ロシアで北朝鮮労働者が自殺「つらい生活に耐えられない」

海外で働く5万人の北朝鮮労働者の実態
1日16時間労働、休日は1カ月に1-2日
給与も忠誠資金などとしてほとんどがピンハネ

 ロシアのウラジオストクで働いていた北朝鮮労働者が、新年初日の朝に焼身自殺した。現地の複数のメディアが報じた。ウラジオストク・ニュースやプリマメディアなどによると、今月1日未明にウラジオストク市内のチェルニャコフスキー通りに面した団地の敷地内で、この近くに住み住宅などの工事現場で働いていた40代の北朝鮮籍の男性が焼身自殺を図り死亡したという。動画投稿サイトのユーチューブには、通報を受けた消防隊員らが、うつぶせになった状態で動かない男性の全身に消火剤をかける様子を撮影したビデオが投稿されていた。警察は遺体を詳しく調べ、他殺の可能性はないとすでに結論づけたという。

 警察の調べによると、この男性は前日の夜「日々のつらい生活でもう疲れ果てた。わたしの死については誰のせいにもするな」という内容のハングルの遺書を書き残し、全身に引火性の物質を塗って火を付けたという。北朝鮮は外貨稼ぎのため現在世界17カ国に5万人以上の労働者を派遣しているが、そのうち最大の2万人がロシアで働いている。中でもウラジオストクには北朝鮮から派遣された2000人以上の建設作業員が滞在しているという。ウラジオストクの北朝鮮労働者たちは、旧ソ連の他の国々からやって来た労働者とは違って秩序を守り、犯罪を起こす割合も低いとされており、現地では今回の事件に衝撃を受けているようだ。

 海外で働く北朝鮮労働者たちは、北朝鮮の国家保衛部の監視を受けながら、1日12-16時間労働、休日は1カ月1日か2日という過酷な環境で働いているという。しかも給与のほとんどは忠誠資金として北朝鮮政府、あるいは中間管理者への上納金などとしてピンハネされ、彼らが手にすることができるのは賃金の10-20%ほどだ。北朝鮮人権情報センターは「外貨稼ぎのため海外で働く北朝鮮労働者たちの作業環境は、外部との接触を遮断され、人権弾圧レベルの労働を強いられている。まさに北朝鮮社会の縮図だ」と指摘した上で「このような現状を人権問題と認識し、国際社会と共に解決に当たらねばならない」と訴えている。

鄭智燮(チョン・ジソプ)記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース