしまった。
自分の手でその男から江坂を守りたい。
そうすることが弟さんを救えなかったせめてもの償いになる…そう思ったんじゃないんですか?あの後もう一度新藤に電話をして呼び出したんです。
江坂君とは縁を切って!
(新藤)おたく何上からものを言うとんねん。
…ったく教師目指しとる奴とかってホンマムカつくわ。
よし今決めた。
あいつとことんカモにしたるわ。
やめて…!あの手のガキはな生まれつき腐っとんねん。
どうせろくな死に方せえへんやろうしな。
頑張れ。

(貴美子)うっ!
(殴る音)
(貴美子の声)あの瞬間私は永遠に失ったんです。
教師になる資格を。
いえ人間としての資格を…。
自首しなければと思いました。
だけどもし私が自首をしたら…。
弟さんの世話をする人が誰一人いなくなる。
身勝手な考えだったと思います。
だけど私は弟のそばを離れられなかった。
2年後に弟が死んだ時にはもう自首をする勇気も失せていました。
何もかも夢だったような気さえします。
昔自分が教師を目指していたことも人を殺したことも…。
それから9年の歳月が流れ先日六角通であなたは江坂亮一を見かけた。
(貴美子の声)話しかけるつもりはありませんでした。
ただ元気な姿をそばで見たかった。
彼は健康そうでした。
少なくとも覚せい剤に手を出している様子はありませんでした。
それに作業着を着ていたからちゃんと働いているのもわかりました。
だけどあの後あなた方に爆破予告の話を聞かされて…。
書き込んだのが江坂じゃないかと心配になってヨツバ物流を訪ねた。
結局会えませんでしたけど…。
でも彼じゃなかったんですよね?ホントによかった。
彼ならやり直せると思ってました。
よかった。
ホントに…。

(鳥居の声)覚せい剤の売人から君を守ろうとした人がいたんだよ。
自分の人生なげうってまで…。
やっと見つけた。
補習をさぼろうなんて甘いよ。
はいプリント。
解けねえんだよ俺の頭じゃ。
解けなくたっていいよ。
間違ったっていいよ。
そんなのちっとも恥ずかしくない。
恥ずかしいのはきちんと問題に向き合わないこと。
頑張れ!やればできる!きちんと向き合わないのは私のほうだった。
教師なんてもともと無理だったのかもしれません。
そんな…。

(口笛)
(口笛)
(口笛)必ず覚えておいてくださいね。
判別式Dの値によって実数解はないということになります。
かっこいい!本当に彼氏いないの?えっ?サキちゃんはいないの?
(拍手)先生!写真撮ろう写真。
いくよはい。
(カメラのシャッター音)
(口笛)洋子思い出に残る先生っている?ああ…あっ中学の家庭科の先生かな。
調理実習の時にすっごく褒めてくれたんです。
料理の腕褒められたんだ。
まあそうかな…。
いや…食いっぷりを褒められたんだろ?ビンゴだな。
その顔は当たりだな。
違いますよ!褒められたのは料理!ちょっと…!ねえおみやさん本当だって。
聞いてよ〜!可能性を感じております。
やる気と体力なら誰にも負けません。
(咳)
おしゃべりあるき目です
今日は関西人のおやつの定番2016/01/12(火) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
[終]おみやさん6[再][字]

【第14話】府立高校を狙った爆弾予告が発覚!ネットカフェの防犯カメラには、9年前その高校を退学した男(笠原秀幸)と近くのスーパー店員(遠藤久美子)が映っていたが…

詳細情報
◇番組内容
京都鴨川東署資料課の窓際課長・鳥居勘三郎(渡瀬恒彦)が、部下の七尾(櫻井淳子)と迷宮入りした難事件に挑む!
◇出演者
渡瀬恒彦、櫻井淳子、七瀬なつみ、不破万作、林泰文、片桐竜次、小野寺丈、一條俊、相本久美子、菅井きんほか
【ゲスト】遠藤久美子、笠原秀幸、潮哲也

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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