11インチクラスが主流のChromebookに、より小型の10.1インチモデルが登場しました。重量は約890gで、厚みはわずか15.6mmという軽量&スリムなデザインを採用。さらに液晶が360度回転し、ノートはもちろんタブレットやテントなど、多彩なスタイルで使えるのが魅力です。
アルミを多用した美しいデザインに惚れる
箱から取り出してまず驚いたのが、その質感の高さ。梨地のボディにヘアライン加工のキーボード面、そして面取りされてシルバーに輝くエッジといったように、高級感すら感じさせるデザインです。また、スピーカーの穴やネジもデザインの一部として意識されているようで、底面だけを見てもかなり美しく感じます。さらに天板と底面は緩やかなカーブを描き、手になじみやすく持ちやすいというのも好感がもてます。
一部のハイエンドモデルを除き、多くのChromebookは樹脂ボディの価格相応なものでしたが、C100PAはここからして違いました。どことなく某A社の薄型ノートに似ているのはともかくとして、所有欲がくすぐられるのは確かです。
用途に合わせて形が変えられる360度回転ディスプレイ
目玉となるのがディスプレイが360度回転することで、ノート、タブレット、テント、スタンドと4つのスタイルへ変形できることです。すでに多くの2in1ノートで採用されている方式なので目新しいことはありませんが、180度を超えるとキーボードが無効になることや、スタンドスタイルでキーボード面を保護してくれるゴム足があるなど、細かな部分までしっかりと作り込まれています。
ひとつだけ気になったのは、テントスタイルでは接地面にゴム足がないこと。狭い場所に置けるのはいいのですが、若干滑りやすいので注意しましょう。
ディスプレイの視野角は非常に広く、縦でも横でも逆さまでもキレイに見えるのがいいところ。もちろん視差による色のズレなんかもありません。写真では少し青っぽくなっていますが、これは撮影環境のせいです。実際は、この角度でもしっかりとした色で見えます。
必要十分なインターフェイスを搭載
インターフェースはUSB2.0×2とmicroHDMIを装備。Windowsのように多彩な周辺機器が使えるわけではありませんが、使い慣れたキーボードやマウスを接続できるというのはうれしいところです。またmicroSDXCスロットを備えているので、内蔵の16GBではストレージが足りないといった場合は、こちらを使って増量できるのもいいですね。
ACアダプターは独自コネクターだが軽くて小さい!
10インチクラスですと充電はmicroUSBの5Vを期待してしまいますが、残念ながら独自コネクターの12V。microUSBの形状で12Vにも対応する「Quick Charge 2.0」だとよかったのですが......。 とはいえ独自コネクターも悪いことばかりではなく、上下の向きがないというメリットがあります。どちら向きでも接続できるのは、意外と便利です。ACアダプターはプラグ部分が折りたためないのが惜しいですが、重さは実測で約99gしかなく、サイズもコンパクト。カバンに入れっぱなしでも気になりません。
たわみがなく心地よいタッチ感のキーボード
キーピッチは横17.5mm×縦16.25mm(実測)の横長ですが、差がわずかということもあって違和感はありません。しっかりしたクリック感と、強く押してもたわまない剛性があり、かなり心地よく打てます。「¥」や「BackSpace」、「Enter」キーが小さいのは残念ですが、その点を差し引いても打ちやすく感じました。
RK3288Cの性能はAtom以上!?
先ほども少しふれましたが、ストレージはわずか16GBしかありません。基本的にGoogle Driveを使うのが前提ですし、必要となればmicroSDを使って増設すればいいので本体のストレージ容量はあまり気にしなくてもいいでしょう。それよりも気になるのが、CPUにインテルではなくRockchip社の「RK3288C」を採用していること。Rockchip社というとエントリークラスのスマホやタブレットに採用されているという印象が強いのですが、実際の性能はどのくらいでしょうか。OSが違うのであくまで参考までですが、Atom Z3735Fを搭載した8インチのWindowsタブレットを比較対象として、一般的なWebアプリを想定した「Octane 2.0」と、動画やグラフィック性能のテストが多い「Peacekeeper」の2つのベンチマークアプリを試してみました。どちらも少し古いですが、ブラウザー上で動作します。なお、少しでも条件を合わせるため、WindowsタブレットではブラウザーにChromeを使っています。
CPU | Octane 2.0 | PeaceKeeper |
RK3288C | 7552 | 1482 |
Atom Z3735F | 6849 | 974 |
結果はOctaneで若干のリード、Peacekeeperなら約1.5倍もスコアが高くなりました。RK3288Cを採用しているといっても、Atom Z3735F搭載のWindowsタブレット以上の性能があるとみてよさそうです。試しにブラウザーゲーム(具体的には「艦これ」)を動かしてみましたが、表示がもたつくこともなく滑らかで、Atom Z3735Fよりも快適に感じました。
もうひとつ、実際のテストとしてYouTubeでの動画再生も試してみました。ディスプレイの解像度は1280×800ドットですが1920×1080(30fps)に設定して再生し、「詳細統計情報」で何フレームドロップするのかをチェックしました。
約4分間の動画を再生したところ、ドロップしたフレーム数はわずかに5。再生中に画面が崩れたり、音声が遅れたりといったこともありませんでした。これなら何の不満もなく動画が視聴できますね。
総評
ネット端末として十分な性能があり、しかも軽くて薄くてデザインもグッド。Google Docsが使えるのはもちろんですが、今はマイクロソフトのオフィスもブラウザー上で動きますし、ちょっとした書類作成、メール、動画鑑賞、ブラウザーゲームといった用途なら困ることはありません。ちゃんとした作業は家や会社のPCでやるとして、出先ではブラウザーが使えれば十分という人には、かなり魅力的な製品です。3万円台半ばと手を出しやすい価格なのもうれしいところ。自分へのお年玉代わりに、ちょっと変わったノートはいかがでしょうか。