「未来に焦点を」 オバマ米大統領が一般教書演説
- 2016年01月13日
オバマ米大統領は12日、任期最後となる一般教書演説を行い、これまでの業績を擁護し未来への明るい見通しを強調した。
11月の大統領選に向けた選挙運動で現状批判が目立つなか、オバマ大統領は、米国経済は「世界で最も強く、最も堅固」だとし、「米国経済が衰退しているという主張は絵空事だ」と語った。
毎年恒例の演説で、オバマ大統領は新たな政策に触れるよりも、医療保険制度などこれまでの業績を強調した。
同大統領は「ここで最後の演説で、これからの1年についてだけを話したくない。未来に焦点を当てたい」と述べた。
<英語ビデオ>オバマ大統領は失業率が金融危機時の半分に低下したと、経済政策の成果を強調
オバマ大統領は、所得格差の是正の必要性や、気候変動への取り組みにおけるテクノロジー活用、遠く離れた地での紛争に巻き込まれることなく国家の安全保障をいかに維持するかなどに触れた。
演説の終盤では、米政治や論壇の現状について多くの時間を割いた。オバマ大統領は「民主主義には市民の間の基本的な信頼のきずなが必要だ」と述べた。
オバマ大統領は、有権者や連邦議会議員らが党派的な政治を転換し、「我々の良い面を反映するような仕組みへ変革」するよう訴えた。
また、自らの任期で最も心残りなこととして、共和党と民主党の間で深まった党派対立を挙げた。
同大統領は、「政治家がムスリム(イスラム教徒)を侮辱し、モスクが破壊され、子どもがいじめられることで、我々がより安全になることはない」と述べ、大統領選に共和党から立候補した実業家のドナルド・トランプ氏を暗に批判した。トランプ氏はムスリムや移民を排除する発言で非難されている。
オバマ大統領は「事実に即していない、間違いだ。我々の国のあるべき姿ではない」と述べた。
<英語ビデオ>オバマ大統領は、政治家がムスリムを侮辱しモスクが破壊されることで、安全になるわけでないと語った
今後1年間でオバマ大統領は以下の政策を進めると表明した。
- グアンタナモ収容所の閉鎖
- 刑事司法制度の意義ある改革
- 増加する処方薬の乱用への対応
- 対IS軍事力行使への議会の正式承認
- 対キューバ禁輸措置の解除
オバマ大統領はまた、がん研究の新たな国家プロジェクトをジョー・バイデン副大統領が率いることを明らかにした。
大統領令による新たな銃規制の強化策を発表したばかりであるものの、演説での銃への言及は短かった。ただ、ホワイトハウスは招待者の席の一つを空席にし、銃犯罪の犠牲者の象徴とした。
一方、サウスカロライナ州のニッキー・ヘイリー知事は、野党・共和党を代表して行った反対演説で、オバマ大統領が「崇高な事柄を雄弁に語った」ものの、「立派な言葉に実績がついてきていない」と批判した。
ヘイリー知事はさらに、「不安な時代には、警鐘のように響く、怒りに満ちた声に従いたくなるものだが、その誘惑を絶たなくてはならない」と述べた。トランプ氏を名指ししていないが、間接的に同氏について触れたとみられる。
ヘイリー知事は、政府に対する信頼が揺らいでいる時に共和党は自らの役割を自覚すべきだと語った。
同氏は、「重要な選択が待っている。我々の国は試練に直面している」とした上で、「過去にも試練はあったが、この国の人々は困難に立ち向かった」と述べた。
(英語記事 Obama puts 'focus on the future' in State of the Union address)