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人民銀、元安を抑制 香港市場で大規模介入

 【北京・井出晋平】中国人民銀行(中央銀行)が、通貨・人民元の下落に歯止めを掛けようと動いている。昨年末以降、元安容認の姿勢を見せていた人民銀だが、先週末から一転して元安を抑制。香港市場で大規模な人民元買いの介入も行った模様だ。元安による海外への資金流出の懸念が株価下落の要因になっており、市場では「元安容認から転換した」との見方も出ている。

     13日の上海外国為替市場は、人民銀が同日の対ドルの基準値を前日より小幅元安にとどめたこともあり、午後4時半(日本時間同5時半)時点では1ドル=6.5750元と、前日と同水準となった。

     人民銀は、今月7日まで8営業日連続で基準値を元安方向に設定。特に、7日には前日比で0.5%も元安に設定したため、市場では「当局が元安を容認している」との見方が広まり、1ドル=6.5939元と2011年2月以来の元安水準となった。米ドルと連動しやすい人民元が、米国の利上げでドルにつられて他通貨に対して上昇するのを防ぐため、元安を容認したとみられている。

     しかし、急激な元安は、株価急落を招いた。人民元の価値が下がることを嫌った外国企業が資金を海外に引き揚げれば、景気を下押ししかねないためだ。人民銀は8日以降、2営業日連続で基準値を元高方向に設定。また、先週から香港市場で大規模な元買い・ドル売り介入を行い、人民元を買い支えた模様だ。中国本土より元安が加速していた香港市場に、中国本土の相場が引きずられていたためだ。投機的な元売りをけん制したとみられるが、市場から大量の人民元が吸い上げられた結果、12日の香港銀行間取引市場の人民元の翌日物の金利は、66.8%と急騰した。

     市場では、「当局はこれ以上の急激な元安を望んでいない」(在上海の邦銀関係者)との見方がある一方、米利上げや中国の景気減速で一段の元安を予想する声もあり、相場が安定するかは見通せていない。

     【キーワード】人民元相場

     中国政府は、中国国内の人民元相場の変動を管理している。中国人民銀行(中央銀行)は毎朝、市場に取引の目安となる基準値を提示。その上下一定の範囲内でしか変動を認めていない。基準値は相場の実勢とかけ離れていることが多かったため、人民銀の意向を反映されているとみられている。人民銀は、昨年8月に人民元を切り下げた際、「基準値は前日の相場の終値を参考に決める」と発表。相場を市場にゆだねる姿勢を見せているが、基準値を通じて管理する方針は変えていない。

     一方、貿易決済などで海外に持ち出された人民元は、中国政府の管理が及ばず自由に取引ができる。海外では、香港が人民元の中心的な市場となっている。

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