「帝国の慰安婦」著者に賠償命令 名誉毀損認定=韓国地裁
【ソウル聯合ニュース】韓国で旧日本軍の慰安婦被害者9人が、書籍「帝国の慰安婦」によって精神的な苦痛を受けたとして、著者の朴裕河(パク・ユハ)世宗大日本語日本文学科教授(58)に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル東部地裁は13日、朴氏に対し、原告に1000万ウォンずつ(約98万円)、計9000万ウォンの支払いを命じる判決を言い渡した。
朴氏は2013年8月、慰安婦問題を帝国主義の欲望に動員された「個人の犠牲」と主張する同書を出版した。同書では慰安婦被害者を「軍人の戦争遂行を手伝った愛国少女」「自発的な売春婦」などと表現。被害者9人はこうした表現34カ所が自分たちの名誉を毀損(きそん)したとして、2014年に1人当たり3000万ウォンの賠償を求める訴訟を起こした。
裁判所は判決で、「日本政府と軍が慰安婦募集に直接、間接的に介入した事実は国連の各報告書や河野談話、国内の学術研究結果で認められ、慰安婦たちは最小限の人間的な生活や身体の自由を保障されず、性的サービスを強要され、人間としての尊厳を抹殺された」と指摘。「『むしろ(慰安婦たちが自ら)楽しむためのものと見なければならない』などの10カ所は(本人たちが)売春であることを認知した状態で本人の選択により売春業に従事した人であることを暗示し、虚偽事実であることが認められる」との見解を示した。また、「『日本帝国に対する愛国の意味を持っていた』などの32カ所は人格権を侵害する」とした。
同書で使った表現は「学問の自由」との朴氏の主張も認めなった。裁判所は「被害者が生存している場合なら被害者の人格権が学問の自由の保護より相対的に重視される」として、「一般的な学問発表より慎重さが求められるが、朴教授は否定的かつ衝撃的な表現で原告の名誉を著しく侵害した」と言い渡した。
原告のうち3人は判決後、地裁前で記者会見し、「われわれは韓国人として強制的に連れて行かれた」と主張。「二度とこうしたことが起きないよう要求したい」と訴えた。
判決後に記者会見した原告3人=13日、ソウル(聯合ニュース)
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