中国に不満表明 対北朝鮮「実質的措置を」
【ソウル米村耕一】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は13日、北朝鮮の核実験などを受けた国民向け談話を発表した。その後、記者会見も開いたが、政権の置かれた困難な状況について、朴大統領は繰り返しいら立たしそうな表情を見せた。談話で「経済と安保が同時に危機にある」と位置づけたが、核実験を巡っては中国の協力を得られず、国内で進める労働市場改革などの政策も国民から十分に支持されていないためだ。
談話で朴大統領はまず「中国は繰り返し北朝鮮の核を容認しないと公言してきた。こうした意思が実質的に必要な措置に結びつかないのなら(北朝鮮による)5回目、6回目の核実験も防げないということは中国もよく知っているはずだ」と、中国に不満をぶつけた。
朴政権が北朝鮮の核実験への対応として、北朝鮮の態度変更を迫る水準の新たな制裁を含む国連安全保障理事会決議などを求めているのに対し、中国が支持する姿勢を見せないことに対するものだ。
朴政権は、昨年9月に北京で開催された「抗日戦争勝利70周年」記念式典軍事パレードに参加するなど、中韓両国の「蜜月」を演出してきた。しかし、核実験後の「危機」にこうした蓄積が有効に働いていないとの批判が韓国内でも出ている。
朴大統領は談話で「困難で苦しい時に手を差し伸べてくれるのが最上のパートナーではないか。今後、中国が安保理で必要な役割を果たしてくれると信じている」と訴えた。
朴大統領は13人が質問に立った会見で、繰り返しため息を漏らした。韓国政府は昨年から若年層の雇用促進のため、一定年齢に達した人の賃金を削減する「賃金ピーク制」導入などの政策を取っているが、労働組合などからの反発が根強い。
こうした状況について韓国メディア記者から問われた朴大統領は「(政府と労使間の協調が)うまくいかないなどと考えたくもないが、だから国民のみなさんに訴えている。これ以上、大統領がどうすればいいのか」と述べ、深くため息をついた。
朴大統領による記者会見は毎年、年初の1回に限られるうえ、国民やメディアとのコミュニケーションが不得手だとの批判がある。今回はこうした批判をやや意識し、会見中に冗談を交えるなどしたが、韓国のインターネットでは逆に「不自然すぎる」などと皮肉られていた。