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縦ロールは嫌ですわ!o( >_< )o 作者:瀬那川 匠
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朝ご飯

第五話に一言付け加えました。今後に関わる事です。

1月8日 瀬那川 匠
 わちゃわちゃしていたら私達の前に朝ご飯が並べられた。
 白ご飯にお味噌汁、玉子焼きに焼きじゃけと和食のザ・朝食という感じのだ。

「わぁ、美味しそう!」

 多分私の顔を今見たら目がキラキラと輝いているだろう。目の前に並べられた料理はまるでレストランか料亭で食べる物のようにとても美しい。やばい、ヨダレ出そう。

「父上が、仕事で会えない分、いい物を用意して下さるからね。さぁ、食べようか。」

 お兄様が頂きますをして、清水様も箸をとっくにつけていたので私も前世の習慣で両手を合わせ指先をおでこに付けて目を瞑る。これ、見た目的に少し変だけど、保育園の時に間違えてからずっと直らないんだよね。でも、この方が感謝の気持ちを言いやすいから私は気に入っている。

「毎日ご苦労様です。ありがたく頂戴いたします。頂きます。」

 さぁ、何から食べよっかなぁ。玉子焼きって、家毎に味が違うからまずはそこから行こうか。と、私が最初に口に入れる物を選んでいると

「本当に今日は季節ハズレの雪が降るんじゃないか?」

「雪と桜って良いですね!実現しないかなぁ。」

 清水様がなんか失礼な事を言ったが、その様子を想像してみて綺麗だったので同意しておいた。

「……。」

 それ以降誰も口をきかなくなったので、初めての此方の世界のご飯を堪能する事にした。
 玉子焼きに口をつける。作りたてなのかまだ湯気がたっており、口の中に入れたら直ぐに崩れる。前世の家の玉子焼きは私の役割りだったのだがどうやっても何でか固くなる。焼き方の問題なんだろうけれど何度挑戦しても上手くいかなかった。その私が目指していたふわふわの玉子焼きが今私の口の中にある。少し半熟状態になっており、とろっとしていて美味だ。どうやら甘めの味付けらしい。そこも私は気に入った。その他の料理も絶品だった。

 最後にお味噌汁を啜った所で都計を見た。高級そうな細部まで装飾が施された振り子置き時計だ。8時5分とある。そろそろやばいのではないか、前世の私の高校は入学式の登校時間は8時30分だった。後20分ちょっとで行ける所に学園はあるのだろうか?

 とりあえず。

「美味しく頂きました。ありがとうございます。ごちそうさまでした。」

 ふむ、今度料理人さんに玉子焼きの作り方を教わろう。
 ふと視線を感じて前を向くとお兄様と清水様がわたしの方を凝視していた。私の顔に何か付いているのだろうか?

「あの、お兄様?清水様?どうされたのですか?」

 単刀直入に聞いてみた。だって時間無いし。

「……ああ、いや、いつもと違いすぎてなんとも。」

「あら、先程も言いました通りわたくし今日から高校生になるのですから、イメージチェンジですわ。おほほ。」

 あまりに美味しすぎる料理にすっかり地で過ごしてしまった。ここは笑って過ごす。日本人の誤魔化しスキルだ。

「お前、そんな笑う奴だったか?俺がこっちに来て飯食うようになってから見た事ないぞ。」

「そうだな、優理絵とキヨの婚約が成立してからだからかれこれ10年か。」

 おお、なんで清水様が一緒にご飯食べてるのかと思えば、婚約してからの習慣なのか。情報ゲットだぜ。

「……それよりも、早く入学式に行かなくて大丈夫なのですか?」

 話をそらす。

「む、そんな時間か。確かに僕とキヨは代表挨拶があるからね。そろそろ行こうか。」

 うまくいった!まだ疑問そうな清水様はひとまず置いといて三人で城之内家の車(外車だった)に乗り込み登校する。そしてなぜか私は今お兄様と清水様に挟まれております。

「いいかい?優理絵。絶対に学園ではあの顔はダメだからね。」

「そうだ。もうお前は何も反応するな、喋るな、笑うな。」

 あれですか、学園で悪事を働かせないための最後の牽制ですか。そこまで優理絵は信じられてないのか。まぁ、悪役令嬢だしね。

「善処致しますわ。」

 でも、いつ地が出るか分からないのでこう言っておく。

 そんな事をしているとどうやら学園に着いたらしい。この入学式からがゲームは始まるのだ。気合を入れていこう。正直、ヒロインと攻略対象がいちゃコラしようと私はどうでもいい、私に関係ない所でしてくれたらいいのだ。私は今や『城之内 優理絵』というゲームの悪役令嬢である。それを覆すためには、悪役令嬢とはかけ離れた事をすれば良いのではないかと考えている。優理絵が国外追放されるのは3年生の卒業式の前日だ。それ迄は時間はある。いろいろ試してフラグをどうか断ちきろう。
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