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召使さん!
制服に着替えようとクローゼットに手を掛けたら
コンコンッ
先程のお兄様とは違い、軽いノック。
取り敢えず返事しておく。
「はい。」
3
「失礼いたします。」
ドアから入ってきたのは、白い布(多分服?)を持った女の人だった。私がそのままでいると
「お嬢様、お召変えをしますので此方へ。」
「……へ?」
お嬢様なんて初めて言われたので戸惑ってしまったが、そういえば優理絵は所謂お金持ちの家だったと思い出す。召使の一人や二人いるか。
お召変えって、着替えさせてくれるって事?
いや、それは流石にちょっと抵抗がありますね。
「……今日からわたくし一人で着替えますわ。」
言ってしまったあとで、いきなりこんな事を言い出して怪しまれないか不安になってきた。
恐る恐る召使(?)さんの顔を見る。
「……、この三宅、お嬢様が自らお着替えになるなんて……!嬉しゅうございますわ!!」
なんと涙目になっており、両手で口を覆っている。
そんなに感動することか?どんだけ甘やかされてきたんだよ。
あ、この人三宅さんって言うんだ。呼ぶ時どうしようと思ってたから名前が分かって良かった。
「三宅さん。今までありがとう、今日から高校生になるのだし、自分の事は自分でしますわ。……だから、わからない事があったら教えてくださいまし。」
何だか最後の方は照れてしまい、頬が緩む。
あれ?お礼と今後の事を言っただけなのに、なんかないてるんだけど?
「えっと、、三宅さん?」
「お嬢様が、お嬢様が私の名前を呼んでくだしいました!……この三宅、今死んでも構いません……!」
ええっ!そこまで!?
ていうか優理絵今まで名前で呼んでなかったの?まじで。
「……では、廊下でお待ちしております。お召変えが終わりましたらお呼びください。」
「え?どうして?着替えたらご飯でしょう?」
「?髪のセットもご自分でなさるのてすか?……流石にあの巻き髪はお一人では難しいかと思われますが……。」
髪?かみ、紙、神?
髪なんてどうでも……、ハッ!そういえば、ゲームの優理絵は何時でも何処でも一切崩れないガッチガチの縦ロールだったような。
いやいやいや!それだけは絶ったいに勘弁!御免こうむります!!
「ほら?高校生になるのだし、イメージチェンジというのかしら?こういうの。」
「では、私は下がらせて頂きます。」
そう言うと、未だ涙を流しながら部屋を出て行った三宅さん。
あれ、あのまま下に行ったら誤解を招くんじゃないの?
大丈夫かな?私が泣かせた事になってないといいけど。(ある意味私が泣かせたけれどね!?)
時計を見る。7時30分。……、うん早く着替えよう。
三宅さんの置いていった服はやはり制服だった。時間が無いのでちゃっちゃと着替えてドレッサーとは別にあった姿見で変なところがないか確認する。
制服は白がメインで、襟と袖、スカートの裾に紺色のラインがひいてある。私が何度も画面の向こうに見た主人公達が通う『七峰学園』の制服だ。
それにしても、白い制服に白っぽい髪だから、なんか神々しい位に白いな。ゲームの頃はガッチリ縦ロールだったからか気にしなかったのにな。
髪型どうしようと考えるけれど、時間が無いので簡単なものしかできない。ドレッサーの棚を次々と開けて行く。あ、ヘアアクセサリーあった。
そのまんまにしてたらうざったいしなぁ。前髪だけでもどうにか、カチューシャかぁ、これでいいか。
私は数あるカチューシャから濃い目の赤のリボンみたいになってるのを選ぶ。それをおでこをさらけ出す様に装着する。
うん。これだけでもましだわ。鏡を見る。するとまぁ可愛らしい美少女がいました。
「元は可愛いいのになんであんなにケバくメイクしたんだろう?」
確かに少し釣り目だが、大きい瞳が愛らしい普通に可愛い子だ。
メイクを考えていたが、元が良いのでビューラーとリップだけにしておいた。
時計を見たら7時45分。流石にやばい入学初日に遅刻はダメだ。
ベッドの脇に置いてあった学校指定の鞄を引っ掴んで急いで階段を降りた。
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