宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、宇宙基地や宇宙船に長期滞在する飛行士のストレスを一般の人で調べる地上実験を2月に始める。8人が隔離施設に閉じこもって13泊14日の共同生活を送り、ストレスに伴う異変を血液や尿の検査で調べる。筑波大や東京大などと心身の変化を判定する方法を研究し、宇宙飛行士の体調不良や判断力低下を防ぐヒントを探る。
JAXAは13日、実験の舞台となる筑波宇宙センター(茨城県)内の「閉鎖環境適応訓練設備」を公開した。バス2台分の広さで、医師や管制室の指示を除いては外部とは話せない。入浴はシャワーで、食事は宇宙食に見立てたレトルト品だ。
日課として忍耐力が問われる折り紙のような単純作業や、協調性が求められるロボット製作を計画している。施設内のカメラ5台で声や表情を常に観察し、精神状態を分析する。
実験に協力してもらう20~55歳の一般の男性8人を募ったところ、12日の締め切りまでに約4400人の応募があった。8人には協力の対価として38万円を払う。2016年度にも最大で3度の実験を予定している。
JAXAは05年にも同様の実験をしたが、血液や尿の検査は初めて。実験の成果は職場のストレス検査にも応用できる見込みという。
宇宙開発の最前線では、米国が人類による火星探査を目標に掲げる。宇宙船内にこもる生活はストレスから体調を崩しかねず、日本も将来に備えて長期滞在時の影響を研究する必要があった。
JAXAの宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する機会は多いが、これまではテレビ電話を通じて医師と面談し、健康状態を自己申告していた。
JAXA、ストレス