やじうまミニレビュー
エレコム「WDC-433SU2M2BK」
〜2,000円台で入手可能なIEEE 802.11ac対応の超小型無線LANアダプタ
(2016/1/14 06:00)
最近ではノートPCに内蔵されるのがすっかり当たり前となった無線LAN。今から十数年前の無線LAN黎明期、IEEE 802.11bや11a/gが全盛だった頃はPCカードタイプの子機が主流で、ノートPCの持ち歩きや移動時にもかさばることこの上なかったわけだが、モジュールが内蔵となった昨今ではこうした問題はほぼなくなり、今や無線LANを搭載しないノートPCを探すのが難しいほどだ。
さて、無線LANにまつわる現在の話題と言えば、いわゆる高速規格についてだろう。音楽や動画のストリーミング配信の普及などもあってニーズが増大しつつある高速規格は、既に最新のIEEE 802.11ad対応製品の噂も聞こえてくるようになりつつあるが、親機と子機が揃ったところで現在市場を牽引しているのはIEEE 802.11ac対応製品だ。2014年に規格が正式策定されたIEEE 802.11acは、ハイエンドなノートPCやスマートフォンにおいて標準搭載となりつつあり、従来のIEEE 802.11nを着実に置き換えつつある。
一般に、旧来のハードウェアのままこうした新規格を利用するのは何かと制限がつきまとうことが多いが、こと無線LANについては、USBドングルタイプの無線LAN子機を追加すれば、本体分解や部品交換といった手間もなく、手軽に新規格の恩恵を被ることができる。IEEE 802.11a/g、もしくはIEEE 802.11gにしか対応しない一昔前のノートPCでも、内蔵モジュールをオフにし、USBポートに装着したこの子機で通信を行なうようにするだけでよい。実に手軽だ。
今回はこうした製品の例として、エレコムのIEEE 802.11ac子機「WDC-433SU2M2BK」を紹介する。1ストリームの433Mbpsに対応したこの製品、露出部がわずか10mmで、使用時はもちろんノートPCをバッグに入れて持ち歩く際にも邪魔になりにくい。売価も2,000円台半ばとリーズナブルで、ちょっとしたチューンナップにはぴったりだ。ちなみにIEEE 802.11ac対応の子機には2ストリームの867Mbpsに対応した製品もあるが、USBが3.0でないと実力を発揮できないため、USB 2.0のノートに導入するならば、433Mbps対応製品がコスト的にもベターということになる。
実際にどのくらい速くなるのか、手元にあるThinkPad X201s(Windows 7 Pro)で試してみた。もともと11n対応なので速度はそれほど不自由していないのだが、これまで内蔵の無線LANモジュールでは受信側がIEEE 802.11n/g(2.4GHz)だと66Mbps、IEEE 802.11n/a(5GHz)だと97Mbpsだったところ、本製品の11ac(5GHz)だと202Mbpsに跳ね上がった。筆者の測定環境のせいで全体的に値が低めなのはご容赦いただくとして、何度か繰り返した限りでは、受信速度はおおむね11nの2〜3倍となるようだ。
ただし送信側はやや弱く、内蔵の11n/g(2.4GHz)だと66Mbps、11n/a(5GHz)だと121Mbpsのところ、本製品の11ac(5GHz)は117Mbpsと、内蔵の11n/a(5GHz)を下回る結果となった。別のPCで試しても受信側に比べて送信側の速度が出にくいようで、どうやら本製品の特性のようだ。これを踏まえると5GHz帯対応の11nが使える環境に積極的に導入する必要はなさそうだが、11n対応でも2.4GHz帯しかサポートしないノートや、11a/g対応の古いノートへの導入は、2,000円ちょっとの投資に対するリターンとしては、大きな効果があると言えそうだ。
1つ気をつけたいのが、本製品は5GHz帯専用であることだ。そのため2.4GHz帯でしか接続できないWi-Fiスポットやホテルなどでは利用できず、その際は内蔵モジュールをオンにして再接続しなくてはいけない。無線LANを内蔵しないノートPCに導入するとこの問題が出て来がちなので、その場合は2.4GHz/5GHz帯に両対応した11n対応製品を選んだ方が、使い勝手と速度の両立が可能だろう。
なお今回はエレコムの製品を紹介したが、ほぼ同スペックの11ac対応USB子機は他社からも続々とリリースされており、露出部の小ささや価格など、激しい競争が繰り広げられている。上で述べたようにUSB 2.0で接続する限りはこれ以上の速度向上が見込めないため、古いノートPCを今後しばらく使い続けるのであれば今が買い時といっていい。Amazonなどでも人気製品となっているようなので、物色してみてはいかがだろうか。
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