ピカソ、天才の秘密
2016年1月3日〜3月21日
愛知県美術館
暮らし<闘病を支える 難病医療法施行1年>(上) 「広く薄く」で負担増
治療法が確立されていない難病患者に、医療費を助成する難病医療法の施行から、一月で丸一年が経過した。助成対象が五十六疾患から三百六疾患へと大幅に拡充された半面、これまで助成を受けられた疾患の患者は、薬代が原則二割負担になる「痛み」を伴っている。法の施行で、難病患者が平穏な日常生活を送れるようになったのか検証する。 「これを飲まないと、歩けなくなってしまうんです」。パーキンソン病を患う愛知県内の六十代男性はこう話すと、四種類計六錠半の薬を水で飲み込んだ。 パーキンソン病は、脳内の細胞が変化して神経伝達物質が減り、手足などの体の動きが不自由になる難病。高齢者を中心に国内に十万人の患者がいる。根本的な治療法はなく、日常生活を送るには伝達物質を補う薬を飲み続ける必要がある。 男性が診断を受けたのは、公務員だった五十代前半。今は二カ月に一度通院し、薬局で薬を購入している。医療費の自己負担額は、難病医療法施行前の二〇一四年十二月までは、診察代として年間一万円程度。施行後は三万円程度に増えたという。 増えた原因は、薬代の自己負担が全額免除から二割負担になったからだ。 男性は妻との二人暮らしで、月収は年金のみで三十万円弱。年金額が平均世帯よりやや多めで、医療費負担は一見少なく見えるものの、「負担額が増えたのは正直痛い」と話す。 歩いているとつまずきやすく、常に転倒の危険性がある。通院には、必ず妻が付き添い、電車代として一回四千円はかかる。 男性は「他の難病の人にも補助が行き渡るように、という法の趣旨は分かる」と前置きした上で、「この先、症状は進むだろうし、薬も減らないだろう。将来どうなっていくのか」と不安を口にする。 一方、愛知県内の女性(60)は、小脳が縮んで体が動かなくなる「脊髄小脳変性症」を十年来患う。これまで年約一万円弱だった医療費の自己負担は約四万円に。主な原因は薬代だ。「生活がきついと言えばきついが、今まで補助もなく苦しんできた他の難病患者のことを考えると、仕方ないのかな」と話す。 ◆306疾患の患者、約150万人難病患者への医療費助成は、1972年度から始まり、難病医療法施行前には56疾患が対象だった。 ところが、法律の裏付けがなく、年度ごとの予算措置のみで行われていたため、国と都道府県が2分の1ずつ負担する制度だったにもかかわらず、「国側から申請額の半分程度しか補助されないこともあった」(ある県担当者)。2013年度の負担割合は、都道府県が国の2倍だった。 法の施行により、助成制度は安定し、「一部の病気への助成」から「広く薄く助成」に改められた。財源には消費税の税収を充てることを定めた。「患者が少なく原因が不明」などの条件を満たした306疾患の患者数は約150万人。 これまで助成を受けていた患者は、自己負担が増える場合が多いため、負担を軽減する3年間の経過措置がある。 (佐橋大) PR情報
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