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タイトル |
アラブと音楽/愛国とプロテスト |
サブタイトル |
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著者 [著者区分] | 中町 信孝(甲南大学文学部教授) [著・文・その他]
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出版社 |
DU BOOKS |
レーベル |
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本体価格 (予定) |
2000円 |
シリーズ |
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ページ数 |
208p
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Cコード |
0022 |
発売予定日 |
2016-02-26 |
ジャンル |
一般/単行本/外国歴史 |
ISBN |
9784907583781 |
判型 |
46 |
内容紹介 |
2011年、アラブ世界の若者たちは自由を求める「革命」を起こし、その一環としてエジプトではムバラク独裁政権が倒された。しかし2013年、エジプト初の文民大統領であるモルシー政権が軍による「クーデター」によって倒されると、若者たちの多くは軍部主導の新体制を支持した。このような、一見すると独裁への逆行、民主主義の後退ともみえるエジプトの社会情勢は、なぜ生じたのだろうか。
革命の背景やその後の推移について、政治的・経済的な要因から説明する試みはずいぶんとなされている。しかし、現地で「若者(シャバーブ)革命」と呼ばれるこの動きを真に理解しようとするならば、革命を支えたアラブ世界の「若者(シャバーブ)」たちが何を考え、何を求めているかを知るべきだろう。
本書は、筆者が長年定点観測を続けてきたアラブ世界のポピュラー音楽の分析により、20世紀後半から現在にいたるアラブの若者文化の歴史をたどることで、彼らにとってこの革命とは何だったのかを解明する。それとともに、現代国際社会を理解する鍵となる中東情勢を、音楽という切り口から分かりやすく解説するものである。
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目次 |
序章 アラブの春、イスラーム、エジプト
タハリール広場の「自由の声」
イスラームは音楽が嫌い?
エジプト方言で歌うポップス
第1章 エジプト現代史とポピュラー音楽
1-1.ナセル時代:アラブ伝統歌謡「タラブ」の誕生
タハリールを三度埋め尽くしたエジプト民衆
「東洋の星」ウンム・クルスーム
ウンム・クルスームの革命歌
「褐色の夜鳴き鳥」、アブドゥルハリーム・ハーフィズ
ハーフィズの愛国歌
1-2.サダトからムバーラクへ:カセットテープが生んだエジポップ
ナセル後の路線転換
ナイトクラブから飛び出したシャアビー
「エル・ギール」の時代
テレビ時代の大スター、アムル・ディヤーブ
「ライオン」と「キング」
1-3.ゼロ年代:シャバービー(若者音楽)の発展
歌手もビジュアルを競う時代?
セクシー歌手の濫立
若者音楽の革命?ロマンスィー路線
若者音楽の歌詞世界
第2章 愛国化するエジPOP
2-1.アラブ主義
五十年目の「アラブの夢」
アクサー・インティファーダの応援歌
庶民派プロテスト歌手、シャアバーン・アブドゥッラヒーム
イラク、レバノン、そしてパレスチナ
さらに十年後の「アラブの良心」
2-2.愛国主義
アラブの複合的アイデンティティ
アイドルが歌う愛国
エジプト愛国ソングに描かれるテーマ
愛国ソングにおける若者へのメッセージ
ムバーラク体制のプロパガンダ
2-3.イスラーム主義と宗教共存
若者向けのイスラーム
愛国ソングの中の宗教共存
宗派紛争と「一つの手」
第三章 二〇一一年エジプト革命と音楽
3-1.革命の起こり――反逆するミュージシャン
アラブ世界の「プロテスト」とアイデンティティ
アラブのポピュラー音楽におけるプロテストソング
チュニジア「ジャスミン革命」とプロテストソング
政府批判はユーチューブで
3-2.革命の推移――タハリールの内と外
若者たちへの批判と応援歌
若者と政府、メッセージソングの応酬
「自由の声が呼んでいる」
3-3.革命の成就――若者を賛美する楽曲
犠牲者への追悼と癒やし
「みそぎ」のための愛国ソング
台頭する革命派のミュージシャンたち
第4章 革命後のエジプトと音楽
4-1.変わりゆくポップス、変わらないポップス
エジプトのロック時代の幕開け
「パンと自由と社会の正義」
選挙応援ソングの数々
4-2.これは革命か?それともクーデタか?
軍を支持する若者たち
同胞団嫌悪とイスラモフォビア
口を閉ざすアーティストたち |
著者略歴(中町 信孝(甲南大学文学部教授)) |
1972年石川県金沢市生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文社会系研究科修了。博士(文学)。早稲田大学アジア研究機構客員研究助手を経て、2008年より甲南大学文学部准教授。専門は中世アラブの文化史。2000年のエジプト留学でアラブ・ポップスにはまり、以来当地のポピュラーカルチャーを定点観測している。 |