♦ 卵 産卵期に、寒天質(ゼリー質)に包まれた、粘着性がある卵が、水草に1個ずつ産み付けられます。 卵はだ円形で、直径2mmほどの大きさです。 透明なので、中に褐色の胚があるのが見えます。 胚は最初は球状ですが、それが2つ4つ8つと分裂して、 1週間ほどで頭、尾、四肢の場所が見えるようになり、 次第に魚のような形になって、ついに目が現れます。 そして、産卵から4週間前後で孵化します。(孵化の時期は、水温によって多少変わります。) ※産卵や繁殖についてはイモリの繁殖で詳しく説明します。 | |
♦ 幼生 卵が孵化し、魚のような形をした10〜12mmほどのイモリの幼生が生まれてきます。 (幼生とは、親と全く違う姿をしているが、エサを自分で取って食べることができる子供のことです。) 目は、とても大きく、尾ひれがあり、まるで魚のようです。 頭には、よく発達した羽毛のような3対のえら(外鰓)があります。 あの有名な「ウーパールーパー(メキシコサラマンダー)」に似ています。 孵化後5日前後まではバランサー(平均体)という、1対の棒のような形の器官も 頭にありますが、やがて脱落します。 また、特に若い幼生の皮膚は透き通っていて、中の内臓が透けて見えます。 (腹の赤色は、幼生の間は現れません。) 水中のミジンコやアカムシなどの小さな無脊椎動物を食べて成長します。(共食いすることもあります。) ※ちなみに、幼生時代に住んでた水温によって、性別が決まるそうです。 温度が上昇すると、オスが増えるそうです。 (24℃だとほとんどが、20℃だと半分がオスになるそうです。) (「新訂図解動物観察辞典」<地人書館 朝日 稔(著)>) | |
♦ 変態 生まれてから2ヶ月ほどで、まず前肢が現れ、細長く伸びて発達します。 (ちなみに、カエルは後肢から生えます。) そのあと後肢が現れ、さらに外鰓、尾ひれがなくなり、イモリらしい形になっていきます。 そして全長3cm〜5cmほどに成長し、夏から秋にかけて4肢を使って初めて陸に上がります。 このように新しいからだに変わることを変態といいます。 (心臓も、幼生は魚と同じ1心房1心室ですが、変態してから爬虫類と同じ2心房1心室に変わります。) 幼生は上陸し、幼体となります。 最初は茶褐色ですが次第に黒くなり、そして、腹の赤色が現れ始めます。 一度上陸した幼体は親(成体)になるまで、林床の落ち葉の間や 倒木や石の下など湿った場所に潜んで生活します。 そして、3年ほどで性成熟して成体になり、水中を中心とした生活に戻ります。 そして繁殖行動を行うようになります。 (標高が高い山地ではそれ以上かかるといわれます。) | |
♦ 寿命 イモリは意外にとても長生きだそうです。 30年、50年生きるといううわさもあります。 本にはたいてい、飼育下で25年以上生きると書かれています。 |
♦ 分布・生活環境 本州、四国、九州とその周りの島々(佐渡・隠岐・壱岐・五島列島・大隅諸島など)に分布しています。 アカハライモリが住む下北半島は、世界のイモリの生息地の中で最も北です。 (北海道には生息していません。) 世界には、陸に住むイモリが多いようですが、アカハライモリは主に水中で生活しています。 平地の水田や池や小川など、止水環境があればどこにでも住みます。 (標高3000mの地点の高山の池にもいたそうです。) また、夜のほうが活発に行動します。(ただし、繁殖期のオスは、昼夜問わず求愛行動をします。) | |
♦ 歩き方 イモリの動きは鈍いです。 水の中では、浮力を受けているので、指先を地面につけてふわふわ歩きます。 陸に置くと、少し動きづらそうに手足を交互に動かしながら、ペタペタと歩きます。 (歩きはとても遅いです。) ※ちなみに、坂に置くと、低いほうに下っていく習性があります! どんなに頭を上に向けて置いても、無理やりUターンして下にいこうとします。 | |
♦ 泳ぐ イモリは水中を泳ぎまわります。 普段は、4つの肢を交互に動かして、のんびり泳ぎますが、 危険が迫ったときなどは、肢をすべて体につけて、 体と尾を左右にくねらせながら、魚のようにすばやく泳ぎます。 |
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♦ 食べ物 イモリはふだんはのんびりしていますが、獲物を見つければ急いで泳いできて、ものすごい勢いで食べます。 カエルの卵、ヒル、ワラジムシ、巻貝、ミミズ、昆虫、オタマジャクシなどの小動物を食べています。 動物質で口に入るものはなんでも食べてしまうといいます。 自分が産んだ卵や幼生さえ食べてしまいます。 繁殖期などには、植物質のものでも食べてしまうそうです。 また、特に幼生のころは、共食いをすることもあるそうです。 | |
♦ 捕食者 イモリを食べてしまう動物は、マムシ、ゴイサギ、カラスなどです。 ただし、イモリは毒をもつため、小動物のわりに天敵が少ないようです。 | |
♦ 防御行動 捕食者から身を守るための防御姿勢をとります。 ・イモリの赤い腹は、敵に「自分には毒がある」と知らせる警告色となっている。 ・イモリは天敵に襲われたら、目を閉じ、尾を巻き、手足を縮めて全身を硬直させます。 これは、イモリ独特の防御姿勢です。 特に、寒い季節によく見られる行動です。この状態でつついても、動きません。 また、逆に体をそらせて赤い腹を見せることで威嚇する「警告のポーズ」もあります。 | |
♦ 脱皮する 成長するとともに、脱皮します。脱いだ皮は自分で食べてしまいます。 また、脱皮するときは、暴れて泳ぎ回ります。 そのときに他のイモリが寄ってきて、噛み付くことがあります。 ♦ 冬眠 気温が18℃以下になると、陸に上がり、落ち葉などの下で冬眠します。 |